1. ソウX
《ネタバレ》 ジグソウの生前エピソードを新たに作るなら、1の前、1と2の間、2と3の間位しかないので、1と2の間はアマンダの協力も必要な話と考えるとなるほどなと思いました。今回はジグソウの人となりにスポットを当てる事で同情も相まって彼の行いを正当化してみたくなる不思議な気持ちになります。ジグソウを可哀想と思ったのは「ソウ2」でエリックマシューズ刑事にぶん殴られた時以来の感情です。 しかし末期がんが消えるなんてこんなうますぎる話、頭のキレるジグソウが奥さんや仲間のゴードン医師にも相談せずに大金突っ込んだのかな?とか不思議でしたが。 そして相変わらず末期がんにも変わらず彼の悪い意味での素晴らしい行動力や、テーブルを引き寄せるほど強靭な人間の小腸など様々なパワフルさに圧倒されます。ゴア描写もシリーズ一ですが凄すぎて逆に笑ってしまいました。子供が出てきた時は物凄く不安というより不快な気持ちにもなりましたが、乗り越えた彼に与えられた報酬がとんでもなかったので、あれなら私でも耐えられそうです。 20年経ってメイクやCGも使わず同じ役を演じたジグソウとアマンダに拍手(ホフマンは太った)。個人的にはシリーズで2番目に好きです。ぜひ「ソウ11」ではゴードン医師も出してほしいです。 [映画館(字幕)] 7点(2024-10-20 16:40:29) |
2. アライバル-侵略者-
《ネタバレ》 面白いです。侵略者モノとしてスケールは小さいですしご都合主義だし、途中絶対何回も死ぬだろっていう展開ですが何も考えずに観たら結構楽しめました。 ただ異星人が直接的に人間を殺す描写がほぼないため、天井突き抜けてバスタブが落ちてくるとかベッドの毒サソリの怖さが増してしまいます。異星人の大気製造工場はテーマパークみたいで逆にワクワクしました(笑) 最後に彼女ではなく少年のほうが異星人で裏切る所は良かったですね。地球人との違いを関節の曲げ方で表現したのも斬新でした。冷却に弱い異星人が温暖化の進む地球を狙って侵略を目論むというのも良いですね。 [地上波(吹替)] 6点(2023-04-23 11:31:20) |
3. ザ・グリード
《ネタバレ》 まずオクタルスを見せるタイミングが、早すぎず遅すぎず絶妙です。客船でトイレに隠れた女性が飲み込まれる所も含め、序盤は被害者側のやられ方と流血描写中心に恐怖が増幅していきます。前知識なければ余計に怖かったと思います。 モンスターパニック系のよくある展開ながら演出も良くお金もかかっているので見応えありました。最後は逃げ切った後のSFホラーにありがちな、まだ続きそうな雰囲気を醸し出すのも良いです。 これを書いている2023年4月15日現在、DVDやBlu-Rayのソフト再販もなく5万円以上のプレミアが付いているので余計に価値を感じる訳ですが、そこを差し引いても予算をふんだんにかけた90年代後半のモンスターパニック映画としてはかなり面白い部類に入ると思います。 「ガン飛ばすんじゃねえ!」から眼球にぶっ放すのも吹替GJですし、最後の客船大爆発シーンも爽快です(笑) [地上波(吹替)] 6点(2023-04-15 23:08:07) |
4. グリーンランド -地球最後の2日間-
《ネタバレ》 前知識全くなかったのと、普段あまりこういうパニック系を観ないということもあってかめちゃくちゃ楽しかったです。 特に前半の家族3人が引き離され、それぞれがパニックになるという部分のハラハラドキドキ感はテンポもよく食い入るように見てしまいました。 テーマとしては食傷気味かもしれませんが、隕石云々より政府の選別含めそうした情報の流布で冷静さを失った人々がパニックに陥る恐怖は、この災害の多い国でも他人事な感じがしなくて、怖いなと思いました。家族愛の描き方もよくあるアメリカ映画ですが好きです。スコット・グレンもらしくて良かったです。 ツッコミどころはやはりそもそもの選別やご都合主義的に主人公家族が人の情に訴えて生き残っていくところ。そううまくいくわけないだろと思いつつも、それでも生き延びてほしいと思いながら見ました。 グリーンランドのシェルターで9か月生き延びてようやく空気が戻り、各国で生存報告があったという希望の部分、もしかしたらあのくだりは無いほうが絶望的ではあるもののクールで良かったんじゃないかなと個人的には思いました。夜のシーンが多いせいか暗いシーンは観にくくて目が疲れますが、隕石が降ってきて人々が逃げ惑うシーンは迫力があって良かったです。 [地上波(吹替)] 7点(2023-04-06 11:21:00) |
