6.《ネタバレ》 (2005年テレビ録画視聴時のレビュー)
「金融腐食列島」(99年)や「突入せよ!「あさま山荘」事件」(02年)を撮った原田眞人の作品。この2作は観たことがありませんが、97年の作品「バウンスKo-Gals」を観て原田監督の独特なセンスが気に入っていました。
観たことがないのに言うのも何ですが、上記2作のようなバリバリの社会派作品よりも、「バウンス~」やこの作品のような、社会的なテーマを織り交ぜながら軽妙なタッチで描いている作品のほうが、原田監督らしいセンスが表に出る気がします。
この作品は、単純に言えば「恋人や親友を殺した組長らに敵討ちをしようとするチンピラが、日系ペルー人のタクシードライバーと出会い、追手をかわしながら敵討ちを遂げる」というプロット。
単純明快なプロットですが、これに外国人労働者問題、自己啓発セミナーの問題なんてのが絡み合っています。
個人的に、社会的なテーマが絡んでいる話は好きですが、自己啓発セミナーのくだりは要らなかったんじゃないかと思います。そのおかげで物語中盤はダレていました。
終盤、役所広司がヒットマンと化し、俄然緊迫感が増してからはとっても面白かっただけに、残念。
この役所広司のキャラクターがとってもユニークでおもしろいです。地道に生真面目に生きる日系の出稼ぎ労働者なのですが、やたら肝が据わっている。母国ペルーでゲリラのセンデロ・ルミノソに家族を殺されて、その敵を討つために武力闘争をした過去を持つような男だからです。
だから、ヒットマンとしてヤクザや政治家のSPとサシで渡り合うという一見破天荒な展開でも、観客が納得できるようになっています。。
役所広司以外の役者も魅力的。高橋和也、ミッキー・カーティスがとってもいい味出してます。
そして、橋口亮輔の「ハッシュ!」で好演しブルーリボン賞の主演女優賞をとるなど、大女優として認識されるようになった片岡礼子がいい。
それほど美人ではないし、すごく抑えた演技なのに、とても存在感があって、魅力的な女優さんでした。