61. ブラック・サンデー
《ネタバレ》 不謹慎ではありますが、いつの間にかテロリスト側の作戦成功を心のどこかで願っている自分に驚きです。この映画の最大のポイントは、テロリスト側を完全な「悪」と断じていないことでしょう。テロリストの主犯の二人は、まるで被害者のような描かれかたなんです。戦争の被害者です。ダーリアが黒い9月に所属するまでの経緯や、マイケルが戦後味わった苦汁を考えれば、一心不乱にテロ計画を進める二人に同情の念と共感を覚えてしまうのです。 ただし、テロ行為そのものは、やはり「悪」なのでしょう。どんな境遇であっても、無差別殺人が許されるはずがありません。だからこその、あの結末なのだと思います。 また、あれだけ作戦決行までの準備に時間を費やす場面を映しながらも、映画が冗長になっていないところも素晴らしいです。電話爆弾。身代わりになって殺される友人。テロ計画の実験。街中の銃撃戦。いちいち目が離せません。そして各エピソードが挿入されることで、この計画自体がいかに困難なものであるかということをいちいち実感します。するとほーら、いつの間にかテロリストの二人を応援しちゃうんですよ~。反省。 [DVD(字幕)] 7点(2013-11-16 03:28:23) |
62. ブロンクス物語/愛につつまれた街
《ネタバレ》 一人の少年カロジェロ(通称C)と、彼を愛する父親ロレンツォ(デニーロ)、もう一人の父親的存在ソニー(パルミンテリ)の三角関係のような人間ドラマに心温められる映画でした。 カロジェロにとってソニーは憧れであり父親のような存在です。ただその一方で、カロジェロは実の父親であるロレンツォのことも信頼しています。 ソニーとロレンツォのカロジェロに対する教えってのは、真逆のようでいて、その根底にある「カロジェロにまっとうな人間になってほしい」という願いはまったく同じ。ただお互いの生きる世界も違えば、価値観も全く異なるため、ぶつかりあっちゃうのでしょう。 例えば、ロレンツォはカロジェロの友人関係に口出しはしません。一方ソニーはCと友人達を引き離しにかかります。結果、カロジェロは命を救われるわけです。かたぎであるロレンツォには気づくことができなかったカロジェロの友人達の危険性、若者特有の危うさってのをソニーは敏感に感じ取っていたのかもしれません。 ロレンツォとソニーはカロジェロをめぐってまるで恋敵のように反発しあう一方で、お互いのことを認め合っている風でもある。それはラストではっきりするわけですが、なんといってもそのときのロレンツォからソニーへの最後の一言が感動します。何気ない一言なのですが、まるでけんかばかりしていた親友に贈る手向けの言葉のようで、なんともあたたかい気持ちにさせられる一言でした。 [DVD(字幕)] 7点(2013-11-10 14:31:17) |
63. プリティ・ウーマン
《ネタバレ》 ストーリーがシンプルなサクセスストーリーなだけに、役者さんの演技とキャラクターが随所に光り、いつの間にか物語にのめりこんでいる自分がいます。 「娼婦」という設定だけが初めは受け入れられなかったのですが、ヴィヴィアンの告白シーンで街角に立つまでの経緯を知り、初めてお客さんを取った夜は涙がとまらなかったというエピソードに触れたときには、「娼婦」という設定が逆にヴィヴィアンという女性の本質を印象づける結果になり、より一層ヴィヴィアンに共感するようになりました。 また、小さく挟み込んでくるエピソードがどれも良い感じなのもこの映画の魅力かもしれません。例えば、ロデオ・ドライブという店でヴィヴィアンがドレスを買いに行くと全く相手にされなかった一方で、ホテルの支配人は、警戒心を抱きつつも、ヴィヴィアンを一人の女性として扱い、敬意を払う対応を見せました。ヴィヴィアンが変貌を遂げるたびに、温かいまなざしを向けるその表情、こういう支配人のような一流の人間になりたいと思わせるのに十分な魅力を発揮しています。ディナーに呼ばれたヴィヴィアンが、じぶんからテーブルマナーの教授を願いでたことも素晴らしければ、それに丁寧に対応したホテル支配人もまた素晴らしい。この映画の中で一番好きなワンシーンです。 正直言うと、ヴィヴィアンがもう少しビジネスに関わってくるものとばかり思っていたので、そこがあまりリンクしなかったのは残念でしたけど、(とは言え、エドワードの考え方には大きな変化をもたらしたわけですが)人として大事なことに気付くことができる温かい映画だと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-04-22 17:05:12) |
