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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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361.  アメリカン・ビューティー 《ネタバレ》 
本作は家庭の崩壊を描いた作品だと言われますが、実際のところ、家庭という要素はあまり重く扱われていないように思います。主人公であるお父さんは中盤で吹っ切れてしまい、以降は家庭に背を向けてしまうからです。嫁や娘とどう向き合うかという視点は一切なく、彼女達の存在は彼の頭からは完全に消えてしまいます。むしろ私が注目したのは、本作が1999年に製作されたという点です。1999年といえば、『マトリックス』と『ファイト・クラブ』という映画史に残る傑作が2本も生まれた年。そして両作ともに、くだらない日常を生きる男が、生の実感を求めて戦いの世界に足を踏み入れるというお話でした。本作もまた、上記2作と共通のテーマを扱っているように思います。家庭と仕事に揉まれて人生を見失っていた男が、そうした一切のしがらみを捨てて自分の歩みたい道を目指す。上記2作の主人公が追い求めたのは「全人類の救世主になる」「国中の男を束ねた組織のリーダーになる」という幼稚な夢でしたが、一方、本作の主人公が追い求めるのは「女子高生とセックスする」という実に下世話だが、実に正直な夢。目指すもののレベルはぐっと下がりましたが、レスター・バーナムはネオやタイラー・ダーデンと同根の男なのです。。。 本作の脚本は非常によくまとまっています。「この後、私は死ぬ」というつかみで一気に観客の関心を引き、その後は意外性のある展開が繰り広げられてまったく先読みさせません。コンラッド・L・ホールによる撮影、サム・メンデスによる演出も非常に手堅く、こういうものをよく出来た映画と言うのだという見本のような仕上がりとなっています。ただし、問題に感じた点が一点だけあります。クライマックスにて主人公はついに憧れの女子高生とセックスする機会を得たものの、結局彼はセックスを辞退してしまうということ。そこに大人の良識を介入させたら、青年に戻った中年男の悲劇というドラマの意義が半減してしまうでしょうよ。アメリカ社会の破壊を実行したタイラー・ダーデンを見習って欲しいところでした。
[DVD(吹替)] 7点(2013-06-21 01:25:38)(良:2票)
362.  普通の人々
二人の息子のうち、可愛がっていた方が死んでしまった家族の物語。兄の死や弟の自殺未遂といった映画的に美味しい部分は敢えて省略し、一家が平穏を取り戻そうとしている部分にスポットを当てるという、なかなか斬新な構成となっています。『ペーパームーン』で高い評価を獲得し、後には『スパイダーマン』シリーズを手掛けるアルヴィン・サージェントによる脚色が素晴らしく、本来はドラマティックではない物語が、非常にドラマティックな内容として描かれています。何が素晴らしいって、それまで機嫌良くしていた人間がさっと冷めていく瞬間であったり、何となく保たれていた日常の均衡が崩れる時の気まずさであったりというものが、抜群の臨場感をもって描かれているのです。例えば、祖父母も交えて家族写真を撮る場面。みんな勝手なことばかりを言って会話はまるで噛み合っていないのですが、それでも全員が笑顔で機嫌良く振舞うことで、場の空気は平穏に保たれていました。しかし、イライラを募らせた次男が怒鳴り声をあげたことで一瞬にして全員が凍りつき、「この場を何とか取り繕わなきゃ」と思っても適切な言葉が浮かんでこないという、あの場面の何とも言えない気まずさ。あるいは、冒頭の朝食の場面。母親が作った朝食を子供が食べないというありふれた場面なのですが、本作の母親は「食べないのなら捨てる」と言って、出来たてのフレンチトーストを流しに捨ててしまいます。この数十秒のやり取りで、この母親がキ○ガイだということが観客にはっきりと伝わる仕組みになっているのです。本作にはこの手の的確な描写が多く、ディティールの面で非常に成功した映画だと言えます。。。 レッドフォードは初監督ながら、地に足のついた演出でこの脚本を映像化しています。また、自身が俳優であるためか役者の動かし方もよく心得ていて、エキセントリックな役柄ばかりを演じてきたドナルド・サザーランドに気の弱い父親役を、有名なコメディアンであるメアリー・タイラー・ムーアに神経質な母親役を、演技歴の浅いティモシー・ハットンに繊細な次男役をやらせるという奇抜なキャスティングながら、各々から生涯ベストとも言える名演技を引き出しています。ただし、地に足がつき過ぎて一つ一つの場面が妙に長かった点は、本作の数少ない欠点。今回DVDで見たオリジナル版よりも、正味90分に編集された地上波放映版の方が面白く感じられました。
[DVD(吹替)] 7点(2013-06-19 01:39:47)(良:1票)
363.  リバー・ランズ・スルー・イット
