21. プルート・ナッシュ
《ネタバレ》 黒幕が主人公のクローンであるという展開には意表を突かれましたし、二人が殴り合う場面なども面白かったです。 でも、悪役側に対しては「見分ける方法くらい用意しておけよ!」とツッコまずにはいられない。 そういった、何処か間の抜けた感じが本作の魅力なのでしょうか。 時間を損したという訳では決してなく、観ている間は退屈しなかったけれど「ああぁ、良い映画だなぁ……」と思える瞬間が訪れなかった事は、非常に残念。 主演がエディ・マーフィで、監督は「トレマーズ」と同じ人、という事で期待値が高過ぎたのかも知れませんね。 もっと肩の力を抜いて、リラックスした状態で観るべき映画だったのだと思われます。 そんな本作で目を引くのは、やはり脇を固める豪華な出演陣。 バート・ヤングが冒頭にチョイ役で顔見せしていたりして、自分としてはそれだけでも嬉しかったりしましたね。 特にランディ・クエイド演じるロボットのブルーノは、とても愛嬌があって、本作最大の癒しキャラ。 そして、主人公の母親としてパム・グリアが登場するのには驚いたし、クスッとさせられました。 何せ彼女が出てくる場面って、特にストーリー上は必要無かったように思えますからね。 「出したいから出したんだ、文句あるか」 という作り手側のメッセージが伝わって来るかのようで、少々呆れながらも、妙に微笑ましくて憎めなかったです。 [DVD(吹替)] 5点(2016-05-28 14:36:13) |
22. プライド&グローリー
《ネタバレ》 実に豪華な出演陣。 そして監督さんは「ウォーリアー」を手掛けた人と知り、観るのを楽しみにしていた一本なのですが、少々ノリきれない内容でした。 期待値が高過ぎたのでしょうけれど、真面目で丁寧に作られた刑事ドラマだなと思う一方で「胸を打つ」「心に響く」といった感情を抱く事が出来ないままエンドロールを迎えてしまい、残念でしたね。 理由を分析してみるに、まず主人公であるエドワード・ノートン演じるレイと、コリン・ファレル演じるジミーの、どちらにも共感を抱けなかったのが大きかったかなと。 いくら家庭の事情があるとはいえ、完全なる悪徳警官なジミーの事を同情的に描いているような作りには違和感を覚えますし、レイに関しても、公的な意味での「正義」と「家族」どっちつかずな印象を受けてしまいました。 特にノートンは好きな俳優さんなので「もっと両者の板挟みになって苦悩する男を魅力的に演じられたのでは?」なんていう、身勝手な不満も抱いてしまいましたね。 終盤に銃を置いてから二人が殴り合う展開、ジミーがレイを庇うようにして犠牲になる展開なども、心の歯車が映画とカチっと合わさっていれば、きっと感動的な場面だったとは思うのですが、自分ときたら「えっ? 何でそうなるの?」とボケた反応をする始末で、恐らくは物凄く真面目に作ってくれたであろう監督さん達に対し、申し訳ない思いです。 導入部の、スタジアムから事件現場へと視点が切り替わる流れには、本当にワクワクさせられましたし、一見すると模範的な警察官一家が大きな歪みを抱えているというストーリーを丁寧に描いてくれた作品だとは思います。 あと何かもう一つでも取っ掛かりがあれば「好きな映画」と言えそうなものを感じさせてくれただけに、残念な映画でした。 [DVD(字幕)] 5点(2016-05-14 20:40:12) |
23. ブルークラッシュ
《ネタバレ》 この監督さんは、海を美しく撮るのが上手いなぁ……と、改めて実感。 海と、水着美女、爽快感のあるサーフィンの映像。 それらが画面に映っているだけでも満足しそうになるのですが、内容については、正直疑問符が付く代物でしたね。 同監督作の「イントゥ ザ ブルー」は結構楽しめたのに、本作を微妙に感じたのは何故だろうと、自分でも不思議。 理由を分析してみるに、主人公が女性である事が大きかったように思えますね。 ある日突然、理想の王子様が現れてくれる。 でも、それに溺れる事は無く、スポーツの分野でも成功してみせて、仲の良い女友達が沢山いて、陰口を叩くセレブ女には強気に対応してみせてと、如何にも女性が憧れそうな人物像。 それだけに、ちょっと距離を感じてしまったというか(あぁ、女性が観たらこのシーンは痛快かも知れないな)なんて思いながら、他人事気分で観賞する形になった気がします。 主人公がNFLの選手達にサーフィン指導を行うという形で「初めてサーフィンに挑戦した時の喜び」を劇中で描いている辺りは、凄く良かったのですけどね。 