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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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【製作国 : ドイツ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  怪人マブゼ博士(1933) 《ネタバレ》 
続・「ドクトル・マブゼ」。 ラングがドイツ時代に撮った最後の作品で、ラングのサスペンスフルな活劇とオカルティックな演出が凝縮された傑作だ。 ラングはアメリカ時代の方が完成された監督だと思うが、やはりドイツ時代のラングも超凄えぜ!  BGMを極力使わずとも保たれる緊張、無駄なセリフを使わずとも意図が手に取るように解るサイレントの呼吸、加えてラング特有のドロドロとした恐怖演出。 残留思念、亡霊、“魂”! 2時間の長さを感じさせない映像作り。  まずは何といっても、あのファースト・シーン。 工場の轟音が響く密室、拳銃を握り締めた怪しげな男、そして部屋に入ってくる男たち。 映像によって語られるこのサスペンスと緊張。 密室、脱出、襲撃と爆発。この完璧と言っていい7分。そして次のシーンにまで繋がる10分間!  一体男に何が起こったのかを探る警察たちの捜査、その裏で交錯する様々なドラマ、そして“ドクトル・マブゼ”の不気味な存在。 これはサイレント映画の傑作「ドクトル・マブゼ」を見た方がより楽しめるだろう。  刑事のオッチャンが時計まで使って情報を掴もうとするシーンはシュールだ。ラングがたまに見せてくれるこういうユーモアが大好きです。  そしてラングの十八番、終盤の畳み掛けもまた見事な事。 アパートでの攻防、密室からの脱出と取り調べの交差、煙突が1本ずつ倒れながら大炎上する工場、クライマックスの追走劇。 派手なチェイスではなく、猛スピードで通り過ぎる木によってその迫力を語る。良いねこういうの。  マブゼの残留思念に踊らされる幾多の登場人物たち。ラストはもう少しインパクトが欲しいという人もいると思うが、俺には“悪夢”から解放された男と亡霊同然になってしまった男の強烈な対比だけで充分すぎる。 扉が閉まると同時に幕を降ろすエンディングも素晴らしい。ラングが好きで良かった。こんな凄い映画にまた出会えたのだから!
[DVD(字幕)] 10点(2017-03-27 07:48:47)
2.  ヒトラー 最期の12日間 《ネタバレ》 
ドイツ人が一人の人間としてのヒトラーと向き合った傑作。  「イングロリアス・バスターズ」といい、ナチスの問題に踏み込むことにNG気味な日本人には呆れ返る。  本作を支配する「滅び」の暗さ。 秘書候補、闇の中連れてこられる女性たち、彼らがウダウダやっている間に市民は次々に死んでいく。軍人の家族でさえ。 兵士、懐中電灯に照らされて、面接、ドアから出て丁寧に御挨拶、タイプライター。  冒頭のユニークさが嘘のように時は過ぎ去り戦場と化した市街地へ。 街への砲撃、ボロボロの鷲、総統も余裕がなくなってきている、痙攣でも起きているような腰の左手、大量の書類を焼き払う末期、滅びの足音、せわしく走り出す地下駐車場の車、都市計画、逃げていく市民、高射砲、土嚢、少年兵、少女兵、ナチに魅せられてしまった人々。  ギリギリとした上層部、こんな状況でも勲章授与、元気づけるためのパーティー、ドレス、彼女は黙ってとどまることを選ぶ。 気分を紛らわすための散歩、踊り、夢から覚ます一撃、悪夢へ逆戻り、散乱した書類と残るもの、機能しない師団、病院、山積みにされた遺体と病人、酒に溺れる者、情事に逃げる者。  積もり積もったものが爆発するかのような会議での激怒。左手は震えながら眼鏡を外し、腕を振り上げ罵詈雑言を浴びせるブチギレ総統…だがそこには疲れ切った中年の姿しかなかった。  明かりも水道も絶たれようとしている、束の間の一服、極限状態で味方同士でも殺し合いに、外も地下も地獄、市街戦の惨状、野戦病院と化す防空壕、子供たちの慰問、自殺の相談、手紙、別れの握手、砕けた肉片、へし折られる鉛筆、怒る気力もない、拒絶される握手、涙、帰りを待っていた者たち。  最後の立ち直り、手榴弾、狂乱、死に際に服を整え化粧をし貴重な弾丸を処刑に使う、遺書、結婚式、胸に手を当ててまで頼む、トイレに犬がいた理由、最後の最後まで飯を食らう、別れの挨拶、虚しく積み重ねられる死、死、死、それを覆う布。  処刑 、母親の苦渋の選択、足、足、足、さすがにソ連の強姦事件までは描かれなかったか、ハンナ・ライチュ、飛行士。  老後の秘書にインタビューする場面で物語は終幕する。
[DVD(字幕)] 9点(2016-08-26 07:19:47)
3.  ラッシュ/プライドと友情 《ネタバレ》 
