1. 新感染 ファイナル・エクスプレス
それなりに楽しめるのだが、よくあるゾンビ物の域を超えるものではなかった。 [インターネット(吹替)] 5点(2024-06-27 00:22:59) |
2. EXIT
《ネタバレ》 少女時代のユナが出ていたのでちょっとビックリ、思ったより演技もしっかりしていて二度ビックリ。 テロに遭ってのパニック映画なのだが、ラブコメテイストで描かれているのでどうしてもハッピーエンドが見えてしまう。 結果は予想通り。 100%助かるだろうと安心してしまうと、ハラハラドキドキがまったくなくなったのが致命的。 テロによるパニックとラブコメの組み合わせはもともと相性が悪いと思う。 他の要因のパニックならうまくコメディになるかもしれないけど、テロだとやっぱりシリアスサスペンスのほうが向いている。 ただ、クスッとできるような小ネタは随所に入っているし、ドローンを使った危機脱出も意外性があって、いろいろ考えて作られているのでそれなりに楽しめる。 [DVD(字幕)] 5点(2020-10-09 18:31:35) |
3. サスペクト 哀しき容疑者
《ネタバレ》 邦画にはあまりないスタイリッシュで迫力のあるアクションもの。ボーンシリーズを彷彿させるカッコよさ。ボーンシリーズが好きなら、これも結構気に入ると思う。 主演のコン・ユはイケメンだし、大佐役のパク・ヒスンも不敵な面構えがいい。ただ、カーチェイスにあまり興味はないのでそこは長~く感じた。 アクションだけじゃなく、ストーリーやキャラクターもしっかりしている。事件を終えての北と南の結末は、北が食料確保できたお返しに核を放棄するという夢物語的なものに。現実を冷静に見ると思わずツッコミを入れたくなるけれど、はかない願望をドラマや映画に入れこむのはこの作品に限らずよく見かける気がする。 主人公の最大の目的となった娘との再会シーンは、主人公とお腹の大きな妻の会話が前フリになっていたので予想がついたけれど、セリフのない演技が良くて印象的なものになっている。 韓国映画には極悪人がよく出てくるが、ここでも敵役である室長の人非人ぷりはいかんなく発揮されている。 悪役が憎々しいほどに、それが打ち倒されるカタルシスはあるのだけれど、そこに特化している印象。 [DVD(吹替)] 7点(2020-10-04 22:56:07)(良:1票) |
4. 嘆きのピエタ
《ネタバレ》 親に捨てられて成長したガンドの、冷酷非情な取り立てはなかなかエグい。保険金を得るために、金を返せない債務者の手や足を虫けらのように潰していく。債務者の妻の懇願や、優しそうな母の祈るような目も、まったくガンドの心には刺さらないほど荒みきっている。 ヒリヒリとした雰囲気で引きつけられるのだけれど、そこからのストーリーに少し無理を感じたところが幾つか。それが引っかかって、話にのめりこむまでには至らず。 ガンドに母親と名乗る女が現れるのだが、この女の正体を考えたら、ガンドに突き落とされて足を折った債務者側の人間のはず。それなのに、息子の悪口を言うなと追いうちをかけて折れた足を踏みつけるのは、いくらガンドに母親だと信じさせるためだといってもできるものなのか。足を折られた息子とその母は、自分と我が子に重なるはずで、同じくガンドの被害者なのだから。観客を騙そうとしすぎて、無理が生じているように感じられた。 また、自分を捨てた母を激しく恨んでいたガンドが、母を案外あっさり許しているような印象。これまでの恨みを考えれば、たとえ解消されるにしてももっと時間がかかるはずに思える。 ラストはキム・ギドク監督らしい痛ましくてインパクトのあるシーンで畳み掛けてくるけれど、そこに至るまでにのめりこめないために衝撃が弱くなってしまうのが惜しい。 [DVD(字幕)] 6点(2020-09-05 18:35:29) |
5. タチャ ~神の手~
