1.《ネタバレ》 『リング』や『呪怨』等ジャパニーズホラーの経験則から「霊は場所に憑くもの」(いわゆる地縛霊)との先入観があったため、てっきり主人公が越してきた家のクローゼットに何か因縁があるものと思っていたら、これが的外れ。基本的には悪霊のターゲット(虐待されている子ども)の波長に合わせて霊界の扉が開く仕組みであり、多分どこの家のクローゼットでも霊界の入口となり得たのでしょう。どこでもドアならぬどこでも霊界クローゼット。斬新な、そして結構恐い設定です。霊媒師は御札や蝋燭、人形といったクラシカルなアイテムに『ゴーストバスターズ』チックな現代科学をミックスさせて悪霊に立ち向かいます。個人的には好きなテイスト。クライマックスは悪霊に連れ去られた我が子の救出劇。父は命を賭して霊界に赴きます。言わずもがなここが最大の見せ場であり、テーマ(親の愛)を掘り下げる格好の舞台であった訳ですが、特段ひねりもなくあっさり処理されました。やや拍子抜け。同じ主題を有する『仄暗い水の底から』と比べると踏み込みが浅く、残念ながら見劣りします。ただ全体的には綺麗に纏まっており観易い映画ではありました。それが必ずしも褒め言葉にはならないのがホラージャンルの面白いところですが。