F1を題材にしたレース映画、ひいてはロン・ハワード最高の映画がまた生まれたと俺は断言しておきたい。  野性的で豪快なジェームズ・ハントと論理的でコンピューターのようなニキ・ラウダ。性格のまったく違う二人の男。  あるレースをキッカケに互いを意識しはじめ、やがて強敵(ライバル)となっていく伝記映画。  実在したレーサーが如何にスピードに狂い、敵として意識し、憎み、誇りをかけて闘い、硬い友情を結んでいったのか。  レースシーンの迫力は地面を削ったり、目の前に弾丸が放たれるような臨場感!  レースの一瞬一瞬を積み重ねていく感覚、イメージトレーニング、一般車でブッ飛ばすところからレース場の場面に繋げる演出、クラッシュの死の臭い。  負傷なんかお構いなしに美女を見つけたら速攻S●Xに励むほどエネルギーに満ちた野生児ハント。  下半身(エンジン)のピストン運動やマフラー(マラ)の方がビンビンで強そうだ。何事にも激しい戦いを好む反面、嘔吐や疲労といった“反動”もデカい。ハントにとって事故は“早漏”か“寸止め”に等しいだろうね。エンジンがトラブれば女関係もトラブる。ハントが余りにご盛んすぎてこりゃ女にも嫌われるわな。スーツまで“S●X”まみれでもう勝手にヤッてろ。  ニキは論理的に考えず勘に頼るハントが気に入らない、ハントは機械的に物事を捉えようとするニキが気に入らない。  どっちもたまにブッ壊れて、どうしようもなく負けず嫌い。  ニキの「凸」による宣戦布告から二人の壮絶な魂のぶつけ合いがスタートする。それぞれの焔に包まれて。  レースの途中で散っていく仲間は同時にライバル同士でもある。  ニキが掛け替えの無い大切な物を得ていくのに対し、ハントは次々に離れ孤独になっていく。  恋人も、マネージャーも、“強敵(ライバル)”まで。  ニキが得た怪我の痛みよりも試合でハントと闘えない悔しさの大きさ、恐怖を乗り越えて闘いの場に戻るという意地、プライド。  ハントも強敵(ライバル)として己の誇りと意地にかけて迎え撃つ。  ニキの復活試合と“生か死か”を選ぶ瞬間は劇中屈指の熱さ!  ラストの雨の中のラストバトル。ハントにとっても、ニキにとっても“悪夢”が蘇る雨でもある。  ニキが得て失ったもの、ハントが得て失ったもの。本当に大切なものはどっちなのだろうか。そんな事を考えさせられる締めくくりだった。
[DVD(字幕)] 9点(2016-08-25 05:10:42)(良:1票)
4.  ボウリング・フォー・コロンバイン 《ネタバレ》 
マイケル・ムーアという映画監督は、ただありのままを映そうとするタイプのドキュメンタリーは撮らないらしい。 あの芝居がかった行動の数々で映画のようなやり取りを見せつけ、一つの事件を通してあらゆる要因を羅列し引きずり出して注目させようとする。今回は銃社会のアメリカに潜む問題のようだ。   自ら俳優のように出まくり映画を引っ張る肥えた肉体。 オーソン・ウェルズのように悪の権化としてずんぐりむっくりの体で威圧感を出すワケでもなく、西部劇で偉そうにのしとのしと歩く腹の出たガンマンの如くムーアは登場してくる。マイナスイメージをあえて前面に出すことそのものが壮大な“当てつけ”なのだ。当てつけしないと死んじゃう病なのかも知れない。だから意地でも痩せないんだと思う。 表情はコメディアンのようにどこか微笑みを称え、銀行で得たライフルを抱えて買い物を済ませる“日常の光景”を映す。 時にインタビュアーとして執拗に問い詰める時もあれば、手を肩にやって同情するような場面も物凄くわざとらしーく見せつけたりする。当事者の目の前でそれをやるのだからつくづく胆の座った奴だわ。  インタビューをした人々の顔もこれみよがしに見せる。銃に狂った老人のギラギラした眼、銃を握りしめ高々と掲げる演説者チャールトン・ヘストンの笑顔、無責任なマスゴミや報道陣の笑み、恐怖に怯える顔、失望と怒りの顔。  幼きムーア少年はおもちゃの拳銃の引き金を引きまくり、現在のムーアはけして銃弾を発射せず、銃を撃つ市民や銃弾を喰らう人々の姿を映しまくっていく。 映像が得られなかったものの代わりに何かを映し、得られた映像の使い方も強烈だ。  ボウリングのピンの件でハワード・ホークスの「暗黒街の顔役」についても語られるかと期待したがそんなことはなかった。あの映画のようにデカデカと書かれた文字が語る社会の矛盾、ピンと人が薙ぎ倒され横たわる光景が幾度も映される。  事件現場の校舎や街、弾痕、道、事件当時の一部始終を捉えた監視カメラ、殺人者と殺害者を明確に示すように光が人物を覆い、助けを求める悲痛な叫びは机の下に伏せる人々の叫びを聞かされるようだ。  「マトリックス」を守るエージェントの「Non!」、「駅馬車」やウィリアム・S・ハートといった西部劇、「國民の創生」の人種描写、「サウスパーク」の冬、企業コップのイメージに何コレ超見てえ、アニメーションで描かれるよくわかる人種差別&銃社会アメリカの歴史に爆笑、細い男の服の中から次々に銃が出てくる瞬間の戦慄。 様々な国で引き起こされた虐殺、銃のゲーム、まばゆい光の中に突っ込んでいく“買物”、当事者たちのすべてをぶつける闘い、ダイナミック営業妨害、毒には毒で、極端には極端で、メディアにはメディアで殴りつける。  右足をソファーに突き付けてインタビューに応えるマリリン・マンソンの職人意識。 彼が取材を受けるのはどんな時でも己を貫く姿勢を示すため。ムーアも黙ってそれを受け入れたのだろうし、一人去っていく者へ黙って写真だけでも置いて去っていく。それ以上の追及をあえてしないのだ。  アメリカとカナダの同じ銃社会でも意識の違いがハッキリしているのは興味深い。 日本も昔は日本刀だの槍だの鉄砲だの世界有数の銃社会だったからなあ。日本人も黙って見過ごせない問題ですよ。