《ネタバレ》 意外性を狙ったのだろうが、二転三転四転ごちゃごちゃこねくり回してわかりにくい。 同じ詐欺師の話でも「テキサスの五人の仲間」「スティング」のように切れ味良く一太刀でキレイに騙してくれると爽快感があるのだけれど、これは切れ味が悪すぎてメッタ切りにしている感じでスッキリしない。 ラストのイカサマの手法も不自然。イカサマ相手のラスボスが伝説のタチャなのに、それを見抜けないのも都合が良すぎる。 役者は良いのにもったいなかった。 [DVD(字幕)] 5点(2020-08-23 23:00:51) |
6. 私の頭の中の消しゴム
ベタベタの難病ものでストーリーはこれといって際立つようなものはないんだけれど、主演の二人の良さもあって泣けるところまで持っていかれる。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-12-27 21:59:42) |
7. お嬢さん(2016)
《ネタバレ》 三部構成の一部はスッキ(珠子)の視点で、二部は秀子の視点で描かれ、三部で全ての真相が明らかに。 真相が次第に明らかになるのが面白い。 官能小説の朗読での日本語の訛りが、ムードぶち壊しでコントのようで笑える。 あれで興奮するのは無理だろうし、興奮するならホンモノのド変態。 全体的に韓国人俳優の日本語がもう少し流暢であれば良かったのだが。 現代劇の話し言葉であればそれほど気にならないかもしれないが、耽美派文芸風の畏まったセリフだけに余計に気になった。 [DVD(字幕)] 6点(2018-08-25 21:43:57) |
8. 恋愛の目的
《ネタバレ》 男に全然魅力がなくて嫌悪感しか沸かない。そんな男とすぐに寝る女も好きになれない。 そもそも教師と医者には最低限の職業意識がほしい。ところが、この男は生徒のことは眼中になく女と寝ることしか頭にない。 仕事のパートナーであることを口実に教育実習生にセクハラ、ストーカーまがいにしつこく迫る姿に虫唾が走る。 その自分勝手で詐欺師のような口八丁ぶりや一人っ子で甘やかされて大人になってオタクっぽくゲームに夢中になっている様子にも嫌悪感。 およそ嫌いなタイプを具現化した感じで、こんな男に教師であってほしくない。 女も女で、これだけ下心丸出しで迫ってくる仕事上の先輩に、お互いに婚約者がいるのにすぐに体の関係になってしまう。 この二人が他の職業であればラブコメとしてまだ笑えたのかもしれないが、これでは笑えない。 教師や医者は誰もが世話になったことのある身近な存在であって、その職業に不適当な人物と接した経験が一つでもあれば、その嫌な思いが笑いを邪魔してしまう。 女の尻を追っかける情熱の百分の一でも生徒の方に向けろよと。 いっそのこと詐欺師やチンピラというクズ男設定で、でも実はいいところもあるっていうキャラなら、「愛すべきクズ男」になれたかもしれない。 始まって30分でよっぽど見るのをやめようかと思ったが、どんな映画でも見始めたら最後までみるようにしているので我慢。 最後まで見れば次第に面白くなって印象が変わることも稀にあるけれど、二人に共感できないので印象がひっくり返ることもなかった。 カン・ヘジョンはベッドシーンも辞さずで体当たりの熱演をしているが「オールド・ボーイ」や「トンマッコルにようこそ」のほうがいい。 パク・ヘイルはどこかで見た顔だと思ったら「殺人の追憶」や「ウンギョ 青い蜜」に出ていた。たまたま見た役のせいもあってか嫌な奴のイメージばかり蓄積されてしまう。 [インターネット(吹替)] 2点(2018-04-15 22:23:00) |
9. 霜花店(サンファジョム) 運命、その愛
《ネタバレ》 結構スケールの大きな宮廷もの。激しい濡れ場は何度も出てくるが、しっかりしたストーリーもある。 男色家の王が跡継ぎ問題に悩んだ末に出した答えが、愛人である護衛隊の隊長ホンナムの子種を王妃に与えること。 心ならずも王妃とホンナムは床を共にすることを強いられるが、本物の愛情が芽生えてしまう。 子供の頃から王に囲われていたホンナムにとって、初めての女に夢中になるのは無理からぬところ。 二人の逢瀬に気づいた王が一度はホンナムを許すものの、ホンナムは王妃を忘れられない。 王は二人の純愛を邪魔する悪者にもとれるが、当時としては首をはねられて当然の裏切り行為をホンナムはしている。 