家庭内での長男・長女の立ち位置は悲惨なものです。家族のアイドルでいられるのは生後数年間のみであり、弟・妹の誕生とともにスポットライトを奪われ、以後は良い子であることを強要され続けます。ならばと両親の期待に少しでも近づけるよう努力を重ねると、今度は「真面目なのはいいが、感情を表に出さないから接しづらい」などと言われる始末。一方下の子はというと、家庭のアイドル状態は成人するまで継続し、ありのままに生きることが許容され続けます。欠点までもが両親からの愛情の対象となり、「たまに問題は起こすが、素直でかわいい子」ポジションを確立するというわけです。問題を起こさず真面目に生きても、そのことを褒められもしない長男・長女からすれば、永遠に越えられない壁が弟・妹なのです。。。 本作で描かれるのは、兄の目を通した弟の物語。兄は、自分とは正反対の人種である弟のことをまったく理解できません。だから、弟がどんどん破滅へ向かっても、その原因は兄にも観客にもサッパリわからないし、兄は堕ちていく弟をただ傍観するのみで、彼を止めようともしません。このドラマ展開はかなり斬新なものですが、同時にこれは現実世界の一側面を的確に描写したものだとも感じました。私にも妹がいて、兄妹仲も悪くないのですが、妹の考えが分からない時がしばしばあります。同じ家で育ったとはいえ、まるで違う育てられ方をしたためにモノの捉え方や感じ方がまるっきり異なるのです。。。 この映画のテーマはとてつもなく興味深いものです。それは家族愛とか家庭の断裂といったありがちなテーマではなく、家族内にも理解できないことはいっぱいあるよねという、物凄く深い部分の話をしているからです。レッドフォードは家庭を扱った映画をいくつか手がけていますが、本作はその決定版とも言える内容だと思います。。。 以上、企画の志には大いに賛同できるのですが、如何せん単調で起伏に欠ける映画なので、見入ってしまうほどの面白さはありませんでした。美しい映像で全てを語ろうとするレッドフォードの演出も上品過ぎて肌に合わず、「一度見ればもう充分」というのが率直な感想です。
[DVD(吹替)] 5点(2013-06-18 01:33:40)
364.  スカイ・ハイ(2005) 《ネタバレ》 
みなさんご指摘の通り、『ハリー・ポッター』と『X-MEN』を『Mr.インクレディブル』風に料理した映画なのですが、ディズニーらしい丁寧な脚本が光っており、90分間充分に楽しめる娯楽作となっています。適度に笑わせ、適度に感動させ、適度に燃えさせる。合間に挿入される「ヒーローあるある」も楽しくて、誰もが見入ってしまうほど面白い映画ではないでしょうか。。。 と、娯楽作としては文句なしに面白いのですが、構成には首を傾げざるをえない部分が多々ありました。【目隠シスト】さんがご指摘の通り、主人公が能力を発現させるタイミングがあまりに早すぎるのです。この映画はヒーローもののパロディという体裁をとりながらも、その内容は現実の高校生の実態を描いたものです。優秀な両親の息子として周囲からの期待を集めながらも、それに見合った器に成長できない主人公の葛藤がドラマの骨子であったはずなのに、中盤で早々と学園最強クラスの能力を開花させてしまったのでは、この映画がやろうとしたことが見えなくなってしまいます。また、本作はスクールカーストを描いた映画でもあります。子供達は大人によって「ヒーロークラス」と「サイドキッククラス」に分けられ、そうした大人による選別がスクールカーストという形となって子供達の人間関係にも深刻な影響を与えています。少なくとも前半では、その問題をかなり真面目に扱った映画だったように見受けたのですが、やはり主人公が強くなりすぎたことで、この点も中途半端になってしまいます。このテーマであれば、「ヒーローかサイドキックかという選別に何の意味があるのか?落ちこぼれが役に立つ時だってあるのだ」という展開とすべきだったのに、主人公がスーパーサイヤ人化してしまったことで、物語に意味付けができなくなってしまいます。主人公は最初から最後までダメな奴だが、苦しんだ挙句に両親とは違うヒーロー像を確立するという物語にすべきだったのです。また、かつてヒーローになる道を断念したバス運転手が、最終的にヒーロー化するというオチなどは最悪で、結局は「みんなヒーローになりましょう」という、作品全体の方向性とは正反対の結論を導き出すに至っています。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-06-17 01:34:42)(良:1票)
365.  デイズ・オブ・サンダー
『俺たちに明日はない』『チャイナタウン』などで知られる巨匠・ロバート・タウンが脚本を書いたとは思えないほど安っぽい話で驚いてしまいました。天才的な才能を持つ青年の挫折と再生を描いた物語はまんま『トップガン』だし、かつてのライバルと友情を結び、新たなライバルとの対決に向かうというクライマックスは少年ジャンプのノリ。他の映画と差別化できるような新基軸も打ち出せておらず、この脚本では批判を受けて当然だと思います。さらには、『トップガン』『ハスラー2』に続いて横柄な天才役を演じるトム・クルーズはいい加減ハナについてきたし、この頃のニコール・キッドマンは演技がイマイチ。当時、「トム・クルーズの嫁」という以外に売りがなかったことにも妙に納得がいきました。この二人が演じるラブシーンはまさに悪夢であり、ラブシーンの演出を不得意とするトニー・スコットの不手際とも相まって、見ているこっちが気恥ずかしくなる代物となっています。。。 とまぁ内容的にはまったくダメなのですが、レースシーンが突出してかっこよかった点は素直に評価できます。この辺りはマシーンの描写を得意とするトニー・スコットの独壇場だったし、クリス・レベンゾンによるドライブ感溢れる編集も作品に大きく貢献しています。さらに、本作はハンス・ジマーが関与した初のアクション大作となるのですが、やはりこの人の音楽は最高にかっこいいのです。クライマックスのレースでは燃えまくりました。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-06-17 00:50:55)
