越前竹人形のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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越前竹人形

[エチゼンタケニンギョウ]
1963年
平均点:7.83 / 10(Review 6人) (点数分布表示)
ドラマ小説の映画化
新規登録(2004-03-02)【黒猫クロマティ】さん
タイトル情報更新(2023-06-26)【イニシャルK】さん
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監督吉村公三郎
キャスト若尾文子(女優)玉枝
中村玉緒(女優)お光
伊達三郎(男優)長七
殿山泰司(男優)善海和尚
浜村純(男優)医者
寺島雄作(男優)与兵衛
石原須磨男(男優)島原の若い衆
嵐三右衛門(男優)鮫島
中村鴈治郎(二代目)(男優)船頭
西村晃(男優)忠平
山下洵一郎(男優)喜助
岡島艶子(女優)船着場の老婆
原作水上勉「越前竹人形」
脚本笠原良三
撮影宮川一夫
製作永田雅一
配給大映
美術西岡善信
編集西田重雄
録音海原幸夫
照明岡本健一[照明]
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【クチコミ・感想】

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1
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6.《ネタバレ》 昭和初期の越前の山奥。雪がそぼ降る冬のある日、亡くなった父親の跡を継いで竹細工で生計を立てていた喜助の元に、美しい女性が訪ねてきた。芦原から来た女性は玉枝と名乗り、父親の墓参りに来たと言う。敬虔に墓参りをする玉枝に惹かれた喜助は、その後、芦原に玉枝を訪ねる。玉枝は遊女だった。喜助の父親が玉枝の馴染み客だったので墓参りに行ったと言う。玉枝のいる遊郭に何度か訪ねるなか、身請けがあるかもしれないと聞いた喜助は、150円もの大金を玉枝に渡し「結婚してほしい」と言う。喜助の願いは叶い、ある日、嫁入り道具とともに喜助のところに来た玉枝。二人の新婚生活が始まるが、喜助は仕事に打ち込むばかりで、玉枝と同衾しようとしなかった…。

本作の魅力は、二人の繊細な気持ちのすれ違いと、それが生む悲劇を見事に描き出したところだ。

喜助が玉枝と同衾しようとしない理由は、彼の父親がかつて玉枝と同衾したと思うことからの複雑な感情だった。精神的には心から玉枝が好きでも、肉体的に愛することに抵抗があったのだ(劇中で、なぜ一緒に寝ないのかと聞く玉枝に「(玉枝が)母親に似てるから」と答えるところからマザーコンプレックスとする解説もあるが、僕はこの説を採らない)。
結婚後しばらくして、ひとり留守番していた玉枝のもとに、喜助の作った竹人形の取引のため、京都の人形店の番頭・忠平が訪ねる。忠平は玉枝の昔の馴染み客だった。酒をふるまわれていた忠平は、とつぜん玉枝に迫る。かつての馴染み客だったからか、取引先という弱みか、あるいは喜助に抱かれず体がうずいていたのか、玉枝は忠平に抱かれてしまう。

そんなことはつゆ知らず、玉枝への複雑な気持ちから精神的に荒れていく喜助だったが、かつての玉枝の遊郭で同僚だったお光から「父親は玉枝と一度も寝ていない」と聞く。憑き物が落ちたように晴れ晴れとした表情で玉枝に迎えられた喜助。ようやく玉枝を抱こうと思ったが、玉枝が突然吐き気を催す。玉枝は忠平の子を宿していたのだった。

最終的に玉枝が亡くなるところまで、ただただ幸せに生きたかった二人に訪れる運命のいたずらに、観ているこちらの心は痛みながらも、緻密に描かれた本作の構成に感心するのである。

華のあるキャスティングも本作の魅力だ。玉枝を演じる若尾文子の、親しみやすさのなかにある妖艶さはもちろんだが、忠平役の西村晃の、男の嫌らしさを体現した姿、お光役の中村玉緒の人の良い親しみやすさ、さらに、ラスト近くで登場する船頭役の二代目中村鴈治郎の、年配の男が持つぶっきらぼうな優しさとその存在感(ちなみに玉緒と鴈治郎は親子共演だ)。

