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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 823
性別 男性

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1.  インセプション 《ネタバレ》 
夢に入り込むというアイディアは単純に面白い。さらに二層・三層へと重なる複雑さはストーリーを豊かにさせており、それらが一体となっているため緊張感も増大されている。複雑さはあるものの、構造は極めてシンプルでもある。 「下層に進むたびに時間が倍増される」「虚無に落ちる」というような分かるようで分からないルールも、ストーリー上必要不可欠のルールであり、許容するしかない。 「全てが夢」「ラストだけが夢」「全てが現実」と観た者がそれぞれの感想を抱くこともできる点も面白いところだ。個人的には、「夢の中でしか生きることができなかった男が夢と決別して、現実の世界に戻る」というシンプルな感想を抱いた。たとえそれが夢の中であっても、本作にはハッピーエンドという形がしっくりとくる。会長の息子同様に、夢の中でも幸せになれば、どこか救いがあるのではないか。妻を死なせてしまったという罪悪感に囚われて逃れることができなかった男が開放されるシーンには明るい希望を感じられる。 ただ、夢に囚われた男が夢と決別するにしては、やや盛り上がりを欠くラストだった気もする。夢の中の妻の姿は、リアルな妻の姿ではなくて、自分が過去に知っている姿・自分の理想の姿の投影・虚像でしかないという“現実”を痛感させて欲しい。 パソコンやゲームといったように二次元の中でしか生きられない世代が育っている中で、本作を観ることで“現実”に向き合えるような作品に仕上がれば、もうちょっと変わった作品になったかもしれない。 また、「インセプション」という使命のためには仕方がないにしても、夢の中にしては極めて現実的で常識的な世界が繰り広げられている。二層においての重力を無視した戦い、四層においての幻想的な世界が構築されていたが、相手にバレない程度には夢の特性をもうちょっと活かして欲しかった。二層での階段のようなトリック辺りではやや弱いか。重層構造ではあるが、夢の下層は夢でしかなく、観客の想像を超えるサプライズを与えるまでには至らない。 夢と現実、現実に見える夢、夢の中での夢、各キャラクターの夢が微妙にズレているといったように、もうちょっとグチャグチャにしても良かったかもしれない。 コブと奥さんが過去に自殺に使用した際のイメージだろうか、一層での列車の突然の出現など、コブのイメージと夢の中の世界はゴチャついているが、ハマっている感じがしない。
[映画館(字幕)] 8点(2010-08-09 22:58:10)
2.  インビクタス/負けざる者たち 《ネタバレ》 
良い映画である、それについては否定しにくい。しかし、好みの問題もあるが、ややあっさりとしすぎているという印象も拭えないところはある。自分がラグビー、南アフリカ、マンデラにほとんど関心がないという理由もあるだろうが、心に熱いものをそれほど感じなかったということも言えなくはない。ただ、実話モノでもあり、あまり感情を込めて描くとやや支障や批判を受ける可能性もあるので、ある程度は客観的な視点に立たざるを得なかったのかという気もする。また、あまり押し付けがましいものはイーストウッドが好まないのだろう。鑑賞する者に様々な判断を委ねているのはイーストウッドならではの余裕か。 一本の道を境にしてラグビーをプレイする“白人”とサッカーをプレイする“黒人”を二つに分けて、その間をマンデラの車が走り抜けるという冒頭のシーンが非常に印象的だ。このシーンだけでほとんどのことを語り尽くしている。イーストウッドはさらに分かりやすくするために、SPに関しても白人チームと黒人チームを分けていき、対抗軸を構築している。徐々に白人と黒人が混ざり合っていく仮定を“マンデラ”を象徴的に描きながら、最後には共に“勝利”という気持ちを共有し、一つの国家としてまとまるほどに盛り上げていっている。熟練された演出は磐石と言わざるを得ない計算されたものとなっている。 また、“赦す”というキーワードは現在にも通じることだ。昨今のアメリカを巡る紛争や解決の見通しの立たない民族対立などのワールドワイドのことから、我々が属する小さなサークル・社会にまで当てはまる。人間の集まりである以上、“対立”が生じることは防ぎようがないが、“憎しみ”からは新たな“対立”しか産まない。“赦す”というシンプルだが、難しいことを一つの解決策として提示している。何十年も牢獄に入れられたマンデラが出来たことなのだから、我々にも出来るはずだというメッセージだろうか。マンデラ同様にイーストウッド自身も“過去”ではなくて“未来”を見続けているような気がしてならない。 さらに冬季オリンピック及びサッカーワールドカップイヤーという時期にふさわしい映画となっている。本作やオリンピックを見ていると、やはりスポーツは多くの人をまとめるチカラを持っているものだと改めて感じさせる。 ややドライな感情をもつ日本人にとっては、こういった感情こそ必要なのかもしれない。