[DVD(字幕)] 8点(2016-01-30 00:52:14)
5.  黄色い星の子供たち 《ネタバレ》 
フランス人は、フランス革命の頃から同じ国の人間同士で差別し、告発し、殺し合ってきた歴史を持つ。 ある者は恐怖に屈してしまい、ある者は恐怖に抗うために戦うことを選んだ。  かつて赤狩りでアメリカを追われたジョゼフ・ロージーという男がいた。 彼はフランスでヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件(ヴェル・ディヴ事件)について「パリの灯は遠く」で描いた。そこには理不尽な暴力に対する抵抗と国を追われた者の共鳴があったのだろう。  そしてこの「一斉検挙(黄色い星の子供たち)」は、フランス人の女性ローズたちによる一つの告白なのだ。  「星」によって差別される日常から映画は始まる。 追い詰める側はあくまで仕事として、作業を繰り返すように政策を進める。まるで感情のない機械のように。ユダヤ人にしてみれば、彼らは自分たちを引き裂き暴力で屈服させようとした恐ろしいマシーンも同然。服をはぎとり、容赦なく殴り蹴ってくる。 彼らも人質を取られていたのだろう。だがそんなものは言い訳だ。だからこの映画にも追い詰めた側の葛藤はあまり描かれない。 「家族を人質にとられててね(棒読み)」 そうかそうか、テメえの面に一発ブチこまれて欲しかったぜ俺はよ。 ヒトラーも家族と団欒しながら何万の人間の四肢をもぎ首を引きちぎる政策を進めていく。  対して、追い詰められる側は感情豊かだ。 歌い、踊り、走り、語り合い、愛し合って。あの小さな子が走る度に軍人や警官に銃殺されるのではないかと何故かハラハラしてしまった。あの子は妖精のように場を和ませ、「この子だけは死んでほしくない」という活力を人々に与えていた。  ユダヤ人狩りは加速していく。公園や職場からの追放、警官隊の不気味さ、銃殺覚悟で生き延びろと叫び続けた御婦人、競輪場に家畜のように押し込められる理不尽さ、医者の無力さ、糞溜めの中に託される希望、消防士たちの勇気、貴重な配給食糧をブチまけてまで脱出者たちを送り出す子供たちの覚悟、走りゆく列車から力なく垂れる手、手、手・・・。  ローズさん、貴方は優しいね。生き残った人々の顛末は多少描いたが、死の描写は少なかった。 彼らを追い詰めた(自殺?何言ってやがる、追い詰めたんだろうが)人々のその後までは描かれなかった。 それ以上追及しなかったのは、あくまで生き延びた人々の体験に沿った映画だからなのだろう。 二度と会えないと思っていた人との再会・失神するほどの歓喜が肉体を突き抜けるほど、死んでしまった人々の分まで何がなんでも生きてやるという瞬間に勝るものは無かったのだと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2015-12-23 22:11:37)
6.  ニーベルンゲン 第I部 ジークフリート 《ネタバレ》 
ラングによるファンタジー映画の大作。第一部「ジークフリート」、第二部「クリームヒルトの復讐」。 同じ大作でも「ドクトル・マブゼ」は謎解きと犯罪活劇の面白さがそこかしこに満ちていたが、この映画はそれほど緊張がみなぎる作品だろうか。 そりゃあ細部にいたるドイツ美術の見事さには目を見張るし、ジークがドラゴン退治をするシーンは中々迫力があって面白かったが、それまでの20分はちょっと退屈だった。  この2時間30分の第一部は、大いなる序章に過ぎない。 むしろ第二部の2時間10分、特にラスト50分の凄絶な復讐劇こそこの映画の真骨頂!なので、思い切って第二部から見て見るのも面白いかもしれない。   さて話を一部に戻そう。 おどるおどろしいドイツ語の文字がかもしだす雰囲気、虹のかかる山、林と住民、剣を叩き鍛える青年、それを見守る老人。 老人に完成した剣を見せ、空を舞い落ちてきたワタが切れる。このセリフの無い導入部の5分間、完璧だ。  日の光を背に立つ城、黒い影をまとい移動する兵士たち。  上記でも述べた竜退治の迫力!一見すると巨大なトカゲがのそのそやっているようで拍子抜けする(眼は可愛らしすぎるし)が、造形や動き・演出が凝ってる。噂を聞いただけで、劇中では実質何もしないまま殺されるドラゴン。オマケに眼も可愛気で何処か哀しい表情。これじゃジークがただのDQNじゃないか(え?原作も大体そんな感じ?)。 滝が落ち、木の影から剣を抜いて様子をうかがう。剣を振り上げ火を噴くドラゴンの眼をえぐる!喉をついて血が流れ落ちる。剣にベットリついた血の跡。鳥だけがその一部始終を見ていた。 滝のように溢れる竜の血を、水につかるように浴びる。この間わずか3分。  ジークの旅は続く。霧がたちこめ、木がうねった不気味な森の雰囲気、変な網で透明になり変装もできる魔法のアイテム、月夜が差し込む渓谷、奇妙な洞窟、映像を映す光の玉、石になる人々・・・。  影のようにうねる砂絵の迫力!鳥、光と闇。  一色触発の事態を止める真の主人公とも言うべきクリームヒルトの登場。どうでもいいけどマユ太い。殺し合いそうになった男たちが手を取り合い、そして再び殺し合う運命。  男勝りなブリュンヒルデとの対決。炎で埋められた大地、そこにそびえる城。 中性的な顔立ちのブリュンヒルデ。石投げ競争、投擲による一騎打ち。使い込まれた盾を砕く一撃。戦士から“女”の顔になってしまう。 腕輪、ドロドロになっていく関係、ジークとクリームヒルトの淡い結婚生活、萌える木々が枯れていく残酷さ、森の中での競争、眼と影で表現される“暗殺”。異様な影で表現される“下手人”。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-09 21:04:04)
