17.《ネタバレ》 抑圧されていて不器用な生き方しかできない少年が不憫だ。 鷹匠に興味があるのはせめてもの救いではあったが、それだけでは飯は食えない。 労働者階級である以上、好きな事だけをしていては生きていけない。 なんと世知辛いことか。 大半の人が共感するであろうこの世を生きることの大変さ。 好きな事だけをして生きていけたら、なんと幸せなことか! クソーーー!! 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 6点(2023-09-28 18:54:58) |
16.《ネタバレ》 社会的弱者の視点、という立ち位置のぶれないケン・ローチ。初期作品からしてその眼差しの透徹していること、ちょっと震えがきました。背景描写が濃くてドキュメンタリーのようなカメラ。60年代英国の炭鉱街のうらぶれよう、貧しさ。華やぎのないこと、社会全体のゆとりの無さがはんぱない。週末に出会いを求めて出かける場所が成人した息子もオカンも一緒の公民館的なホールだなんて。ちょっと呆然。大人社会に希望が無いので子供社会だって明るいはずもない。学校に行けば自己中教師や高圧的な校長だし。ちっ。 社会において今んとこ完全アウェーのようなビリー少年だけど、しかし監督は子供が苛められるばかりの悲愴な話にしていないのだ。だってビリーには動物を飼いならす才能があって、それを認める周囲の人間もちゃんと存在する。牛乳や本や2ペンス。「必要なもの」をちょっとくすねる如才なさも見せる。おお、いいぞビリー。”大切なもの”に心から愛をかけるビリーに、クソな大人は本当にひどいことをする。大事な物を大人に破壊された経験のある先輩としてビリーに言えることがあるとすれば、”それでも人生は続く”と。心の傷は癒えない。けれど、君が生き抜くことには大きな価値があるよ、と。負けるなビリー。そばにいるよ。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2018-08-11 01:09:59) |
15.サイトで好評価だったので期待したのですが、私にはピンと来ませんでした。 ごめんなさい。 【クロエ】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-04-11 08:45:05) |
14.昔から、生まれ変わるなら「猛禽類」になりたいと思っている。バタバタ羽を動かさず上昇気流に乗って滑空するその様にホレる。世界的に見ても人間との関わりが浅くない鳥だが、決して人間に隷属しているのでなく、むしろ人間が敬意を持って扱うというその彼らの持つ「気高さ」に心酔する。そして奇しくもそんな私の思いをビリーは代弁してくれる。「飼い馴らすなんて無理さ。獰猛で超然とした鳥なんだ。僕さえ気にかけない。だから凄いんだ。~今だって姿を見させてもらってるんだ」と。この台詞を、15歳の少年が言うのだから驚嘆する。ケスと出会う前のビリーからは想像もつかない大人の台詞だ。『リトル・ダンサー』の脚本を書いたリー・ホールが本作を念頭に置いてホンを書いたというだけあって、設定はもちろん、専門書を古書店から拝借してしまうシーンなど、そのオマージュを端々に感じる。話は変わるが、つい先日の某新聞アンケートで、「人生、運と努力、どちらが大きく作用する?」という質問に対し、わずかに「運」が「努力」を上回っていたが、努力でどうしようもないものの筆頭として「出生」がダントツだったのが苦笑モノであった。本作の背景となるのはまさに出生により限界が決定付けられるという悲劇であるが、洋の東西を問わず、時代を問わず、人間にとってそれは変わらぬ重要なファクターなのかとしみじみ感じた。・・・といって、多くの現代日本人はその「運のなさ」を呪うでもなく、このビリーのように甘受しながら現実と闘って生きているに違いない。そういう自分もその一人に違いない。猛禽類に生まれ変わることも出来ないのだし。 【すねこすり】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2009-10-27 15:37:25) |
13.《ネタバレ》 パブのシーンがあり、ののしり声が聞こえる家庭のシーンがあり、もうこの人の映画の環境がすぐに決まっていく。そういうウンザリする環境の中でも、なんとかウンザリせずに生きていく子どもの強みが描かれていく。サッカー授業のシーンのユーモア感覚。露骨に自分勝手にふるまい、しかもそれをカバーする無邪気さもない救いのない教師を、映画は笑いのめす。画面に得点が出るのもおかしい。ゴールを入れられるとシャワー攻め。あるいは学校での朝礼後の校長のオシオキ。ポイントは伝言に来た少年で、巻き添えにされていく経過が、厳しいユーモアになる。事実とフィクションの授業、ビリーがハヤブサについて語っているうちに次第に熱を帯びてくるさまを、少年の映像だけで描ききる勇気。そういうふうにビリーはいろんな種類の大人たちと関わり、それでも損なわれないものが浮き出されてくる。結末は、象徴的に捉えると暗く閉じたものに見えるが、映画の印象はそうでもない。なんとか彼はやっていくだろう、ケスの魂を抱いたままで、って感じ。「砂嵐の中のラクダのケツの穴みたいに締まり屋だ」ってセリフは、いつか使うために覚えておこうと思ったものだが、まだ使っていない。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-08-25 12:16:53) |