[映画館(字幕)] 7点(2010-03-01 21:49:52)(良:1票)
3.  イングロリアス・バスターズ 《ネタバレ》 
タランティーノ監督作品だけあり、さすがに万人受けする映画ではなさそうだ。自分もタランティーノの感性には完全にマッチングさせることはできなかった。ただ、心の底から楽しめたということはなかったが、自分なりの感性で楽しむことはできた。 元ネタを知らないので、小ネタやオマージュの類は一切分からない。その辺りの面白さは一般人には分からないが、あまりそういったことは気にならないようには製作されている。 ブラッド・ピットが率いる“バスターズ”がとんでもないヒトラー暗殺計画を企てるという、ありきたりなストーリーとは真逆の映画に仕上げていることが凄いことだ。 また、主役と脇役、善と悪、史実と妄想、男も女も国籍も関係なく、英語もドイツ語もフランス語も何もかもごちゃ混ぜにして、徹底的に“自由”に弾きまくっている点が特徴となっている。 タランティーノのやりたいことは、ブラッド・ピットの最後の行動に全てが集約されているのではないか。「(投降?)そんなの関係ねえ。俺はやりたいことをやりたいだけやるんだ!」ということだろうか。ブラッド・ピット同様に、タランティーノも映画の常識、文法、ルール全てを無視、登場する者はとりあえずぶっ殺していき、『史実?そんなの知らねえ』と突っ走るだけ突っ走っている。それがタランティーノのやりたかったことだろうか。何事にもとらわれずに、自由に自分の感性を爆発させるということはなかなかできないことだ。 ラストの締めくくりも、他の映画ではみられない“俺流”といえる。 “俺流”に徹することが果たして映画にとって良いのかどうかは判断の難しいところだが、奇をてらうことだけが目的にならなければよいだろう。 自分の好みは、どの章かは忘れたが、地下の居酒屋のシーンだ。 本題とは大きくハズれて、脱線してなかなか本線には戻ってこないというイライラ感が逆に次第に面白く感じてくる。 本題を忘れたころに、状況を一変させる辺りが上手い。 第一章のオヤジ二人の会話からも分かるように、どうでもいい会話を展開させて脱線していきながら、いいタイミングで本線に戻すというところはタランティーノの天才的なところだ。 主役の割には、放置される場面が多かったブラッド・ピットがノリノリで演じているのも救いとなっている。 画面の後ろの方で、表情を作っている姿をみると、自分の役割をよく分かっているなという印象をもつ。
[映画館(字幕)] 7点(2009-11-23 22:14:13)(良:1票)
4.  イエスマン "YES"は人生のパスワード 《ネタバレ》 
あまり期待はしていなかったが、なかなか爽快なコメディに仕上がっている。 本作を見たくらいでは大きな影響はないが、見終わった後は、ちょっと“前向き”になれる作品であり、こういう作品は貴重だ。 全ての事象に“YES”という必要はないが、“YES”と“NO”で悩む場合には“YES”と言ってみようかなと思わせるパワーがある。 アメリカのコメディは、たいてい下品でクダらない作品が多く、笑えないモノが溢れているが、本作は全体的に意外とセンスが良くて(特に音楽)、ただ笑えるばかりではなくてキレイにまとめられている(衝撃的なエロネタもあるが笑えるものとなっている)。 アメリカのコメディもだいぶ進化していると感じられる一本だ。 ジム・キャリーはもともと嫌いではないが、本作でもまったく嫌味やうざったさは感じられなかった。 多彩な顔の表情や、身振り手振りなど、彼の演技を真似することはできないはずであり、真の意味でのコメディ俳優だと思う。 コメディ俳優と名乗る者は多いが、彼はやはり超一流だと再認識できる作品だ。 多くのキャラクターも映画用にデフォルメされたものばかりではなくて(隣人のおばちゃんや自殺オトコなどは例外)、どことなく自然でリアルに感じられた。全体的に親近感が沸くような血が通った者が多かった点も好印象だった。 特に、ズーイー・デシャネルのナチュラルなキュートさも魅力的だった。 序盤のホームレスの存在、序盤の謎の夢シーン(この夢をみたおかげでセミナーに参加することとなるが)、終盤の交通事故(バイクシーンやケツ見せシーンが撮れるという効果はあるが)など、意味ありげのシーンに対して、投げっぱなしも多く、特にラストのオチを含めて「?」という展開もあるが、コメディなので細かいことは気にする必要もないだろう。 コメディに完璧さを求める必要はない。
[映画館(字幕)] 8点(2009-04-12 01:22:05)(良:2票)
5.  1408号室 《ネタバレ》 