一度は許した愛する者の更なる裏切りに、王はその情欲の源を断つとして最大の恥辱をホンナムに与える。 あっさり殺してしまうより、屈辱を与えたまま生きながらえさせる宮刑のほうが厳しい罰に見える。 愛憎紙一重。燃え盛る嫉妬と裏切りへの憎悪から復讐に走る王の姿はどこか哀れ。 一度でも自分を愛したことはあるかとの最後の問いに、一度もないと聞いたときの絶望感は少し気の毒にもなる。 一番気の毒なのは、ホンナムの巻き添えを食らってさらし首になったホンナムの部下たち。 無慈悲に殺したのは王だけど、ホンナムが王妃への愛で他が見えなくなっていたため起きた悲劇。 ホンナム自身の悲劇は自分が招いたことともいえるが、自分を慕ってついてきてくれた部下を守れなかったのは隊長としてどうなのか。 初めての愛に殉じたとはいえ、それに巻き込まれた人達にとっては災難でしかない。 王妃役のソン・ジヒョは中谷美紀に似た美人。スタイルはモデル体型だが貧乳なのが残念。 ホンニムのチョ・インソン、王のチュ・ジンモを始めイケメンがたくさん。 ボーイズラブ好きの女子ならたまらないかもしれないが、男同士の濃密なベッドシーンはいくら美形でも見てられない。 [DVD(吹替)] 7点(2018-02-04 21:17:35) |
10. シークレット・サンシャイン
《ネタバレ》 シネは引越してきた当初から嫌われる女の要素はあった。 初対面の店主に店のインテリアのアドバイスをする無神経さ。 夫が他に女を作っていたという事実を認めようとしないプライドの高さ。 お金を持っていると思われたいために不動産取引の嘘を吹聴する見栄っぱり。 子供の前髪に金メッシュを入れる母親なんてのも印象が良くない。 だが、そんな女だからといって、わが子が殺されていいはずがない。 どうしようもない苦しみ悲しみの中で、宗教に救いを求めるのはよくあること。 ようやく心の安定を取り戻したかに見えたが、自分が許すために面会した犯人が、既に神の許しを得ていたときにすべては変わった。 どんな罪人も神に懺悔すれば許される――。いや、許されてはいけないのだ。 わが子を殺した犯人を許すことができるのは、神ではなく自分だけ。このシネの思いはごく自然な人間らしいものに感じる。 罪には許されるものと許されないものがある。わが子を惨殺した犯人に親はどうなってほしいと願うだろうか。 罪を反省して更正して幸せに生きることか。それはウソだ。絶対に幸せになんかなってほしくない。 後悔の地獄の中で苦しんで苦しみ抜くことだけが、被害者の救いになる。安息を得た犯人に、シネの心が再び壊れ始めたのもよくわかる。 シネは神に復讐心を持ち、神を試す。自分を教会に勧誘した執事の夫を誘惑する。 いくら容姿が良くてセクシーに迫られても、メンタルを病んだ女は容易に抱けない。獣ではなく人間ならば。 どんどん壊れていくシネが本当に痛々しい。 ソン・ガンホの能天気な田舎の俗物キャラが、陰鬱なムードに救いをもたらしている。 意味ありげなラストシーンは、最初はそこに何かが埋まっているのかと思ったが、シークレット・シャイン(密陽)にかかっているのに気づいた。 そんな片隅にも密かに陽がいっぱいに射しているということを象徴的に表したかったのだろう。 その陽はジョン・チャンのことだろうか、その陽にシネは気づくのだろうか。 ここで映画が終わったのは少し拍子抜け。まだ何も解決しておらず、途中で放り出された感じ。 終わり方の好みもあるのだろうが、シネがもっとハッキリと克服できるまで描いて欲しかった。 ジョン・チャンがシネの傷を癒すシーンを見たかった。 [ビデオ(吹替)] 6点(2017-12-30 02:14:19) |
11. クロッシング(2008)
《ネタバレ》 これって実話ベースであるなら、小説の方が感動できたかも。映像にするならドキュメンタリーで。 こんな風にすると感動の押し売りのような演出が鼻についてしまう。 一つ一つのエピソードは北朝鮮なら十分ありえると思えるが、それを寄せ集めてみました感が出すぎてて、ベタで古くてクサい。 ベタは結構好きで泣かせられることもあるのだけれど、これはちょっと無理だった。 [DVD(吹替)] 4点(2017-11-30 22:12:39) |
