1. トンネル 闇に鎖(とざ)された男
《ネタバレ》 2012年頃から竹島絡みで盛り上がった反日運動を機にあの国が嫌いになり、それ以降はあの国の映画もドラマもほとんど観ることが無くなりました。それくらいに大嫌いです。人間が小さいのはよ~く自覚しています。 そんな私ですが、本作は某衛星放送で冒頭を目にしたらグッと引き込まれて最後まで楽しんでしまった。正直、面白かったです。登場人物たちのピンチや落胆のたたみ掛けが上手で飽きさせません。 映画レビューに政治を絡めるも変な話ですが、私は日韓合意を無効化した彼らの気質を本作に見る想いでした。無責任な報道関係者や第二トンネルを推進する行政、さらに行政トップの脳天気とそこにおもねる面々。そんな邪魔者たちの妨害に遭いながら、閉じ込められた男とレスキューの責任者と妻だけが諦めなかった。邪魔者たちは、最初は「本気で心配するフリ」をするが、時間が経過すると容易に態度を覆す。熱しやすく醒めやすい。声が大きい方に乗りたがり、理屈を垂れて約束や決まりごとを破る。遂行すべきことを見失う。本作はそんな邪魔者たちの妨害に対する抵抗の映画であり、少数派の「正義」を貫いた映画なのだと思う。本作ではその小さな正義が最後に勝利する訳だけど、あの国の方々は正義を信じて闘うことが好きで、それは自分たちの姿勢に酔っ払うくらいに大好きで、約束や決まりごとを破る程にエキセントリックになることもある。本作の正義派は最後まで紳士的態度でしたけど、みんな約束を破る気質を持った人達なんだなぁと、あの国の国民性が垣間見えた気がしました、とさ。(かなり強引w) 久しぶりのペ・ドゥナさん。お母さん役になってました! [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-03-31 22:36:57) |
2. 火車 HELPLESS
《ネタバレ》 原作は宮部みゆきの初期の傑作です。日本のサスペンスで邦画化されなかった傑作は韓国が映画にする。そんな印象を持っております。 原作を読んだのは随分と昔のことなので曖昧な記憶ですけど、ほぼ原作通りのストーリーでした。でも、ラストシーンの語り方が原作と違います。そこがとても気になってしまいました。可愛い容姿の女性の中身が実は悪魔的だったことが判明するのはサスペンスによくある筋立てです。でも本作の原作は、悪魔的だったことが判明したあとに、その女性が何気なく現れる違和感に醍醐味がありました。映画化に際して、最も特徴的だった部分が喪失し、テレビドラマレベルにアベレージ化されたという意見です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-10-24 03:50:31) |
3. 猟奇的な彼女
《ネタバレ》 とても面白いのですが、手放しで褒めたくない映画なのですよ。彼女の直情的なアクションは、さほど道理からは外れておらず、むしろ正論を発していることの方が多いくらい。だから猟奇的と云うより、単に暴力的なだけなのですが、可愛いから許されるし、逆に魅力的にも見える訳です。でも、彼女の容姿があのレベルじゃ無かったら、この映画は成立していません。つまり、可愛い子には寛容と云う男の弱々しい下心に付け込み、最大限に利用している映画なのですよ。なので、主人公には共感と同時に、情けない気分にもさせられる。男は遺伝子的にそのようで出来上がってしまっているので仕方が無いんだけど、それを認めるのが悔しいので5点です(笑)。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-02-24 01:15:09) |
4. ボーン・レガシー
《ネタバレ》 ジェイソン・ボーンの設定から派生したスピンオフ的作品でした。まぁ、それは観る前から分かっていたんだけど、ボーンシリーズを詳細に記憶している訳では無いので導入が分かりにくい。序盤、部署と肩書きだけをテロップ表示される人たちが密室で言い争っているシーンが続き、何が起こっているのか良く分からないまま虐殺と追撃が始まります。断片的な台詞は迫真性を増すと言うより、分かりにくさを助長していたと思います。途中からは追う者・追われる者の構図がハッキリしていて観やすいのですが、ストーリー的には逃げ切って終わるだけで、特にカタルシスがありません。単純なお話を無理に複雑そうに見せて無駄に尺を伸ばしている映画でした。例えば、主人公の性別を変えるとか、中国が横やりを入れてくるとか、何か新味を入れないとダメでしょう。ちなみに、ジェレミー・レナーは馬鹿に戻りたくないのでフィリピンまで行ったんですよね? [CS・衛星(字幕)] 3点(2013-09-05 23:12:50)(良:1票) |
