1. ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝
《ネタバレ》 B級の頂点だ。非常に面白い。強くて美しい女性4人が爽快に暴れまくる。それがすべてだ。彼女たちは不思議な武器を使って個性的な戦いを演じている。今回のジェットリーは雑魚と表現してもそれは嘘にはならないだろう。ラスボスを倒したのもクールビューティの女剣士だったからだ。この女優はチャン・ツィイーと同様に、女四天王の1人と呼ばれているらしい。抜群の存在感だった。愛する男を想いつづけ、孤高で、いじらしい。また、自己中心型の女盗賊も素晴らしい。手裏剣を使って、女剣士と戦うシーンは圧巻としか言いようがない。三国志の時代において、戦神と崇められた関羽が愛用する大刀さえ振り回す怪力女だが、美人ゆえに視覚的には爽快無比である。さらに、未開の国の先住民を思わせるガングロ系の王女はワイルドかつ一番の美人だ。円形の不思議な武器を使って攻撃してくるデンジャラスな女だった。笑顔がじつに不敵で素晴らしい。そして、図書館で勉強している女子高生のような暗殺者の女は強いぞ。はっきりいってラスボスより強いと感じた。武器は糸だ。糸フェチにはたまらないだろう。とにかく、4人の女傑たちが操る武器が、最高級に魅力的なのだ。4人の女性に囲まれているジェットリーがバカに見えてくる。このバカを愛して追いかけてきた孤高の女性剣士は死亡フラグが立っていた。つまり、愛する男をかばってラスボスに殺され、男はそれを見て奮い立ち、ラスボスを倒して一件落着。ありがちな展開を予想した私は身震いし、激しい不安を覚えた。もしそうだったら、私は何の躊躇もなく、問答無用に0点をつけていたであろう。しかし彼女が助かり、私は恐ろしい感動に襲われた。その瞬間、この映画に対する私の評価は決定されたといっても過言ではない。何を愛し、何を憎むかべきか、何を尊敬し、何を軽蔑するか、あらゆる要素において私と作品がジャストフィットしたのだ。正義は勝つ!! [DVD(字幕)] 9点(2014-02-23 13:35:55) |
2. レッドクリフ Part I
《ネタバレ》 赤壁の戦いをたった一言で説明するならば、あと一歩で天下統一だった曹操が、9回裏に痛恨の同点満塁ホームランを打たれて延長戦に突入してしまった出来事です。けっきょく曹操軍は、侍ジャパンのように延長戦で勝利し天下統一。劉備の国は、あの趙雲が命がけで助けたバカ息子のせいで滅亡。曹操派の私にとってはハッピーエンド。こういうふうに、わりと冷めた目でこの映画を観ていましたが、張飛が馬に体当たりするシーンや、趙雲が飛んできた矢を素手でキャッチするシーンには大笑いしました。武将の超人化はおおいに歓迎です。しかし曹操は独特の不良っぽさが感じられませんでした。まるで出世競争に負けて天下りしてきた小役人のおじさんのようです。不敵に笑うシーンも泣き顔に見えます。しかも色ボケジジイでした。三国志は晋の時代に、蜀出身の人によって編纂されたものですから、曹操悪人、劉備善人は恣意的に作られたものであることはわかっています。しかしそれでも曹操といえば、絶対悪であるべきです。それが物語の楽しさです。それにしても中村。とても味方には見えません。曹操よりも人相が悪いです。口をひん曲げて笑う顔が、完全に前科10犯の悪党でした。お前が曹操を演じろよ。周瑜と孔明が琴で会話するシーン。その背景の映像が幻想的で素晴らしかったです。まさかアクション監督にこんな映像美が作れるとは思いませんでした。今回はいろんな意味で違ったジョンウーが見られます。恋愛シーンもその1つです。あのジョンウーがラブシーンを演出するというだけで、レアな価値があります。 [DVD(字幕)] 6点(2009-04-01 21:41:42)(良:1票) |
3. カンフーハッスル
夜梅くらいに面白い。シンチーが投げたナイフが壁にあたり、はねかえって、自分の肩に刺さるシーンは、かなり笑いました。デブの相棒が投げたナイフも、同じくシンチーの体にザクっと突き刺さる・・あのバカらしさに、泣くほど笑いましたね。ナイフが突き刺さったときのシンチーの顔の表情を思い出すだけで、社内で働いているときでも、思い出し笑いをしてしまいます。シンチーという人がだんだん分かってきました。この人の笑いは、徹底的にバカを追及することだと思う。その笑いは、下品で毒があり、まさにチャップリンのクソ上品で、クソ知的な笑いとは対極にある。シンチーはこれからも、毒をたっぷり含んだ笑いで、わが道を突き進んで欲しい。私はシンチーを支持する。 それと、戦闘シーンは、あの有名なマトリックスや英雄(ヒーロー)よりも、断然このバカ映画のほうがレベルが高いと思ったのは私だけでしょうか? ありえねーくらいに、すげーです。 あの至近距離で拳銃の弾を掴み取るシーンも大いに笑わせてもらいました。達人たちも、みんな個性的で最高ですね。これはかなりの掘り出し物の映画です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-01-04 17:55:00) |