12. ブラザーフッド(2004)
《ネタバレ》 何の準備もない状態で拉致のような徴兵をされる兄弟。 弟を必死で守っていた兄が、国への恨みから北へまさかの寝返り。 戦争はもともと現実離れしたものかもしれないが、全体的にオーバーにドラマティックに描きすぎて現実感を伴ってこない。 チャン・ドンゴンとウォンビン、二人のスターのための映画。 二人のファンなら満足できそうだが、内容的にはあざとくて薄っぺらな印象で物足りない。 邦画のアイドル映画を彷彿させるようで、主役をキレイに引き立てながら型通りに進んでいく感じ。 予算はそれなりにかかった大作なのかもしれないけど、韓国映画特有の生々しい迫力や面白さが少しも感じられない。 端的に言うと、お涙頂戴でクサい。兄弟愛の押し売りに、興ざめするばかり。 兄弟愛を描くにしてももっと抑え気味にさりげなくしてくれたほうが、粋だし感動もできたのに。 遺体の人違いの原因になった万年筆だけは良かった。 [DVD(吹替)] 3点(2017-10-28 23:14:25) |
13. 哀しき獣
《ネタバレ》 「チェイサー」のナ・ホンジン監督だけあって、同じような血まみれバイオレンス。 出てくる人間がほとんどクズ。そして、不倫と殺害計画が重なって人間関係が入り込んでいるので、わかりにくくて混乱する。 見終わっても何だか腑に落ちないところもあったのでゆっくり整理していくと、そもそもの事件の原因は大学教授夫妻がダブル不倫をしていたこと。 教授はバス会社経営のヤクザ社長の女に手を出し、教授の妻は銀行員とできていた。 そこでヤクザ社長と妻&銀行員の教授殺害がバッティングするというトンデモ展開。 妻&銀行員の計画は朝鮮族の元締めであるミョンに渡って、金に困っていた主人公グナムが引き受け、ヤクザ社長の計画は教授の運転手を巻き込んで子分たちが実行するというもの。 結局、グナムが実行しようとする直前に、ヤクザ社長側が実行してしまったて、グナムはなんだかんだで社長からもミョンからも命を狙われる。 「チャイサー」で主役だったキム・ユンソクは、今回は悪の親玉。でも韓国映画によくある陰湿で気持ちの悪い悪党ではなく、あっけらかんと下衆すぎて清々しいほどだった。 グナムはとことん哀しい男として描かれる。 朝鮮族として差別され、出稼ぎに行った妻は帰ってこず、教授殺害事件で手助けしようとした教授の妻は殺害の共犯だった。 死んだと思った妻は実は別人で、詐欺師に騙されて葬儀費を取られたりと踏んだり蹴ったり。 ラストで実は妻は生きていてグナムの死んだことを知らずに帰郷するのが、更に哀れさを増している。 ギャンブルの借金から人殺しを請け負うような男だから罰が当たっても当然とはいえ、さすがにちょっと気の毒になるほど。 バイオレンスは真に迫っているが、いろいろ詰め込みすぎたストーリーに無理があって、グナムの妻の失踪と同時に妻と勘違いするような女が殺されていたのも都合が良すぎる。 整合性は度外視して、ただ単に紛らわせて盛り上げようという監督の意図が透けて見えてしまう。 同監督なら「チェイサー」のほうが素直で出来が良い。 [DVD(吹替)] 5点(2017-10-22 19:32:59) |
14. オアシス
《ネタバレ》 ラブストーリーのヒロインが障害者の設定というのは今までに何度もあった。耳や目が不自由だったり、車椅子だったり。 でも、重度の脳性麻痺患者というのは記憶にない。描き方がとても難しいし、タブー視されてきたことに踏み込んだチャレンジ精神は素晴らしい。日本でなら企画段階で通らないに違いない。 脳性麻痺の患者は知能まで低いと思われることもあるが、全然そんなことはない。以前に一度、将棋が趣味の脳性麻痺患者と将棋をする機会があり、あまり負けたことのない私は内心困った。勝っても気まずいので手加減しようかどうしようかと迷いながら指し始めたものの、めちゃくちゃ強くて完敗。ビックリしたと同時に、自分の無知と偏見を思い知らされた。 コンジュがいるのに性行為を始めた隣室の夫婦は、コンジュを知性のある人間と見なしてなかったからこそそんなマネができたのだろう。 