1.《ネタバレ》 「シンガポール初のゾンビ映画」だそうである。題名のZombiepuraは、国名のSingapura(獅子の町)のもじりだというのは言われなくてもわかるかも知れないが、自分としてはこのネーミングに引かれて見る気になった。ちなみにエンドロールを見るとzombieは漢字で「喪屍」と書くらしい。また今回関係ないがいわゆるキョンシーは「殭屍」(固い死体)である。
ジャンルとしてはホラー/コメディだそうだが別に怖くはなく、また国内向け宣伝で「抱腹絶倒」と書いているがそれほどバカ可笑しいわけでもなく、コメディ調ではありながらも普通に悲劇的な場面もあったりする普通の物語になっている。漢字の題名は「屍殺軍營」とのことで、ほとんど軍隊の兵営内のためスケールが小さく、日本でいえば学園ゾンビ映画のように見える。「筋肉の記憶」とかゾンビ除けの秘薬といったものが特徴的な要素だがそれほど独創的な感じでもなく、またゾンビの群れが特定の音楽に反応するのは、個人的にはAKB48メンバーが出た学園ゾンビドラマ「セーラーゾンビ」(2014)を思い出した。
なお障害物競走は少し面白かった。また最後の祖母の件は笑った。
現地の事情はよくわからないが、主人公が軍隊にいたのは志願したわけではなく、兵役(2年)を務めた後に毎年集められる予備役だったようで、当事者としてはとにかく何もせず楽に過ごして早く帰りたい状態だったらしい。しかし今回の件で守るべき者の存在を意識したことで、訓練ではできなかったことも自分の力でできるようになり、同じ任務の仲間と協力し、国旗に導かれて?小さな勝利を得たという話に見える。
シンガポールは面積的には小国ながら、豊かな国らしく侮れない軍事力があるようで、この映画のようなだらけた状態が普通なわけではないとは思われる。しかし現実問題としては主人公のように、戦争などゲームや映画でしか意識していない連中ばかりなのを兵役で使う苦労があるのだとすれば、ここでちょっと平和ボケを矯正してやる、という意味もあるのかも知れない。それにしても基本的に平和な国ということだろうが。
なおキャストは地元の役者のようで当然知らない人ばかりである。唯一の若手女子であるXiao Ling(小玲)役はJoey Pink Lai(黎格欣)という女優・モデルのようで、劇中では美女と言われていたが、少しタヌキっぽい愛嬌のある顔で和んだ。