1.《ネタバレ》 幾度も巨匠たちによって映画化されてきたシェイクスピアの4大悲劇の一つ『マクベス』。
本作はコーエン兄弟でおなじみのジョエル・コーエン初の単独作品であり、
彼のシャープな映像センスが遺憾なく発揮されていた。
何と言っても色を削ぎ落したコントラストたっぷりのモノクロ映像にとことん無駄を省いたモダンなセット。
そしてデンゼル・ワシントンとフランシス・マクドーマンドを始めとする実力派の演技合戦が、
挑戦的な造りの映画の強度を支えている。
誠実な将軍が権力欲から唆されて主君殺し、やがて権力欲から安息も得られず、権力欲で破滅するまでの物語。
初心者にも非英語圏の人にも分かりやすいシンプルさは、前述のストイックな映像と連動している。
そこにシェイクスピアの台詞回しを理解し堪能できるなら、
仮想空間とも言えるような独創的な世界観と見事にマッチさせたジョエル・コーエンの力量に改めて唸らされる。
物語を復習した上でもう一度見てみたい。