5. アルマゲドン2009<TVM>
《ネタバレ》 製作者サイドからすれば、日本ではアルマゲドンの続編と勘違いさせて邦題付けられてるのも勘弁ですよね。気の毒です(サタシネ放映時はサブタイトルに「彗星衝突!」と書かれていました)。 低予算なのでCGは安っぽくスケールも小さくご都合主義的展開で地球を救うパニック映画ですが、最初から全く期待しないで観るとテンポだけは悪くないです。この頃はアメリカがロシアを頼って共に地球を救う展開作ってたんですね。 とはいえ、電話してた青年が電磁波くらってコメディのようなやられ顔するところ、ドラッグレースのスタート地点で前に進まず底に落ちるイケメン(偶然鉄パイプにぶら下がってる可能性あるはずなのに割愛)、潜水艦がマリアナ海溝のマグマの勢いに乗ってビヨーンと浮上する所、その他まだまだ沢山のトンデモ場面だけが記憶に残るので、結局はその程度の映画なんですかね。 [地上波(吹替)] 3点(2023-04-02 23:42:56) |
6. オットーという男
オリジナル未見。トム・ハンクスが原作を気に入り製作兼主演をする作品は地味なものが多いのですが、この作品も地味ながらとても良質な作品でした。 アメリカの良心と呼ばれるトムが偏屈な変人を演じられるか不安でしたが、そこは流石の演技力、途中から見事にイライラさせられました(笑) 若き日のオットーを演じた実子のトルーマン・ハンクスは太り過ぎとはいえ、抑えた演技で良かったですし現在に自然に繋げられました。トーマス・ニューマンもこうしたヒューマンドラマに音楽付けるのは相変わらず見事でした。 妻に先立たれた初老の男が周囲の方々との交流で徐々に希望を見出していく話自体は目新しいものではありませんが、回想交えながら悲哀と生きる希望を取り戻す主人公の描き方が丁寧で非常にステキなヒューマンドラマだと思います。 ただこの作品をコメディと位置づけるのは止めたほうが良いかもですね。クスっと笑えてもゲラゲラ笑う作品ではないので。 [映画館(字幕)] 7点(2023-03-15 23:41:52)(良:1票) |
7. 黄色いリボン
まだ40代のジョン・ウェインに老け役は難しいのではないかと思いましたが、肌艶はわかかったものの流石の貫禄でした。 作品としてはドンパチの西部劇ではなく、間もなく騎兵隊を去る大尉の心情など心理描写が主で、これはこれで哀愁が漂い良かったです。 主要な登場人物を絞り込んでいたのも良かったと思いました。 美しいオリヴィアが男性を振り回していた描写はよく判らなかったですが、ああいう女性はいつの世にもいるんだなと痛感しました。 [DVD(字幕)] 6点(2023-03-12 16:46:34) |
8. プロメテウス
《ネタバレ》 前日譚の難しい所は、オリジナル一作目へのつなぎ方と、クオリティーを変に進化させすぎる事でオリジナル作品の価値を下げてしまうことかなと思うのですが、この作品はまず最初のエイリアンを出すまでがあまりにも長過ぎると思いました。ダレるというか、エイリアンに二人が襲われる前までと後のバランスの悪さを感じました。あと30分位早く襲われはじめて欲しかったです。 役者さんは総じて良かったです。シャーリーズ・セロンの使い方が若干残念な気もしましたが、特に主演のノオミ・ラパスは短髪で、体内のエイリアンを自ら摘出するあたりから雰囲気がリプリー演じるシガニー・ウィーバーと重なる部分もあり良かったと思います。 イカリング宇宙船に追突で地球を救う所、エンジニアたる宇宙人とエイリアンの死闘とそこから産まれる皆さん大好きなフォルムのエイリアンも良かった。唐突だけど楽しかったです。 願わくば吹き替えで見るのではなかった、、、悪評知らず購入したBlu-Rayなのでプロかと思いきやまさか主演の吹き替えが素人でガッカリでした。字幕で見返したいと思います。 [ブルーレイ(吹替)] 6点(2023-03-08 12:50:08)(良:1票) |
