1.《ネタバレ》 同じ監督の「沈まない三つの家」(2013)と同時に撮影されたもので、これだけが別の小編として編集されたとのことである。当然ながら同じ川が重要な舞台になっている。
導入部に刺激的な要素を持ってきているが(人体損壊・流血)、全体としては心温まる家族(兄妹)の物語である。当初は劇中の兄に同情もできずにこいつはバカかと突き放した気分だったが、そのうち事情があることもわかり、また何より妹が兄と観客の間を取り持ってくれているように感じられて、最終的にはこの兄に対する制作側の温かい視線にも共感できるようになる。結果的には最初の凶行も前向きな決断だったのだと納得した。妹の方は最後に何か変化があったのかどうかよくわからなかったが、次は妹の側が兄に背中を押されるような場面もありうるのかも知れない。
なお自作中に下世話なものを出すのがこの監督の特徴だが、今回は少し毛色の違ったものを出してきている。