64. フォー・ザ・ボーイズ
《ネタバレ》 過去から現代に至るまでの、伝記のようなストーリー。 序盤は戦時中ながらも、ディクシーが一躍人気者になっていくそのプロセス、演出がなんとも言えず爽快。 ですが中盤あたりから、すっかりスターになったディクシーの、傲慢で高圧的な態度には、興ざめする人もいるかもしれません。 表面上では絵に描いたようなスター気取りのディクシーも、家族に対する愛情や、人を大切にする気持ちは失っていません。ですので最後まで、何か魅力のあるキャラクターに仕上がっています。 中盤以降は反戦メッセージが強くなります。 涙腺がゆるくなってしまうシーンも。 前線にいる夫との感動の再会シーンから一転。前線の息子のいる隊の前で話し、歌い、みんなを感動させているシーンからまた一転。 そのコントラスが効いていて、胸に響いてくるものがあります。うまい演出だなぁ。 長めの映画ではありますが、その長さを感じさせないオススメの一本です。 [DVD(字幕)] 7点(2012-06-01 14:32:09) |
65. フラッシュバック(1990)
《ネタバレ》 ヒッピー。・・・ヒッピー?そもそもヒッピーとはなんぞや? 調べてみました。 どうやら、『文明や既成の価値観に縛られない人達』 『自然や愛や平和や自由を愛する人達』 『1960年代のアメリカで、反戦運動の中心になった人達』 といった人達の総称のようですね。 ヒッピーの犯罪者(と言っても冤罪でしたが)と、頭かっちかちの若手FBI捜査官の逃亡ロードムービー。なるほど!正反対の二人!これは面白い! きっと、その情報を知ってから見たほうが面白いかもです。 ただ、僕は知らないまま見ましたが、娯楽作品として笑いあり、緊張感ありで十分楽しめました。まさに万人向けのエンターテイメントです。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-27 12:23:12) |
66. フライトナイト
《ネタバレ》 隣人が吸血鬼だということを、みんなが気づくまでが面白いです。気づいてからは普通のパワーゲームになっちゃいます。 十字架、杭(とがった木材であればなんでもOK)、聖水、太陽の光と、弱点ばかりの吸血鬼。むしろ一般人より弱いかもしれない。 よって怖くはないので安心して鑑賞できますが、「ホラー映画」という認識で見てしまうと刺激はまったくないので注意が必要です。 本作ではらはらしようと思ったら、吸血鬼側の視点で見ると良いかもしれません。 「あぶない!十字架だ!」「ああ、時間だ。日が昇る!朝日だ!やめろ、壁を壊すな!」もうはらはらしっぱなしです。(たぶん・・・) この映画を見て、吸血鬼として生きていくのがどれだけ大変かよくわかりました。みんなでいたわってあげないといけないですね。 [DVD(字幕)] 7点(2012-04-12 16:25:53) |
67. ブロードキャスト・ニュース
《ネタバレ》 普通に考えれば、ジェーンとアーロンが一番合っているとは思いますが、全く二人とタイプの違うトムにジェーンが惹かれてしまうのが逆にリアルです。 アーロンの「君が二人いれば良いのに。親友の君と、ボクがほれている君。いや、忘れてくれ。」は個人的に名台詞でしたね。しかしトムのことが好きだと打ち明けるジェーンに、結局アーロンは腹を立ててしまう。ああ、なんかすごくわかります。追い詰められれば、格好つけられなくなるものです。 映画としては、思っていたより恋愛要素が中盤からがんがん入ってきて、もう少し前半の緊迫感あるニュース作りを見たかったという気持ちが強いです。でもこれは好みの問題です。全体のバランスは最高に良い映画だと思います。 7年後のラストシーンも、やたら現実感にあふれていて、なんか切なくて、良かったですね。 [DVD(字幕)] 7点(2012-02-12 13:45:14) |
68. ブロンコ・ビリー