そして、彼らを映し出す映像の美しさ。特に冒頭の墓参りの雪景色は絶品だ。宮川一夫の撮影の力だろう。

決して超大作ではないが、郷愁を誘う美しい風景のもとで描かれる悲劇。喜助の葛藤に同意出来かねる者もいると思われるが、ドラマを効果的に描くために必要な装置だったと僕は思いたい。
はあさん [DVD(邦画)] 8点(2020-06-11 16:57:16)
5.あんなにええ嫁はんもらっといて、もったいなすぎるわ~~・・・。
ケンジさん [DVD(邦画)] 8点(2012-05-03 19:54:35)
4.昭和初期の北陸地方の田舎の風景も白黒映像で妙にリアル感がありました。若尾文子を始め中村玉緒、鴈治郎(二代目)も良かった。そのにも増して、素朴で純真なわんぱく小僧がそのまま大人になったような喜助という役を、どの映画でもほとんど目立たないようなあの山下洵一郎がここでは生き生きと演じています。
白い男さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-07-31 22:45:42)
3.《ネタバレ》 水上勉の原作で主演に若尾文子とくればどうしたって観たい。しかし、どこのレンタル屋さんを探しても置いてないし、テレビでもやってくれないし、当分やりそうにもない。我慢も限度です。まるでこの映画の若尾文子や西村晃のようでして、そんな訳でDVD買ってしまった。水上勉原作に共通して言えるのはどの作品も女の悲しさ、辛さ、愛する男への募る思い、それなのに相手の男は自分を本気で愛してくれようとしない。本当は愛してくれているのにもそれが解らないのである。喜助の留守中にやって来たかつて自分が遊郭で働いていた時の馴染み客の一人である西村晃演じる男に身体を許してしまう玉枝(若尾文子)の姿が何とも悲しい。喜助に対しての愛、それは喜助の所へ嫁として嫁いできた玉枝が喜助が何日経っても自分を本当の嫁として見てくれてないのではと感じ「私の事、嫌いなのですか?」て問う場面によく現れている。その問いに対し、喜助は亡くなった母の面影を忘れられないのである。だからこそ本心は好きで好きでどうしようもなく、抱きたいのに玉枝を抱くこすら出来ない。正しく男の本心、辛さ、これは男と女の愛のドラマであり、又、母親を忘れられない男の物語でもある。喜助に別の男との間の子が出来てしまつたことなど言えない玉枝(若尾文子)の演技がとにかく凄い。西村晃の所へ出向き医者を何とかして欲しいと頼むも再び犯されそうになって逃げだした後、川で出会う中村雁次郎との二人きりの場面、あの流れる川の水の美しさ、船の上での若尾文子の黒髪が水面に浮かぶ場面の美しくも恐ろしい描写などは溝口健二監督の作品を思わせるぐらいの美しい映像、同じカメラマン、宮川一夫のモノクロの美しさと若尾文子の美しさ、この映画は何かもが本当に美しい。そして、やはり怖い。喜助が玉枝が布団に入ってる時にも一人、ギコギコと竹人形を作ろうとしてる場面のあの音も耳から離れなくなりそうです。
青観さん [DVD(邦画)] 8点(2008-12-23 12:52:25)
2.物語を超える一瞬を観たいと思う。例えば、西村晃に犯された若尾文子が、髪の乱れを整えながら鏡を見ようとする。しかし、そのエロティックな瞬間は物語の中に収斂され、それ以上の突出をみせてくれようとはしない。私が観たいのは、物語の中の若尾文子ではなく、物語に亀裂をはしらせ、破綻させるまでのエロティシズムだ。この映画は、物語を超えた突出した細部、亀裂への予兆を随所に感じさせながら、ついにそれを超えようとはしない。破綻への恐れ。それがこの映画を物足りなくしているように思う。これは日本映画の面白さをたたえた傑作だと思う。しかし、どうも物足りないのだ。「雁の寺」のグロテスク、「妻は告白する」のぐいぐい文子を思い浮かべて欲しい。// 宮川一夫のカメラもまた、美しく物語に寄り添っている。しかし、例えば、ラスト近くに登場する川は、逆光にきらめく美しさをたたえる川ではなく、血にそまった情念の川ではなかったか。// その中で、中村鴈治郎が素晴らしい。川を背景に独白する鴈治郎の横顔の凄み。物語の現実が幻想へと、幽玄へと昇華する一瞬。これは素晴らしい。
まぶぜたろうさん 9点(2004-03-05 11:16:24)(良:2票)
1.名竹細工師と唱われた父の死後、同じく竹細工師である息子喜助のもとへ訪れた美しい女性は、父が贔屓にしていた遊女玉枝だった・・。喜助と玉枝の悲劇を描いた本作は水上勉の同名小説の映画化。原作は読んでいないのだが、テーマは運命の残酷さ?或いは「性」と言うものの業の深さか?しかし私はこの映画がなんだか怪談みたいに思えて、ひどく恐ろしかった。宮川一夫が撮った白黒映画では白い部分の質感にいつもハッとさせられるのだが、のっけから真っ白の雪景色である。もうクラクラだ。その美しすぎる映像がどこか幽玄な世界を作り出していて、特に鴈治郎演じる船頭なんて、まるで三途の川の渡し(そんなものがいるのかどうか知らないが)みたいに見えた。多分そんな映画では無いと思う。私の勝手な思いこみだ。しかしよほど印象に残ったのかその夜恐ろしい夢を見た。夢の中で私は子供を産むのだが、その子は頭と身体が別々に私の中から産まれてきたのだった。
黒猫クロマティさん 7点(2004-03-02 15:15:27)(良:2票)
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【点数情報】

Review人数 6人
平均点数 7.83点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
600.00%
7233.33%
8350.00%
9116.67%
1000.00%

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