1.《ネタバレ》 原作未読。ですが、端的には若き芸術家を主人公に置いたアート系青春もので、かつその手としても一番よくある方の音楽分野のお話です。ただし、今作はその中で「現代音楽」にフォーカスした内容になっていて、その方面の考え方・理論とか、あるいは音楽シーン自体もそーいう系統のものがふんだんに含まれてくるコト自体は、ワリと面白く・興味深く・新鮮にも感じながら観てゆけたのですよね。しかし、後半は(現代音楽というコトで)いわゆる「未聴感」が一つのテーマとなってゆくのですけれど、一方で物語の方は終始(特に主人公の境遇や動機付け、あるいは他登場人物のキャラなんかも含め)極めて高度に「既視感」の強いものになってしまっていて、個人的にはソコには実に強力なチグハグ感を覚えずには居られませんでした。あともう一つ、人物関係の中でも特に幾筋かの恋愛感情の部分はハッキリと説明不足に感じられていまして、ソコは原作未読者にはちょっと不親切…というレベルだったかと思いますね(=分るには分るケドも、入り込める・感情移入できるとは言い難い)。
チグハグ感で言えばもう一つ、チョイチョイ入る松本穂香ちゃんの歌も、個人的には+少なくともこの作品に関しては明らかなミスマッチだったかな…と思いましたよね。音楽映画だから歌が入っても(本来的に)悪くないだろうし+穂香ちゃん自体も結構歌上手いし+曲も(ポップ・ミュージックとしては)全然悪くないし…とは思いますケドも、作品のテーマとは全然(全っ然)合ってないですよね…としか。。