4. ションヤンの酒家(みせ)
《ネタバレ》 魑魅魍魎が跋扈しているような中国。この国の女性でよく見かけるのは幸薄だけど悲劇のヒロインに浸っていないということでしょうか。ションヤンは父が浮気していなくなり母が若くして死んでしまい弟は薬物中毒というありさまですがその不幸を淡々と受け入れているところがオールアバウトマイマザー的な女の強さを感じさせる。ションヤンの再婚願望は切実な生きるための手段、彼女は運命の漣に身を任せて生きることを受け入れているがその流れを変えようとする力も併せ持つ。運命とはそれが不幸であっても否定してはいけない。受け入れなくてはいけない。ただし降りかかる火の粉は自分で振り払うことができることを彼女は知っている。これは中国のリアルワールド。すべての女性は必見です。 [DVD(字幕)] 7点(2006-04-01 21:02:16) |
5. LOVERS
チャン・イーモウという監督は素晴らしい! 私は高く評価していました。チャン・イーモウは、純小説家なのです。 しかし、私はもう1つ言わなくてはいけないことがあります。 チャン・イーモウは、「昔」は、素晴らしい監督だった、ということです。 彼は名声と引き換えに大切なものを失いました。 「ヒーロー」の失敗は、何とか我慢できましたが、この映画を見て、ついにぶち切れました。 映画監督チャン・イーモウの堕落は、もう手の施しようがありません。この人は、もう二度とまともな映画は作れないでしょう。 これは映画ではなく、チャン・ツイィのプロモーションビデオです。 日本のバラエティー番組と同じ低俗さがあります。どうせならば、途中でチャンの歌も挿入すればよかった。日本のシングルチャートで100万枚突破間違いないでしょうね。 だけど、これは映画ではありません。 低俗なTVです。 チャンイーモウはついに、裸の王様になりました。 そしてチャン・ツイィーは、二の腕が、やたらと太くなりましたが、あいかわらず可愛いです。しかしやはりこれは映画とは呼べません。アメリカのハリウッドに媚びる最低の低俗映画です。 [地上波(吹替)] 0点(2005-11-05 21:30:56) |
6. 2046
《ネタバレ》 2046はSF小説でもあり官能小説でもあります。新聞記者くずれの男が描く夢物語です。だから管理人の娘が、小説の中ではアンドロイドになってしまうわけです。意味なんてありません。 「意味」というのは、自分で考えて作り出すものではないでしょうか? この大衆小説「2046の世界」と、「現実の世界」をかき回せながら混沌とした世界観を作り出していく試みは、私は気にいりました。 最後に娘からの伝言だということで、管理人から、「2046という小説の終わり方が悲しすぎるから直して欲しい」と、トニーは頼まれる。トニーは「わかった」と言って、終わり方を書きかえようとするが、まったくペンが動かない。この「ペンを持った動かない手」が、とても印象に残りました。 この時点で、小説家トニーレオンと2046の中の架空の木村が同一人物として重なり合うわけです。 SF小説2046の結末を変更できない理由については「花様年華」を観なければわかりにくいかもしれません。 単純に想いを寄せていた管理人さんの娘(小説ではアンドロイド)が結婚しっちゃったから、という理由ではないと思います。恋をする人たちの悲哀が静かに伝わってくる大人の映画でした。 失った愛を見つけるために、小説を書き続ける男─。2046にたどり着けば、それは見つかる。いや見つかるはずだという願望が込められています。 2046のラストは、作家のトニーが失った愛を取り戻すまでは、書きかえられることはないでしょう。 [DVD(字幕)] 8点(2005-05-03 15:29:33)(良:1票) |
7. 北京ヴァイオリン
ヴァイオリンとは小手先の技術ではない!感情の表現だ!というヴァイオリンの先生の言葉が響きました。 それに対して主人公の天才少年はまったくの無表情で顔色はとても悪いうえに、活力というか精気がまるで見当たらない。これを見始めたとき、「この少年はやばいぞ!」と思ったものだけど、しだいに彼が自分の感情を表に出していくところが分かりやすくてとても良かったと思う。 父親の親バカぶりということで「シャイン」を思い出した人が多いみたいだけど私は「リトルダンサー」を思い出した。 才能ある子供を愛しすぎると期待で壊れちゃうこともあるけど、一歩ひいて後ろから見守る父親の愛し方が印象的。 特に最後は圧巻だった。 涙を流して演奏する少年のヴァイオリンから煙が!? おい、ちょっとそれはやりすぎだー!と一瞬思ったけど「勢い」というものは凄いものでそんなことなど吹き飛ぶほど感動してしまった。 疲れたときに見る癒し系映画の代表作なのでぜひ見て欲しい。 [映画館(字幕)] 7点(2004-11-07 21:04:29) |