366.  ボーン・コレクター 《ネタバレ》 
90年代はシリアルキラーものが量産された時期でしたが、一部の成功作を除くと大半が駄作でした。その理由は簡単で、どうすればラストで観客を驚かせるか、オチの意外性のみにこだわった結果、論理を積み重ねて真相にたどり着くという推理もの本来の面白さが置き去りにされた本末転倒な企画ばかりになってしまったからです。本作は、そんな90年代最後の年に製作されたシリアルキラーものですが、老舗スタジオであるユニバーサルが直接製作し、オスカー俳優を2人も投入。さらには、この手の映画としては史上最大規模の予算が投入され(『セブン』の2倍、『羊たちの沈黙』の4倍)、ジャンルの決定版を作ってやろうという只事ではない期待が込められていました。流行に便乗して作られたそこいらのB級サスペンスとはまるで次元の違う企画だったというわけです。。。 果たしてその出来はと言うと、これがダメなサスペンス映画がやらかしそうな失敗を全部やってしまっていて、お世辞にも出来の良い映画とは言えませんでした。オチが唐突すぎて本編の推理がほとんどムダになっているし(主人公が犯人を追い詰めるのではなく、主人公の元に自らやってきた犯人を射殺して終わりという展開はあんまりでは?)、観客に対してダミーの容疑者が与えられる終盤の展開についても、情報を提示するタイミングのマズさから、これがミスディレクションとして機能していません。さらには、若い女性警官と全身麻痺の天才刑事がコンビを組むという設定も、中盤から置き去りにされています。弱点を持つ者同士が互いに補い合い、二人で一人の刑事として動くということがこの企画の骨子だったと思うのですが、中盤以降は「上司からの命令を忠実に実行する部下」程度の関係性になってしまい、それが後半では「二人は恋仲にある」という訳の分からんゾーンへと突入していき、そもそもの設定が完全に死んでしまっています。安楽死を望むデンゼルと、父親の自殺が大きなトラウマとなっているアンジーという、序盤で提示されるドラマを途中で切り捨ててしまったことがその大きな要因であり、この映画はプロットの取捨選択を間違えています。。。 本作の監督を務めたのはフィリップ・ノイス。正直言って才能を感じさせない監督さんであり、多くの要素が複雑に入り乱れる本作の演出には不適格だったと言わざるをえません。 
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2013-06-16 01:39:07)
367.  ロンリエスト・プラネット 孤独な惑星
これは久々にえらいものを掴まされました。映画はいきなり始まっていきなり終わり、起承転結らしきものはありません。それどころか話らしい話もなく、辺境の国を旅する変わり者カップルと、彼らが現地で雇ったガイドが野山を歩く姿が延々と映し出されるのみ。ほとんどの場面が無言であり、たまに喋ったと思ったら本当にどうでもいい雑談ばかりで、あまりに実験的過ぎて呆気にとられます。作品の舞台が一体どこなのかということは終盤まで明かされないし、主人公達が一体何者であるかということも特に言及されません。ただ、そこで起こったことを切り取っただけの内容。映画がひたすらにリアリティを追求すれば、行き着くのはこの境地なのだろうという極北を体感することができます。おまけにこの映画、上映時間が妙に長い(113分)。90分程度でサクっと終わらせるのならともかく、わざわざ長めに作っている辺りが実にイヤらしいのです。もはやこれは監督と観客の根比べ、何も起こらない環境映像をどれだけ眺めていられるかという忍耐の勝負になってくるわけです。はっきり言います、この映画はまったく面白くありません。「面白さ」という尺度を意図的に放棄した企画なのだから、当然といえば当然なのですが。。。 救いは、演技や撮影、音響等のレベルが高いということです。優秀な技術スタッフの手腕によって中央アジアの大自然の美しさが見事に映し出されているし、俳優達のナチュラルな演技は風景の邪魔をしていません。環境映像と割り切ってしまえば、この映画は「あり」かもしれませんね。それにしても113分は長すぎですが。
[DVD(字幕)] 2点(2013-06-16 00:23:11)
368.  ア・フュー・グッドメン 《ネタバレ》 
