1. アンダーワールド(2003)
《ネタバレ》 ゴシックホラーの雄であるヴァンパイアと狼男を現代で戦わせる。しかも、主に銃撃戦ってところが奇抜。過去から現代へと繋がる因縁や適度なラブストーリー。重い雰囲気をユルめの考証でまとめた世界観に文句は無い。いや、その設定はケイト・ベッキンセールを引き立てるために用意されたのだ。それほど、今作の彼女には感じるものがあった。痩身のボディラインを主張する黒革のボンテージファッションは極めて官能的でヤバイ雰囲気をムンムンと発散する。蒼白の顔色と黒髪のコントラストが神秘を纏う。私はぼーっと彼女だけを眺めていた。咬んでもらったマイケル君が羨ましいぞ。 [DVD(字幕)] 9点(2008-09-10 13:07:56) |
2. アトミック・ブロンド
《ネタバレ》 シャーリーズ・セロンが主演した最初のアクション作品は2005年の「イーオン・フラックス」だったと思う。その作品で彼女は殺し屋さんと革命闘士的な役柄を演じました。私が記憶している範囲の話だけど、ボディを使うアクションがしょぼかった。周囲が彼女の筋力に合わせ無理してゆっくり動いているような、分かりやすく云うと上戸彩のあずみや綾瀬はるかの座頭市みたいな感じ。彼女はきっとこの作品の自身のアクションに不満を持っていて、汚名(?)挽回の機会をずっと窺っていたのだと思う。 で、それが果たされたのが本作。カテゴリーはスパイものですけど、私に云わせれば肉弾映画です。 後半、傷を負った亡命者を保護しながら逃亡を図るシーン。雑居ビルに入り、出てきてカーチェイスが終わるまでの10分弱を1カットに収める。本作の見どころはここに尽きる。ビルの中で6人の敵を殺す。手足と肘・膝・銃把で約50発殴る(数えましたw)。同じくらい殴られる。どこまで本当に当てているのかは分からない。でも、彼女と敵が体のアチコチから流す体液はホンモノに見えるし、顔のカタチが変わっていく。全ての打撃にしっかり体重が乗っていて、体重以上に殺気が乗っていて、痛いし痛々しい。最近のアクション映画の格闘シーンは1秒のカットを何十も繋げて誤魔化すことが主流ですが、それが大っ嫌いな私の心情を盛大に代弁してもらったような気分でした。久しぶりに凄いものを見させてもらいました。 80年代は、学生だった私が最もたくさん洋楽を聴いていた時代で、劇中BGMは懐かしく響くものが多くて嬉しかったです。デヴィット・ボウイの「キャット・ピープル」は当時劇場で見て以来だと思うけど、あの陰鬱な出だしがしっかり耳に残っていたことに驚きました。 本作のテーマはシャーリーズ・セロンがゲンコツにモノを言わせることでした。スパイものにありがちな面倒くさいストーリーは、まぁいいじゃないですか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-11-19 23:38:03)(良:1票) |
3. 愛を読むひと
《ネタバレ》 予備知識が無かったので、考えてもいない方向へ展開するお話に驚きました。文盲(これって差別語なのかな?)から強制収容所へ繋げる構成に引き込まれました。でも、この作品の凄いところは、テーマとなるべきこれらの社会問題をただの背景として扱っていることだと思います。描かれるのはあくまで男女の関係です。 彼女の文盲を知る彼は、法廷で彼女を弁護できた。そうしなかった理由は、彼女にとっての「恥」を暴露したくなかったからです。しかし、その判断は量刑が確定した後に長い尾を引きます。彼女の名誉と自由のどちらを優先すべきだったのか。答えが出ない後悔です。では、彼が朗読テープを送り続けた理由は何でしょう? 私は愛情などでは無いと思います。自身の判断に対する中途半端な贖罪です。なぜ中途半端かと云うと、文盲を暴露した方が良かったという確信も持てないからです。そして、「贖罪」が救うものは彼女では無く彼自身です。彼は自身が抱える後悔の念を軽くしたくて朗読テープを送っていた。その後ろめたさが、彼女からの手紙に返事を書けなかった理由だと思います。 出所前に二人が対面した際、彼女は朗読テープが「愛を読んだものではない」ことを、彼の態度から察しました。それが彼女の自殺のトリガーだったとしたら、彼の態度は最後まで中途半端でした。でも、私は彼を責めようとは思いません。理屈と感情の狭間で妥当な行動を選択できず、他者や自分を傷つける。そんな、人間の弱さを描いた作品だったと思います。 彼が成人した娘に全てを語ろうとするところで映画は終わります。娘も彼の中途半端の犠牲になった一人です。事実を「明らか」に出来ずに悔恨を引きずった関係がありましたが、「明らか」にすることで修復できる関係もある。微かですが、光明を見せるエンディングに救われた気分でした。 私は邦題にケチを付けることが多いのですが、この邦題も酷いと思いました。テーマとして語られる内容を逆方向へミスリードしています。あの朗読を「愛」と解釈したら、その後の展開に不可解が累積します。私に言わせれば、愛を読むフリをする人、です。デリケートな内容だけに、邦題から主人公の心情を誤解している人も多いのでは…。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-05-05 03:24:55)(良:1票) |
