4.《ネタバレ》 イングマール・ベルイマンの代表作の一つ。
分かりやすいようで分かりにくい、面白いようで面白くない、何とも言えない鑑賞後感。
一度観ただけでは、その魅力を理解できそうもないが、もう一度観たいかと聞かれれば、答えはノー。
深層心理を描き、人間同士の心のぶつかり合い、心理的葛藤を描いていると思われるが、いまいち心に響かない。
いかんせん、全体的に暗すぎる。
『処女の泉』の様に、一瞬でも心奪われる美しさがあれば良いが、この作品にはそれが無い。
言ってみれば、救いようの無い世界。
映像的な独創性、音楽の効果的な使い方等、芸術的観点からみれば傑出した点も数多く見受けられるが、何度も観たい映画かどうかという観点において、私の中では高い評価を出しにくいのが正直なところ。
別に映画に対して娯楽性を求めてはいない。
ただ不快感を残す映画というものに、価値を見いだせない。
ベルイマンはこの映画に相当な力をこめたと感じる。
だが、観る者を意識して作ったかどうかという点において、疑問が残る。
芸術とは、利己的な自己表現のたまものなのかもしれないが、少なくとも私は、観る者を意識した映画を評価したい。