2.エピソードごとの章タイトルが楽曲のタイトルというのは、ミュージシャンとしての経歴を持つ青山監督ならではの遊び。現在と過去を自由に行き来する構成の中で、ふんだんに映画的遊びを盛り込み、そのうえでバイオレンスとアクションとサスペンスとロマンスをミックスさせながら、ストーリーを破錠させずに仕上げた見事な手腕に脱帽。潰れたパチンコ店主との会話をワンシーンで見せる中で主人公をあり得ない場所に移動させてみたり、警察の取り調べをこれまたカットを割らずにカメラがぐるっと回ると主人公と社長が入れ替わってたりという『チンピラ』の過去と現在を同時に捉えた画と同様の遊び感覚の演出も面白い。小手先の演出ととられかねないこういった遊びが個人的に好きなんですよね。だからferoさんのご指摘の車中での心境の語りのシーンも青山監督の遊びだと思って見ていたのでけっこう心くすぐられました。小手先の演出でも映画にしかできない演出ならば、やっぱり惹かれちゃうんです。