9. ウォルト・ディズニーの約束
《ネタバレ》 邦題の付け方、トム・ハンクスがウォルト・ディズニーを演じるという先入観から想像する内容とすこし異なったのは確かですね。 私は「メリー・ポピンズ」も好きなので原作者の過去の生い立ちから着想した物語と知って楽しめました。確かにトラヴァース夫人はクセツヨで一緒に仕事したくないタイプですし、過去がどうあれ偏屈過ぎるなあと思いましたが、お気に入りのアイデアで思わず踊るシーンやウォルトが家に訪れるシーン辺りから人間味が出てきて良かったなあと思いました、かなり終盤ですが。 またトム・ハンクスはウォルト・ディズニーにあまり似てませんが(笑)流石の名演技でその包容力に癒やされました。人気者や好かれる人物を演じた 時に絶対期待を裏切らない安心感がありますね! トラヴァース夫人の幼少の頃の回想と現在を交互に見せる演出も良かったと思います。シャーマン兄弟はじめウォルト・ディズニーの事務所にいる方々や専属ドライバーの方など、性格の良い方が沢山出てきてホッコリしました。また「メリー・ポピンズ」見返したくなります! [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-03-05 21:53:57) |
10. エルヴィス
バズ•ラーマンて監督はどの作品も良くも悪くもドヤってますね(笑) エルヴィスをリアルタイムで見てないし凄さも曲も全く知らない私にもなんとなくそのカリスマ性みたいなものは伝わってきました。話も面白いし主役のオースティン•バトラーはめちゃくちゃカッコいい。終盤の落ちぶれていく所の演技も上手かったと思います。 しかしそれにも増してトム•パーカー大佐を演じたトム・ハンクスが素晴らしかった!こんな誰もやりたがらないような憎まれ役を引き受けた所も流石ですが、監督の中でもアメリカの良心と言われる彼を起用する事で、完全なる極悪人としてではなく人間味のエッセンスを残したかったのなと思いました。 実際を知りませんがエルヴィスを働かせすぎて死なせた悪役と決めつけない形にしたかったのかな、そのためにも好感度の高い大スターに大佐役を起用したのかなと思ったら、なんかもう一度見返したくなりました。 しかしあんな小刻みな足さばきだけで女性は失神するほど興奮するんですかね?カラオケボックスで練習しようかな。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-03-04 21:12:35)(良:1票) |
11. グレイテスト・ショーマン
批評家からは散々だったのに作品としてはヒットしたというのがすべてだと思います。 金儲けに走り家族よりも歌姫にうつつを抜かす主人公にもご都合主義な展開にも感情移入できないものの、楽曲のクオリティーやワクワクさせるショーの演出、自信満々でめちゃくちゃイケメンな主役のヒュー・ジャックマンを見たらなんかわからないけど許せてしまうって作品なのかなと。 私もそんな批評家の評価と興行収入の賛否に興味が湧き、Blu-Rayを購入したら二度三度と見返しているヒュー・ジャックマン好きです(笑) [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-03-04 20:59:23)(良:1票) |
12. フェイブルマンズ