スティーヴン・キング原作だけあり、かなりぶっ飛んだホラー作品だ。 現実的とはいえない部分も見られたが、全てが非現実的な部分だけではなくて、現実的な部分と非現実的な狭間を上手く描かれている。 完全な作り物とはいえない部分が面白い。 殺人鬼やゴーストなどが登場する映画は、基本的には視覚的な刺激やびっくり音による刺激に終始している。 しかし、本作は「幽霊」「幻影」などによる“視覚”、「耳が突然聞こえなくなる」「ラジオの突然の音」「フロントとの恐怖の電話の会話」などによる“聴覚”、「雪」「水」「凍えるような寒さ」「汗が滲むほどの暑さ」などによる“触覚”、(「チョコ」や「酒」による“味覚”)といったようにほぼ五感をフルに刺激させるような作りとなっている。 ジョン・キューザックの上手さもあるが、様々な“恐怖”を丁寧に描いている。 五感を刺激するだけではなくて、「無限ループ」「抜け出すことの出来ない閉鎖性」「親族の登場」といったように精神的なダメージまでをも食らわせるという優秀なホラー作品と評価できる。 自殺するまでやむことのない地獄を味わせるという“恐怖”が描かれている。 ラストも個人的には好みの仕上がりとなっている。 表面どおり見る人には、「1408号室」に打ち勝ったハッピーエンドと考えることもできる。 テープは、主人公の単なる妄想ではなくて、現実だったということを強調しただけかもしれない。 しかし、深読みする人には、まだまだ「地獄は続いている」とも考えることはできる。 見る人によって、解釈が異なるラストは悪くない。 部屋の秘密は明らかにはなっていないが、何もかも明らかにする必要もなく、神秘的なものは謎のままの方が“恐怖感”は高まるのではないか。
[映画館(字幕)] 7点(2008-12-01 00:35:56)(良:1票)
6.  イーグル・アイ 《ネタバレ》 
ストーリーに関してはリアリティゼロのトンデモ映画だが、リアリティを醸し出そうとしていない点によって救われている。 変にリアリティを出そうとすると、必ずボロが出るものだが、映画そのものが思い切りアクセルを踏み込んで突っ走っているため、もはや突っ込みようがない。 「どんなもんじゃい!」と高いテンションでここまでやってくれると、「はい、そうですか」とこっちは従わざるを得なくなる。 「アメリカ国家による監視・盗聴」「プライバシーの危機」といったテーマにはあまり触れずに、“アクション”に特化した戦略は功を奏したと思われる。 そのため、中身は薄っぺらい映画だが、個人的にはそれほど嫌いではなかった。 一言突っ込むとすれば、「あんな高度なシステムがあれば、テロリストなんて倒すのは簡単じゃないのか?」くらいか。 ラストのハリウッド的ハッピーエンドも怒りというよりも、呆気に取られてしまった。 「国家のために自分の身を挺する」なんて意外と立派なオチをつけるじゃないかと感心していたら、「おいおい・・・そんな訳ねえだろ!」というまさかの展開になってしまった。 「国家のために戦った若者は殺さない」というところがアメリカらしさを感じる。 この部分に関しても、もはや突っ込むのは野暮というものか。 製作総指揮のスピルバーグは何から何までハリウッドらしい娯楽映画という仕上りを目指したのかもしれない。 アクションのレベルや迫力、リアリティ度は高いので、何も考えずに頭を空にして見れば、鑑賞時間分はハリウッド大作映画をお腹いっぱい堪能できると思う。 まさにハリウッドアクション映画のお手本といっていい映画だ。
[映画館(字幕)] 6点(2008-10-20 23:20:54)(良:3票)
7.  インクレディブル・ハルク(2008) 《ネタバレ》 
アン・リー版から方向転換を図り、アクション重視にすることについては、戦略的に全く問題がないと思う。 「ハルク」になったプロセスをものの数分で描いたのは、アン・リー版の反省がみてとれる。 ただ、これではあまりにもストーリーをないがしろにしすぎではないか。 本作は「軍隊に追われていた男と、暴走した一人の軍人が、化け物に変身して戦う」というストーリー以外に何もない。 本当に、ノートンがリライトしたのかというほど、つまらない脚本となっている。 彼が手を加えたのならば、ひょっとして間違った方向に手を加えたのではないか。 アクションなのだから、深いストーリーは要らないのかもしれないが、肝心のアクション自体も画面に釘付けになるほど立派なものではなく、全く楽しむことができなかった。 「ボーン」シリーズ、「キングコング」辺りのネタを拝借しているようにも感じられ、つまらないと言われるアン・リー版の方がむしろ個性を感じられる。 アン・リー版のジャンプ時の浮遊感は必見だ。 肝心の化け物同士の戦いも、一方が圧倒的に優勢だったのに、訳の分からない地味な必殺技一発で形勢逆転するというつまらない描き方には呆れた。 逆転の仕方や、必殺技など、バトルシーンにもうちょっと工夫があってもいいだろう。 また、ノートン、タイラー、ティム・ロスといった役者の個性も全く活かすことができておらず、誰に対しても共感できるものではなかった。 三人のそれぞれの感情が、あまりにも伝わってこないのは評価できないポイントだ。 本作の唯一の見所は、「ハルクが中和されて素の人間になりかけた」というシーンではないか。 その見所をヘリコプターから飛び降りただけで終了というのはあまりにもヒネリがなさ過ぎる。 「ハルク」は怒れるオトコなのだから、もっと“怒り”に着目して欲しい。 いったんは中和されて、心拍数200を超えても変身しないが、彼の怒りが頂点に達したときに再び緑色の化け物になるというのが当然のスジではないか。 そのために、タイラーという存在がいるのだろう。 彼女が殺される(変身できない彼をかばって死ぬのが悪くない描き方)、もしくは彼女の身に危険が迫ったときに、怒りで我慢できなくなって再び変身するという描き方はできないものか。 重厚感がなく、何もかも薄っぺらく感じてしまった。
[映画館(字幕)] 4点(2008-08-16 13:58:08)(良:2票)