7.  ニーベルンゲン 第II部 クリームヒルトの復讐 《ネタバレ》 
二部から先に見て欲しいくらい。というか、二部の方が面白い。 亡き者の墓の前で建てられる誓い、フン族の王たちの蛮勇を利用する計画、黒衣は復讐の決意。普段は傷を負った兵士たちを励ますが、瞳の奥には復讐の炎を燃えたぎらせる。  従者が見てしまった真実、クリームヒルトもそれを見届ける。雪の下の土に眠る“愛した人”を布に包む。遠景で一行が去っていくショット、娘の決意を黙って見送るしかなかった人々の辛さ、楽器を城壁に打ち付けて憤りを表す。  出撃して突っ走る軍隊の疾走感。木の上から飛び降り、馬に乗り換えて迎う伝令のスピード。木の周りを裸で踊る子供たち、彼等に金を振る舞う兵士たちの気前の良さ。 蛮族の前で堂々と屹立するクリームヒルトの存在感!それを迎える蛮族のダンス。  ラスト50分、修羅場と化す酒宴。 密かに渡される武器、合図と共に切りかかる!弓矢の一撃、斧の投擲、二重三重の悲劇。 死者を弔いながら行進する人々、凄惨な殺し合いはエスカレートしていく。何度も押し寄せる群衆スペクタクル、死者を弔う暇もない、焼き討ち、パニックになり当たった矢を1本1本抜く姿。既に火はまわっているのに。 階段を駆け下り、崩れ落ちる瓦礫にまきこまれ重傷を負う者、燃えた瓦礫の中に消えていく戦士たち。滅びを見届ける演奏者。死者へのレクイエムは、阿鼻叫喚の地獄の中でどれほどの人間に届いたのだろう。サイレント映画だからこそ、その想像を掻き立てられる。 門の前で“待伏せて”いた男の一撃、“首”が無言で語る絶望・・・!
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-09 20:59:04)
8.  善き人のためのソナタ 《ネタバレ》 
00年代、実際の出来事を“告白”でもするかのようなドイツ映画が複数撮られた。 一つは「ヒトラー ~最期の12日間~」によって戦時中を、 もう一つはこの「善き人のためのソナタ」によって戦後の闇を告白するように。  冷戦時代の尋問というとリシャルト・ブガイスキ&アンジェイ・ワイダによる「尋問」を何故か思い出した。 「尋問」は監視者が監視対象だった者から“証拠”をでっちあげ、自分のテリトリーに引きずり込んで散々痛めつける事で屈服させようとした。 この映画は、監視者が監視対象から“証拠”を引きずり出せるか出せないかという過程を追っていく。疑はしきは罰せよ、何かされる前に先手を打たなければならないという恐怖。 この二つの映画に共通する事は、一人の女性が他の人間のために“犠牲”になる事を選ぶということ。  劇中でも引用されるベルトルト・ブレヒトの存在。 ブレヒトもまた戦時下のナチスに反撥してフリッツ・ラングと組んだスパイ映画「死刑執行人もまた死す」を発表している。 ラングのこういった映画の女性たちが活き活きとしていた事に比べ、この映画の女性たちは観客の感情移入を許さないような深い闇を背負っている。   廊下、腕を捕まれ連れてこられる“監視対象”だった男。男の声からテープレコーダー→現在→過去を行き来する。 疲弊していく男の表情を知るのは立ち会った本人だけ、声を聞いて当時を想像するのは生徒たち、そしてこの映画のスタッフたちだ。 椅子に付着した“匂い”、涼しい顔で男を言葉によって弄り続ける男。教壇に立つ男は、自分の過去を隠すことなく、生徒たちに教えていく。きっと同じような“告白”を何度も繰り返してきたのだろう。  劇場の鑑賞会から既に監視は始まる。上からの視点・パンフレット。 標的の家に慣れた手つきで黙々と盗聴器とカメラを仕込んでいく。ありとあらゆるところに。 その監視者を“監視”してしまった者の視点。  この映画の監視者は、勝手に疑い、勝手に同情し、勝手に揺さぶられ、勝手に自分を緊張状態に追い込む。監視されている者は何も知らないし、生を謳歌している。知らない事の不幸・幸福。妻の隠す真実にすら中々気付けない。妻と楽しんでいる間も、情報は絶えず流れ続ける。 勝手にピアノの音色に心を打たれてしまうのだから。男の葛藤が表情一つで語られ、その音楽は監視される者たちの“抵抗”の証になっていく。 人の出入りが少ない“仕事場”で画面や針、タイプライターとにらめっこ、ヘッドフォンの音に耳をそばだてていなければならない。そりゃあ監視対象に興味を持って退屈しのぎもしたくなる。ハイタッチする気分でも無くなってくる。エレベーターで子供とおしゃべりをする一時、暇な時は豊満な情婦と楽しい一時でもせにゃやってられない。豊満なバストに顔をうずめても何処か満たされない様子。そりゃ監視者は人妻の方が気になるし、情婦とも真に仲良くなれない。偽りの愛だ。  その監視されている者たちが、監視者を意識し、恐怖し、反撃に出る瞬間の恐怖。スパイのように潜り込む男たちも、いつ監視者側を裏切る・・・いや表返るか解らない。 