1.近年、70歳を超える超ベテラン俳優達が結集し、元気な所を見せてくれる陽気な人生賛歌モノが増えてきたと思う。
本作もそういう映画かと思っての鑑賞でしたが、さにあらず・・・。
本作はマイケル・ケイン、ハーヴェイ・カイテル、ジェーン・フォンダといった名優が顔を揃える。
主人公はケインが演じる、かつては名声を得たが今ではすっかり世捨て人になってしまっている音楽家。
作品の大半の時間が使われるアルプスの麓の保養所の人間模様が作品の軸となりますが
彼を中心にした保養所の人間模様には味わいがありつつも退廃的な空気が流れ、その空気が重く感じる。
この監督の作品を見るのはこれが2本目。
1本目は、ショーン・ペンがこれまた世捨て人のようになってしまっているロックスターを演じました。
年代は違えど共通点がある主人公、このあたりにこの監督の取り上げる人間の好みがあるのでしょうか。
美しく撮られたアルプスの麓の風景、時には激しくぶつかり合う名優の共演といった見どころも十分ですが
一方で抽象的なシーンの挿入が多く、もう少し短くまとめられた作品だと思います。