1. ゴーストバスターズ/アフターライフ
評判芳しくないものの、そもそも一作目自体そこまで思い入れも記憶もないため、 "継承"というテーマとして見るなら案外悪くない。 孫娘が祖父の意思を継ぎ、オリジナルを撮ったアイヴァン・ライトマンが息子にメガホンを託す。 これほど胸躍ることはない。 '80年代の明るいノリを40年近く経った現代に再現させるのは難しいだろうし、 父親と違って人間ドラマを得意とするジェイソン・ライトマンの作風からすると、 こうなるのは大体予想通りというか。 家族のわだかまりを解く終盤の展開は分かっていながらもたいへんエモーショナルであった。 温故知新を体現した映画だったかと。 続編はかつて一作目を見たときのように勢いが落ちそうなので見ないかもしれない。 「新章がこれから」という期待感がこのシリーズには似合うと思うから。 [地上波(字幕)] 7点(2024-04-08 23:19:00)(良:1票) |
2. 高慢と偏見とゾンビ
『高慢と偏見とゾンビ』・・・なんてそそられるタイトルなんだろう。 『死霊の盆踊り』並みに絶妙である。 元ネタを知らないと面白さが理解できないとのことで『プライドと偏見』で予習してから観賞に挑んだ。 格調高さとB級感を両立させようとすると普通の映画になってしまって却って難しいなと。 18世紀当時を再現したセットもそれほど豪華絢爛に見えず、低予算ならではの妥協もあったのかもしれない、 真面目さを通り越してのギャグ(=シリアスな笑い)が不完全燃焼だった。 原作が8割方ジェーン・オースティンの原文とのことで、そこを熟知しないとかなり厳しいかと。 それを抜きにしてもアクションとしては普通に面白い。 [映画館(字幕)] 5点(2022-05-28 00:52:12) |
3. GODZILLA ゴジラ(2014)
《ネタバレ》 エメリッヒ版は未見だが、それと比べればオマージュは感じられる。 が、構成はやっぱり地球の守護神ゴジラが敵の怪獣を倒しに行くという、往年のシリーズらしい範囲内で終わっていく。 そこに至るまでがちょっと退屈で、溜めに溜めてこれではどうしても物足りなさを感じてしまう。 核の向き合い方にしても、もう少し踏み込んで欲しかったと思わざるを得ない。 [映画館(字幕)] 5点(2022-05-28 00:48:09) |
4. コーダ あいのうた
《ネタバレ》 原作のフランス映画『エール!』は視聴済み。 オリジナルの欠点である枝葉のエピソードの散漫さは、本作では幾分解消されている。 ヤングケアラーの娘がいなければ生業の漁業も成り立たず、搾取と監視に耐えかね漁業組合として独立する流れは自然で、 夢と家族の狭間で追い詰められる描写に説得力があった。 本作にもある無音の演出は、外界からシャットアウトされた映画館だからこそ意味がある。 ここまで上手く事が運ぶわけではないのだが、コロナ禍に戦争と、 心身とも摩耗していく現実にシンプルで明るい映画が求められているのだろう。 [映画館(字幕)] 8点(2022-05-28 00:43:54) |
5. ゴッドファーザー
《ネタバレ》 確かに映画史上最高の名作なのは事実で、重厚な人間ドラマや演出に目を見張るものが多い。 完璧と言っても良い。 ただ、完璧=見る側にとって最高の映画かと言えば否。 非合法な手で財力も権力も収めるマフィアに感情移入できるか。 男にしか分からない美学に酔いしれている感がある。 とは言え、堅気で生きてきたマイケルが次第にボスとして非情さが覚醒していく様に凄みがあり、 ファミリーを守るために手段を選ばない。 そこに深すぎる闇を感じる。 憧憬と畏怖が相反する矛盾した感情こそ、 綺麗ごとではない世界にジャンルを超えた共感として長く愛されているのではないか。 自分はどうしても距離を置いて見てしまいました。 [DVD(字幕)] 7点(2022-05-27 23:51:01) |
6. ゴーストバスターズ(1984)
'80年代の湿り気のない陽気さが雑で荒唐無稽な世界観とマッチしている。一歩間違えれば駄作スレスレになるはずが頭空っぽに楽しめる絶妙な匙加減で古き良き娯楽作に仕上がっていた。 [地上波(字幕)] 5点(2022-02-12 14:04:21) |
7. コンテイジョン
《ネタバレ》 新型コロナウィルスが猛威を振るわなければ、ずっと見ることがなかっただろう。淡々と山場も情緒的なシーンも排除され、次々と増えていく感染者と死者、その恐怖に暴力と混沌が拡散していく。描かれていることはまるで現代を予言しているような不気味さ。主役級のスター俳優もあっさり殺し、リアリティに寄与している。今日、ツイッターを始めとするSNSを俯瞰すれば、怒りと鬱屈で無知な人々を扇動し、世論誘導させようとする目論見もあれば、だからといって政府の対応に不満だらけの日々を過ごしているのも事実。映画は一旦終息して、感染源の遠因は他でもない人間という因果応報な終わり方だが、現実はもっと酷く無関心だ。いつの時代も、パンデミック→大恐慌→戦争がセットである以上、歴史の転換点を体験しているわけであり、コロナ終息で本作をひとときの流行で終わらせるものではない。そこに都合よく作られた人間の業が垣間見える。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-05-03 12:52:30)(良:1票) |
8. 荒野の七人
『七人の侍』と比べられるのは仕方ないが、舞台設定を中世の日本から南北戦争後のアメリカに上手く落とし込んだものだと思う。躍動感あふれる有名なテーマ曲は言うまでもなく、文化や精神性の違いからくるエピソードの数々も興味深い。メイン7人がオリジナルに迫れていないとしても十分魅力的だった。 [地上波(吹替)] 6点(2019-01-03 15:56:05) |
9. コーヒー&シガレッツ
ジャームッシュ初体験。ブラックコーヒーと煙草をガバガバ味わう人には堪らない映画だろう。白黒の室内で繰り広げられる他愛の無い会話に、大きな山場もなく終わる、ハリウッドとは真逆のスタイル。オムニバス形式のため、どこが面白いかは人それぞれ。RZA絡みがちょっと面白かったが、退屈で合わないかも。偶然テレビで流れていたから見た程度で丁度良い。 [DVD(字幕)] 4点(2017-04-28 19:21:28) |
10. コマンドー
ツッコミどころの数えきれない、頭の悪すぎな展開に分かり切った結末なのにも関わらず、シュワルツェネッガーのスターパワーとユーモラスな台詞を活かした絶妙な日本語吹き替えが奇跡的に絡まり合い、ネットユーザーの共感を通じて"名作"として持ち上げられたのだろう。忘れられた頃にテレビで放映されると何故か見てしまう、中毒性の高いお祭り映画の決定版。チープな80年代に乾杯。 [地上波(吹替)] 7点(2015-12-07 19:00:03) |