ブラッド・ピットやキアヌ・リーブスが世界的な人気を獲得する以前、ハリウッドはトム・クルーズのものでした。90年代前半のトムはまさに絶頂期にあり、派手な見せ場のない本作も、アメリカ国内だけで1億3千万ドル(2013年現在の貨幣価値に換算して2億5千万ドル)という規格外の大ヒットとなりました。さらには、アカデミー作品賞ノミネートというオマケまでくっつき、このジャンルの映画としてはかつてない大成功を収めた作品となったのです。。。 上記の通りビジネス面では大ホームランだった本作ですが、トム様の全盛期も今は昔、現在の目で見ると、それほど高評価を受けるような映画ではないというのが率直な印象です。頭は良いがグータラな男と、地味だが真面目一直線の女、そして家庭を愛する地味な男がチームを組んで巨悪に立ち向かうという構図は面白いものの、重要な場面は必ずと言っていいほどトム様の独壇場で、チーム戦としての面白さがまったく追求されていません。劇中、やたらと野球の話が出てくるのでチームワークを描いた映画になるのだろうと思っていたのですが、それは私の思い過ごしだったようです。さらには、彼らに対する悪人達のキャラ造形は非常に薄っぺら。ジャック・ニコルソンとキーファー・サザーランドというカリスマ的な俳優の力によって何とか帳尻は合っているものの、ここまで単純な悪人にはあまり面白みを感じませんでした。。。 本作の原作と脚本を書いたのは、後に『ソーシャル・ネットワーク』を手がけるアーロン・ソーキンです。ソーキン印の勢いある会話劇としてはよく出来ているのですが、証拠を追いかけながら真実に達するという法廷ものの醍醐味はほとんど追求されていません。事実や論理の積み重ねなどはなく、相手の手落ちを誘導する法廷での舌戦のみで話が進んでいき、知的興奮を求めると少なからず裏切られます。ジェセップ大佐が若造の仕掛けた罠にまんまと引っかかって罪を白状するクライマックスなんて、あまりに単純すぎて白けてしまいました。。。 とまぁ悪口を多く書きましたが、スタッフも役者も一流の映画なので、2時間はきっちり楽しめる娯楽作には仕上がっています。全盛期のトム・クルーズは本当にキラキラで、彼を見ているだけでもテンション上がるし。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-06-12 02:05:00)
369.  レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い 《ネタバレ》 
鑑賞前には「『果てしなき想い』って何だよ。日本の配給会社は相変わらずセンスのない邦題を付けるなぁ」などと思っていたのですが、実際に本編を見ると、このダサイ邦題に負けず劣らずの安っぽい内容にガッカリしました。まるで昼ドラです。物語を進めるために人が死にまくる安直なストーリー展開に、「私が私が」ばかりで感情移入の余地のない登場人物達。3兄弟を渡り歩くスザンヌは自己憐憫に浸る身勝手女に見えてしまうし、本能のままに生き、家族や社会に対する一切の責任を放棄して自分探しの旅に出るトリスタンも無責任男でしかありません。ラドロー大佐も、ただの偏屈なオヤジだし。必死に頑張って社会的地位を築き上げた長男・アルフレッドを邪険に扱い続けるラドロー一家には、なかなか感情移入しがたいものがありました。。。 さらには、シチュエーションの作り方も巧くなくて、妻を殺されたトリスタンが泣き寝入りせざるをえなかった理由がよく伝わらなかったために(目撃者が大勢いた上に、犠牲者は下院議員の親戚。常識的に考えれば汚職警官もヤクザも一巻の終わりでしょう)、ラストの復讐劇に感情がうまく乗っかりませんでした。さらには、戦場で弟を殺された際には悪鬼の如く暴れ回ったトリスタンが、妻を殺された際には意外と大人しく振舞っていた点にも納得がいかず、作品内での整合性の点でも問題を感じました。。。 以上の通り、決して出来の良い映画ではないのですが、オスカー受賞の素晴らしい撮影に、ジェームズ・ホーナーによる壮大な音楽、スター俳優の共演によって見られる映画にはなっています。さらには、エドワード・ズウィックの演出は映画の肝どころをきちんと押さえており、2時間はきっちりと楽しめる作品となっています。
[DVD(吹替)] 6点(2013-06-11 01:41:31)
370.  ファイヤーウォール
会話も行動もすべてモニタリングされて身動きのとれない主人公がどう反撃するのかという物語は『24 season1』を彷彿とさせるのですが、これが『24』の足元にも及ばない程つまらない映画で驚きました。犯人側の計画がザル状態だし、おまけに彼らは『ホームアローン』の泥棒クラスの間抜けぶりで、サスペンスがまったく盛り上がらないのです。だいたい、犬一匹殺せない連中に観客が恐怖するわけがないでしょう。この手の巻き込まれ型サスペンスでは、犯人側を描写すると一気にスリルが減退するという好例となっています。それに対する主人公も大バカ野郎で、部外者に助けを求めるチャンスはいくらでもあったにも関わらず、犯人側の要求にバカ正直に応じ続けてどんどん深みに嵌っていくという有様。その割に、妻が自分を裏切っていたとする犯人側の偽装工作はいとも簡単に見破ってしまうという謎の直感も持っており、何を考えて書かれて脚本なのか、理解に大変苦しみました。。。 『フランティック』や『逃亡者』などハリソン・フォードはこの手の役柄を得意としてきましたが、本作ではさすがに歳をとりすぎて映画の雰囲気を損なっています。設定年齢と実年齢の乖離があまりに大きくて子供達が孫にしか見えないという状態であり、家族愛という本作の大きな柱を主演俳優自身がへし折る形となっているのです。そもそも、最新技術を操るエンジニアには見えないし、なぜハリソンさんがキャスティングされたのかがまったくの謎です。 
[ブルーレイ(吹替)] 3点(2013-06-10 00:39:10)(良:1票)
371.  G.I.ジョー バック2リベンジ 《ネタバレ》 