《ネタバレ》 「潮風のいたずら」を思い出します。こちらが先ですね。 べたな展開とハッピーエンドが好きなので楽しめました。 テンポがてきぱきしているのも良いです。 まあ、多少のあらはありますが、コメディですから。あまりつっこまずに見るのが良いのでしょう。それでもあえてつっこむとすれば、悪徳警官がそのままなのはすっきりしませんね。列車強盗も驚きです。まったく相手にされなくて良かったです。もしかしてそこで笑いをとりたかったのでしょうか。「お父さん、カウボーイだよ」「そうだね~」のシーンは確かに笑えます。でも今まで良い人達だと思っていた一座のイメージが崩されちゃいます。だから個人的には、列車強盗の流れはいらないです。 それにしても、30年前以上の映画なのに、あまり古さを感じないものですね。良い映画だということでしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2011-11-16 04:49:43) |
69. プロメテウス
《ネタバレ》 エリザベス・ショウとチャーリーはエンジニアに会いたい。 社長は長生きしたい。 他の人はお金欲しい。友達は要らない。 社長の娘は何考えているかわからん。 ロボットも何考えているかわからん。 人類の祖先も何考えているかわからん。 なんとも感情移入しづらい作品です。 もちろん、何も考えずにただモンスターパニックを楽しめばいいんでしょうけどね。 その肝心のモンスターが、冒頭1時間くらい出てこんのですわ。オタクな会話を延々と聞かされ続ける前半。思っていた以上にマニア向けの仕上がりになっちゃってます。後半はそれなりに手に汗握り楽しめましたが・・・ 早い段階で、イケメン担当のチャーリー・ホロウェイやられちゃって・・・てっきり主役なのかと・・・ そっからはエリザベス・ショウが四面楚歌状態で孤軍奮闘。なんだかもうバッド・エンドへ一直線って感じが痛々しくて・・・。 どうにもこの映画、自分が見たかったものとは違うような・・・。 『力を合わせてエイリアンを倒そう』とか、『何とかしてこの惑星から脱出しよう』とか、単純明快なものを求めていた自分が悪いんでしょうねぇ。 チャーリーに、エイリアンの幼生らしきものをカクテルに混ぜて飲ませちゃうロボット。なにゆえそんなことをしたのか・・・。 そんな事実があるとはつゆ知らず、言われるがままにロボットを助けちゃうエリザベス・ショウ。私たちにも、ロボットが何を考えていたのかは教えてもらえぬまま・・・。見終わっても、何だか心はもやもやしたまま・・・。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2023-06-05 01:26:29)(良:2票) |
70. プレーンズ2/ファイアー&レスキュー
《ネタバレ》 1作目に比べると、ダスティがやや困ったちゃんな2作目。致命的なトラブルが2つ。どちらもダスティの身勝手さが招いたもの。なのでどーにも気分的に盛り上がりづらいのです。 まあ、1つ目のトラブルは、レースに出られないっていう現実を認めたくない気持ちから生じたものですから、同情の余地はありますが・・・。2つめのトラブルは許せないですね。 火災現場で上司の指示を聞いていない。そのうえ上司の命令を悉く無視して勝手な行動ばかりとる。消防の現場どころか、どの現場においても許されない行為です。その結果、どちらも取り返しのつかない惨事を招いてしまって・・・。 この映画の冒頭で、『消防士たちにこの映画を捧げる』みたいなテロップが出るんですが、消防士がこの映画見たら怒るんじゃないかなぁ。 今回はライバルのような存在もいませんので、そっち方面の盛りあがりにも欠けます。 唯一の悪役の所長が、とんでもないやつすぎて、アニメなのにイライラしちゃいます。 やりたい放題やって、大勢が所長のせいで危険な目に遭ったのに、『クビになりました』の一言で終わり。いやいや、それじゃ溜飲は下がりませんぜ。 アニメーションは抜群のクオリティ。特に終盤の火災大パニックの救助アクションは圧巻。それだけでも見る価値がありました。 [ブルーレイ(吹替)] 6点(2023-06-01 14:49:24) |
71. BLACK & WHITE/ブラック&ホワイト(2012)