5. 白夜行-白い闇の中を歩く-
《ネタバレ》 それなりに東野圭吾の著作を読んでいますが、ここまでは「白夜行」が最高です。映像化される際の私の興味は、どこまで原作を再現できるかに尽きます。もちろん、私が受けた印象に近いかどうかという意味ですけど、アレンジなんかして欲しくない。 ドラマや邦画版に比べて、本作は原作に近い雰囲気を再現していると思いました。でも、やはり肝心の部分が物足りない。「白夜行」の妙味は、原作で云うところの亮司と雪穂の接触シーンを一切排除して物語が進行するところにあります。そこにサスペンスの醍醐味と、二人の関係の深さと闇が象徴されると思っているのですが、映像制作者はそう思わないようです。ちょっと理解に苦しみます。「白夜行」の映像化は、まだ途上ですね。 本作に関しては、現場刑事のバタ臭さに韓国映画らしい良さを感じました。前言を覆すようですが、自分の息子を現場検証に使って亡くすアレンジも悪くないと思いました。でも、秘書室の女と刑事の死体が養母の自宅庭から発見されることによって、女には疑惑の目が向けられるはずで、そこに綻びを覚えます。原作の学生時代がごっそりカットされている為に、闇の中を歩かねばならない必然が乏しいことも気になりました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-12-24 00:48:59) |
6. 彼岸島
《ネタバレ》 まぁ、こんなもんでしょう。私は原作を評価していないので完璧に映画化されても高い点数を付けたかどうか…。情報通信技術が発達した現代において、ああいう島が存在し得ること自体にもっと念入りな設定が必要だと思いました。それと、心情を言葉にし過ぎですね。身近な人を思いやる台詞が多すぎて、喋れば喋るほど友情ごっこに見えて物語と自分の距離が拡がって行く。吸血鬼にされた兄ちゃんが仲間への恨みを吐露するシーンなどは観ていてゲンナリするんだけど、彼に反撃できない主人公にはそれを通り越して凄くイライラしました。息の根を止めた兄貴に感謝したもんね。欠点が多い作品ですが、丁寧に描こうとしている部分が最大の欠点になっていると感じた次第。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2011-11-06 11:43:46)(良:2票) |
7. 母なる証明
《ネタバレ》 無実を晴らそうとするのが母の愛なら、無実の演出に人を殺すのも母の愛、そして無実の青年に罪を着せるのも母の愛。つまり、そこに正義や道徳はありません。そんなものは、母の愛の前には二の次の論理なのである。道徳観や倫理観は人が社会を形成する際に、必要に応じて後天的に作られた価値観。それに対して「母の愛」は人が子孫を残すために備わっている本能を、行動的に類似した部分が多い「愛」で代替形容したものだと本作を見ていて思う。どちらが強いかって言ったら、そりゃ後者ってことになる。ご丁寧に「バカな子ほど可愛い」というオプションまで付けてある。その母の愛に対照させるのが息子の感情。コメディ要素だったはずの「バカな子」が、後半になると心情にベールを掛ける役割を果たす。廃品回収じいさんの焼死の真相に気付いていることを匂わせ、さらに気付いても忘れそうな記憶力の無さはサスペンス&ミステリーとして機能するが、なにより母の想いを素通りさせているような不透明さが、母を不安にさせ、母の愛を孤立させて行く。一方通行の行き着く場の無い本能的な愛。それは誰も見ていない原っぱで一人で踊る虚しさに等しい。ありふれた日常に隣接する非日常を軽々と残酷に切り取る芸当はこの監督の確固としたオリジナリティ。本作でもそれを確認させてもらいました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-12-18 13:58:32)(良:2票) |