IMAX 3Dにて鑑賞。 一応は前作と繋がった話ではあるものの、主要キャストは総入れ替え状態(人気の高い忍者役は除く)。前作で華々しいデビューを飾ったチャニング・テイタム演じるデュークは序盤で呆気なく戦死するし、ホーク将軍に至っては不在の理由すら説明されない始末。その一方で、ビョンホン演じるストーム・シャドウは前作のラストで死んだと思われる描写がなされたにも関わらず、本作では何の説明もなく当たり前のように復活。もう滅茶苦茶なのです。内容の方も、SFっぽいアイテムやありえないほど大掛かりな秘密基地がバンバン登場しまくった前作からは一変、実在の兵器を中心とした軍事アクションとなっています。G.I.ジョーの位置づけにしたって、前作では世界各国のエリート軍人を集めて結成された世界警察のような組織だったものが、本作では米軍の一特殊部隊のような扱いとなっており、続編というよりも前作とは別物の映画と考えた方がしっくりきます。。。 映画としての完成度は、前作よりも本作の方が上だと思います。主人公の成長物語を中心として、どうでもいい色恋沙汰だとか過去の確執だとか面白黒人だとかいろんなものを詰め込み過ぎてとっ散らかっていた前作と比較すると、善の軍団と悪の軍団の衝突という分かりやすい話に終始した本作の方がまとまりがいいのです。主演を引き継いだドウェイン・ジョンソンも大変にキャラ立ちしており、キャラものとしてもしっかりしています。ただし、『エクスペンダブルズ3』かと思うような本作の見せ場は既視感満載で面白みがなく、音がデカイだけのアクションがダラダラと続く筋肉の祭典には途中で飽きてしまいます。前作はSF的にしすぎてバカバカしいレベルに達していましたが、一方本作はSF要素を排除しすぎてつまらなくなっているのです。もし『3』を製作するのであれば(世界的には及第点の興行成績をあげており、さらなる続編製作の可能性は低くありません)、『1』と『2』の中間辺りを狙った映画にして欲しいと思います。 
[映画館(字幕)] 4点(2013-06-10 00:02:13)
372.  カオス(2005) 《ネタバレ》 
B級アクションにしてはよく考えられているものの、結局は多くの観客が最初に疑った人物が犯人でしたというオチは、やや弱いと感じました。また、せっかくジェイソン・ステイサムとウェズリー・スナイプスを共演させているのに、彼らに見せ場らしい見せ場がない点というでも不完全燃焼。真面目だが面白みのないサラリーマンのような映画でした。
[DVD(吹替)] 4点(2013-06-03 22:19:15)(良:1票)
373.  ファイト・クラブ 《ネタバレ》 
デヴィッド・フィンチャーの前作『ゲーム』と同じく、物質的には満たされている独身男性がカルトにハマっていく物語です。『ゲーム』はかなり荒削りな内容でしたが、一方本作はより洗練されていて、映画としては俄然面白くなっています。空虚な毎日に嫌気がさしてはいるが、かと言って反発すべき敵も目指すべき目標も見当たらず、生きている実感を得られない主人公の姿などは、多くの方が共感できるのではないでしょうか。また、社会に飼いならされていた主人公が徐々に常識を逸脱していく前半部分には、爽快感すら宿っていました。フィンチャーによる演出も絶好調で、哲学的な説教を合間に挟みながらも、見事なテンポで話が進んでいきます。これほど深く、かつ見やすい映画も珍しいのではないでしょうか。。。 俳優陣も完璧です。役作りが過ぎてイヤミになりがちなエドワード・ノートンの演技も、本作では適度に抑制が利いていて極めてナチュラルです。一方、ブラッド・ピットは堂々たる存在感。大スター・ブラッド・ピットにしか演じられない役柄を演じきっており、彼のスターオーラが遺憾なく作品に活用されています。かつてのピットは鼻持ちならないアイドル俳優と見られており、同性からの支持はほとんどなかったのですが、本作をきっかけに男性ファンをも取り込み、同世代の俳優の中では突出していたトム・クルーズに比肩する人気を得るに至りました。それほど、本作のタイラー・ダーデンはかっこいいのです。フィンチャーもブラッド・ピットの扱いには慣れたもので、難しいところはノートンにやらせながらも、美味しいところではちゃんとピットを目立つようにしています。この采配は見事なものです。。。 残念なのは、後半があまりに飛躍しすぎるということ。社会からはみ出すだけでは満足できず、社会そのものを破壊しようとするに至っては、共感の度合いがぐっと下がってしまいました。後半では演出のテンポも悪くなるし、タイラー・ダーデンの正体が判明した時点で映画が終わってもよかったのではないかと思います。。。 なお、現在では傑作と評価される本作も、公開時には興行的に失敗し、批評的にも苦戦しました。その時にぶつけられた悪評についてはプレミアム版DVDに付属しているブックレットに評論家の名前付きで載っているので、映画の価値を見抜けなかった評論家達の恥ずかしい言動も併せて楽しむことができます。
[DVD(吹替)] 7点(2013-06-03 22:18:26)(良:2票)
374.  ゲーム(1997) 《ネタバレ》 