《ネタバレ》 軽いノリのライトアクションコメディ。1980年代から1990年代にかけて流行った刑事バディもののノリ。今作の2人の主人公はCIAの特殊捜査官ですが、たとえ刑事でも全く同じ内容の映画になりそうです。 一応悪いやつもいるにはいますが出番はオープニングでほぼ終わり。物語の9割はラブコメなので、この悪役の影は限りなく薄い。 だめじゃないけど、サスペンスアクションにもう少し力を入れてもらったほうが、よりコメディの部分が活きる気もします。激ヤバな状況を軽口を叩きながら乗り切っちゃうような、そーゆーのが好きです。 今作はサスペンス色もアクションもほとんど力を入れていないので、とにかくユルユル。コメディ全開。でもちょっとだけ犯罪組織の動きを匂わすもんだから、どーしても刺激や緊張感が欲しくなってしまいます。 ラブコメのほうはなかなかの出来だと思いますよ。特にコメディ部分ですが。卓越したCIA捜査官のスキル。科学力。組織力。それらを総動員してやることが、一般女性のストーキング。こーゆーのは大げさにやればやるほど面白いので、そーいった意味ではよくできています。特にそれぞれのチームのメンバーが大真面目にローレンス(リース・ウィザースプーン)の身辺調査をしているのが面白い。途中まではチームのメンバーも『ハインリッヒと何の関係が?』と尋ねていたのに、いつの間にかもう何となく事情を察して尋ねなくなっているのがちょっと面白い。挙句の果てにはお互いのチームをちょっとライバル視している節もあったりして。 どうせ最後は二人ともフラれるんだろうと思っていたのですが、なるほどそうきましたか。これは後味の良い終わり方ですね。 映画のラストをケンカと笑いで〆たのも好印象です。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2022-07-08 14:33:19)(良:1票) |
72. ブリッツ
《ネタバレ》 ジェイソン・ステイサムの映画は一通り見るようにしています。まあ、いつものジェイソン・ステイサムですね。 スティーヴン・セガール、ジェイソン・ステイサム、水戸黄門はいつも同じで、それが良い。 ストーリー?悪くはないですがもう一声なんかほしかった。 ヤク中の女刑事。その女刑事を慕うギャングの少年。奥さんを亡くしたベテラン刑事。ドラマとして面白くなりそうな要素をいくつか用意した割に、ドラマパートが一様に盛り上がらない。もう少しそういった要素が映画の面白さに貢献できなかったものでしょうか。 例えば女刑事のほうでも良いですが、幸せな家庭を築いている刑事を用意してそれを惨殺させたほうが復讐のカタルシスを得られると思います。 次々と自分を捕まえたことのある警官を処刑していくワイス。逆恨みもいいとこですが、そのイカれ具合は悪くない。 ただ、ワイス演じるエイダン・ギレンの拭いきれない小者感。ジェイソン・ステイサムを相手にするにはちょーっと役不足でしたかね。せめて警察組織を逆恨みするサイコパス集団による組織的な犯行であれば、もう少し見ごたえもあったかもしれません。 [DVD(字幕)] 6点(2022-04-18 00:53:25) |
73. ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ
《ネタバレ》 ホラー映画の世界に迷い込んでしまうっていう、なんかあったような気がしたけど、いや、意外とこーゆーのなかったな、という映画。映画の世界に入ってしまうっていうのはあったと思います。映画のキャラクターが現実世界に出てくるってのもあったと思います。でもホラー映画の世界に迷い込んでしまうってのは実は新しい試みなのか? アイデア勝負に頼りきることなく、わりと設定やら詳細やらB級にしては丁寧に作られている感じが好感が持てます。何度も同じところをぐるぐるループしたり。ファイナル・ガールは一人にならないと強くならなかったり。 更には回想シーンにまで入り込んでしまうのが凄い。ご丁寧に白黒にチェンジまでして。 アイデアを支える映像が何気に面白い。タイトルやらエンドロールまでもがタイトルの中に入ってくるのがとても楽しい。 見せ場はしっかりスローモーションに。映画で使われる手法が映画に入り込んだ自分たちにも影響を及ぼすっていう演出が面白いです。 とはいえ、映画そのものが面白かったかと問われると、何とも言えないのが正直なところ。人に勧めるかと尋ねられればおそらく勧めないでしょうし。挑戦的だし目のつけどころは良い映画だと思いますけどね。ホラーにもコメディにもヒューマンドラマにもなりきれなかった中途半端さを感じます。 主演女優が個人的にかなり好みのタイプだったので最後まで楽しく見られましたが、そうでなかったらもう少し評価が下がったかもしれません。 [DVD(字幕)] 6点(2022-01-23 18:02:33) |
74. プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂
《ネタバレ》 こーゆーアイテムが出てきた時点で覚悟はしていたのですが、やっぱり今までのことを無かったことにされちゃいました。 もともとこーゆー『タイム・リープ』&『リセット』のコンビはそれまで見てきた時間を無駄にされちゃったような気分になるので好きではないです。ただこの作品ではあのタイミングで序盤に戻るのはもはや必然だし、結果ハッピーエンドなので、気にはなっても気分を害するほどではなかったです。善良な兄弟や父王、黒人ハンターの死もなかったことになるので、それはそれで良かったかと思います。 それにしてもなかなか都合の良いところまで巻き戻りましたね。 タミーナ王女も当然すべての記憶が失われているわけですが、タミーナ王女だけはなぜかすべて覚えているという設定でも面白かったかもしれません。 映像的な面白さも2010年の作品だけあってなかなか良かったです。特に時間が巻き戻るときの映像は結構好きです。 それにしてもやたら叔父のニザム(ベン・キングズレー)をダスタンは信頼していたようですが、どう見ても悪人にしか見えないです。こんな顔した人間が良いやつなわけないじゃん。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2021-08-15 02:47:24) |
75. プレデターズ(2010)
《ネタバレ》 プレデターが正体不明だった1作目は、やはり超えられませんね。すでにネタがわかっているという制約のなか、適度な緊張感とキャラの豊富さで、水準以上の作品にはなっていると思います。 プレデターシリーズでなければ7点以上をつけるところです。どうしても『プレデター』と冠したものは期待値が上がってしまうものですが、その期待を超える作品とはなかなか出会えません。 いきなり落下傘からのスタートというのは斬新でスリリング。目が覚めたらスカイダイビング中なんて、考えただけでも恐ろしい。つかみはばっちりでしょう。惹きこまれます。 各地の戦場から、その道のプロや猛者を選別して拉致ってきたって設定もぶっとんでいますが、その中に殺人鬼や囚人やヤクザが混じっているのが凄い。 ただ、キャラが豊富でも、その強さの描き方が足りません。それぞれの肩書きを言葉で紹介するだけ。だから本当はもっと強い集団のはずなんだろーけど、それが伝わってこない。『プレデターに狩られる者達』という域を出ていないのです。これじゃあ企画倒れ。 モーフィアスには悪いけど、ノーランドのエピソードなんてまるまるカットして、1人1人のキャラが地球にいたときどれだけぶっとんだ存在だったかを描いたほうが良かったように思います。 ラストはハッピーエンドとは程遠く、新たな戦いが始まるところで終わります。2人が宇宙船で脱出しながら、パラシュート部隊をそらから眺めるという終わり方だったら、私好みの余韻に浸れたんじゃないだろーかと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2021-06-08 02:45:32) |
76. 42~世界を変えた男~