《ネタバレ》 映画製作を夢見る少年の青春ドラマですが、そこに「スピルバーグの自伝」と入ることで更に面白みが増します。展開も決して綺麗事ばかりではなく母親の不倫や転校先の差別、イジメなど心の闇も投影しています。(え?ここで終わるの?)という物足りなさもありましたが、十分楽しめました。これはスピルバーグ映画好きではなく、スピルバーグ好きにはたまらない作品だと思います。 そしてラスト数分ですべて持っていくジョン•フォード監督役のデヴィッド•リンチの存在感!リンチ好きの私にはニヤニヤが止まらない葉巻の吸い方、カッコ良すぎました! スピルバーグとデヴィッドリンチという作風が全く異なる絶対に交わらないはずの両巨星が、こうして組むことになるとは!そういう意味でも余韻がたまらなかったです! [映画館(字幕)] 8点(2023-03-04 19:48:18)(良:1票) |
13. 恐怖と欲望
この作品は、今では文献的な価値しかないかもしれませんが、 これがあったから「非情の罠」が作られ、それがあったから 「現金に体を張れ」が作られ、それを見たカークダグラスが 「突撃」に引っ張り、3年後に「スパルタカス」を監督させ その後の巨匠の階段をかけ上がっていったと考えると 感慨深い作品となる1作です。 脚本はイマイチですがそれでもキューブリックらしい粗削りで 挑戦的な演出も見られ、飽きさせないカメラワークはファンなら 非常に嬉しくなります。 「非情の罠」でマフィアのボスを演じたフランク・シルヴェラの 別の顔が見られたこと、初期のキューブリック作品には欠かせない ジェラルド・フリードのけたたましいBGMなど、若干24歳の キューブリックのたぎる熱意を感じる一作です。 高崎の映画館で期間限定上演された際に見に行きましたが、私含め 場内6~7人でしたが皆さんマニアって感じでしたが満足そうに 劇場を後にされてたのが印象的でした(笑) [映画館(字幕)] 6点(2021-01-16 17:32:10) |
14. ボーン・レガシー
《ネタバレ》 ボーンシリーズは前3作が素晴らしすぎるので、それと比較するとどうしても色々な部分で物足りなさを感じるのですが、比較しようとせず、別物の作品として割り切ってみるとなかなか面白い作品です。1回目より2回目見たほうが面白く感じたのが自分でも意外でした。 スピンオフらしく前3作にも登場したキーマンも登場し、アーロンとシアリング博士が様々な追手から逃げる道中のスリリングな感じも楽しめました。途中で変に恋愛関係にならなかったのが余計に良かったです。 バイクチェイスシーンも迫力抜群!ただ最後にとどめをさずのが後部座席のお前かい!という突っ込みを入れたくなりましたが(笑) ポール・グリーングラス監督の演出よりも手持ち描写やカット割りも少なく、目に優しいアクション映画でした。前3作と「ジェイソン・ボーン」をつなぐスピンオフとしてはなかなかに及第点に映りました。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2021-01-16 17:01:25) |
15. ゼロ・グラビティ
《ネタバレ》 映像が綺麗なのは認めます。一切前振り描写なしに観客を一気に宇宙空間に解き放つ感じも新鮮。 ただああ上手く生還できないだろうなあと。ラッキーにラッキーが重なってもどうでしょうか。リアリティ求めてる作品の結末が一番リアルじゃない感じがどうにも引っかかってしまい・・・勿論サンドラ・ブロックはスピードシリーズなんか観てても非常にたくましいし生命力強そうだからナイスな人選なんですけどね。悲惨な結末が好きな訳じゃないんですが。 それと個人的には宇宙空間のピンチのシーンに不安をあおるSEは不要に思いました。息も絶え絶えな声と呼吸と心臓音だけで十分緊張感が伝わります。 映画館で見たらもう少し評価上がるのかな。今は亡き淀川長治先生がテレビの洋画劇場で「2001年宇宙の旅」を放映した際「TVサイズだから迫力は伝わらないかもしれないが凄い作品な事は伝わる」とおっしゃってたのですが、それと同じかも。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2021-01-16 16:53:35) |