8.  イースタン・プロミス 《ネタバレ》 
男の理想ともいえる世界が構築されている。 男性ならば、この世界に酔うことができるはずだ。 善と悪の世界の狭間に生きる男の、美しくも不器用な生き様に引き込まれるだろう。 悪の世界にどっぷりと浸っているために、もう善の世界に引き返すことの出来ない辛さを抱えるとともに、悪の世界の汚れた美しさの魅力にも惹かれてしまっている。 ヴィゴだけではなく、ワッツも危険なものに手を出さざるを得ない状況に陥っている。 男性におススメの映画だが、本作に描かれているのは性別を問わない美学かもしれない。 絶対的に悪でもなければ、絶対的に善でもない。 好きな女に好きといえなければ、放っておくこともできない。 好かれた男に応えるわけでもなければ、放っておくこともできない。 組織にハメられたと知りながら、認められたことを喜ばずにもいられない。 何もかもニュートラルな状態が本作の魅力かもしれない。 ニュートラルにすることによって、優しさと残忍さを併せ持つ男の相反する二面性のようなものがきちんと描かれていたと思う。 ナオミとのラストのキスシーンで善の世界を捨て切れていない感情を表し、ラストのレストランでのシーンで悪の世界も捨て切れない感情を表している。 この二つのシーンが、非常に良い対比となっているのではないか。 また、ヴィゴとナオミとヴァンサンの隠れ三角関係がいいスパイスとなっている。 ヴァンサンのナオミに対する攻撃的な姿勢がいい伏線となっているのかもしれない。 父親に対して頭が上がらないはずなのに、ヴィゴをハメた父親と喧嘩するということは、ヴィゴに対して相当ホレ込んでいたのだろう。 ヴィゴとナオミも良かったが、ヴァンサンもなかなかいい仕事をした。 好きな男がゲイかどうかを調べるために、彼にヤラせて、その最中をずっと見続けるというところに彼の倒錯した感情が上手く表れている。 注目のサウナでのバトルシーンはバトルに夢中になって、さすがにあっちには全然目がいかなかった。
[映画館(字幕)] 8点(2008-07-04 23:25:49)(良:1票)
9.  インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 《ネタバレ》 
再びインディ・ジョーンズと冒険を出来るのは、喜ばしいことだ。 過去のシリーズで良かったアイディアを流用している部分があり、好ましいと感じられるところもあった。 しかし、肝心の冒険の内容はあまり好ましいものではなかった。 ストーリーは分かりにくいものではないが、あまりに変な方向に大きく膨らましすぎて、付いていけない。付いていくことができないのではなく、付いていきたくないというストーリーだ。 あり得ないようなストーリーが本シリーズの特徴でもあるが、今回ばかりはちょっと間違えた方向に進んでしまったのではないか。 そういった存在をぼやかす程度ならば許せるが、ここまでモロにやられるのは困惑する。 また、キャラクターも多数登場するが、誰も使い切れていないのが問題だ。 敵役のケイト・ブランシェットは頑張っているものの、全体的に出番が少ないため、魅力や存在感が薄い。悪役としては合格点とは言い難い。彼女よりも「最後の聖戦」のエルザの方にまだ魅力があり、もっとイヤらしさを醸し出して欲しかった。 シャイア・ラブーフもロープアクションやバイク、ナイフなど頑張っているものの、こちらも存在感が少々薄すぎる。母親マリオンとインディの恋愛にヤキモチを焼く子どもっぽさは悪くないが、出番が足りない。 親が子のために、子が親のために命をかけるような展開に出来なかっただろうか。 親子愛という要素をもうちょっと工夫すれば、いい展開になった。 マリオンの同行は許せるが、マックとオクスリー教授は本当に必要なキャラクターなのかと問いたくなる。どちらにも確かに重要な役割はあるが、脚本を工夫すれば同行させる必要はない。同行させるならば、それ相応の役割を演じさせるべきだろう。 マックのとって付けたような退場のさせ方は酷すぎた。 主役であるハリソン・フォードのアクションは悪くないが、還暦近い考古学者のオヤジが殴り合いで屈強の兵士に勝つという設定よりも、歳を取ったなりにもっとアタマを使ったクレバーさやスマートさも身に付けて欲しいものだ。 アクションはもっとシャイア・ラブーフに任せてもよかったのではないか。 全体的に既視感のある演出・ストーリーであり、目新しさを感じることができない。 キャラクターも魅力ある活躍をせず、ストーリーもおかしな方向に進んでしまったため、高い評価はしにくい作品だ。
[映画館(字幕)] 6点(2008-06-15 02:54:11)(良:1票)
10.  インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 《ネタバレ》 
