8.《ネタバレ》 質感としては『はなれ瞽女おりん』なども想起される(原作小説も映画もほぼ同年代だが、いずれも本作が少しだけ先行だが)。やや後発ではあるが『おしん』などにも通じるそのテーマ面は、苦境にもめげず芯のある女性を描いてゆくという部分であろうか。ある種、この頃の日本人の心象風景の中でまだ尊ばれていた人物像が、今作のおりんにも反映されているということだろう。 かなり凄惨な場面もある中、おりんが逆境に屈しない様子に感情移入していく一方で、その外形上の強さ(強さと言うか、他人を拒絶する「壁」の高さ、と言うか)の中に垣間見える弱さ・脆さといった部分に、個人的にはより深く感じ入った。前述のとおり強い女性を描いているようで、他者と共生する術を持ち得なかったおりんには、私は人間と人間の運命の儚さ・残酷さの方をより強く感じ取るのである。 その「強さの中の弱さ」を見事に内包することも含め、原田美枝子の力強い演技は非常に素晴らしかったと思う。今作時点でまだ18歳、栴檀は双葉より芳し、とは斯くの如くか。 【Yuki2Invy】さん [DVD(邦画)] 7点(2020-09-20 01:02:13) |
7.しょーもないレビューになるが、正直 髪切った時の方が可愛かった。 【ケンジ】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2016-10-30 21:48:23) |
6.逆境にもめげず、逞しく生きる一人の少女の姿を描いた作品。 辛辣なシーンの多い映画だが、タイトルの意味合いも含め、軸がぶれずにお話が進むのでわかりやすいし、とても鑑賞しやすい。 ヒロインのキャラ設定は、原田美枝子のイメージにはぴったり。演技自体はそれほどうまいとは思わないが、体当たりの熱演という印象が強く、ラストもいい。 時代背景が昭和初期ということで、佐藤祐介の長い髪だけはどうしても納得できなかった。 【MAHITO】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2012-11-23 04:33:32) |
5.《ネタバレ》 増村映画に常に付きまとう女の苦しみ、痛み、傷ついても傷ついても、直向きに生きる少女おりん、原田美枝子の演技力、この当時若干16歳にして、この迫力、昨今の女優気取りのタレントなどとは大違いである。これが女優の演技だ。おりんが発する「この馬鹿たれが~」は自分に対する思いと自分をこのような世界、女郎へと引きずり込んだ男、佐吉への恨み(叫び)、また、自分を置いて死んでしまったばばあに対する思い、自分の事を何も解ろうとしない周りの連中への叫び、素直な気持ちの現れだと見ていて感じる。おりんがもう女になどなりとうないという気持ちが何とも痛い。牧師に対し船に乗せてくれというあのおりんの姿に少女としての本当の意味での女としての悲しみが滲み出ていて泣けてくる。眼が見えなくなったおりんが船を漕ぐあの姿にもおりんの悲しさ、切なさが現れてる。それにしても女優に対しとことん演技というものを追及する増村保造監督の演出の凄さ、今、これだけ女優に対し凄まじい演出を追及する監督はいないのではないだろうか! 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2008-09-14 14:04:39) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 原田美枝子の凄まじい演技に圧倒されっぱなしでした・・・・。「おりん」という少女の成長、苦しみを見事に演じきっているというか、おりんそのものに成り切っているんですよね。とても当時16歳とは思えません(相当無茶してます)。この演技を引き出した増村監督もまた凄いですね・・・・。 【TM】さん [映画館(邦画)] 8点(2008-07-14 17:01:56) |
3.『おしん』の様な話はどうも苦手なのだが、ラストは感動できた。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2008-05-18 15:25:33) |
2.《ネタバレ》 これは監督増村最後の名作でしょう。13歳の少女が一緒に暮らしていた祖母の死を境に無理やり売春宿に連れて行かれその過酷な労働の結果盲目になる。そんな悲惨な境遇にもかかわらず彼女は必死で生きていく。極端な事を言えば彼はこれで燃え尽き、後はこの映画の搾りかすのような作品(TVシリーズや映画)の演出・脚本をし続けて人生に幕を閉じたと考えています。同年「青春の殺人者」で強烈な印象を残したヒロイン原田美枝子に対してとことん過酷な事を強いておきながらそこから生まれる強靭な「芯」を持つ女性の美しさを引き出してみせた、これは昔若尾文子(様)や渥美マリに対して行った演出行為と変わりません。演出等にくどさも感じられますがラストに至るまで見ごたえは充分。DVD、まだ出ませんねぇ。「でんきくらげ」「しびれくらげ」は出るみたいですが。 【Nbu2】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2007-12-09 20:56:09) |
1.かなり昔、テレビで見ました。いまはもう地上波では放映されない作品でしょうね。DVDが発売されないことが非常に残念です。増村保造という監督は、いろいろと「やりすぎ」な作風の方なのだそうですが、そういう評判を知らないまま真面目に鑑賞し、悲しい物語に涙しました。それでも最後は、希望の持てるラストでした。実際にあの小島で、おりんのように騙されて連れて来られて、客を取らされた少女もいるかもしれないのですね。 すさまじい演出でしたが、最後まで見応えのある物語でした。 【☆Tiffany☆】さん [地上波(邦画)] 9点(2007-08-04 07:32:09) |