ケーキの下の“武器”、盗聴器への“祝杯”は監視者への宣戦布告。  監視者の存在を知りながらドアの鍵をかけない。床下の“武器”の存在を偽らないのも妻を信じていたから。 妻も夫を愛していたからこそ“言わなかった”し、“躊躇”しなかったし、耐える自信も無かった。監視者との決定的な違いがそこにあった。 床下を剥がす瞬間に奔る緊張。  一瞬映る新聞が物語る“終焉”、それぞれが失った物の大きさ。  ラスト20分は真実を知っていく者たちの顛末。 コードを引き抜く力なき姿、表情。大量の書類に眼を通し、人々の告白でも聞く様に読み進める哀しげな表情。  そこには互いを探り合った憎悪ではなく、直接会って語り明かす事のできない哀しみだけが横たわっている。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-09 20:56:24)
9.  M(1931) 《ネタバレ》 
ドイツ時代のフリッツ・ラング最高傑作。 こんな凄い映画を撮りまくったラングをヒトラーがほっとくワケが無い。 ドイツ時代のトーキー作品をもっと見たかった・・・。 犯罪映画はラングの十八番であり、その中でも「M」はサイコ・スリラーの祖にして今でも抜きん出た完成度を誇る。 本作はBGMがまったくない。 なのにまったく飽きることもダレも無い独特の呼吸、サイレント映画さながらの演出と語りが見事にはまっている。 警察署でのやり取りは10分縮めても良かったかも知れないが、42分を過ぎたあたりの舐めまわすようなカメラワーク、犯人と警察たちの追走劇、“M”の強烈なイニシャル。 耳を抑えると音が消え、離すと音が聞こえてくる場面も面白かった。 物語は少女ばかりを襲う猟奇殺人の真相を追う内容。 ファースト・シーンが凄い。 街で遊ぶ子供たち、そこに現れる黒い影。 盲目の老人が配る風船は、死にゆくの魂を運ぶ「船」か・・・。 「ペール・ギュント」の「山の魔王の宮殿」を口ずさむ殺人鬼。 ピーター・ローレの狂気に満ちた演技。 何処までも歪んだ男の筈なのだが、少女と戯れているこの男の妙な愛嬌は何なのだろうか。 まさか筋金入りのロリコンを描く映画があろうとは・・・! ドイツはヒトラーにしろ、シュトロハイムにしろ、ルーデルにしろマジで「変態」ばっかりだな(大賛辞)・・・ドイツ万歳。 後のフィルム・ノワールに与えた影響が尋常じゃなく、ピーター・ローレルがアメリカのフィルム・ノワールの祖「マルタの鷹」に出演したのは偶然なのか必然なのか。 この後「カサブランカ」やヒッチコックの「暗殺者の家」など多くの犯罪映画に出るローレルだが、やはり一番強烈なのは「M」。 それと本作は当時活躍していたドイツ演劇界の巨匠ベルトルト・ブレヒトの「三文オペラ」からの影響があるという。 ラスト20分の法廷劇は正に舞台上の論戦だ。 本作の犯罪心理は後のジャン・ルノワールの「十字路」と共にフィルム・ノワールの祖となり、ラング自身もアメリカで「飾窓の女」を始めとするフィルム・ノワールをいくつか撮る事となった。
[DVD(字幕)] 9点(2015-04-24 09:24:35)(良:1票)
10.  イングロリアス・バスターズ 《ネタバレ》 
タランティーノ流「地獄のバスターズ」×「特攻大作戦」 眼には眼を、歯には歯を、虐殺には虐殺を。 冒頭の床下への“死刑執行”、死刑執行人(ハングドマン)たちに復讐を誓う少女。 タランティーノの長回しは、眠ろうとする瞬間に叩き起こすような溜めに溜めて溜めた破壊力を味あわせてくれる。 マカロニウエスタンのような西部劇かと思えば、エルンスト・ルビッチのような洒落たコメディになったり、最後の最後でロバート・アルドリッチの最高にゲスい戦争映画になったりと。 とにかくブッ殺してブッ殺してブッ殺しまくる戦争復讐活劇「イングロリアス・バスターズ」。 戦いに卑怯もクソも無いぜヒャッハーってとこが好きです。 女性陣も最高にビッチで素敵ですね。 ナチスに虐殺された者達のために自らブッ殺し返すバスターズたち。 死を恐れない彼等はどんな死地にも飛び込む。 一方、復讐を誓う娘もまたその時を待って待ち続ける。 映画という大衆の心に火をつける火薬、復讐を望む2つの火薬、3つの火薬がクライマックスで木っ端微塵に炸裂する瞬間は凄まじい限りだ。 クリーム・ブリュレに煙草捨てるようなクソ野郎は死んで当然(意味不明)。 食い物の恨みが加算されました。 黒人の話は後の「ジャンゴ」に繋がる部分。 指やアクセントの違いで正体がバレてしまう瞬間の戦慄、一瞬で終わる銃撃戦の破壊力!! 皆さんもその国の習慣と発音だけは正しく覚えましょう。 G.W.パプストが出るならこの映画の元にもなったエルンスト・ルビッチやフリッツ・ラングの話題もして欲しかったというのは欲張りか。 「国家の誇り」撃ちすぎバロス。 まさかゲッペルスやヒトラーまであんな事やこんな事になっててクソワロタ。 歴史的に全滅だから結果オーライ!! 最初から最後まで退屈させてもらえなかったぜ。タランティーノ本人は長い間暖めた最高傑作といっている。俺もそれくらい好きな映画だ。 少なくとも「キッド」がチャールズ・チャップリンの最高傑作の一つである事は確かだぜ。 ・・・え? 何でチャップリンが出てくるんだって? それが知りたきゃ、映画館の前で女性をナンパするドイツ兵の声を聞きにこの映画を見やがれっ!
