2.《ネタバレ》 人生とは、絶望に追いつかれない速さで走ること、というのは、人生とは「泳ぐ」ものだ(つまり、それを止めたら溺れて死ぬ)と考えている私の人生観にも少し近い。あくまで人生を甘く見ていない、と言えるのか、はたまた既に若干人生に絶望しかかっているというネガティブ故なのか、今作の主人公達はどちらかというと後者に見える。
そういった後ろ向きな人生観&具現化しつつある人生への恐怖と、その中に二人の友情が際立って輝かしく存在する様子を手短ながら的確に表現した前半は、率直に中々良い出来だったと思う。そこから、その「理由」を探しに行く淡々とした中盤も、ここも決して悪くないと感じた。しかし肝心の終盤、その「理由」が明らかにならないのはまだ許せるとして(それが分からないことがただ絶望であるのが主人公なのだから)、では何故主人公は立ち直ることが出来たのか、という部分まで曖昧模糊としているのは、アート系な作品ならともかく劇映画としては流石にちょっと不親切にも思われる。立ち直ってからもチョロチョロと話は続いてゆくが、もはやただ撮りたい映像を撮って詰め込んでいるだけにも感じられ、率直にこの部分は散漫だと思った(映像は非常に綺麗なので、ボンヤリ観ていけるとは言えるものの)。
重ねて、全体として映像は美しい。静かな演技・役者の仕事も総じて悪くない。実はお話にアイデアを欠いていた、という感じかと。