過去のシリーズのような派手さはないが、作り込みは悪くない。 インディ・ジョーンズシリーズ特有のユーモア感を残しつつ、「レイダース」以上に硬派な宝探しアドベンチャーに仕上がっている。 父親ヘンリーがユーモアのある、いい味のキャラクターに仕上がっており、インディとのバランスが取れているのも好感がもてる。 宿命のライバルであるナチスとの宝探し合戦、親子の確執、親子愛、学者の宿命など盛り込まれており、全体的にもバランスが良い。 なんといっても、ラストのやり取りも素晴らしい。 溝に落ちた聖杯を取ろうとするエルザと諌めておきながら、インディ自身が同じ境遇に陥った際には、同じようなことをしてしまうのは考古学者の性でもあろう。 そのような息子に対して、息子の名前(実名でないところが素晴らしい)を言うだけで諦めさせることができたのも父親として、学者として威厳があるからなのだろう。 優しくて、重みのある雰囲気がまさに父親らしいものであり、素晴らしい演技だった。  本当は学者ヘンリーこそ誰よりも聖杯を望んでいたはずであり、そんな父の姿を見て育ち、学者としての先輩の姿を見てきたからこそ、彼の言葉に重みを感じられただろう。 大事なのは“物”そのものではなく、“真実”ということなのではないか。 捜し求めていたものが存在したということが重要であり、“宝物”そのものに価値を求めることは大して重要ではないということを伝えているような気がする。 この辺りの考古学的なロマンにも惹かれるようになっている。 ただ、過去のシリーズには超有名なシーンがあるが、本作にはそういったシーンがないので印象が薄くなっているのが残念だ。
[DVD(字幕)] 7点(2008-06-15 02:47:55)(良:1票)
11.  インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 《ネタバレ》 
大人が見ても楽しめるようにはなっているが、完全な子供向け仕様の映画になっている。 演出は「びっくり箱」のような子供だまし的な手法が多く、子どもを救うという展開や魔術的な仕掛けも甘々すぎる。 「レイダース」のような硬派な宝探しアドベンチャーというよりも、能天気アクションの方に寄りすぎてしまっているのが問題だ。 能天気アクションに寄りすぎているため、万人向けとなり、誰でも楽しめる内容にはなっているが、そのためリアリティ度が薄まり、何もかも現実離れしてしまい、「なんでもあり」という展開になってしまった。 そのため、高い評価をすることはできにくい。 ただ、トロッコのチェイス以降のハイテンション展開はさすがに文句なく面白い。 終盤のキレのある演出は、さすがはスピルバーグらしく素晴らしい。 
[DVD(字幕)] 5点(2008-06-15 02:46:56)(良:2票)
12.  怒りの葡萄 《ネタバレ》 
ジョン・フォード作品はほとんど観ていないが、彼が只者ではないことは本作を見れば分かる。 ドキュメンタリーといってもいいほどのリアリティを帯びており、大恐慌時代のアメリカの混乱した状況が窺われる。 こういう辛い時代を経て、今のアメリカは成り立っていることを知ることができるのも非常に勉強になる。 特別なイベントがなくても、じいさんとばあさんが死んでしまう展開には驚かされた。 それだけ、このアメリカ横断の旅が過酷を極めたということが分かる仕組みとなっている。 大きなドラマは描かれおらず、各キャラクターの内面をクローズアップしているわけでもないが、様々な感情が伝わってくる良作だ。 いつぶっ壊れて止まるか分からないトラックを走らせるだけでも、絶望的な悲鳴、救いを求めるような叫びが聞こえてくる。 あのトラックが非常にいい味を発揮している。 壊れかけのトラック自体、民衆や家族を言い表しているのかもしれないと感じられた。 壊れそうで壊れないトラックは、倒れそうで倒れない民衆、バラバラになりそうでならない家族の絆そのものかもしれない。 10点を付けたいところだが、本作の良さを完全に理解するには、自分の経験や知識がまだ浅いのかもしれない。 また、個人的に少々気になったのは、ラスト付近の描き方だ。 母とジョードの関係を通して家族の絆を描き、母親・女性の強さを強調するラストシーンには文句をつけようもないが、終盤はやや忙しすぎたり、ジョードの変化などは唐突なイメージも感じた。 ドラマはきちんと盛り込まれているが、どこか中途半端な部分もあるのではないか。 きちんと描きこむか、ほとんど描かないかのどちらかになると思うが、ドキュメンタリータッチであることを踏まえると、難しい判断だが、本作よりもむしろ描かないという方向性ても言いたいことはちゃんと伝わったのかなとも思われる。 勉強をしていないので、あまり難しいことは分からないが、本作は資本主義を否定し、社会主義的な思想が強いのも特徴だろうか。 赤狩りが本格化するのは1950年前後であり、1940年においてはアメリカにおいても社会主義を肯定するような意見があったのかもしれないと窺われる。 そういう時代背景を想像できるというのも面白い。
[DVD(字幕)] 8点(2008-03-31 23:21:57)
13.  硫黄島からの手紙 《ネタバレ》 