《ネタバレ》 実話を元にした映画っていうのは、事実を捻じ曲げることができません。 ですので、映画として、どうアレンジし、味付けしていくのかが大切だと思います。 そういった意味ではこの作品、やや薄味すぎるのではないかなと。 ジャッキー・ロビンソンという偉大なメジャーリーガーの伝記としては価値ある作品。 ただ映画の内容は、史上初の黒人メジャーリーガが成功していった事実を淡々と述べただけのものに収まっています。 劇中の障害は差別のみ。描かれる差別は『トイレ』『シャワー』『宿泊拒否』『飛行機』といったオーソドックスなもので、そのひとつひとつが表面的な描写のみです。あとはひたすら『ヤジ』ですね。 ロビンソンを強く差別していたチームメイトはトレード。リッキー会長という最も強力な権力者は味方だし、チームメイトも一部を除いて良い人ばかり。野球だって順調に活躍し、挫折なんてしません。 いや、サクセスストーリーは好きなんですよ。ですがさすがにここまで山場がないと、カタルシスを感じることもないわけです。 かといって事実にない事件を起こすわけにもいかないでしょうし。好きなジャンルではあるんですが、実話ものの限界を感じます。 音楽はすごく良かったです。 『全選手が42のユニフォームを着る日』や『42は全球団において永久欠番』のエピソードは感動しました。それを知ることができただけでも、この映画を見た価値があります。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-05-25 02:37:47)(良:1票) |
77. プラネット・テラー in グラインドハウス
《ネタバレ》 映像に昔のフィルムっぽい味を出していますが、内容が内容だけにそんなものはどーでもよくなってしまいます。 よくあるゾンビパニック。ペースは速い。次々と出る犠牲者。お気に入りは病院のシーン。最初の感染者を診るシーンから始まり、徐々に増える救急患者。誰を見ても顔に膿が出来ているカットのチラ見せ。こーゆーの好きです。広がるパニックはゾンビものの最大の見所です。エル・レイが病院に着くころには、感染者が病院スタッフを襲い始めていて、個人的には最もアツいシークエンスです。 で、この辺まではゾンビパニックとして、私としてはかなりの高評価です。 こっから先は悪ノリがヒートアップ。もう作り手側がふざけているとしか思えない演出、ストーリー、キャラクター。嫌いではないですが、前半のノリのほうが好き。フィルムが消失。お詫びのテロップ。再開したら話が随分とんでいます。『ああ、これはもうまじめに映画を作り気は最初からなかったんだな』と思っちゃうと、急に気持ちが冷めちゃいます。 エル・レイは病院でのアクションがやたらめったらかっこよく、射撃の腕前もずば抜けていたのに、あの最期は何なんでしょう。兄弟のしんみりする最期とか、ヒロインのエル・レイへの最後の涙とか、後半のノリからすると随分浮いちゃっていて、どーゆー気持ちで見れば良いのか正直わからんかったです。 まあ、デス・プルーフよりかは面白かったですね。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-02-02 15:03:46) |
78. ブライダル・ウォーズ
《ネタバレ》 大好きなケイト・ハドソンとアン・ハサウェイの共演。これは見なければ。ということで、二人を見たくて鑑賞。あれれ?ケイト・ハドソンってこんな太かったっけ?このときまだ30歳くらいのはず。それにしてはちょっと劣化が・・・。そしてアン・ハサウェイ。こちらは安定の可愛さですが、なにしろ『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイが尋常じゃないくらい可愛かったので、本作ではそこまでの魅力は引き出せていないように感じます。こーゆー作品は主演をいかに可愛く撮るかも大事だと思います。 ストーリーはザ・ラブコメでテンポも良い。ただストーリーの核となる部分は異議あり。『6月にプラザで式を挙げる』『お互いの介添人になる』というのが二人の夢。で、6月6日に二人の挙式が重なっちゃって喧嘩になるわけですが、その喧嘩の過程で二人はそれぞれ別の介添人を見つけます。で、当日二人は同じ式場で式を挙げることができています。あれ?じゃあ喧嘩する必要なくない?二人がお互いの足を引っ張り合うほどのあの諍いはいったい何だったんだ。 で、もう一つのストーリーが、2組のカップルの対比。その結果エマとフレッチは破局させる。そういった展開は嫌いではないですが、この映画には蛇足だったんじゃないでしょうか。ストレートに2組ともめでたしめでたしで良かったんじゃないかな。