本格サスペンスではなくダークな寓話なので細部にツッコミを入れても仕方のない映画ではあるのですが、それにしてもご都合主義の多い展開には参ってしまいました。事前に肉体と精神の綿密なチェックを行ったとはいえ、主人公を車ごと海に転落させて死なない保証など何処にもないし、仕掛人が手を回しきれなかった第三者が介入してくるリスクもあります。観客を騙したいのであれば、ウソに説得力を持たせる努力ぐらいはして欲しいところでした。論理的整合性を無視して突っ走った時点で、オチの衝撃度も薄れてしまうのです。フィンチャーの演出力や豪華な俳優陣によって映画全体は救われてはいるものの、脚本はイマイチですね。。。 ここからはオチを踏まえての感想となりますが、これは本当にハッピーエンドだったのかという点が引っかかりました。評論家の宮崎哲弥氏は本作を「自己啓発セミナーの映像化」と考えているようですが、私も宮崎氏の意見に賛成します。日本ではX JAPANのTOSHIやオセロの中島知子がその被害に遭っていますが、徹底的に個人の人格を破壊し、完全に真っ白になったところで「おめでとう、君は生まれ変わったね」と祝福して、コントロール可能な新たな人格を上書きするのが自己啓発セミナーの手口です。他人から本音をぶつけられる機会が少なく、財産を巡って身内に対してすら猜疑心を持っている富豪や有名人は、この手の心理的揺さぶりに弱いと言われます。相談できる相手がなく常に孤独であるため、揺るぎないと思っていた自分の価値観に自信を持てなくなると、人格が一気に崩壊してしまうのです。そう思って本作のラストを見ると、あまりのバッドエンドぶりに背筋が凍ります。高額なサービス料を自分も負担すると言い出す兄。これが弟とCRS社が仕組んだマインドコントロールの成果であって、今後も何かにつけて金銭的な負担を要求され、そのうちに身ぐるみ剥がされる運命だとしたら?一方的にクビを言い渡され、主人公を死ぬほど憎んでいるはずの出版社社長が笑顔で主人公を迎えていた点など、バッドエンドを匂わせる描写がいくつか仕込まれている点に注目なのです。ちなみに、世界最大の自己啓発セミナー組織であるランドマークエデュケーションは、本作の舞台であるサンフランシスコに所在しています。
[DVD(吹替)] 5点(2013-06-03 22:17:34)
375.  オブリビオン(2013)
IMAXにて鑑賞。 映像技術の進歩により、地球レベルの災厄を描いたSF映画は珍しくなくなっていますが、半壊した月や廃墟と化した人類文明、宙に浮かぶ巨大建造物など、本作のビジュアルイメージはかなりのインパクトを持っています。具体的な設定はやや強引で、後半になって明かされる謎の正体についても首を傾げざるをえない部分が多々あるのですが、それでもビジュアルのインパクトによってSFとしての大きな説得力が与えられているので、観ていて不快にはなりません。SFは画なんだなぁとあらためて実感させられました。さらには、『トロン:レガシー』ではビジュアル偏重でストーリーテリングが追いついていなかったジョセフ・コシンスキーの演出も本作では垢抜けしてきており、アクション映画としてもなかなかメリハリのある内容となっています。。。 本作はコシンスキー自身が手掛けたグラフィックノーブルを『ディパーテッド』のウィリアム・モナハンが脚色し、それを『トイ・ストーリー3』のマイケル・アーントが手直しするという、鉄壁の布陣で話が練り上げられています。観客をどうやって騙すか、また、どのタイミングでネタばらしをするのかという映画全体の組立がよく出来ており、非常に求心力のある物語となっています。前述の通り、謎の核心部分には不合理な点が多々あるのですが、脚本家達もこのアキレス腱については重々承知している様子で、真相部分に深入りしすぎることなくサラっと流しているので、少なくとも観ている間は難しいことを考えることなく、純粋に楽しむことができました。。。 トム・クルーズは相変わらずスタントを頑張っているし、彼の個性によって、主人公は観客にとって感情移入可能なキャラクターに仕上がっています。なんだかんだ言われていますが、この人は華があるし、演技も巧いので観ていて安定感があります。また、最近はB級映画への出演が多かったオルガ・キュリレンコも久しぶりのメジャー大作でなかなかの存在感を披露しており、本作のキャスティングは概ね成功しています。ただし、モーガン・フリーマンがいかにもな役柄で出てきた時には、さすがに笑ってしまいましたが。主演のトム・クルーズが50歳を過ぎていることとのバランスを考えると、あの役柄にはモーガン・フリーマンほどの超ベテランを据えるしかなかったのでしょうが。
[映画館(字幕)] 8点(2013-05-31 18:15:45)(良:2票)
376.  ハード・ソルジャー 炎の奪還
今回のヴァンダムは、元傭兵で奪還のプロ。「なにが『今回の』だよ、いつものヴァンダムじゃねぇか」とも思うのですが、本作の設定はもう一歩踏み込んでいます。一人を救うために大勢を犠牲にすることが問題視され、引退にまで追い込まれた老兵役なのです。とにかく派手だった90年代アクションの後始末とも言える設定、ヴァンダムのキャリアを総括するような物語となっています。そのような内容を反映してか今回のヴァンダムは老いを隠さないのですが(今やヴァンダムも52歳、ショーン・ペンやジュリアン・ムーア、黒木瞳と同い年です)、この人は基本的に演技が下手ではないので、時代から取り残された殺人マシーン役を実に哀愁たっぷりに演じています。時代や社会からのけ者にされた彼が再び銃を取るまでのドラマには、なかなか熱いものがありました。。。 一方、アクションの方はかなり控えめです。