1.《ネタバレ》 ハリウッド映画「星の王子 ニューヨークへ行く」にそっくりなストーリーで、ユンファは香港の大金持ちの御曹司を演じる。他愛のないドタバタ喜劇だ。しかし「過ぎゆく時の中で」と並べて、ここで悲劇に終わった三人にハッピーエンドをもたらすために作られた映画だと思うと、ちょっとじんと来る。このころの香港はそういう映画の作り方をする。
「過ぎゆく時の中で」では金のなさに惨めさをかみしめたユンファが、今度は額に汗することなく手に出来る金に辟易している大金持ちの御曹司を演じる。富を拡散しないように従妹と結婚することが遺産相続の条件だ。痛いほどの父子愛を演じたウォン・コンユンはファストフード店の住み込み店員。背伸びをしたい年頃で“新入り”のユンファに先輩風を吹かす。その店の社長は金持ち風を吹かす嫌みな公子と妹の縁組みを画策している。その妹がシルビア・チャン。前作では情の強い女性だったが、今度は普通に優しい。
ラストで、ユンファは露天で買った指輪を差し出して、「偽物だけど、これが自分で稼いだ金で君に送る最初の品だ。これから一生懸命働いて、もっと良い物を君に買ってあげる。」と言う。ムリをして月給の3倍?だかの婚約指輪を贈ることから始めなければならない日本との違いを感じる。というか、男の自信の差が出ているのかもしれない。
金持ちだったと知って動揺している女が何も答えないで居ると、「気に入らないなら捨てる。」と放り投げてしまう。声を上げて追いかける女。側溝に落ちたと見えて実は持っていたと言う展開はありきたりだけど、そっと背中から抱きついて指輪をはめるユンファの大きさが良い。