コンジュの兄夫婦は、コンジュのための住居の優遇措置を利用して、自分たちだけでその新しい家に移住。コンジュを古いアパートに残し、その世話は隣人にお金を払って任せている。 ジュンドゥの兄も自分の轢き逃げをジュンドゥに身代わりになってもらいながら、出所したジュンドゥに偉そうに説教している。 どちらも厚顔無恥で、心の不自由な人達。これが世間を代表しているように見える。韓国らしいシンプルに二極化した描き方とも言えるが、現実には障害者にも某有名人のような裏の顔を持つ勘違い野郎はいるし、健常者にも偏見のない純粋な人はいっぱいいる。 そういうことも含めてニュートラルに描いている映画もあるのだが、わかりやすさでいうとシンプルに二極化したほうが効果的なのかもしれない。 ジョンドゥも身体こそ健常だが発達障害を抱えているように見える。落ち着きがない、人の話を聞けない、空気は読めない、周りが見えない、自分のやりたいことしか頭になく他人の気持ちがわからない。前科持ちで家族からも厄介者として嫌われて、義姉にも面と向かっていないほうがいいようなことを言われている。 実際こんな奴とは絶対関わり合いになりたくないと思わせるくらい、嫌悪感を催すシーンが続いて大嫌いになる。 この誰もに嫌われる厄介者が、コンジュにとってだけは違う。コンジュを人として見てくれたのはジュンドゥだけ。 コンジュを強姦しそうになったのには呆れたが、コンジュにとってトラウマにならなかったのは幸いだった。とはいえ、それも結果オーライだっただけで、自分勝手な強姦未遂と変わりはない行為。 その報いか、愛情で結ばれた性行為が障害者に対する強姦として逮捕されたのは皮肉な結末。 それでも暗いラストにならなかったのは、二人が互いに必要としていることが確かな光明として見えるからだろう。 どんなに周りから厄介者扱いされても、誰かに必要とされる、居場所があるということは、それだけで大きな救いになるのだから。 時々コンジュの願いをイメージにしたようなシーンが挿入されるが、微笑ましいカップルの姿が印象に残る。そして、役者も上手い。 [DVD(字幕)] 7点(2017-10-14 23:33:54) |
15. 気まぐれな唇
《ネタバレ》 「女は男の未来だ」もそうだったが、ホン・サンス監督は男女の機微をリアルに描き出す。ただ、そこで描かれる人間の嫌なところが目についてしまう。 前半のミョンスク、後半のソニョン。どちらもベッドインするのは同じ。でも、二人の好対照な女性にその後の反応がまったく違ってくるギョンス。売れてなくても映画俳優のイケメン。ギョンスのとってミョンスクは今まで寝た数ある女のうちの一人だろう。簡単に手に入れて、簡単に手放せる。ソニョンは違う。気のある素振りを見せたかと思えば、素っ気なく遠ざかる。そうして知らないうちに女のペースに乗せられていく。二人の女とのことを対比的に描きながら、ラストでは美しい姫に付きまとって蛇になった男の伝説が効いてくる。 とても緻密な構成だとは思うんだけど、ギョンスを好きになれない時点で入り込めない。この男はいつも下半身の欲望を充たすために、息を吐くように嘘をついてきたのだろう。「こんなことをするのは初めて」とか「何もしないから」とか白々しい。誘いの手口が下心丸見えで、見ているこちらのほうが恥ずかしくなってくるほど。ストーカーのように家まで付けたり、中傷する手紙を出したりするのもただただ気持ちが悪い。こんな男を相手にする女もバカだと思ったが、結局この人妻のほうが一枚上手で男のことはお見通しだったか。それでもやっぱり関わり合いにはなりたくないタイプの男だ。魅力を感じない。 邦画や洋画でダメ男や悪い奴の中には結構親しみを覚えるような好きなキャラもあるが、韓国のダメ男や悪人は本当に嫌悪感しか沸かないケースが多い。 [DVD(吹替)] 5点(2017-10-13 21:44:47) |
16. 新しき世界
