1.《ネタバレ》 いかにもインチキ臭い音楽エージェントが軍の慰問ショーを引き受けて女性シンガーを連れてアフガニスタンに赴きます。もうこのプロット自体はどっかで一度は観たことあるパターンで、お約束通り戦地にビビったシンガーはマネージャーのカネを盗んで遁走してしまいます。このインチキ・マネージャーであるビル・マーレイと女性タレントのゾーイ・デシャネルの絡みのところがまあこの映画でいちばん笑わせてくれるところです。ビル・マーレイが帰国資金を稼ぐために乗った危ない仕事で赴いた奥地の村で、メチャクチャ歌が上手い娘に出会って彼女をアフガンのTVコンテストで優勝させようと奮闘するというのがいわばメイン・ストーリーとなります。 アフガンでタレント・オーディションのTV番組が放送されているってのは意外ですが、このお話が実話をヒントにしているみたいなのでホントのことみたいです。女性の権利がないに等しいアフガニスタンのような国で、人前で素顔をさらして歌唱するということがいかに危険なことかは容易に想像がつきます。“問答無用で殺されちゃうでしょ”と思いますけど、それじゃ映画にならないので一工夫が必要ですけどこの映画の脚本はそこがとてもあっさりし過ぎです。超絶技巧を持った娼婦ケイト・ハドソンや民間軍事会社の傭兵ブルース・ウィリスなどが脇を固めていますが、どちらも精彩を欠く存在でした。だいたい、オーディション番組に挑戦するパシュトゥーン人の女性のキャラがほとんど描かれていない脚本が、この映画の最大の欠点だと感じます。この役を演じている女優はすっごい美人なだけに、もったいないことです。 拳銃やライフルがバンバン撃たれるのに誰も死なない、現代アフガンを舞台にしているにしては珍しい映画だとも言えます。