12.決してお涙ちょうだいではないし、泣ける映画でもない。でもなぜか心臓を握られたような感覚になる。 普通の人が普通に育っていく過程での普通の転機、でも本人にとっては今人生が変わったかもしれない瞬間を、いつもケンローチはえぐり出してくる。ビリーが原っぱでケスに餌付け(調教?)しているときの音楽が印象的だった。 |
11.《ネタバレ》 本作は私にとって初のローチ作品であり一遍にローチの虜になってしまった記念すべき作品・・・ 逃げ場無し八方塞がりの閉塞感がじめじめとした画面から漂っています。ケスはそんな中で少年の唯一の生きる希望や自由、もしくは避難所として気高く描かれているように思えますが、厳しいローチはそのケスをボロ雑巾のようにしてしまうのだから泣けてくる。それでも少年が一心にケスを語るシーンに成長を思い、しっかりとケスを埋葬するシーンで締めくくったことに死の受容という強さを思いローチの温かさを感じます。舞台である60年代頃の英国ではイレブン・プラス(11歳で試験を受け進学コースと職業コースに振り分けられる)があったりと子どもの可能性など蹂躙され早々と将来を決られてしまう辛さがあります。ビリー少年のような境遇の子も何も格別に珍しいわけではないのでしょう。その悲劇的な状況を訴えるように描きながらも時にサッカーシーンのようなユーモアを交え、さらにはケスを失っても少年に前進させたところにローチの強いヒューマニズムが息衝いています。それも決してビリーに同情を誘うような作りになっていない甘さのない真のヒューマニズム。校長室に別の用件で来た子どもが、巻き添えで罰を受けるところなど震えるほどの辛辣さなのですから。 また、本作はヴィットリオ・デ・シーカ監督の「靴みがき」という作品を想起させます。あの作品でも選択肢のない過酷な状況にある少年にケスと同じような存在として〝馬〟が出てくる。またケスは同じくデ・シーカ作の「自転車泥棒」の自転車であり、あるいは「ウンベルトD」の愛犬フライクにも似ています(それぞれの対象を見失った時のあの不安さと言ったらない!)。戦後イタリアの惨状を描いたこれらの作品と同じように厳しい社会背景に生きる弱者を鋭く冷静に見つめ、支えを存在させている共通点。素人俳優の起用といいローチは一連のイタリア・ネオレアリズモに少なからず影響を受けているのでしょうね。 【ミスター・グレイ】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2007-06-18 18:18:10) (良:1票) |
10.《ネタバレ》 主人公ビル・キャスパーの生き生きした表情、子供っぽい思考。それが微妙に変化していくのが見もの。彼を認めた教師は、最後はほとんど同業者としての対等な立場で彼と話している。 ケスとの出会いが、少年を《親》にし、次に《教師》にする。 最後に苦いラストへ持っていくのはディナーの皿に残ったパセリみたいなモンで、あんまり気にならなかった。 んが! マンチェスター・ユナイテッドのサッカーは、ありゃ何だ(笑)。全体の硬質でクリスタルな感じの展開より、ケン・ローチのユーモアセンスの方が衝撃でした。ローチも結局はモンティ・パイソンの国の人間ですなあァ。 【エスねこ】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-05-10 21:17:38) |
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9.《ネタバレ》 しかし、夢も希望も無い作品ですね。劣悪な環境の中、疎外された少年が唯一の光を見つけたにも関わらず、すぐに奪われてしまう・・・・・。まあ、これが現実なのかもしれないのですが、やるせないですね。 40年近く前の作品なんですが、今見てもストーリーに古さを感じませんでした。(これは良いことなのか悪いことなのかわかりませんが・・・・・) 主人公の少年の演技が非常に渋くて良かったです。 【TM】さん [映画館(字幕)] 7点(2007-02-04 15:08:41) |
8.あの終わり方は衝撃的だ・・。悲しいけど、それが現実なのかもしれない。 【ネフェルタリ】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-03-12 00:58:08) |
