1.《ネタバレ》 ホラー映画や不気味なキャラクターが大好きな10歳の少年アレックス。好きが高じて自分でも怖い話や絵をノートにたくさん描いて友達に読み聞かせるほど。ある日、アレックスは恐ろしい魔女にさらわれ、彼女が支配する不気味な館へと連れてこられてしまう。そこはたくさんの不気味なものや古今東西から集められた大量の本が溢れかえっていた。そして、館には先にこの魔女にさらわれた少女ヤズミンがいて、彼に恐ろしい事実を教えてくるのだった。「もうこの館から出ることは出来ない。死にたくなければ何か魔女の役に立つことをしなくちゃいけないの」――。魔女は夜な夜な怖い話を聴くことが大好きらしい。幸い家から唯一持ってきたナイトブックには、アレックスがこれまでに書き溜めてきた怖い話がたくさんある。アレックスは一話ずつこれまで自分が書いてきた怖い話を魔女に読み聞かせることに。ところが、魔女はハッピーエンドが大嫌い。仕方なくアレックスは全てのお話を悲惨な終わり方ばかりにして夜な夜な語って聴かせるのだが……。ある日突然、恐ろしい魔女に囚われてしまった少年少女の運命を独創的な映像で描いたダーク・ファンタジー。とにかくこの細部まで緻密に造り込まれた美術は見事というしかありません。台所や書庫、リビングに置かれた小さな置物がどれも拘りを感じさせる美しい代物ばかりで観ているだけで楽しい。特に怪しい植物がたくさん育てられた魔女の菜園は、ブラックライトを効果的に使った唯一無二の造形美。そこに現れる害虫シュレッダーもどくろの顔をしたかなり不気味で生き物で、こいつがそこらじゅうをうじゃうじゃ蠢きながら襲い掛かってくるシーンはなんとも気持ち悪くて大変グッド。ただ……、肝心のお話の方があまりにもお粗末。こーゆー異世界を描くファンタジーにもっとも重要な要素って、幻想世界と現実との距離感をいかに観客に分かりやすく理解させるかということだと自分は思うのです。まったくの別世界なのか、現実から迷い込んでしまったのか、それとも昔々のお話なのか。本作、その前提が物凄く曖昧過ぎて、この世界に上手く入り込むことが出来ませんでした。主人公の少年がどういう家庭環境で学校ではどんな生活を送っていたのか何の説明もなされないまま、気づいたら魔女にさらわれてましたってさすがに雑すぎる!なんだかテキトーに思いついたそれっぽい設定を、これまたテキトーに脚本化してみましたって印象。とにかく全てに於いてツメが甘いんです。主人公が魔女に語って聞かせるバッドエンド物語もどれもこれもテキトーに考えたようなものばかりで、単純につまらない。なんだか全てに於いてテキトー過ぎって感じ。美術だけはすこぶる良かったんですけどね~~。