1.《ネタバレ》 ソ連共産主義の暗黒面を告発するという公開当時の狙いに関してならば、完全に賞味期限切れと言っていいだろう。ただ、今日の北朝鮮脱北者問題等を思えば、狂った独裁国家に関する普遍性を有したソルジェニーツィン原作の怖さはそうた易く色褪せる事はない。監督キャスパー・リードのモタモタした鈍重な演出ぶりで極寒のシベリア強制収容所での一日が淡々と綴られるだけなのが、変にウケを狙った感動ドラマと一線を画す重さをもたらしている。怪我の功名というべきか。特筆すべきは矢張りスヴェン・ニクヴィストの見事なカメラワーク。流石に北欧出身だけあって画面に凍えるような寒さを表現し尽くしている。