1.《ネタバレ》 ネタバレ禁止映画です。未鑑賞の方はご注意ください。
タイトルの「Bodies」とは「死体」の意。また劇中披露された「人殺しゲーム」の呼称でもあります。くじで殺人犯役となった者を会話で探り出す人狼ゲームのような遊び。アメリカではお馴染みのゲームなのか、はたまたこの映画だけのオリジナルなのか不明ですが、いずれにせよ「遊びのはずだったのに・・・」パターンのサスペンスです。観終えてみれば「そんなことだろうと思ったよ」ですが、パニックになると人はとんでもない間違いを犯すという事でしょう。ただ、それにしても本作の登場人物の錯乱ぶりは酷いものでした。お口あんぐりのアングリーです。 失礼しました。
彼らが判断を誤った要因は大きく2つに区分できます。外的要因と内的要因。外的要因とは「状況」であり、「嵐」「停電」「通信不通」「車のバッテリー上がり」そして「友人の不審死」が該当します。これら要素が積み重なり彼らの中で「緊急事態」と認定されました。緊急事態と平時では、判断基準が変わるのは当然です。思い切った決断が求められる事もあるでしょう。しかし今回のケースは緊急事態でも何でもありません。この状況を緊急事態に「格上げ」してしまったのは、内的要因、すなわち彼らの「心理状態」が影響していたと考えます。具体的には「日頃の人間関係」そして「経験不足」。端的に言えば「子どもだから間違えた」。未熟なパーソナリティに飲酒とドラッグが追い打ちをかけ、慌てふためいた挙句に日頃の人間関係の鬱憤を暴発させてしまったと。客観的には「なんだそりゃ」って話です。ただし、かくいう私も彼らと一緒に浮足立ちました。反省いたします。ただ言い訳させてもらえるなら、それだけ伏線やミスリードが上手かったということ。1人目、3人目の死の真相は「事故死」でしたが、ぱっと見「他殺」です。つまり偶然が2度重なった状況。ミステリーの流儀としては多少アンフェアな気がしないでもありませんが、描写にも配慮がありギリセーフ。またパーティ参加者唯一の大人を早々に退場させたのもお見事でした。ラストのセリフがまた何というか脱力もので、騒動の本質を突いています。先にざっくり「経験不足」と断じましたが、正確には「教養不足」かもしれません。知識や学力ではなく教養。彼らの言葉一つ一つの軽薄さが気になりました。正しい判断には確かな教養が必要です。パーティ参加者の中に一人でも教養を身に着けた者がいたなら、結末は全く違ったものになっていたはずです。