[DVD(字幕)] 9点(2015-04-22 09:26:56)(良:1票)
11.  スピオーネ(1928) 《ネタバレ》 
この度は、運営様、並びに御協力して下さった皆様に「再びレビューさせてもらえる許可」を頂いた事について、深い感謝をしてもしきれません。  フリッツ・ラングがサイレン期に撮った、元祖ジェット・コースター・ムービーとも言うべきスパイ映画の傑作を!同じくラングの「蜘蛛」にも通じる冒険活劇のエネルギッシュな興奮、スパイ同士のロマンス。 冒頭から大量の文字・情報が入ってきて引き込まれるし、カーチェイスのスリル、列車の脱線、眼が“イッている”感じの狂気!ヒロインが椅子に拘束されている様子はエロいです。太腿が。流石ラング御大。 日本大好きな?ラングがまたも奇妙だが日本愛を感じさせるような人物を登場させます。どんだけ切腹好きなんだよ外人(それでも「ハラキリ」や「メトロポリス」のヨシワラよりはまともな形で登場しているかな)。日本、ロシアまで世界的規模で情報が交錯する!「メトロポリス」のように、主人公が巨大な闇に飛び込んでいくような恐怖がたまらない。 諸悪の根源を演じるのは「ドクトル・マブゼ」でも強烈だったルドルフ・クライン・ロッゲ!ラストの“道化”としてピアノの演奏で物語を締めくくるシーンが忘れられない。 エドガー・G・ウルマーの美術は相変わらず素晴らしいぜ。
[DVD(字幕)] 9点(2015-04-19 15:32:48)(良:1票)
12.  ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 
アクション映画は本当大好きだ。   言葉なんかいらねえ、テーマなんかいらねえ、とにかく動い動いてブチのめせ!  けれども“ストーリー”という「骨」があるともっと面白い。   その「骨」こそ主人公のジェイソン・ボーン(Jason Bourne)。 もちろんスペルはまったく違う。 しかし音で聞けば誕生の「born」、骨の「bone」(発音違うけど)。   「自分は何者なのか?」というシンプルかつ究極の主題、見づらい手ブレ演出も慣れればCG無しの極限アクション、ガラスにダイブ、バイクやカーチェイス、ガンファイトと息もつかせぬアクションのオンパレード。 スゲー疲れるぜ(良い意味で)。   そんなボーンシリーズの終点「ボーン・アルティメイタム」。  最後通牒、ボーンへの、そして観客への最後通告。 己の正体、自分を追う敵、黒幕、そして協力者・・・全ての決着。  正体を知りたいから諦めない、 正体が解っても諦めない、 死んだ者のために諦めない、 何より「生きたい」から諦めない・・・! 「ここで全てが始まった。ここで終わらせる。」ケジメはしっかり付けて退場する。  水中を力強く泳ぐボーンには本当元気を貰える。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-21 19:39:24)(良:1票)
13.  ファウスト(1926)
ゲーテの戯曲を元にしたムルナウの傑作。 ムルナウの幻想的な演出はモチロン、冷徹なまでに重厚な空気で包まれる。  天上の天使と悪魔に運命を翻弄される人間たち。 疫病の苦しみから逃れるため、悪魔を召喚してしまうゲーテ。 メフィストフェレスはどんな願いも叶えてしまう。制約をしいて。 疫病と救世主、年老いたゲーテは己の無力さに絶望する。 若返り漲るような力を得ようと、結局は悪魔の力によって再び絶望に暮れてしまう。 余りに救いようが無い。  一時の幸せも、瞬く間に惨たらしく散っていく。  恐ろしいまでに冷徹な描写。  だが、ラストのあの美しさは何なのだろうか。あんな終わり方をされたら、黙って泣くしかないじゃないか。 何て最高に卑怯で泣ける泣けるクライマックスなんだ・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-14 07:15:02)(良:1票)
14.  スクール・オブ・ロック 《ネタバレ》 
最高に愉快な音楽映画です。  劇中で演奏するミュージシャンは大人から子供まで全部モノホン(本物)。 極めつけはデューイを演じるジャック・ブラックの狂気地味たハイテンション! 次から次へと機関銃のように飛び交うセリフの応酬!  ライブで盛り上がる夜のバー、ロックで最高にハイになる音楽馬鹿の彼だが、彼は受け止めて貰えるほど愛されて(認められて)いなかった。  自分の音楽に酔っていた“現実”を思い知らされるデューイ、それでもロックへの情熱は燃え尽きない。  デューイは親友のネッドを騙してまで仕事を引き受ける。 だが待っていた職場は正に彼の運命、天職、音楽の才能に溢れた子供達との出会い。  子供達の才能を親と教師たちは無視していた。 しかし、誰よりも仲間を求めていたデューイは子供達の才能を見逃さない。  デューイにとっては利害の一致、子供達にとっては自分を認めてくれる恩人への恩返しだ。  しかしいくら何でも「夢は諦めろ」を先生がいうなよ。当っているかも知れないけど!  それでも褒めて伸ばす、付きっ切りで教えるのは上手い。デューイもまた様々な子供達と出会う事で少しずつ成長していく。モチロン狂気に満ちた野望を抱えて。 「ロックは頭を試されるんだ」 QUEEN&レッドツェッペリン「左様」  「ダイエットは?」 「食うのが好きだからしない」 デブの鑑かコイツは。  