《ネタバレ》 ギャングの跡継ぎ問題に、警察の潜入スパイが暗躍する。警察サイドで絵を描くチェ・ミンシクの手段を選ばない非道っぷりが見事。クセのある役をやらせれば本当に存在感がある。 韓国の俳優の中では、キム・ユンソク、ソン・ガンホと並んで、主役も張れるおじさん三人衆の一癖も二癖もある役の演技はいつも凄味を感じさせる。日本の俳優であえて探すなら香川照之のイメージか。 その上司に終始振り回される潜入捜査官のジャソン(イ・ジョンジェ)。捕まった同僚の女スパイを自らの手で射殺したのは、なぶり殺しにさせるのが忍びなかったから。 その辺りまではマフィアものとしてとても面白く、めちゃくちゃ期待値も高まったのだが、その後付いていけず失速。 警察官だとバレたのに、チョンが見逃したのがどうにも腑に落ちない。見逃したのには深謀遠慮があるのかと思いきや、若い頃から一緒にやってきたという友情が理由。それならばその堅い絆を築く過程を見せてくれれば感情移入もできたのに。ラストでちょこっとそれを見せられても響かない。 それにいくら友情があったとしても、相手がスパイで今まで騙してたとわかれば見逃すわけがない。 主人公ジャソンのキャラもブレてるように感じた。若い頃はチャンよりイケイケだったなら、葛藤している姿はすべて演技だったのか。 いろいろ振り回されたり葛藤してたりするわりには、最後の皆殺しの割り切り方が人格豹変のように見えてついていけない。意表を付いた展開というのにありがちな、不自然さを感じてしまった。「ゴッドファーザー」のマイケルのように、説得力のある過程が描かれていればついていけたと思うのだが。もったいない。 [DVD(吹替)] 7点(2017-09-27 20:11:49) |
17. 秘愛 Secret Love
《ネタバレ》 7年交際中の男との結婚を控えた女が、イケメンと出会ったその日に関係を持ってしまう。結局ひと時のアバンチュールで終わって予定通りの結婚を選ぶ。 ストーリーはベッドシーンのためのおまけのよう。 ヒロインは、ミスコリア、麻薬逮捕、売春容疑、夫の自殺と波乱万丈のソン・ヒョナ。ふとした瞬間の顔がかとうれいこに似ている。 [DVD(吹替)] 4点(2017-09-09 15:15:50) |
18. 女は男の未来だ
《ネタバレ》 ヒロインのソン・ヒョナを巡って、アメリカ留学から映画監督になって帰国したキム・テウとその親友で大学教授になったユ・ジテとの三角関係。 男女の機微は随所にリアルに出ていてニヤリとさせられるけど、ストーリーは若い頃の恋愛を振り返って懐かしむような感じで何てことはない印象。男女関係のあるある感を楽しむような映画。 終盤、大学教授が飲み会で学生に説教しながら、その帰りに女子学生をホテルに連れ込んでしまう。自分に正直に生きるというのは下半身に正直に生きるということか。なんだかんだいっても結局いい女とやることばかり考えてるのかと。 ところが、教授に詰られた男子学生が跡をつけていて、二人がホテルに入ったことがバレてしまう。教授が男子学生の今後の動きを気にしながら女子学生をタクシーに乗せて見送るシーンで映画は終了。告発されないかビクビクしている教授の心の内が見えるようで、その姿がとても滑稽に映る。 [DVD(吹替)] 5点(2017-09-09 15:14:17) |
19. 春香秘伝 The Servant
《ネタバレ》 権力を握った者が横暴に下の者を踏みにじる。下男の主人公にはなす術もない。 ラストで現実の悲劇をチュニャンが望んでいたような美しい物語に仕立てようとするのが腑に落ちない。そんな聖人のようなキャラでもなかったはずで、無理のあるキレイごとに感じられる。恨みを募らせるならわかるが、人間そこまで割り切れるものじゃない。 そこに至るまでのストーリーはなかなか見ごたえがあったのだけれど。 [DVD(字幕)] 6点(2017-09-09 15:13:07) |
20. 私の少女
《ネタバレ》 ペ・ドゥナは小悪魔的な役が好きだったが、年齢を重ねて今回は陰のある大人の役。同性愛者としての傷を持ちながら、虐待された子を助ける女性警察官。少女はどこかで見た顔だと思ったら「アジョシ」に出てた子だった。 少女を虐待する義父と祖母が本当に憎々しいキャラで殺意が沸く。こういう役は韓国映画はマジで上手い。 [DVD(字幕)] 5点(2017-09-01 22:03:45) |