「父親たちの星条旗」同様に極力エモーショナルに描くことは避け、「真実」を炙り出そうとしている。本作を観て、硫黄島で「何があったのか」を知って、観たそれぞれに何かを感じ取ってもらいたいという強い意図が感じられる。何かを押し付けるということはほとんどしていない。 「家族からの手紙又は家族への手紙」を有効に利用することや、大げさに演技させることによってエモーショナルに描くことは簡単である。本作の題材ならば、ストレートに観客を感動させることなど容易いだろう。だが、あえてそうしないのがイーストウッドの味であり、「わび」と「さび」ではないか。もちろん「戦争」をエンターテイメントに利用する気など微塵もない。栗林の知略をこと細やかに説明することも、壮絶な穴掘りの苦痛を描くこともしない。「戦争」を美化するつもりはないからだ。 イーストウッドの映画は昨今のハリウッド映画とは異なり、ただ映像を垂れ流すだけの「一方向」の映画ではない。映画を通しての「問いかけ」があり、観客は映画から何かを感じて考えるという「双方向」の映画なのだと思う。誰でも撮れる普通の映画ではなく、イーストウッドでしか撮れないから評価されるのだろう。 自分が一つ強く感じたのは、中将という司令官であっても、ただの一兵卒であっても、そして敵の兵士であっても、皆愛すべき家族がおり、愛される家族の一員でいたということだ。この点に関しては、身分も国籍も関係ない。それぞれの想いは、日常的な生活を綴った手紙や千人針に静かに託されているのが印象的だ。アメリカ側から本作を観た場合、「敵」であっても、バロン西のような人間的な痛みを知るものと戦っていたことを知らしめるだろう(伝説となっているバロン西投降勧告(真偽は不明)も当然描かない)。 また、「星条旗」同様に「戦争」には正義も悪も、英雄もいないということを強く描いている。「戦場」にあるのは醜さだけだ。 アメリカ側としては、日本人捕虜を抹殺する姿や、戦利品を強奪する姿や、「星条旗」では誤射によるアメリカ兵の死ですら描いていた。 日本側としても、アメリカ兵をリンチする姿、敵側に投降しようとする者を撃ち殺したり、戦場から後退しようとする者の首を刎ねようとしている姿が描かれている。 「万歳」といって自決する姿にも、玉砕しようとする姿(伊藤中尉)にも、「美しさ」はない。あるのは、「虚しさ」だけだ。
[映画館(字幕)] 8点(2006-12-11 21:20:21)(良:1票)
14.  イルマーレ(2006) 《ネタバレ》 
オリジナル版は随分前に観たので詳細は覚えていないが、結構よかったということだけは覚えていた。リメイクが創られると聞いて、ハリウッドもなかなか目の付け所はいいなと思い、しかも、キアヌとサンドラの二人が共演と聞けば、いっそう期待は高まる。しかし、リメイク作の肝心の出来栄えは、何かが足りなさ過ぎて、相当イマイチである。 まず、演出家に問題があったように思われる。全体的にかなり薄っぺらく、安っぽくなった仕上がりとなっている。「風邪に気をつけてください」と言って、直後にくしゃみをさせるなんて今日日、小学生でもやらない演出ではないか。 「時間」という障害に阻まれたラブストーリーというネタ自体は面白いのだけれども、このネタを上手く活かすことができておらず、ラブストーリーのよさも感動もなにも感じられない。 オリジナルを覚えていないけれども、この二人はしょっちゅう逢っているという印象がする。あまり障壁が感じられず、愛し合う二人が、運命の悪戯からか、なかなか会うことができない、もどかしさのようなものは感じられない。 人物の掘り下げ方も中途半端な印象だ。キアヌは父親との確執に悩む建築士、サンドラは医者という激務に対して、やりがいや意義を感じながらも、「このままでよいのか?」と人生に悩む女性である。父親の作品集を送り、キアヌが抱えた苦痛を取り除いてやるというのは、感動的な場面なのだが、演出が感動的ではないので、感動できない。 逆に、サンドラのキーとなる本「説得」も、ドラマティックで効果的な使われ方をされただろうか。自分にはそうは感じなかった。このアイテムがサンドラの気持ちを大いに揺さぶるとともに、観客の気持ちを揺さぶったとは思えない。 結局、二人の気持ちに対して上手く感情移入できない創りになっているので、ラストのクライマックスでも、やはり何も感じられなくなっている。「想い続けて待ち続けること」の素晴らしさが描かれていないのが残念である。
[映画館(字幕)] 4点(2006-10-02 21:57:26)(良:1票)
15.  インサイド・マン 《ネタバレ》 
ストーリーのみを振り返るとかなりすっきりした気分になれる内容になっているはずである。しかし、映画を観終わった後にまったくすっきりした気分にはなれなかった。 社会への風刺が含まれていたり、人種差別などを盛り込んだりして、スパイク監督ならではの演出もあったかもしれないが、本作のような内容ならば、それにふさわしい人が演出した方がよかったのではないか。短期間で雑に仕上げられた印象もあり、監督の実績作りに利用された感も受けた。 個人的に一番気に入らなかったのは、途中途中で入る人質になった人たちの尋問シーンである。この手法自体は面白いアイディアと思うが、問題は中身である。「人質に対する事情聴取」というアプローチならばよいと思うが、どう考えてもあれでは「容疑者に対する尋問」である。 つまり、序盤にあの尋問シーンがあるために、すでにワシントンVSオーウェンの戦いはワシントンの負けということが分かってしまう。既に結果が分かっているゲームを眺めるだけである。序盤に大量得点が入って勝負が決した野球の試合をみるのにも近い。 あの演出に対する創り手の視点としては、ワシントンとオーウェンがどちらが勝つのかという激しい駆け引きを描くのではなく、いかにしてオーウェンが事を成し遂げたのかという点に重きを置いたからなのかもしれない。