エマは最後に新しい恋人ができて良かったですが、それは結果論。それに、リヴだけが全ての願いをかなえちゃったような気もして、なんか不公平。フレッチにいたっては可哀想過ぎます。決して悪い人じゃないのに。結婚して、お互いの嫌な面がわかって、でも長い時間を共にすることでそういったことも許容できるようになるのが結婚生活。リヴが二人の破局を招くきっかけを作ったのは間違いないのに、なんかハッピーエンドみたいなしめくくりでいまいちスッキリしませんでした。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2019-03-17 17:17:36)(良:1票) |
79. PLANET OF THE APES/猿の惑星
《ネタバレ》 オリジナルとは切り離して見るつもりだったのですが、いつの間にか比べちゃいますね。 『現地の人が普通にしゃべっている。』『ここは地球ではないのか。』などなど。 それにしても、主人公や猿、現地の人、誰も彼もが一歩引いた演技に見えるのは気のせいでしょうか。 何となく舞台劇っぽく見えてしまいます。 そしてフィールドに広がりを感じなかったのも、やや物足りないです。 現実世界が映画の舞台であれば、映像には映らない世界の広がりや奥行きを、私達は自然と認識できます。 ですが、SFではそうはいきません。目に見える世界以外のことは、意識してはじめて、想像することができます。 SFって、どうしても世界がこじんまりと感じがちです。 そう考えると、舞台がオールフィクションでありながら、あの世界の広がりを感じられる『スター・ウォーズ』シリーズは、確かにSFにおける傑作かもしれません。 ストーリーに関しては、はっきり言って中途半端な印象です。 脱出劇なのか。アクションなのか。 脱出劇にしては緊張感に欠け、アクションにしてはカタルシスに欠けます。 『主人公達の脱出を手伝うアリ。』『セード将軍を裏切る部下ゴリラ。』 その動機に説得力はありません。整合性もありません。 ビジュアルだけが凄く良かったですね。 ストーリー3、ビジュアル9、間をとって6点といったところでしょうか。 正直ラスト、さっぱりわかりませんでした。 あるサイトで、かなり説得力のある意見を目にしましたが、この映画を見ただけでそこまで理解するのは、普通の人には無理でしょう。 『猿の惑星』シリーズとのファーストコンタクトがこの作品であれば、一本の映画としてはまあまあ面白いと思われます。 B級の域は出ないと思いますが。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2016-07-16 14:11:12) |
80. ファイナル・デッドブリッジ
《ネタバレ》 個人的には、シリーズ中一番盛り上がらなかった作品かもしれません。 今作はグロ描写に力を入れすぎてしまい、もはや悪趣味の域です。 いきすぎた表現は、現実感を薄め、虚構感を生み出す傾向があります。今作は特にその傾向が強く、作りものであることを観る側に強く意識させてしまう可能性があります。 また、死んだ姿を見せている時間が長いのも問題あります。倫理的な面でもそうですが、それ以前に『どーだ、こーゆーのが見たいんだろう。』と一方的に言われているようで、大変不愉快です。 シリーズ通して必ずあった『サイン』のようなものも無くなっています。あの『サイン』こそが、このシリーズの緊張感を生み出している最大のポイント。つまりはこのシリーズは、『結果』ではなくその『過程』における工夫の度合いが重要なのです。この監督さんはシリーズの良さが全くわかっていません。 そして最悪なのが、『人』対『人』の構図を作ってしまったことです。このシリーズで一番やってほしくなかったことです。それをやっちゃうと、ただのサスペンスに成り下がってしまうということがわからないのでしょーか。 最初の橋落としのシークエンスとラストの飛行機。この作品でよかったのはこの2点です。 特にラストのつながりは、このシリーズのファンにとっては感慨深いものがあるのではないでしょーか。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2016-04-22 11:12:31)(良:2票) |