1.《ネタバレ》 かなりの低予算と思われ、特殊効果を殆ど使うことなく一軒の日本家屋(千葉県内のようです)を舞台に撮り上げた作品。はっきりと目の前に居続ける幽霊(最後まで観てからよくよく考えれば死蝋化した死体と思われるのだけれど、移動するのだからやっぱ幽霊?)という発想は新しいかも。しかも、それを警察に通報することもなく、かと言って学術的に研究することもなく、ただ見世物にしようとする(モーリスにしてみれば研究資金を得るための収益事業と考えていた節はあるけれど、それだって歪んだ発想)というのも新しいかも。豪華キャストに頼ることもなく日本ロケ敢行、というのも新しいかも。つまりは、B級ホラー的テイストながらも見るべき点はいろいろある作品、と言って良いのではないかと。
シンプルに纏めれば、行方の知れない家族の帰りを待ち続け、祈りを捧げるうちに絶命した霊能者の怨念の物語。悪霊や悪魔が登場する洋画ホラーではなく邦画ホラー的アプローチ(かなり邦画の影響を受けているようにも思えますが)に徹した作りは好感が持てます。が、どうにもチープ。意欲作とは思うのですが、仮令低予算でももう少し丁寧な作り込みが欲しかったところです。決して称賛は出来ないまでも、興味を抱かせてくれた異色のホラーに甘めの5点献上です。