2.冒頭にニュー東映のマーク。ギザ付き10円玉を見つけた時のような微妙な嬉しさがありますね。
深作欣二の初監督作品、ということですが、後の実録路線などで見られるような手持ちカメラによる暴力描写はまだ見られません。まあ、サブタイトルが多少おどろおどろしいとは言え、基本はコミカル路線の作品ですしね。その代わり、俳優の細かい所作でもって、カットをどう繋ぐか、あれこれと工夫を凝らしたりして、才気はしっかり感じさせます。実際に雪山でロケしてるのも作品の雰囲気をしっかり出してるし、墜落したセスナ機を実物大で山の斜面に再現しているのには、ちょっと驚かされます。本物らしきセスナ機が登場するシーンもありますが、まさかこんな場所に着陸させて撮影したの?と、これもビックリ。
主演は千葉真一、こちらも初主演ですが、いやはや若い。もともと声にはそんなに貫録が無い人ではありますが、この頃はさらに甲高くて頼りないですね。しかし動きはさすがに機敏、殴り合いのアクションをキビキビと展開します。
一見風来坊の彼の正体は、セスナ機墜落事故の真相を追う私立探偵、だそうですが、そんな簡単に自分が探偵だと身分を明かしたり、依頼主についてしゃべっちゃったりして、よかったんでしょうか。よくは無いでしょうが、要はそういう、軽いノリ。ライバルとのやり取りのセリフも実にクサくって、まさにこれぞ、千葉真一。
これでもかと展開される銃撃戦、さらにはダイナマイトまで使用して、ド派手にブチかましてくれます。1時間ほどのいわゆる「B級」な映画ならではの、痛快かつデタラメな作品に仕上がってます。