7.《ネタバレ》 相変わらずケン・ローチ先生の授業は厳しいですね。学校教師の行いは体罰以外の何者でもないし、最後には最愛の小鳥まで殺してしまう。それでもサッカーのシーンで「Manchester United 2」なんてテロップを挿入するところはユーモアがあるし、心寂しい田舎の風景も少年とケスが戯れている時だけはこの上なく美しく感じられました。そんな訳で僕は今のところ彼の作品の中では『SWEET SIXTEEN』を越えて、本作が一番好きです。 【かんたーた】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-01-12 14:26:04) |
6.ケン・ローチの描く英国の労働者階級の世界はリアルでドキュメンタリーみたいです。それと、しょうもない親と自分なりの生き方をしなければならない子供との関係。SWEET SIXTEENもそうだったけど、ケスでも母親と子供の関係は残酷だと思った。今まで映画で見た子供の中で、この映画の少年が一番、自分の知っている世界に近かった。 【omut】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-12-20 09:04:17) |
5.同じ「炭鉱町のビリー」でも、「リトルダンサー」ビリー・エリオット(彼の名はこの作品にちなんで名づけられている)の生活の方がまだしも安穏に思えるほどに、少年の日常は貧窮と孤独に満ちる。虚飾や叙情性を排し剥き出しの真実を突きつける様は、共感や同情心を通り越して寒気を覚えるほどだ。捥ぎ取られる希望とそれでも続く人生・・・甘美な絶望の象徴であったザ・スミスのトリビュートアルバムのジャケットにも違和感なく溶け込む、ビリーとケス。 【レイン】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-12-07 07:06:56) |
4.《ネタバレ》 閉鎖的な社会環境が残酷なまでに映し出される。ある時期の炭坑町ゆえの、大人も子供も希望を持ち得ない過酷な社会を冷淡に描き出し、その中で少年ビリーの日常を暖かい眼差しで描き出す。ビリー役の子が容姿も表情もこの役にピッタリで、ついつい小さな身体で過酷な社会に冒されながら賢明に生きるビリーを応援したくなるわけですが、応援なんていらない!とつき返される具合で、それでも見守らせてください、てな感じになるわけです。「ケス」という一筋の光がどんどんと大きな光となってゆく様を良識ある教師と共に感じていたところで、突然荒んだ社会に握りつぶされて映画は終わる。哀しい現実を見せてすぐに終わる。きびしい現実を再認識するとともに、悲しいけど少し大人になったビリーに「負けるな!」とつぶやく、、そんな後をひくエンディングでした。 【R&A】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-01 13:59:21) |
3.この作品で、特に印象に残った二つのシーン。一つ目は体育の授業でサッカーの試合をするのに、体育教師と生徒の中で一番運動神経の良い子(多分)が二手に分かれて他の生徒を順番に取っていくシーン。運動がまるで駄目な主人公は最後まで残ってしまうのだけど、実は自分も子供の頃から運動神経ゼロで、同じ経験を何回もしているので、主人公の絶望感や惨めさが痛いくらい伝わってきた。二つ目は国語(?)の授業で、先生から「君の良く知っている事実について語ってごらん」と言われた主人公が、最初訥々(とつとつ)と、次第に雄弁にハヤブサの飼育(あ、彼は「飼育」じゃないと言ってたけど)について語っていくシーン。家も貧しく、勉強も運動も苦手な彼が初めて周囲に認められていく瞬間がとても良かった。ところで、この作品が作られた1969年のイギリスというと、ちょうどパンクムーヴメントの旗手たちが少年時代を過ごした時期と一致するんだな。そう思うと、主人公の少年がジョニー・ロットン(セックス・ピストルズというバンドのすごい人)やジョー・ストラマー(クラッシュというバンドのすごい人。最近亡くなった)の少年時代とオーバーラップしてるようで、感慨深かったです。 【ぐるぐる】さん 7点(2004-08-31 18:07:00) |
2.イギリス映画と言えば、ケン・ローチ。最下層の労働者を描き、その静かな視線はドキュメンタリーのようで、でも何ものにも負けないドラマ性をも含む。。まさにローチスタイルはドキュドラマ。。そんな作品群の中で、コノ作品が一番好き!誰にも心を許せない少年が鷹の幼鳥を育てて行くうちに、少しずつ周りとも接点を持てるようになっていく。それでいてケスをメインに持ってくるんでなく、少年の環境をしっかりと見せる。暗いんだけどねぇ~、実に。だからこそ少年と鷹のシーンが一層輝く。空に舞うケスが少年の自由への渇望を表しているかのよう。野原のシーンのなんと素晴らしいことか。・・ラストには信じられない残酷が待っているんだけど、、ローチの優しい視線は不思議と将来への希望を感じさせるから凄い!! 【れこば】さん 9点(2004-08-14 10:44:32) (良:1票) |
【アンナ】さん 7点(2004-03-02 16:04:03) |