8. 昴-スバル-
黒木メイサのファンが彼女目当てに観る分には良い具合かもしれません。自分はバレエを見る目が無い人ですが、頑張って練習したんだなあと思えるレベルにはなっています。ただ、役柄が「天才」だったりするので、そこまでのものには見えません。原作との印象の違いになりますが、主人公の幼稚なわがままとか傲慢さがその「天才」ゆえに許されるというか、周囲をねじ伏せてしまう歪んだお話が原作の味わいです。そのちょっと異質なアンチヒーローが、本作ではある程度は常識的で丸い人物に見えました。どんな世界でも一流と言われる人は人格的にも優れた(ように見える)人が多いけれど、そこに反旗を掲げているところがテーマと言えなくもないので、どうせなら思い切った嫌われバレリーナにしてくれた方がずっと見応えがあったと思います。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2010-07-05 01:44:24) |
9. 力道山
《ネタバレ》 伝記としては、良く出来ているのではないか。強い自我と反骨精神が暴力に直結するような粗暴な性格。でも、その破天荒な性格がパワーとなって、あの分野を切り拓いて行ったことは確かだと思うし、それは良く分かりました。事実とは違う部分もあるようですが、録画でしか力道山を知らない世代としては意味がありました。でも映画としては、もうひとつ盛り上がらなかった。主演のソル・ギョングは良く台詞を覚えたと思いますが、微妙なイントネーションで感情を表現しきれない。そりゃそうだ。自分が韓国語で心のこもったプロポーズをしろと言われたって、ネイティブに聞かせたら覚えた発音の棒読みにしか聞こえないはず。相当に頑張っているのは分かったけれど、限界がありました。でもプロレスシーンは凄かった。プロを相手に体を張ってました。あれはまさに体当たりだと思います。大木金太郎はいたけれど、馬場と猪木は出番なし。ちょっと残念。ちなみに空手チョップって、空手+チョップ。これまで何気なく聞いていたけど、改めて吟味すると柔道パンチや剣道キックみたいなもので、変な造語ですね。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2010-03-26 00:13:51) |
10. レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―
壮大なお話を壮大に描こうとしたのね、という以外に特に感想はありません。そうですか、って頷きました。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-02-06 15:09:34) |
11. 私の頭の中の消しゴム
韓流ラブストーリーらしいご都合主義があちこちに垣間見える。だけど致命傷にならずに済んでいるのは、そのことでお話の結末が変わったりしていないからだろう。主演二人の行動にもっと現実味を持たせれば、作品の質が高まったと思います。アルツハイマーの症状はあんなものじゃ無いと思うけど、現在の韓流に奥深いものを求めていないので、あれはこの映画オリジナルの記憶障害と思って流しました。ソン・イェジンって、最初は普通の人に見えるんだけど、ストーリーが進むに従ってどんどん可愛く見えてくる。このあたりもまさに韓流という印象です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-10-27 01:04:05) |
12. 初雪の恋 ヴァージン・スノー
《ネタバレ》 ストーリー的には観るものなし。黙って姿を消す必要とか、普通に捜せばすぐに見つかりそうなところを、思い出の場所で待ち続けるとか、ノーマルな人には出来ないことをたくさんやってくれます。ああいうのは、マネしない方が良い。ストーリーを盛り上げるためなら、行動の必然性は必要ないと信じている韓国作品のいい加減さがストレートに出ている例です。これで盛り上がれる方は相当におめでたい。宮崎あおいは可愛かったです。それを目的に観て、それだけを達成しました。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2009-09-05 03:28:43) |
