1.あんまり映画がダメダメでポンコツだとかえってカルト的な人気映画になっちゃったりしますけど、そういうのはポンコツ映画界のエリート中のエリート。たぶんその多くは地味でダメな、地味ダメ映画。ポンコツ映画の裾野は広くって、西部劇にだってダメダメなものは、あるもんです。
例えば本作。気持ちいいくらい、ポンコツですねえ。うれしくなってきます。
マカロニかと思いきや、アメリカ製。
ガトリング砲を運ぶ一行と、それをつけ狙う先住民との戦いが、一応は描かれてるんですが、この演出力の無さたるや、なかなかのレベルに達しております。適当に登場人物を立たせて適当に撮った感じ。セリフの無いヒトは演技もしないでいいんだよね、という感じ。この、すべてにおいて気の抜けた感じ。これに比べりゃ、普段目にしている映画たちが、どれだけ「ちゃんと」作られてることか。
ガトリング砲の争奪戦という明確なテーマがあるにも関わらず、作品がグダグダで、内容がボケボケ、登場人物も誰が誰やら一向に興味がわきません。『バファロー大隊』なんかでお馴染みのウディ・ストロードは一応、何となくは目立ってますけど、でもまあ、あくまで、ほどほどの活躍。
なにせ、戦闘シーンがヒドイんです。最初の方で、撃たれたヤツが唐突に爆死したのには笑いました。オマエはショッカーの怪人か、と。先住民が襲ってくる場面なんかの撮影は、それなりに物量作戦で盛り上げようとしてるんですけどね。ただ、撃たれた連中の倒れ方が、ただ寝そべってるだけ、やる気ないことこの上なし。何となく撃ちまくって、何となく倒れる(いや、寝そべる)。大勢撃たれて死屍累々、ともなると、後から撃たれて倒れるヤツは、先に倒れているヤツをよけて、空きスペースを探してヨッコラショと倒れ込む始末。
馬に蹴られたからといって、死体役は動いてはいけないのです。
きっと出演者には「適当に撃ち合って適当に倒れてよ、あとはカメラがうまいことやるからさ」とか言って、カメラマンには「迫真の撃ち合いやるからさ、適当に撮っといてよ、あとは編集で何とかするからさ」とか言って、で、何ともならなかった、ってことじゃなかろうか。
昨今、わざとカメラを手ブレさせる映画は珍しくないけれど、「カメラマンが何かにぶつかったか、つまずいたかして、大きくブレてしまった」みたいな、家庭用のビデオでよくある失敗を、そのまま編集で落とさずに映画に採用するってのは、どういうことなんだろうか(何か所か、あったよね)。
先住民が撃たれて落馬するスタントシーンを、まるで急に思いついたようなスロー映像で見せるのも、カッコよくない、というか、もはやビンボー臭い。
一番問題だと思うのは、物語のキモともいうべきガトリング砲がついに火をふいても、絶望的なくらい、迫力がないんですね。これが。
という訳で、ちょっとした珍品と思って観れば、楽しめますヨ。