そうだとしてもこの手の映画には「緊張感」というのが重要であり「緊張感」をわざわざ減らす必要はない。そもそもこのゲームはワシントンに有利になることなく、オーウェン側のかなり一方的な試合展開になっているため、一層緊張感を欠く。 したがって、あの場面は「容疑者に対する尋問」ではなく「関係者への事情聴取」に留めておくべきだったと思われる。人質の口から、この計画の隙のなさを語らせるというのであれば、全く問題なかった。「スティーブ」「スティーブO」「スティービィー」と呼び合っていることを人質の口から語られることにより、オーウェンの手法の全貌を観客は知ることができる。 それにしても冒頭からもはっきりと言い過ぎではないか。 「狭いところと刑務所とは違う」というのは明らかネタバレしすぎだ。むしろ、冒頭において、オーウェンは刑務所にいるのではないかという誤解を逆に観客に与えてもよい。最初のインプレッションとは全く異なる展開が、緊張感や面白みを生むこともある。
[映画館(字幕)] 6点(2006-07-09 17:48:04)(良:2票)
16.  いつか晴れた日に 《ネタバレ》 
ラストにエリノアが泣き崩れるシーンがいいね。あのシーンだけでいかにエリノアが内に色々なことを抱えて生きていたのかがよく分かる。自由気ままな妹(最初姉を気遣ってブランドン大佐との関係を踏み出せずにいるのかと思っていた…)を心配し、夫を亡くした母を気遣い、言いたいこともいえずに一人悶々とした日々を送り、おまけにルーシーとかいう女に色々とあることないこと訳の分からないことを言われ続けた揚句の涙だけによくエリノアの心情を察することができるよいシーンだと思う。 その後もとくにエドワードとエリノアの二人の結果を執拗に描くこともせずに、さらりとブランドン大佐とマリアンヌの結婚式の中で描くのもさすがにアンリーだ。 そして、あの結婚式の風景を丘で一人見詰めるウィロビーの表情も好きだ。人間的で、かつ複雑な表情をしている。 マリアンヌに幸せになって欲しいと願っているのと同時に、やや後悔にも似た想いを感じる。様々な環境に流されて、間違った選択をしてしまうのは人生に付きまとうものである。 マリアンヌを選ばなかった選択が間違っているか、合っていたのかは分からないが、もし自分がウィロビーの立場ならば、彼と同じ選択をしただろう。その選択が合っているのかどうか分からずに悩みながら人生を生きるというのも一つの男の生き方ではないか。ブランドン大佐に賞賛の声が多数挙げられているが、ブランドン大佐のモトカノの娘を孕ましたというエピソードがなければもっと彼に対しても同情の声があってもよいと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2006-03-27 01:08:25)(良:1票)
17.  インテリア
他の人も言っているように、本当に繊細な映画だと思う。ジョーイ、レナータだけでなく、イヴやアーサー、パール、フリン、彼女らの旦那たちも含めてそれぞれの心境が痛いほど伝わってくる。 特にラストで海辺を見つめる三姉妹は何を想っているのだろうかと考えてしまう。恐らく三人とも母親イヴを想っているのだろう。 完璧なまでに秩序を求めた母親、想い通りにならないと許せない人間だった母親に振り回され続けていたと思う。しかし、それぞれ母に対する想いはだいぶ違うと感じる。特にそれは葬式の際に花を置く仕草で分かるような気がする。 レナータは母イヴに反発し続け、憎しみを拭い切れていない。 ジョーイは母イヴを自分の理想と捉え、母からも期待を受けるも、才能がない自分は母親を裏切ったと思い、母からは軽蔑されていると感じている。そんな母親を憎しみながらも人一倍愛している。 特に母親が買ったと思われる花瓶をパールが壊したときの激怒にイヴへの愛が感じられる。パールとのダンスを断り、最後まで父の再婚を許せなかったのもそうだろう。 フリンは幸か不幸か本当の母親のことを知らないで育つことができ、母からは表面的な愛情を受け、母親に対しては普通に愛情を持っていると感じた。 たぶんイヴはレナータ、ジョーイで思い通りにならない子育てを諦めて、表面的にしかフリンとは付き合っていなかったのではないかと思っている。 それぞれが母親に対して抱えるのは憎しみ、愛憎、愛情ではないか。 彼女らの生き様もそんな母親に対する感情の影響が感じられる。 レナータは才能があるも自分の感情を素直に出すことが出来なくなっている。 母親の反発心からか、母親ほどではないものの心が歪んでいる気がする。 だから旦那のフレドリックの心も離れていったのではないか、病気の影響もあるかもしれないが。 ジョーイは母親に認められたい、何かを成し遂げたいと思いながらも、何もできずにもがいている姿が見受けられる。 フリンは本当の愛情を受けていないので、どこか軽く薄い印象を受ける。だからクスリなんてやっているのではないか。 それだけ母親の存在は大きかったのだろう。あの母親を演じたジェラルディン・ペイジは凄すぎる。夫が自分とは真逆の感情を表に出す女性を選び、自分を否定され、自分の思い通りにはならなかった人生の果てに完全に心が狂ってしまっていた。海に突き進む姿は印象的だった。
9点(2005-02-22 00:08:01)(良:1票)