4. 悪霊喰
《ネタバレ》 タイトルから想像していた内容とは違いました。ホラーでは無かったです。キリスト教における「救済」という概念を真面目に考えています。 神はいるけど無関心。教会は形骸化して肥大した組織。救うのは「シン・イーター(罪を食べる人)」の仕事と云う描き方でした。教会が「シン・イーター」を敵視するのは、自分たちが放棄している仕事の本質を忠実に遂行しているからのようです。「教会組織」へのアンチテーゼです。例えば「制度」に反した有益な人物をお役所が糾弾するような、組織の不条理を衝く内容です。中身濃いです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-07-12 23:27:04) |
5. アイ,ロボット
ロボットの動きが斬新だった。こういう映画を作るときの、ハリウッドの想像力と創造力は日本にはないですね。 [DVD(字幕)] 6点(2008-09-17 18:39:34) |
6. アレキサンダー
《ネタバレ》 長時間を費やして歴史上の人物にプロフィールが与えられたけど、特別なものでは無かった後味です。征服者の栄光にはその後の陰りが付き物だけど、やはりアレキサンダーさんも色々と困っていました。その辺りの描写が特に響いて来ないのが辛いところでした。 この方、歴史教科書的には史上最大のエリアを征服した人です。でも、征服概念の曖昧さ分かりました。通信と交通が未発達な社会で遠方に赴き戦って勝利しても統治には繋がらない印象です。彼自身は「征服」と云うよりただ遠くへ行きたかっただけで、その幼児的な動機には共感しました。 余談。「ヒストリエ」って漫画作品が本作に近い内容を描いています。この時代と人物に輪郭を与える作業が綿密で楽しませてもらっています。ただ、筆が速いとは言い難い(単行本が1年に1冊以下のペース)。 「ベルセルク」同様、私が生きているうちに結末まで読ませて欲しいと思っている作品のひとつです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-07-16 17:11:30) |
7. アンノウン(2011)
《ネタバレ》 序盤の交通事故から累積して行く不可解が自分には良い具合にサスペンスフルで、それを回収するためのオチも悪くないと思いました。物語に都合の良い記憶の欠落は「昏睡の後は記憶が混乱する」と医者に言わせたことで解決なのでしょう。暗殺集団の兄ちゃんたちのモタモタも、最初は主人公を殺さずに動きを封じることを目的にしていたと考えると説明がつく。辻褄はあっていると思う。でも、主人公が自分が何者かを思い出してからの展開に大きな疑問符が付き最後まで尾を引きました。周到に練った計画の首謀者が、その計画を思い出した途端に阻止する側にまわる理由が分らない。その変心に納得の行く理由があれば相当に高く評価できたが、当たり前のように正義の味方になったのはご都合主義というより不可解です。そこで大きく減点はしたけれど、それでも最後まで退屈しなかった流れは評価します。ダイアン・クルーガーはやっぱり美しい。「あの美人に惚れたから」でも十分な変心理由になるとは思うけど、そんな描写は無かったものね。 [映画館(字幕)] 5点(2011-06-06 23:44:17)(良:2票) |
8. アメリ
個人的には、こういうひとりよがりな映画は苦手かもしれない。そこそこ面白く、誇張された表現があってそれなりに楽しめたが…。主人公もイマイチ苦手。 [DVD(字幕)] 5点(2008-08-06 21:51:32) |
9. アース
《ネタバレ》 求愛ダンスの舞台を掃除する鳥とか、ほとんど投身自殺のオシドリの初飛行とか、初めて見る映像がいくつかありますが、正月にNHKが特番でやる番組レベルです。氷の解けた北極海を泳ぐシロクマを見せながら、温暖化に対して自分たちにできることから…っていうお決まりのエンディングメッセージには辟易します。美しい自然を見せて、かけがえのないものと思わせたいのは勝手ですが、それだけじゃ何も変わりませんよ。あの自然の美しさは、人の手が入っていないから美しいんです。こういう映画を観て楽しんでいるという行為自体が、自然破壊の遠因になってると思いますよ。どうしてもメッセージを入れたいなら、世の中の自動車を全廃しよう、くらいの具体案を言ってみろ。・・・映画に八つ当たりしちゃいけませんね。ちなみに自分は、1000年分くらい一気にテクノロジーが進むか、あるいは人類がいなくならない限り、温暖化は止まらないと思ってます。 [CS・衛星(吹替)] 3点(2009-01-21 02:26:31) |