上述した作品内容とのバランスをとるためにドンパチは最小限にとどめられているのですが、ヴァンダムのアクションを見に来た者としては、少なからず物足りなさを覚える配分でした。さらには、今回のヴァンダムは回し蹴りも封印。これも作品内容を考えれば致し方ないのですが、それにしてもヴァンダムの回し蹴りはジャイアント馬場の十六文キックや森光子のでんぐり返しに相当する名物であり、これを見られないのはファンとしてとても寂しいことでした。。。 全体としては力作であるとは思うのですが、90年代アクションの破壊と同時に新たなスタイルのアクションを提示してみせた傑作『ユニバーサル・ソルジャー/殺戮の黙示録』などと比較すると、アクション映画としての着地点を見出せていない点が映画の勢いにブレーキをかけているように感じました。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-05-27 01:59:40)(良:1票)
377.  フック
スピルバーグの映画なのでちゃんと面白いものの、他のスピ作品と比較すると落ちる出来だと言わざるをえません。後の『A.I.』でも同じ失敗をするのですが、この人はリドリー・スコットやティム・バートンのように世界観を一から作り上げる能力がないために、ファンタジー映画を撮らせると途端にボロが出てしまいます。7,000万ドル(2013年現在の貨幣価値で1億3,000万ドル)という途方もない金額を投じて巨大セットを作りながら、そのビジュアルはどこかからの借り物感全開で世界観には面白みがありません。さらには、クライマックスのアクションが完全な子供騙しだったことも、映画の評価を落とす原因となっています。あそこで描かれるべきは大人と子供の真剣勝負だったはずなのに、観客から拒絶されるような刺激があってはマズイと気の抜けたチャンバラでお茶を濁してしまったために、娯楽映画としてまったく締りのない内容になっているのです。。。 ただし、本作製作の背景を見ると、この不出来はスピルバーグ一人の責任ではないこともまた事実。1989年にコロンビア映画はバブル絶頂期のソニーに買収され、ソニー・ピクチャーズが発足します。本作はソニー経営下で製作された初の大作であり、世界最高の映画監督であるスピルバーグを雇い、史上最高クラスの予算が投じられた作品ということで、経営陣は本作に対して並々ならぬ期待を寄せていました。さらには、どこまで本気だったのかは定かではないものの、当時のソニー経営陣は映画のテーマパーク化構想(その名も『ソニーランド』)を持っており、本作をソニーランドの中心コンテンツに仕立てあげたいという思惑もあったようで、スピはまさに雁字搦めの状態にあったわけです。件の気の抜けたチャンバラなどは、スピの手落ちというよりも会社側の戦略ミスだったように思います。実際、ソニーは同時期に『ハドソン・ホーク』や『ラスト・アクション・ヒーロー』といった本作と同傾向の大作を数本製作し、そのどれもが「内容があまりに子供騙し過ぎて、子供も騙されてくれなかった」という状況に陥っていましたから。。。 ともかく本作はスピの大きなターニングポイントとなり、以降の作品では残酷描写に手を抜かなくなりました。さらには、雇われ仕事の限界を感じたことから、独自のスタジオであるドリームワークス設立にまで繋がったわけですから、本作の歴史的意義は小さくないと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2013-05-06 02:26:42)
378.  アイアンクラッド
ジョン王といえば、英国史上でもぶっちぎりのバカとして名を残す人物。そんなジョン王がマグナカルタを覆すために北欧人の傭兵を雇い、自分に楯突いた諸侯を殺して回るという事件が発生。その王に対抗するは、十字軍への従軍経験を持つ騎士を筆頭とした7人の戦士達。なぜ7人なのか?それは黒澤明が決めたから。戦局は南イングランド制圧の拠点となるロチェスター城へと絞られ、7人の戦士が1,000人の傭兵に立ち向かうという熱い構図が用意されます。タイトルの『アイアンクラッド』とは鉄壁の防御のことであり、主人公達が籠城するロチェスター城の守りを意味していると思われます。同時に、アイアンクラッドには【破ることのできない規律】という意味もあり、こちらはマグナカルタや宗教上の掟のことを指していると思われます。。。 この映画、アクション映画としてはなかなか手堅くまとめられています。リドリー・スコットの『キングダム・オブ・ヘブン』を意識したと思われる戦闘シーンは予算以上の迫力を見せているし、過剰なほどの残酷描写も映画の雰囲気に合っています。クライマックスに向けてどんどん盛り上がっていくというペース配分もよく、娯楽策としては十分に楽しめる内容となっているのです。。。 ただし問題もあります。まず、戦闘シーンでは寄りの画が多すぎる上にカットも割りすぎで、見ていてストレスを感じました。また、主人公の扱いが非常に悪く、肝心な場面に限って気絶しているという扱いはいただけませんでした。「よし、やってやるぞ!」とフルアーマーで敵の大軍相手に討って出るも、ロクな見せ場もなくすぐにボコられるという無様な展開などは必要だったでしょうか?さらには、愛のない結婚生活を送る城主の妻と、禁欲の誓いを立てた主人公との禁断の愛にも感動的なものがなく、このサブプロットは丸ごと不要だったと思います。。。 もうひとつの大問題は、英国史についての知識がないと何が何だかわからないということです。ジョン王とは一体何者なのか、マグナカルタとは一体何なのかという知識が最低限必要だし、ノルマン・コンクエストを知らなければ、なぜフランス人やデンマーク人がイギリスの内乱に干渉してきているのかも分かりません。英国人にとっては常識であっても外国人にとってはよくわからない部分が丁寧に説明されていないため、予習が必要な映画となっています。
