11.《ネタバレ》 メル・ブルックス作品な訳でして、だからパロディ映画な訳でして、西部劇のパロディ。
どういう訳か、メル・ブルックスの作品からは、こういう作品を楽しめないヤツはダメだ、こういう作品で笑えないヤツはセンスが無い、という無言の圧力を感じてしまうのですが、、、、、そんな事ないですか? いずれにせよ、笑えませんでしたと正直に告白するしか、無いんです。いや、『ヤング・フランケンシュタイン』は確かに楽しめたはずなのだけど、、、妙に不安になってきたり。
いや、笑えることだけが映画の魅力ではないはず、まずは西部劇としての世界がちゃんと作られていて、人種差別を笑い飛ばす心意気があって、悪くはないはず、なんですが、どうももう一つ、ついていけませぬ。
「ここで笑わないと、笑うところないよ」と開き直ったのは、孤高の芸人テントか、はたまた東北訛りの関西弁漫才、酒井くにお・とおるか。この作品ではメル・ブルックスご本人が澄ました顔で登場するも、どこでどのくらい笑ったらいいのか迷っている私のような人間の悩みなど知る由もなし、といった感じで、自信満々の表情。さらには別の役でも登場して二人一役、まさにノリノリ。そういえば、私はなぜ、メル・ブルックスの顔を知っているのだろう? と、またこれが私の不安を誘ったり。
終盤、ベニヤか何かででっち上げた街のセットで敵の目を欺くところから、映画の舞台はさらにカメラの外へ、「映画を見る者の目を欺く」映画スタジオの現場へと移り、もうこれ以上ないと言っていい程のハチャメチャな展開。ついていけない、というより、そうかこれは「どうだついてこれるか」という映画だったんですね。しかしこのギャグ、実は、「ウソを本当に見せる」という映画作りというものに対する、自己懐疑の無意識の表れ、なのかも知れませぬ。そう思えばなかなか深い・・・かどうかは知らんけど、まあ、貴重。