1.《ネタバレ》 イギリスでなければ作れなかった作品だと思います。第二次世界大戦中のドーバー海峡で、イギリス軍の爆撃機が撃墜され、その乗組員デビッド・ニーヴンが、本当は死ぬ運命だったのに、上空から観ていた天使(案内人71番)のミスで生きていたという設定が面白いです。案内人71番が彼を見失った理由が、イギリスの悪天候というのも笑えます(イギリスの地誌を勉強してね)。で、その乗組員が、墜落するまでの間、無線で交信していたのが、アメリカから派遣されていた女性兵士というのも面白いです。彼と彼女の会話は、私には死の瀬戸際にいるようには思えなくて、なぜか笑ってしまいました。この二人が恋におちるというのは、死の緊張という切迫感からの必然ともいえるのでしょう。ですが、これを案内人71番が、死ぬはずの人間が恋をしてはいけないと考え、連れ戻そうとします。それに反論するデビッド・ニーヴンは、天国で裁判を起こして戦うんですね。このときに証人として出てくる連中がとても面白いです。天国の場面をモノクロ、地上の場面をカラーで描写して分けるというのも面白い手法だと思います。実は彼は瀕死の重傷で手術中というのもなかなか秀逸ですね。イギリスらしい風刺の効いた作品だと思います。