8. 山の郵便配達
この映画は私のツボにはまった。 父親をお父さんと呼ばない息子。 そういう息子に対して、あの情けなくて頼りない笑顔の父親は、見返りを求めない無条件の愛情を息子に降り注いでいる。 それが痛いほど分かった。 人は誰かを好きになると強くなると言われるが違うかもしれない、人は好きになればなるほど弱くなる─。 ・・こういうぎこちない2人の親子と次男坊の面白くも哀しい3日間の郵便配達は、平凡だけど、親子関係に問題を抱えている人が見ると胸を打たれるのではないだろうか。平凡だからこそ、風で郵便物が飛ばされただけで、声を上げたくなるほど驚くこともある(笑) ハリウッド映画に侵され続けているとそういう感覚が分からなくなるのかもしれないが、私はこの映画を純粋に楽しめる自分に気がついた。それがうれしい。 10点(2004-06-06 21:52:50)(良:1票) |
9. HERO(2002)
《ネタバレ》 残剣は恋人からザクザクと何回も刺されまくっていたのが悲しい。 剣士たちはセリフが異様に少なく、黙々と戦っていた。 一番セリフが多いのはじつは秦の始皇帝だった。 1点(2004-02-08 15:27:23) |
10. あの子を探して
チャン・イーモウ監督が外国で絶賛された映画。もともとこの監督の作品は外国の評価は高いのだが、中国での評価は低い。その理由は中国の貧しさを食い物にしているという批判があるからだと思う。 中国という国は汚いものを隠そうとするところがある。それを自国の恥だと考えるからである。 中国政府の「検閲」と戦いながら、これからも本当の暖かい中国を見せてくれることをこの監督に期待します。 [映画館(字幕)] 9点(2003-11-27 14:12:08) |
11. 秋菊の物語
まずこの映画をみて人目で驚くことは、村と都市の豊かさの違いでしょう。都市の豊かさがいっそう春菊の村の貧しさを際立たせているところが見事でした。 そしてそれが中国の中央集権社会の弊害を如実に物語っています。 あまりはっきり言葉に出して言うと、中国政府に干渉されるから、チャンイーモウの作品は、「映像で観客に語りかける技術」をいつも用いています。 この監督はときどき、中国の汚い部分を外国人に見世物にしていると悪口言われます。しかし中国を一番理解しているのはこの中国人監督だと思う。 9点(2003-11-27 14:03:42) |
12. 菊豆/チュイトウ
死者を弔う儀式は見もの。 チャン・イーモウは外国の評価の高い監督だが中国では評判が悪い。その理由は中国の悪い部分を見せているからと言われる。しかし彼は本当に中国を愛しているからこそすべてを映し出そうしている、 8点(2003-11-21 00:39:44) |
13. 活きる
この映画は「検閲」が通らなくて見れない時期もあったという。 当然のことながらこれは中国政府には面白くない映画の代表作。 いまや世界的に有名な監督のチャン・イーモウだが彼自身、「文革」で苦い目にあわされてきただけに、批判精神が強いのだと思う。 これを観ると文革は、とにかく怖いものだということがじわじわと伝わってくると思う。 中国人の誰もが1つの思想を信奉し、異分子を絶対に許さない態度をとっているが、明日は我が身が異分子扱いにされてしまうという恐怖感が伝わってくる。 観ていても息が詰まりそうになる圧迫感があった。 この時期は生きることが最も困難だったときかもしれない。 「活きる」というタイトルはとても面白いと思う。このような状況でも中国人はすべてを受け入れて生きてきた。単純に生きる事、なんとか生活している家族を見ているだけでも感動できる。 誰も自己実現とか自分の存在理由などで悩んではいない、立派な行いもしていない、ただ生きているだけであるけど、それが輝いて見える。 これは生きることに感謝できる人からのみ発散される輝きかもしれない。 これがどのようにして作られたかはDVD版「活きる」のメイキングをぜひ見てもらいたい。 興味が2倍になるはず。 ちなみに最近の中国映画は、検閲を無視したいわゆる下電影(地下映画)が若い監督の間で作られているという。 もっと本当の中国が見たい。 10点(2003-11-13 14:04:10)(良:2票) |
14. 初恋のきた道
人間が過去を思い出すとき、そのイメージはたぶん白黒ではないか? しかし彼女はその輝かしい過去のイメージをカラー写真のように鮮やかに思い浮かべることができる。 こういう人間は死ぬときに、「私の人生は幸せだった」と自信をもって言う事ができるのだろう。 7点(2003-11-12 21:27:52) |
15. 至福のとき
この映画の監督になって、ラストを作り変えたい気分になった。 それほど主人公の盲目女性に感情移入できた。 7点(2003-11-11 13:15:40) |