16. サブウェイ123 激突
《ネタバレ》 オリジナル未見なので、タイトルの印象から、暴走した地下鉄を主人公が止めて切り抜ける物語なのかと思っていたから、余計に交渉メインの地味な展開の作品に映りました。主人公にも犯人グループにも感情移入できず、意外な展開もなかったので余計に薄い作品に感じました。デンゼルも仲良しのトニースコットというだけで引き受けたのかなと。役者は上手い方が多かったので脚本の残念さが目立ちました。トラボルタが何故無抵抗だったのかもちょっとわからなかったです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-01-16 16:41:17) |
17. 運び屋
《ネタバレ》 家族や仲間との幸せな時間を取り戻すべく、短期間で莫大な金を得られる麻薬の運び屋を選んだ主人公。 事実を基にしたとあったんですが、その割にはずいぶん捕まえる側がずいぶんチンタラしているなという印象。 時間だけはお金で買えなかったって90歳の人に言われたら我々は何も言い返せないですね。 決して永く連れ添ったとはいえない奥様の死に目に遇えたのと、殺される前に無事捕まってくれたのが救い。 イーストウッド映画によくある、エンドロールの音楽に切なさの余韻を憶える秀作でした。 刑務所の中で、元気よく育つリリーの花を生き生きとした表情で見つめる主人公が印象的でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-11-24 15:26:49) |
18. 幸せへのまわり道(2019)
《ネタバレ》 トム・ハンクスが演じたフレッド・ロジャースという方を存じ上げないまま 鑑賞したので、キャラ作りに関しても特段感心するという事は無かったのですが、 このキャラクターの演じ方に全く無理していないなと思いました。 wikiに(フレッド・ロジャースという方は心優しく、礼儀正しいソフトな語り口調と 視聴者への実直な態度で人気を博した)とありましたので、なるほどアメリカの 良心と言われるトムが演じてもマッチする事に納得しました。 ジャーナリストとの交流も実話に基づくということで、多少の脚色はあるでしょうが 展開にさほどの強引さも感じませんでした。ジャーナリストの主人公と絶縁状態だった クリス・クーパー演じる父親との交流・和解も展開に目新しさは感じないものの、 非常に心温まるお話でした。 私にとって30年以上ナンバー1俳優のトムが、冒頭で歌って登場した所で (これはDVDも買おう)となりましたが、贔屓目に見なくても20年ぶりにオスカーに ノミネートされた事も納得の演技だったと思います。 一番印象的だったのはラストで、いつも通り撮影を終えたフレッドが、 ピアノをジャーンと叩いて物思いにふけるというシーン。 子供たちの笑顔や自分と関わる人々への幸せを願い常にポジティブを演じた彼の 裏側の孤独や心境を物語っている気がして、なんだかゾクっとなり寂しい気持ちに なりました。 [映画館(字幕)] 7点(2020-09-11 17:14:31) |
19. アパートの鍵貸します
