1.《ネタバレ》 逮捕され、まず最初に連れて行かれたあの地獄絵図のような収容所で叩き吊るされ虫ケラ扱いされていた人間たちが皆、反政府活動に携わる同士の者であったのかというところ。そこが非常に分かりにくかったところです。それによって見方が変わるはずなのに、そこ非情に分かりにくかった。
その上、拷問を受けながら、いつあの場で殺されても不思議がないような鬼畜な仕打ちを受けながら、シーンが変わればあっさりと普通の女子刑務所に移送されていた事について訝しげな思いに駆られます。
ましてや、そこが衣食住において安定し、仲間たちと意外と快適そうに日々経過させていってる点においてかなりの拍子抜け。
そして結局、出所した後に提訴したのは収容所内で残虐扱いされた事に対してのみであり、元の問題であった独裁政権に対する反骨心はどこに行ったのやら、おざなりとなってしまい、話が当初の問題と摩り替わっていたように思えます。
そうなると、当初からリリアナに説教を講じていた母親や、リリアナから息子を遠ざけようとしていた夫の行動のほうが正しかったのではないかとか思えてきてしまう。
ただ最後に、母親の味わってきた苦痛の半生を理解し、現嫁よりも実母親に寄り添う事を選択した息子の行動には少しばかり共感出来る部分を感じさせられました。でもそれは私が息子と同じく男なのだからだと思えます。現実的にみれば、彼は既に嫁と子供を持った家族持ちなのだから、例え母を見放してでも自分の作った家族、そちらに寄り添っていくべきなのではないのかなと思えます。