やがては教師も掌握して磐石・・・かと思いきやそう都合よくいかないのが世の中です。  それでもデューイの魂は生徒に届いていた! 彼を経歴ではなく“魂”で教師として認める子供達の心意気! デューイも腹をくくる。デューイの情熱に親友の魂も蘇る・・・! でもあの半ズボンは無いわー(褒めてる)。  ダイブにはじまりダイブに終わる。 メタいセリフが飛び交うエンディングも最高だったぜ。  DVDの特典でツェッペリンにライブで許可を貰おうとするシーンが面白い。  電話を取らせないために火まで付けるとかどんだけだよ。  「“The”で始まる映画はコケるんだ」 遊星からの物体X(The Thing)「!?」  ジャック・ブラックがオーソン・ウェルズみたいになっててワロタ。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-10 19:31:22)(良:2票)
15.  グランド・ブダペスト・ホテル 《ネタバレ》 
ウェス・アンダーソンの現時点での最高傑作。 戦争、刑務所まで駆け抜けるスリルに満ちたコメディ映画だ。 ウェス・アンダーソンの映画には短編「Bottle Rocket」の頃から銃がよく登場するが、この映画も銃によって終盤は盛り上がる。 回想形式で語られるこの映画は、あるホテルの取材をする男と、その寂れたホテルを買収した男の会話、そして男はいかにしてこのホテルと関わり、買う事を決めたのか。物語は過去へと飛び、事の顛末を面白可笑しく、ちょっぴり切なく語り始める。 風景画のように美しくそびえる「グランド・ブダペスト・ホテル」。従業員としてホテルに配属されたゼロが出会う様々な人々。 とにかくこの映画、グスタヴの頭の回転の速さ、行動の速さで走って走って走りまくる。 グスタヴ支配人が口が超悪い上に84歳の夫人まで絶頂させちゃう紳士。何時の間にか逮捕されるわ絵をパクッちゃうわブタ箱にブチこまれるわ戦争に巻き込まれるわ大脱走するわ銃撃戦に遭遇するわで災難続きだが、人に対する恩はけっして欠かさない。 自分の従業員を侮辱する奴には恐れる事無く怒って守ろうとし、その恩が、人の縁がグスタヴを助けまくってくれる。 それに仕えるゼロも何時の間にか遺産相続の問題や時価数億の絵まで任されるわ雪山を猛スピードで滑るわ殺し屋を突き飛ばすわ恋人とバキューンッするわで色々ヤッちゃってます。一体いつから映画館はラブホ●ルになったんだっ! 絵を取り替えてしまう件は絵の破壊力も合わさって腹筋を持っていかれた。 アガサも自分のケーキで人助けにはなるけどあんな事に使われて複雑な気持ち。 ドミトリー側にしても、まるでオークションの競売でもするかのような雰囲気。金目当てで“家族”になる連中ばっかり。 猫も落ちれば殺し屋も若きカップルも落ちます落ちます。 洗濯かごはギャアアアアッ、修道僧の連係プレー、盗んだバイクで走りだす~、終盤の銃撃戦とサスペンス映画としても面白い。この辺は「生きるべきか死ぬべきか」の流れを感じさせる見事さ。 終盤のサクサク事が運ぶ部分は楽しく見ていたが、彼らの運命は画面が白黒になってまでしんみりと締めくくられる。列車にはじまり、列車によってまた。いくら金があったって、最愛の人が隣にいないなんて寂しいもんなあ。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-08 05:11:25)
16.  ボーン・アイデンティティー 《ネタバレ》 
今となっては「オール・ユー・ニード・イズ・キル」がダグ・リーマンの最高傑作だと思うし、「ボーン」シリーズも「アルティメイタム」が頂点だがこの作品もかなり好き。  スリルとサスペンスに満ちた久々のスパイ・アクション映画。  子供の頃はモチロンこの映画を見たのだが、再見するまで内容をまったく覚えていなかった。 取り敢えず男が記憶失って暴れて逃げてリコールして・・・それ「トータル・リコール」じゃねえか。  そして再見してみた。 スゲー面白かった。 つうかこんな面白い映画を忘却していた俺の記憶力ふざけんじゃねえよ!  記憶=アイデンティティー(存在意義)を求めてひたすら彷徨うジェイソン・ボーン。  記憶は失っても体は「戦い」を覚えている。「体の記憶」と闘争本能が結びついていく様子が面白い。  次から次に謎と伏線がバラまかれる展開。 多彩な戦闘やド迫力のカーチェイスよりもそっちの方が気になってしまう。でも「スプレマシー」はカーチェイスの方が凄かったと思う。  謎を残したまま終わるラストも良かった。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-06 18:30:50)
17.  ボーン・スプレマシー 《ネタバレ》 