18.  イン&アウト
オスカー授賞式以後、本人(画面を観て二人ともしばらく固まり、リモコンを何故か放り投げる)や周囲の反応、カセットテープのネタに対してメチャクチャ笑わせてもらって、結構センスがあるかなと思ったけど、本人のカミングアウト以降は全く別の映画になってしまった感じで何も笑えんかった。 普通にノーマルの男がゲイと間違われて、最愛の人との結婚式をどうやって乗りきるかといったドタバタをやるようなコメディとは一線を画す結果になったことをどう評価するか。 感動モノにしたいのなら、やはりラストでディロンなり、生徒なり、両親なりを上手く活かせないとダメだったと思う。 ディロンにはあのオスカー授賞式で述べた真意でも語ってもらわないと、ディロンの存在自体が無意味となり、ただのどうしようもない役者としか映らない。 全員がゲイを告白して、貰えなかった最優秀教師賞の代わりにオスカーを先生に渡すだけでは、それでは果たしてプロと言えるのかと、首を傾げたい脚本・演出としか言いようがない。 結局この映画で何が言いたかったいうと、「ゲイはちゃんと告白しましょう」「周囲の人はゲイをちゃんと認めてあげましょう」「女性はあまり痩せ過ぎないようにしないとね」「皆、自分らしく生きましょう」というどうしようもないメッセージしか伝わらなかった。 たいていの人は皆、秘密と嘘を抱えながら生きている。 果たして嘘を抱えながら生きることが自分の本当の人生と言えるのかどうかを問う作品にして欲しかった。 主人公が「人生を返せ!」と叫ぶシーンがあったが、返して欲しいのは偽りの人生か、それとも新しい未来なのかを観客に考えさせるようには創れなかったのかねえ。 女優の「バーブラストライサンド」や映画の「ファニーガール」ネタについては自分の勉強不足からかよく分からんかったのがちょっと悔やまれる。 
5点(2005-02-13 18:53:35)
19.  イレイザーヘッド
観ている間、まるで鈍器でアタマを殴られ続けるような感じにさせてくれる映画。 ヘンリーだけでなく観客にとっても正に悪夢と言ってもよいかもしれない。 あまりに耐えられない悪夢なので、自分の妄想のなかで自分のアタマを消しゴムにして粉々に吹き飛ばしてみたくなる衝動もなんとか分からんでもな。 悲惨なオトコの現実逃避を描いた作品なのかもしれない。 そして途中でラジエーターの女性が歌った歌がこの映画を言い表したようなものでしょうか。 頭が変になることもなく、全て上手くいき、悩みなんてない世界、それが天国。 子どもを殺して、最後は自分を天国に行かせてしまったような感じがする。 リンチ以外に作ることは出来ない正にある意味では傑作と言って良い世界観をもった映画。モノクロもいい効果が出ている 個人的には「工場で何してるんだ?」「ただの工員です。」の後に全く動かなくなったオヤジとベッド脇に盛られた土に刺さった草のようなモノが特に気に入りました。 それにしてもあの赤ん坊は作り物としてもリアル過ぎる、特にあの眼の動きは説明することは難しい。 そしてあの口や舌の動き方はなんなんだろう、切ろうとしたチキンが足をばたつかせることの比ではなく説明困難だ。
7点(2004-11-14 04:31:48)
20.  インサイダー
科学者とジャーナリスト、二人の巨大な力に立ち向かう戦いには見応えがあった。 自分の行動が世界を変える力を持つと信じた二人の男達。 タバコ業界のプレッシャーだけでなく、買収問題を巡る会社内部における対立や守秘契約、第三者賠償責任等の法律関係、報道関係者、ジャーナリスト間の駆け引き、FBIを巻きこんだかなり大掛かりでスケールの大きな作品になっている。 そのような渦に飲みこまれ、家族の将来という人質を取られながらも、様々な重圧の中、自分の行動が正しいかどうか悩み苦しむ姿を演じたラッセルは良かった。 結局、家族を失いはしたが、娘達に自分の行動をテレビで見せる姿には、自分の行動が間違っていないことを娘達に知ってもらいたかったと感じられる。 あまり多くは描かれてはなかったが、教師としての新たな道を見つけ、生きがいを取り戻していった姿も感動的だった。 そしてアルパチーノ演じるジャーナリストの信念は熱い。 ジャーナリストの信念とも言える信頼性と客観性を保つこと…信頼があるからこそ通報者が自分に真実を話すという信念。 一度失われた信頼の代償は大きかったか。 マイクのような偉大なジャーナリストでありながら、自らの保身を考えてしまったという一言が、ジャーナリストの在り方を考える上でとても重くそして大きく感じられた。 他に良かったと思われたのが、タバコ会社側と思われる謀略が実際目に見える形で多くは出てこない点だ。 目に見えない敵、目に見えない暴力、目に見えない力が、ストーリーによりリアル感を与え、何とも言い知れぬ恐怖を見るものにも与え、目に見えないからこその戦うべき相手の大きさを知ることにもなる。 タバコに害があることは誰でも分かっているかもしれないが、内部の科学者が証言し企業がそれを認めることが大事だろう。 日本でも一応「公益通報者保護法」という法律が出来たが果たして機能するかどうかは疑問だな。
8点(2004-10-16 19:57:00)
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