21. 奇跡のリンゴ
《ネタバレ》 妻の健康という目的のために始めたリンゴ栽培。本来は手段であるハズのリンゴ栽培が引き返せなくなって手段が目的化し、妻と別れようとか自殺まで覚悟していく過程には考えさせられた。もう自分の達成感のためだけに突き進んでいるある種の狂気。結果的に成功したからよかったようなものの、努力というよりは偶然的な要素もあるし、「最後まで諦めない!」的な感動作として扱うのは少々危険。作品のスタンスが感動作なので中途半端な出来になってしまったが、狂気に取り付かれた男が結果的に失敗して一家離散となった方が教訓度は高い。それじゃあ「狂気のリンゴ」であって「奇跡のリンゴ」じゃないけど。ただし、両者は紙一重なんだろうな。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2016-08-25 11:53:08) |
22. 銀の匙 Silver Spoon
《ネタバレ》 設定にヒネリはあるものの、ストレートな青春映画で爽快感はある。逆に言えば、登場人物が皆善人ばかりで、少々退屈な所もある。主人公にもう少し影や屈折した思いがあってもよかったし、酪農やりたくないのに無理に学校に来てる子とか居てもよかったかな。あと映画の締めとして、父子の和解はしっかりと描いて欲しかった。ちょっとサラリとしすぎ(原作にはもうちょっといろいろあるのかもしれないが)。何度か出てくる「経済動物」という業界用語?については考えさせられた。別に食用だけでなく、ペットや動物園も経済動物だし、従業員を家畜扱いする経営者によって過酷な労働を強いられ心身を病んでる人間だって経済動物だと言えるのかなと。 [地上波(邦画)] 6点(2016-02-26 10:37:08)(良:1票) |
23. 切られ与三郎
《ネタバレ》 本人に野心とか欲がなく流されて生きているのが主人公の魅力であり、ただ単に色男故に只管女難に巻き込まれる逃亡者的展開で、最後も優しさ故の行為がオカシナムードになってきて、てっきり妹に刺されて心中するのかと思ったら、流石にそこまでヒドイ話でもなく救いのあるラストではあった。ちょっと雷蔵があっけらかんとした善人過ぎているので、怨念とか陰みたいのが欲しかったな。それにしても女には気をつけないとね。150年以上も前の話ですけど「しがねえ恋の情けが仇」ってのは現代でも無数にあるのかと。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2016-01-06 12:51:02) |
24. 北の国から '89帰郷<TVM>
子役時代から見ていると、このシリーズは成長するに従って、痛さが増してくるのだが、そのターニングポイントとも言える作品。まあ仕方ない。青春なんてそんなもんでしょうよ。と大人になってやっと思えるというか。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-10-23 01:15:09) |
25. 北の国から '83冬<TVM>
笠智衆は確かに名演で素晴らしいのだが、それが「北の国から」らしさを損なっているような。肝心の家族の葛藤みたいなものが薄くなってしまった。 あとは、笹野高史の7:3分けにびっくり。 [地上波(邦画)] 6点(2015-03-01 16:57:30) |
26. 金環蝕(1975)
実話がベースのようで、こういう人間が実在し、この国を動かしてきたのかなあと思うと、何とも言えない気持ちになる。もう皆死んでしまったが、登場人物が皆雁字搦めで窮屈そうで、最後はどういう思いで死んでいったのだろうと想像してしまった。権力闘争という点においては単なる殺し合いをする戦国時代モノよりは実感があるかな。 カネを得るために権力が必要なのか?権力を得るためにカネが必要なのか?カネと権力の手段と目的の関係性について考えさせられた。 好々爺のイメージだった、宇野重吉の悪役が印象的。 [地上波(邦画)] 6点(2014-03-13 13:05:41) |
27. 機関車先生(2004)
私は伊集院静が結構好きで、彼の作品は殆ど読んでいるんだが、やはり彼の優しさ・哀しさといった世界観を映像化で伝えるというのは中々難しい作業であるなと感じた。まあでも舞台設定だとか子供達とかどうにか頑張っていたようにも思える。先生役はチョッとアレだが・・・。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-12-24 01:02:21) |
28. きみはいい子
原作未読だが、3つの短編を1つの作品として映像化するのは少々無理があったように思える。個々のストーリーはそれなりに印象的ではあるんだが。子供たちの演技は自然でよかった。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2023-06-15 00:12:54) |
29. キネマの神様
原作未読だが、コロナや出演変更等々もあって映画化には失敗しているように思える。何もかもが中途半端というか。原作は娘視点で見たダメ父ということになっているらしいが、そのダメ父を変に踏襲したまま、主人公にしてしまったのが大きな要因に思える。80近くになって見たら、また違った印象を持つのかもしれないが。女優陣は概ねよかったと思うが、男優陣がイマイチ。志村けんだったら、もうちょっと「喜劇」になったのかも。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2023-03-30 12:27:33) |
30. 岸辺の旅
「夫婦とは何か」を問う作品だと思うのだが、死別してからでは遅いということだろう。死別しないとわからないこともあるんだろうが、後悔しないように生きてる「今」を大切にするしかないのかと。テーマ・設定は興味深いが、作品としてはイマイチかな。 [地上波(邦画)] 5点(2022-08-19 22:26:16) |
31. キセキ あの日のソビト
《ネタバレ》 殆どフィクションだろうが、家族の物語としてみれば、そんなにヒドクもない。ラストの父息子の「和解」のシーンはいいね。本当にGReeeeNを知らないのか?トボケタのか?がちょっとわかりにくいけど。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2022-03-29 10:21:48) |