こういう初心者に配慮した作りって、とてもありがたい。 ……ただ、それなら劇中の大会ルールについても「彼氏に質問させて、主人公に簡潔に答えさせる」という形で、観客に教えてくれても良かったんじゃないかと思えるのですが、これは我儘というものでしょうか。 後は、主人公が大して努力しているようには見えなかった辺りも難点。 冒頭にてトレーニングしているし「これまでアンタがどれほど努力してきたか」という台詞もあるんだけど、映画を観る限りでは「男とイチャついてばかりで、殆ど練習していなかった」としか思えないし、あんまり彼女を応援する気になれなかったです。 「優勝を逃す」というオチについても、普通なら(あれだけ頑張ったのに……)と涙腺を刺激されそうなものなのに、本作に限っては(まぁ、練習してなかったんだから当たり前か)と納得してしまい、感情を揺さ振られず仕舞い。 一応、優勝したのと変わらないくらい皆に祝福されて「雑誌の表紙を飾る」という夢も叶えて終わる形の為、ハッピーエンドではあるんですが(それなら、もうちょっと贅沢に、あれもこれも手に入れる終わり方でも良かったんじゃない?)なんて、つい思っちゃいましたね。 「王子様のマットは一時の休暇で訪れただけなので、その内に別れる時が来る」「妹のペニーがマリファナをやっているので、止めさせなければいけない」「家出したママも帰って来ていない」と、まだまだ問題が山積みなので、今一つスッキリしないんです。 「何もかも上手くいく訳ではない」「それでも、サーフィンの楽しさを思い出した主人公なら、きっと大丈夫」という、ほろ苦さの中に希望を見出すような終わり方なら、それでも納得なんですが、本作の終わり方は、そうじゃない。 底抜けに明るくて、何もかも上手くいったと言わんばかりの空気の為(えっ、今までに描かれていたマイナス要素の数々は何だったの? 無かった事になったの?)と、戸惑っちゃうんですよね。 ここの部分を、もうちょっと上手く着地させてくれていたら、好きな映画になっていた気がします。 音楽や演出は決して嫌いじゃないし、大人も子供もサーフィンに興じるエンドロールの映像は素晴らしいと思うだけに、何だか勿体無いですね。 自分としては、好きになれそうというか……好きになりたかったタイプの作風なだけに、ノリ切れなかった事が残念な映画でありました。 [DVD(吹替)] 4点(2017-07-20 16:02:36)(良:1票) |
24. ブラックホーク・ダウン
これは評価するのが難しい一本です。 リドリー・スコット監督の手腕は大いに信頼しているし、ジョシュ・ハートネットもユアン・マクレガーもウィリアム・フィクトナーも大好きな身としては、史実がどうこうは忘れてしまって、戦争映画というフィクションと割り切って楽しみたかったのですが、決してそれを許してくれない内容。 さながら「命は平等である」という価値観を真っ向から否定するように描かれているアメリカ人とソマリア人。 観賞中ずっと、この映画から「アメリカ軍の兵士十九人分の命は、ソマリア民兵の千人分の命よりも尊いのだ」と囁かれているような気がして、その声に耳を塞ぎたい思いに駆られました。 とはいえ、戦争映画という性質上、観客に色々考えさせてくれるのは有益な事だと思いますし、本当に自分が戦場にいるかのような臨場感は、凄いものがあります。 映画では英雄的に描かれているアメリカ兵だけど、彼らのモデルになった実際の兵士達には、六歳の娘に性的暴行を加え逮捕された人物もいたりする訳で、そんな「現実とのギャップ」も味わい深いですね。 恐ろしい映画でした。 [DVD(字幕)] 3点(2016-04-05 09:22:42) |
25. ファニーゲーム U.S.A.
《ネタバレ》 「1997年版と、全く同じような内容だなぁ……」 と感じていたのですが、監督さんも同じだった訳ですね。納得。 ある意味では、とても真摯な態度でのリメイクと言えるかも知れません。 初見の衝撃、といったものを差し引いて考えれば、元作品のファンも楽しめる仕上がりだと思います。 有名俳優が出演している事によって何か変わるかな、とも思いましたが、特に変わっているようにも感じられませんでした。 自分としては、1997年版と同じ内容である以上、同じ点数をつける他ありません。 [DVD(字幕)] 0点(2016-04-08 08:20:10) |