13. TOKYO!
《ネタバレ》 自分は東京で働いたり住んだりしている人だけど、どれも東京である必然を感じなかった。あえて言うと、2作目がゴジラに何度も破壊された東京へのオマージュなのかな。忍者やチョンマゲを出して欲しい訳じゃないが、この程度なら海外の監督たちに依頼した意味が感じられない。東京を切る、ということなら、日本の若手監督を起用した方が、ずっと奥深いものになったと思う。海外の監督さんから見た“印象”としての東京なんかより“実像”としての東京の方にこそゴロゴロとテーマがありそうだけど…。出番は少ないのに蒼井優の存在感が際立っていた。それが強く印象に残った。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2009-08-20 00:20:22) |
14. 光州5・18
《ネタバレ》 ごく最近と言っても良いくらいの時期に、隣の国でこんなに愚かなことが繰り広げられていた、という事実がショックでした。高校時代にニュースは見てましたが、死人が出るほどの大規模デモ、くらいの認識でした。軍隊が市民に銃を向け、引き金を引く。しかも、隊列を組んで雨あられと銃弾を浴びせる。自分の常識では軍隊が介入するような騒乱には見えず、一方的な虐殺です。その一斉射で終わるのではなく、まるでゲリラを掃討するように殺人を続ける軍に対して、市民が武器を取るという流れがこれまた異常でした。国際世論も当時はあまり機能していなかったのか…? 映画としては、軍隊の介入に至る過程を描いた前半は秀逸ですが、後半に特定の人物の心情に寄り過ぎて全体が見えなくなったことが残念でした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-07-07 23:13:41) |
15. オールド・ボーイ(2003)
面白かった。事件の動機などには突っ込みどころはありますが、あのおっさんが何をやらかすか分からん緊張感が良かったです。こういう偏執的な映画を作らせたら、日本映画より韓国映画の方がパワーがあるんじゃなかろうか。曖昧な言い方だけど、エンタテイメントとしてハリウッド映画ほど放り投げず、日本映画ほど自己完結していない、程よい着地感でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-05-30 15:04:37)(良:1票) |
16. レッドクリフ Part I
「アストロ球団」並みでした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-05-26 01:33:08) |
17. 誰にでも秘密がある
暇つぶしにはなります。でも、この映画に割いた2時間弱は結果的には勿体なかった。ホントに時間を潰したってことですな。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-05-18 01:27:59) |
18. LOFT ロフト(2005)
死生観に独自の理屈がある監督さんのようだ。常識的ではないことを分かりづらい文脈で表現しようとしていて、映像からは文学的な香りを感じる人もいるのだろうけど、自分には何も伝わって来なかった。確信犯で意味不明っぽくやってるように思えるので始末が悪い。このサイトでレビューを書いているくらいだから、映画に込められたメッセージを深読みして行く作業は好きな方だけど、そんな気持ちがちぃーっとも起こらない映画がたまにある。理由は簡単で何も感じられず、感想が浮かんで来ないから。この映画がまさにそれでした。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2009-03-17 14:34:57) |
19. 黒い家(2007)
微妙だなぁ。どうしても原作との比較になってしまうんだけど、主人公の不幸な過去を挿入することで全体的に丸くなった気がします。物語に厚みを持たせたかったのだろうか。主犯の姉ちゃんの壊れた人間性だけで突っ走って欲しかった。コメディに見えかねない日本版の印象よりは、底冷えのするホラーにはなっていますが、異物混入で怖さの純度が薄まった感じです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-03-15 02:22:19)(良:1票) |
20. 絶対の愛
《ネタバレ》 これは真面目に鑑賞するには辛い映画だった。愛情のカタチ云々言う前に、あの女はただの精神異常ですよ。それに振り回された男が「お前が本当に怖いよ」と言ってくれてほっとしたのも束の間、この男も壊れてしまいました。一人として感情移入とか共感できる登場人物がいない珍しい映画。誰しも自分の「顔」には何らかの想いを持っていると思うが、こんなゲテモノに調理されたら味なんて分からない。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2008-10-30 00:16:57) |