11.《ネタバレ》 スタンリー・ドーネン監督のロマンティック・コメディ「アラベスク」は、主演が私が最も好きな男優のグレゴリー・ペックとイタリアの大女優ソフィア・ローレン。
何でもこの映画は、ソフィア・ローレンが、大のグレゴリー・ペックファンで、一度でいいから、ペックと競演したいという夢があり、それが叶った映画という事で有名です。恐らく、「ローマの休日」のペックを観て、胸キュンとなったのかもしれませんね。
この映画でのソフィア・ローレンの役は、グレゴリー・ペックの前に突然、現われ、彼を翻弄する謎の美女といった役です。
アクション盛りだくさんのサスペンス映画なのですが、ローレン自身が拳銃を振り回したりという、そんなシーンはありません。
監督のスタンリー・ドーネンは、ミュージカル映画の監督として有名ですが、こういう洒落たサスペンス映画も撮っているし、1本だけれどもSFも監督しているんですね。その中でも、最も有名なのが、「雨に唄えば」と「シャレード」ですね。
言語学者であるデヴィッド・ポロック(グレゴリー・ペック)が、古代アラビアの象形文字の解読を依頼されます。
ところが、引き受けた途端に、彼の身に危険が次々と降りかかり始めます。
ヤズミン(ソフィア・ローレン)という謎のアラブ美女が、彼の味方になってくれるのですが、どうも彼女の言うことは、嘘が多いので、デヴィッドは、彼女に翻弄されてしまいます。
いったい、彼女は味方なのか敵なのか? 最後の最後までわかりません。そのあたりのスタンリー・ドーネン監督の演出は、なかなかうまいと思いましたね。
加えて、この映画は、アクションシーンも実に豊富です。動物園、水族館、高速道路、そして、ラスト近くは、牧場で西部劇さながらの馬でのチェイスシーンまであるサービスぶり。もう、本当に嬉しくなっていまいます。
007も真っ青のアクション映画ですよ、これは。とにかく、主人公が、刑事でもスパイでもなく、大学の言語学の教授というところが、いいですねえ。知的でインテリジェンスに溢れたグレゴリー・ペックには、もうドンピシャのはまり役ですね。
素人っぽいドジをしまくりながらも、果敢に敵に立ち向かい、象形文字の謎を解明しようとする、グレゴリー・ペックが、実に楽しそうに演じていて、とても素敵です。
もちろん、ソフィア・ローレンも謎の美女を妖艶に演じていて、ペックとの競演が本当に嬉しそうだなという事がわかり、好感が持てましたね。