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1.  ジュラシック・ワールド 《ネタバレ》 
1作目のレジャー施設としてのウキウキするカラーリングと晴れ晴れした空の下で展開する風景が好きでした。それが2作目では終始くすんだ重暗い色調で、3作目でもあのキラキラ感は戻ってきませんでした。僕はそれがずっと残念でした。でも今回やっと第1作目と同じウキウキする明るく元気な風景が戻ってきました! しかも1作目では施設公開前のごく少人数専門家へのプレビューという形でしたが、今回とうとう多くの客で賑わうテーマパークとして描かれました! 過去大惨事になったのにハモンドじいちゃんは英雄の如く銅像に! 事故はあっても、手にした科学を「なかったことに」なんて人間はできないものかも。DNAいじれる時代、おとなしく実在した恐竜だけで満足しない金儲けってのも「だよね!」と感心の着目点。実際恐竜いたら飼いならせるのいるかもよという発想も脱帽。劇場代払って見るうえで、非日常を味わい、お天気良く人で賑わう恐竜テーマパークに旅行させてもらえるってのは嬉しいです。今日まで気づきもしませんでしたが1作目誕生からもう22年! あの頃あの映画を劇場で楽しんだ子供達がパパやママになってたりするんですね。そんなパパやママが我が子を連れて今回の作品を観る時、1作目のクライマックスの場所や乗り物が登場するのは「なつかしー!」て感じの嬉しさがあるんじゃないでしょうか。今作はユーモアも溢れていて好きになりました。登場の一瞬「ん、マルコム博士?」と思った登場人物は『ライフ・オブ・パイ』で成人したパイを演じたイルファン・カーンで、彼が「もう一匹はなぜいなくなった」と質問した時に受ける答えが「共食い」で、それを聞いて沈黙するアップとか、作品の枠を越えて笑いを用意するのが凄いと思いました。人でごった返すジュラシック・パークを見られるのは初めてですし、その中で恐竜版『ヒッチコックの鳥』が見られたのも楽しめました。これから親になる世代、親になったばかりの世代を意識したラストの落とし所は思わずウルッとしてしまいました。インジェン社の企みとか「母は強し」的展開とか、よく考えれば恐竜版『エイリアン2』な感じなんですけどOKです。飼い慣らしたはずの恐竜が知能犯的な裏切り…という驚き、と思いきや…という展開も良かったです。「そんな都合よくいくかい」とは思ったけど、細かいリアリティ求めないからOK。
[映画館(吹替)] 7点(2015-08-25 23:18:00)(良:1票)
2.  LOOPER/ルーパー 《ネタバレ》 
私は良質のSFというのは科学的理屈やディテイルに完璧こだわることではなく、いかに人間や社会というものを描けているかどうかだと感じています。タイムパラドックスもののセオリーがどうたらこうたらと、物語が伝えたい本質とさほど関係ないことにうるさい人たちに、この作品の評価を落とされてしまうのはとても残念な気がします。この作品は2作目までで終わらせとけば良かった『ターミネーター』シリーズの愚かなループと、『マイノリティー・リポート』がうまく描くことのできなかった部分に、強烈な答えと光を提示してくれたと思います。私がこの映画を観て強く感じたことは「世界を良くしたいなら、まずは自分の子供を愛して大切にしっかり育てなさい」ということでした。最後に復習に来るキャラクターでさえ、自分を拾ってくれた悪人に自分の存在価値を認められたいという愛情を欲しているし、すべてのキャラが自分と関わる者との絆を大切に思っているわけですが、その大切にする方向や方法が問われてる映画だったと思います。ひとりひとりが他者への思いやりを持ち、かつ家族が愛し合って健やかに心を育て合うことができれば、社会は未来は良い方向に向かうはずだと、そういう魂を感じる良作でした。子役、上手い子を見つけたなと思います。幼くして持つ重い枷に潰されまいと、同年代に比べてしっかりした判断行動を見せる健気で逞しく孤独を秘めたキャラに合った目をしてました。
[映画館(字幕)] 9点(2013-01-22 18:27:10)(良:2票)
3.  鬼が来た! 《ネタバレ》 
恨み憎しみを吐くつもりが、通訳から教わった言葉は全く別の言葉だった…というさわりだけ知っていて、ずっと気になっていた作品をようやく見ることができました。そのさわりの設定と、時折挟まれる笑いを誘うシーンで、ハートウォーミングな展開を信じて疑わなかったのですが、酒塚の登場でとんでもない展開に! 人間の愚かさと弱さからくる醜い部分をずっしりとボディブローされた気分です。主人公のチアン・ウェンと酒塚役の澤田拳也の存在感は、それぞれにすごく良かったです。澤田さんの登場シーンは「どっからこんな日本人俳優を見つけてきたんだ」と思うほど異様な目力を放っていました。調べてみたら、あの立派な体格から想像したとおりアクション系の俳優さんだそうで、それが少し残念です。いい監督さんに育てられたら、黒澤明作品の三船敏郎みたいな存在感を出せる人に思えます。主人公のチアンさんもすごく映画の空気感を高めていたと思います。その馴染みやすいキャラ建てがラストで香川さんを凝視する表情は脳裏から離れません。その瞳が観るラストシーンだけが鮮やかなカラーとなって人の醜さを映す。たまりませんでした。やりきれないです。やりきれないけど、嫌いになれない、良質の作品だと思います。 絵的には、恋人の顔が逆さまに映されるカットが印象的でした。主人公役のチアンさん自身が監督なんですね。
[DVD(字幕)] 8点(2012-10-17 00:20:35)
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