1.《ネタバレ》 『殺し屋』と聞くと真っ先に『ゴルゴ13』が思い浮かびますが、あんな“如何にも”な風貌は逆にリアルとは思えず、『必殺仕事人』の中村主水タイプの方が現実的な気がします(もちろん本当のところなど知りませんが)。その点、近藤芳正氏のキャスティングは的を射たものであり、何ら違和感はありません。あるのは、名脇役が主役を張るミスマッチ感。ただ、これは明らかに本作品の“セールスポイント”であり、洒落たタイトルも含めて“ウケを狙った”感が強く感じられます。だから鼻に付くとか、気にくわないとは思いませんけど。社会のルールに縛られないという意味で『野良犬』なのでしょうが、長年クライアントから信頼を得てきた着実な仕事ぶりは、むしろ『優秀な飼い犬』に思えます。また裏稼業を『ダンス』に見立てるのも、そんなに垢ぬけた言い方をする話でも無い気がします。個人的には『走れぬ老犬も牙を剥く』くらいで丁度いい気がしました。先に挙げたセールスポイント以外に特段見どころはありませんが、殺し屋に必要なのは、殺しの技術ではなく、『腹を括る事』とする描き方には賛同します。