「アルティメイタム」ほどじゃないが、この作品もカーチェイスとかが凄い。「アイデンティティー」に比べるとカメラの揺れ具合が増して酔いそう。俺はこういう演出が大嫌いなのだが、何故だが「ボーン」シリーズだと許してしまえる不思議。 しかし感想は「アルティメイタム」と比べるとテキトーな殴り書きになる私です。  ノンストップ・スパイ・アクション「ボーン」シリーズ。 「俺の友達だが知らないか?不幸に見舞われてな」これからオメーが不幸にすんだろーが。 「選択の余地はあるわ」→水没 ヒロインの「例のアレ」は最早お約束。 ボーンは結局死神なのか? 過去との決別、思い出は写真一枚の中に・・・捨てきれぬ愛情がボーンの強みであり弱み。  「彼を拘束しろ!」→瞬殺→首になりたくなかったら頑張んなさい。 ボーン速すぎバロス。 手ブレも慣れてくると「ブレでごまかしてんじゃねえよ!」→「CG無しの迫力パネー」となる(筈) ナイフvs冊子! 冊子は導火線でもあるんだぜ?アクションもカーチェイスもやっぱり凄い。 もう怖いもの無し。余裕で顔見せ。 パメラ「ぐぬぬ」 次は笑顔でピースとかしそうな勢いだ。  ボーンも必死だ。 ニッキー&パメラ「マリーって誰だよ!!?」  「おまえに安住の地は無い!」 だったらテメエらの安住の地も無くしてやらあ!逃げるが勝ちじゃあああっ! 殺し屋がポリ公? ボーン「同じような髪型しやがって・・・被る」 事故は起こる。恐ロシア。  ボーン「君は疲れている」  物語は「アルティメイタム」に続く・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-06 18:26:37)
18.  未完成交響楽(1933) 《ネタバレ》 
音楽伝記映画の傑作の一つ。まさかこんなに楽しく面白い映画だったとは。 実在の音楽家シューベルトが、貧しい生活の中で文字通り音楽を“楽しんで”いる様子が伝わってくる。三度の飯より音楽が好きだけど、やっぱり生きるためには食い物で腹を満たさなきゃいけない。生活のためにバイオリン?を質に入れ“金に換えざる負えない”姿は切実で胸に染みる場面だ。バイオリンを「今までありがとうな」と言わんばかりに手でなでる。それがファースト・シーンなんだから面白い。悪ガキ共もあれだけ歌が上手かったら文句は言えないね。 ヒロインとは結ばれるかと思いきや・・・あれだけ親しくなれた女性も忘れてしまうほど音楽に没頭するシューベルト。音楽馬鹿って感じが良く出ているが、やはり切ない。音楽を心から楽しみたい人、「アマデウス」のような音楽伝記ものが好きだという人にオススメな作品です。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-04 07:47:34)
19.  バリー・リンドン 《ネタバレ》 
ほんとうに長くて疲れる映画だったが、見応えのある傑作だった。 やっぱりキューブリックの戦争映画にハズレなしだね。  決闘の場面からはじまるファースト・シーン。 イギリスの簡素な自然の美しさが、劇中の寒々しさをより引き立てる。 主人公の日常も“賭け”からはじまる。 「体の何処でもご自由に。勇気があればだけど(笑)」 ほほお~積極的ですね~。けしからんおっぱいしやがって・・・うらやまし(ry  バリーもまた嫉妬と意地で決闘を申し出る。決闘の度に流れる淡々としたドラムロールが痺れるぜ。 若気の至り、だがバリーには若さと「もっと暴れたい」というエネルギーが有り余っていた。  追われる身となったバリーは紆余曲折を経て真紅の征服に惹かれ軍隊に。それにしても礼儀正しい追いはぎだ事。 馬も金もない、あるのはくいぶちを稼ぐために軍隊に入ろうという気力と覚悟だけ。バリーは七年戦争へと参加する。  血気盛んなバリーはどんな決闘も受けた。 殴り合いのシーンは「拳闘試合の日」を思い出す。  バリーと策士グローガンの友情、 軍隊としての戦い。 一斉射撃の様子は火を放つようだ。 別れは同時にバリーの生存本能を揺り動かす。 身分を偽り、 ささやかな交流、 嘘も方便、しかし嘘は次の地獄へとバリーを誘う。 バリーはどんな過酷な地獄も生き残った。 その本能が人脈や新しい絆を結んでいく。 兵卒から伍長、二重スパイ、そしてギャンブラー。バクチのような人生を送り続ける。 バリーは“取立て人”として剣の腕を振るっていた頃がピークだろう。 だがバリーは取り返しの付かないミスを犯してしまった。それは結婚相手を間違えてしまった事だ。公然と死が迫る人間に向って死の宣告をする大胆さと度胸、おごり。 ココまでは栄光に満ちた半生だが、後半はバリーが不幸のどん底へと堕ちていく。 バリーは女の本当の気持ちを知らなすぎたのだ。 つうかタイミングを考えろよコイツ。  重なる不幸はバリーの心も蝕んでいく。  ブリンドンの“戦線布告”は昔のバリーを思い出す。ブリンドンの覚悟は足りなかったが、バリーはその意気を買ってあえて身を引く。いや、昔の自分を見るような自己嫌悪だったのかも。  「ルドビコ」って「時計じかけのオレンジ」?  とにもかくにも、ラストは暗い終わり方だったが美しい者も醜い者も今はすべて同じあの世なワケです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-31 22:07:47)(良:1票)
20.  ル・アーヴルの靴みがき 《ネタバレ》 
今もヨーロッパに根強く残る移民問題をユーモアを交えて描いた作品。  フランスはのどかな町ル・アーヴルで元気に暮らす人々。 ビンボーで金も無い、でも心は誰よりも豊かという良い人ばかりだ。  住民がアレコレして少年を守ろうとする姿はとても楽しく、とても健気で泣けてくる。  病気を夫に隠す奥さんのセリフはさらに泣ける。  今の世の中、悪い事ばかりだ。でも、たまにはこういう良い人しか出て来ないような映画があっても良いじゃないか。  靴屋の店主が必要悪だと思うとまた泣ける。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-16 22:49:26)
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