《ネタバレ》 私のように全くモテず、意中の女性とフランクに恋愛話して、その時は笑顔で返してくれるけど 実はその女性はまったく別の男性を思い浮かべて笑顔でいる系の経験豊かな私としては、この作品の ジャック・レモン演じる主人公の非常に単調な生活にスパイスを入れるべくアパートの鍵を貸す副業を 行っているのが何とも感情移入できてしまいます(笑) そんなジャック・レモンの意中の相手となるシャーリー・マクレーン演じるエレベーターガール。 皆に高嶺の花と想われている子に対して、御多分に漏れず好きになっちゃう部分もこれまた共感(笑) しかもこういう可愛い子に限ってだいたい同性に人気のない中身のつまらない男とか既婚者に引っかかる! シャーリー・マクレーンも引っかかる!この展開も実にリアルだ(笑) そんなうだつの上がらない男が、なかばやけっぱちで退職を願い出る!新たな人生を歩みだす! あのいい人代表みたいな男が、実は私の事を想っていて、会社まで辞めちゃったとなったらそれはもう シャーリーは追いかけるしかない!!引っ越し直前のアパートに駆け付けた笑顔の彼女とのトランプ!、 それは奇跡を起こした男の至福の時間!このジャック・レモンは陽気な分だけ対照的に心の孤独さが 増した分だけ、最後の最後で報われるところの達成感がものすごいです。できればもう数分余韻の イチャコラ観たかったけど、十分ステキな作品です。ビリー・ワイルダー作品の当たり作品の多さに脱帽! でも「情婦」「お熱いのがお好き」のほうがずっと好きです(笑) [DVD(字幕)] 8点(2020-09-02 14:03:18)(良:1票) |
20. ドクター・スリープ
《ネタバレ》 直前に「シャイニング」を復習してから鑑賞したので、この監督のキューブリック版「シャイニング」へのリスペクトを余計にビシビシ感じました。 同じ題材をなぞっても、ピーターハイアムズの「2010年」が「2001年宇宙の旅」と似て非なる映画になってしまったことを脳裏をよぎって危惧しましたが、その点ではこの作品はとても頑張っていたとおもいます。 前作を何十回も観てるファンからすれば、まず何より一番の感動はオーバールックホテルと迷路の完全再現。ボイラー室とか舞踏会場とかREDRUMの部屋とか一部ではなく、カメラに映らない部分も完全再現してくれてて、逆に「シャイニング」で映らなかった通路や場所に(あー、あそこ右に曲がるとこうなってたのか)的脳内補完をしたり(しかも40年分ちゃんと老朽化している!)。オーバールックに向かう道の空撮、血の洪水、斧を振りかざす時のカメラワークなど、製作者のシャイニング愛にニヤニヤしてしまう場面も多数。 物語的にはオーバールックホテルの登場まで若干冗長に感じる部分もありましたが、キングの小説の良さも併せてキューブリック版「シャイニング」の続編を作ることに成功していた気がしました。ただ前作はホテルが人に乗り移って狂わせる点が絶対だったのに対し、今回はホテル外にいる人間の形をした悪も人間を襲ってくる展開で、その点はよくあるホラー映画にありがちかなとちょっと思ったり。 それでも1980年時のジャック、ウェンディ、ダニー、ディック、双子の水色姉妹、237号室の腐乱オバハン、盛会じゃね紳士、ジュースぶちまけた前管理人など、よくここまで似てる人そろえたなあと感動。1場面ですがドアごしに斧で襲われるウェンディのあの絶叫場面まで再現と、前作を愛する人をニヤリとさせるシーンが本当てんこもりで、前作のある意味、神の視点的な風格はありませんが、全体としては面白いと思います。 ↑の方も言っていますが「毒をもって毒を制す」作品。そして悪の象徴たるオーバールックホテルが一瞬、敵の敵は味方的に映りますが、すぐさまシャイニングオールスターズの皆様が一斉に襲ってくるあのシーンは、怖いハズなのでなんだかうれしかったり(幽霊をもっとじっくり観たいなんてこの作品でしか思わないです!笑)。 なんか観た直後なので頭がまとまりませんが、終盤のオーバールック向かうシーンで「シャイニング」のOPテーマが格好良くかかる所、鳥肌がヤバかったです(そう!俺が見たいオーバールック早く映して!的なそそられ方)。大好きな作品の続編を愛情たっぷりに製作してくれて本当に感謝です。 追記・どうやら237号室の腐乱オバハンは、オーバールックホテル焼失で棲家を失ったところをアブラの家に引き取ってもらったようで、今ではすっかりアブラと一緒にお風呂入るほどの仲良しです。 [映画館(字幕)] 8点(2019-11-30 13:05:25)(笑:1票) |