[DVD(字幕)] 6点(2013-05-02 01:02:57)
379.  アイアンマン3
IMAX3Dにて鑑賞。『アベンジャーズ』という特盛大サービスで観客の目が肥えてしまった後に、平常営業の単品作品をどんな形で出してくるのかという点に大きな感心があったのですが、その点、本作は映画としての完成度を高めるという地道な方法でシリーズを再開しており、大変好感が持てました。シリーズの功労者であるジョン・ファブローに代わり、質の高い娯楽作を多く手がけてきたシェーン・ブラックを新監督に抜擢した辺りに、製作陣の思惑が現れています。。。 本作の前半パートは驚くほど静かです。『アイアンマン』の新作とは思えないほど雰囲気が暗く、トニーからは前作までの破天荒さが消え失せています。『アベンジャーズ』で死にかけた経験から心を患い、ブルース・ウェイン並みにウジウジと悩む描写が続きます。おまけに、アーマーで敵を倒すという爽快な見せ場がまったくなく、アイアンマンの活躍を期待してきた観客にとっては拷問に近い時間が続きます。もちろんこれは監督の計算のうちであり、『アベンジャーズ』でパワーのインフレを目の当たりにした観客の意識を落ち着けるために、意図的にダイナミックな描写を避けているのです。。。 以上の通り、前半部分ではテンション下がりまくるのですが、その分は後半で一気に取り戻します。トニーが再びアイアンマンとして戦う場面の爽快感はシリーズ最高レベル。前半部分でチマチマと設定やドラマを作り込んできたことの成果が、ここで一気に披露されます。また、見せ場の素晴らしさにも目を見張りました。パワーのインフレを抑制するために生身の人間による格闘とアーマーによる戦闘が組み合わされているのですが、このバランス感覚が絶妙なのです。さらには、35体のアーマーが救援に駆けつけるタイミングも完璧なものだったし、壮絶な戦闘の合間に挿入されるユーモアも作品の質を向上させています。ここにきて、シェーン・ブラックの力量が炸裂しまくりなのです。。。 ヴィランに実力派俳優をキャスティングすることが本シリーズの特色ですが、本作ではガイ・ピアースとベン・キングスレイという最強のタッグが作品を大いに盛り上げています。特に、原作コミックでは最強の敵として名を馳せているマンダリン役を演じるベン・キングスレイの怪演には、目を見張るものがありました。ある意味、ヒース・レジャーのジョーカーをも超えてますよ。
[映画館(字幕)] 8点(2013-04-29 00:29:02)(良:3票)
380.  ゲットバック 《ネタバレ》 
デビュー後は3作連続で興行成績が1億ドルを突破し、90年代末には確かにハリウッドの頂点にいたものの、『ブラックホーク・ダウン』の企画をリドリー・スコットに譲って以降は急速にキャリアが低迷し、ここ10年ほどは「あの人は今」状態だったサイモン・ウェスト。プライベートで抱えた借金によって首が回らなくなり、来る仕事は拒まず見境なくB級映画に出るようになったニコラス・ケイジ。この二人が『コン・エアー』以来のタッグを組んだ本作には、メジャーの世界を知る者による豪勢なB級映画を期待したのですが、残念ながらその出来は芳しいものではありませんでした。両者にとってこれは雇われ仕事のひとつに過ぎなかったようです。。。 ニコラス・ケイジはいつものあの表情。『ブレイクアウト』や『ハングリー・ラビット』など、ここんとこは同じような演技が続くので、そろそろ区別がつかなくなりそうです。ウェストによる演出には何のこだわりもなく、ただ撮ってるだけ。彼の手腕があれば、金塊強奪場面などはもっと面白くなったと思うのですが、そういった努力は微塵も感じませんでした。。。 脚本の出来も良くありません。気の良い犯罪者が、身内を人質に取られて不本意な仕事に手を染めざるをえなくなる。この手の映画としては定番中の定番のお話なのですが、類似作との差別化のための工夫を一切こらすことなく、定番を定番のまま出してきた本作の脚本家の根性には恐れ入りました。最初から最後まで予定調和の嵐、クライムサスペンスとしては失格です。おまけに、犯人の依頼通りに銀行を襲撃したにも関わらず、結局は殴り合いで決着をつけるというオチには唖然とさせられました(力づくで解決するのなら、最初から命令に従う必要などなかったのでは?)。さらには、キャラクター達の背景や行動原理の描写が不足しているために、ドラマの通りもよくありません。マリン・アッカーマン演じるライリーが主人公からの協力要請を二つ返事で了承したことや、FBI捜査官ダニーが主人公の罪を見逃してやった動機などがまったく分からないので、ドラマに感情移入しようがないのです。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2013-04-28 23:10:59)(良:1票)
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