32. 斬る(1962)
《ネタバレ》 ある意味「女に翻弄」されてしまう主人公ではあるが、ラストは理不尽ながらも壮絶に死んでいく女達に比べて、簡単に自刃を選んでしまう男の弱さに気が付いて、つらくとも生きていく選択をしたという事だろうか。時代は幕末なんだが、幕末感がないのが難点。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2021-11-06 17:16:25) |
33. キューポラのある街
吉永小百合の急激な感情変化の演技がちょっと唐突というか仰々しくて違和感があった。当時の世相をどの程度表現しているのかは不明であるが、史料的な記録映画としては貴重に思えるものの、映画作品として面白いかと言われると微妙かな。調べてみると当時の高校進学率は65%ぐらいなので、進学するしないというのはそれなりの決断を伴うものだったのかと。ちなみに北朝鮮の帰国事業に関しては最近公開された関係各国の史料から背景や実態の調査研究が始まったばかりであり、その解明に興味関心を持っている。どうも日本政府が人道的立場を装って「厄介払い」したかったの実情であるようだが、本作においては差別偏見なく対等平等に交際している描写が今見ると新鮮でもある。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2021-01-11 17:20:13) |
34. 清須会議
私は、本能寺跡、山崎の戦い古戦場巡り、清洲城、賤ヶ岳の戦い古戦場巡り等々には行った事がある自称歴史好きである。もちろん清須会議の概要程度は知っている(ちなみに清須会議が2回あるのも知っている)。が、本作は話が細かいので登場人物全てを把握できないし、きちんと内容理解するのに骨が折れる。しかも、たかが「会議」を映画化するという非常に地味な作品なので、よほどの物好きでもない限り楽しめないだろう。調べてみると、概ね史実に則ってはいるが、多少の脚色もあるようである。本作でよかった点はラストの秀吉と勝家のシーンかな。まあ、こういう歴史ものはその後の展開を知る者が製作したり見たりするので、それを過剰に加味した演出にはやり過ぎとも言えなくもないのだが。いずれにしても、最高の物好きは監督自身であり、自己満足的なある種のオタク作品と言ってもいいのかもしれない。 [地上波(邦画)] 5点(2020-07-03 03:16:38) |
35. 君の膵臓をたべたい(2018)
原作未読、実写映画鑑賞済み。 アニメだとファンタジックで表現も仰々しいというか大げさになるので、実写の方がリアリティーがあるような気がする。ただし、自己存在と他者との関係性については、アニメの方が表現がストレートで対立軸が明確なので、良くも悪くもわかり易いとは思う。 [地上波(邦画)] 5点(2020-05-03 19:36:08) |
36. 巨人と玩具
《ネタバレ》 「もはや戦後ではない」と言われ、高度成長に突入していく時代のサラリーマンの悲哀(というか当時の人はそれが当たり前だと思っていたんだろうけど)。周りが異常行動に突っ走る中、川口浩だけがオカシサに気づく(が、最後はキレちゃったのか?)。今見るとちょっと説教クサイ感じもするが、当時はどのように受け止められたのだろうか? [CS・衛星(邦画)] 5点(2016-01-22 12:31:34) |
37. 銀座旋風児
《ネタバレ》 小林旭は地方都市でギター背負って馬を乗り回すのがお似合いな、ちょっと田舎臭いニーチャン風情が魅力なのであり、蝶ネクタイした宝飾デザイナーとして「お前たちは国民の敵だ!」などど野党政治家のように天下国家を語り、銀座で大暴れってのはどうも違うような気はする。似てるシリーズとしては「男はつらいよ」というよりは「網走番外地」的というか。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2014-10-23 12:06:59) |
38. ギター抱えたひとり旅
《ネタバレ》 冒頭いきなりギターを汽車に置きっぱなしにして脱出。そしてラストで何故かギターが登場し、ギター抱えて馬にのって去っていくという、作中では全くギターを抱えていない題名を完全無視した相変わらずの展開。本作はギャンブラー・シリーズに位置づけられるらしいが、基本的に渡り鳥シリーズと変わらない。但し、年齢的にはやや上がっているので、やんちゃぶりが若干なくなり、少々落ち着いた印象。相手役の松原千恵子は可愛くてよいのだが、適役の芦田伸介はちょっと合わないし、存在感も薄い。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2014-10-22 08:27:22) |
39. ギターを持った渡り鳥
渡り鳥シリーズは初めて。裕次郎と比べると小林旭はちょっと格下というかスター性に欠けるかな。ギャング・抗争モノとしてみた場合、東映任侠と比べてしまうんだが、高倉健に比べると粋じゃないし、ピストル勝負ってのは日本刀と比べると、味気ないし迫力もなく、拍子抜けする。弾き語りは悪くないし、昔の函館の風景が見られたのは貴重ではあったが。 <追記>6年ぶりに再見。その後何作かシリーズものを見ると、ある意味「熱」がなくよい意味でヘラヘラとした滝伸次のキャラが定まっていない印象。が、修羅場でも飄々と弾き語りしている姿は初回から確立しているとも言える。また、「悪」とは何か?に関して、宍戸錠と金子信雄の対比は興味深い。大揺れの船上で平然と撮影しているのは当時の撮影関係者の矜持も感じる。それにしても若き小林旭は岡田将生に似てるよね? [CS・衛星(邦画)] 5点(2014-05-28 08:33:37) |
40. 奇跡(2011)
大人から見た「こうあって欲しい」子供たちの世界ですかねえ。もっと残酷で爆発するエネルギーがあってもよかったような。そもそも、子供は親の離婚をこんな素直に肯定的には受け入れないでしょうよ。みんないい子ちゃん過ぎるよ。親離婚で苦悩する「お引越し」を見た直後だから尚更そう感じるのかもしれないが。 [地上波(邦画)] 5点(2014-05-06 00:02:53) |