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1.  しとやかな獣 《ネタバレ》 
川島雄三監督、凄い!こんなにもぶっとんだ家族はまずはいないだろう!人間の持っている醜い部分をここまで徹底的に描くその凄さに何度観ても感心させられる。人間とはお金がかかるとここまで醜くなるものなのか?芸能プロダクションに勤める息子が会社のお金を騙し取るような詐欺行為をする中で、そんな息子に対し、しかるどころか更にお金を稼がせようとする父と母の何とも言えない金に埋もれる悪人ぶりの凄さとまたそんな家庭に対しやってくる人達の何とも個性溢れる人達、それをたった二つの狭っ苦しい部屋、公共団地のあの部屋を覗き込むようにして人間の醜い部分を笑っているかの如く思える監督の演出ぶりの凄さ、これだけ徹底的に笑わしておいて、最後には氷付くような結末に、そして、まるで歌舞伎の世界を思わせる音楽も効果抜群!それにしてもこれだけのメンバーの中でも若尾文子の悪女ぶりと小沢昭一のピノサクの何とも怪しい人物には完全にやられた。
[DVD(邦画)] 10点(2005-11-04 22:24:56)
2.  七人の侍
今日の昼間、久しぶりに観たけど何度観てもワクワクする。胸躍る。こんなにも面白くて素晴らしい映画はそうはない。黒澤明監督の最高傑作というだけでなく日本映画史上、いや、世界の映画史に名を残す大傑作と言えよう!この映画には本物の力がある。あの時代だからこそ撮れた映画であって今は絶対に無理!最高の監督、最高の脚本家に最高の撮影・編集といったスタッフに最高の音楽家、そして勿論、日本を代表する最高の俳優陣、全てが結集して作られたこれこそ映画だと言うべき大傑作!文句なしの満点!娯楽映画としても勿論のこと、ヒューマニズム溢れる作品としても素晴らしい!これを観ないで一生過ごすなんて絶対に損です。
[DVD(字幕)] 10点(2005-06-19 19:28:47)(良:2票)
3.  じゃりン子チエ 《ネタバレ》 
直ぐに切れる。怒ってばかりで、娘には呼び捨てで呼ばれるし、ろくに仕事もせず、博打きりしてるどうしようもない駄目な大人の代表の様なテツだけどそんなテツが大好きです。自分に正直に生きているし、思い切り駄目な男のアホ全開な所も全て愛しく思えてしまう。娘のチエが内緒で母親に会っていると知ってからの父親としての刹那さ、チエの事が好きで好きで堪らない態度、三人で仲良く遊園地に遊びに行く事となり、その遊んでる時のテツの嬉しそうな顔といい、この作品は人間の喜怒哀楽をとても解りやすく描いている所が大好きです。出てくる人物も個性的な人間きりで楽しめる。自分の大好きな猫が他の猫に金玉を1つ取られ、泣くお好み焼きの親父も大好きです。アントニオの息子の仕返しに手を出さずに耐えた小鉄のかっこ良さは人間並のかっこ良さである。猫だろうが人間と同じで義理と人情を大切にする描かれ方もこの映画の良いところです。大好きな男はつらいよの寅さんを思わせる四ッ谷赤坂麹町、チャラチャラ流れるお茶の水のシーンまで出てくるし、とにかくこの映画大好きです。
[DVD(邦画)] 9点(2017-01-24 21:05:18)
4.  驟雨 《ネタバレ》 
やったあ!これもまたまた観ることが出来た。成瀬作品と溝口作品なら以前、CSで放送した際に全てビデオに録画してあるという親戚に借してもらって、今朝、早くから観たけど、いやあ、笑える。笑える。これも見たいのに、近所のレンタル屋にはない。何故だ?そんなことよりもまずは原節子が上手い。しかも、思い切り笑わせてくれる。姪の香川京子が汽車の中で夫に日本地図を無理やり書かされ、折角書いたのに夫には「キュウリか?」と馬鹿にされたと言われ、それを聞いていた原節子が今にも噴出しそうなのを堪えながら「酷いこと言うわね」ていうシーンがやたら可笑しくて笑い過ぎて涙出てきた。参った。参った。原節子には本当に参った。他にもこの映画でも同じ成瀬監督の「おかあさん」同様、香川京子が可愛い。夫の口調を真似する所のあの可愛さときたら忘れらなくなりそうです。そのぐらい本当に可愛い。二人の女優の演技を見ているだけでもやたら笑えて、清々しい気持ちになれる。その他では男優陣に眼を向けると小林桂樹が抜群に良い味を出している。相変わらずひょうひょうしていて見ていて楽しい。作品全体を包み込む何ともユーモラスな会話とやりとりにまたまた成瀬巳喜男監督にやられた。あぁぁぁ、これもDVDで欲しい。とにかく楽しくて楽しくて、あっという間に終わってしまった気がする。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2007-09-01 10:12:19)(良:1票)
5.  しゃべれども しゃべれども 《ネタバレ》 
おう!これはほんまに良いもん観させてもらいました。本当に心からそう思う。最近の日本映画の多くはアメリカの真似して安易な大作志向に走ってみたり、テレビドラマの映画化だの、漫画の実写だのと、そんなものばかり目立ち、腹が立つことのが多いが、そんな中でこの映画、いかにも日本的、古き良き昔の日本映画には多く見られた日常的な風情と人々による優しい一面、それでいて、厳しい現実と立ち向かいながらも生きようとしている人達の葛藤というものが上手く描かれていて素晴らしい。落語という日本ならではのテーマを上手い具合に生かしている。下町の風景の素晴らしいこと。素晴らしいこと。そんな素晴らしい風景の中でどの人物にしても悩みを持ちながら必死に戦っていて応援せずにはいられない。国分太一演じる落語家としては完全に二流としての駄目ぷり、師匠の伊東四郎にお前は駄目だと言われてもけして落語を捨てようとしない姿とまたそんな自分に弟子入りしてくる三人とのドラマがこれまた良い。中でも熱狂的阪神ファンの少年がこれまた素晴らしく、この少年の演技を見ているだけでも大いに楽しめる。他にも八千草薫のお婆ちゃん、これまた日本の良きお婆ちゃんて感じでとにかく出てくる人物、みんなが気持ちの良い雰囲気にしてくれる。色んな登場人物による人間の感情、その全てが見事にぶつかりあっていてこれぞ私の求めている映画なんだ!不器用だけど必死になって生きている人達はやはり好きだし、応援せずにはいられない。何か見ていて私の大好きな川島雄三監督の描く世界にどこか共通している気がして、とにかくこんな気持ちの良い映画は最近ではなかった。
[映画館(邦画)] 9点(2007-06-02 13:12:18)(良:1票)
6.  次郎長三国志 第八部 海道一の暴れん坊 《ネタバレ》 
シリーズ最初から一気にここまで見てきて、感じたことはこのシリーズの一番の活躍、私なりに考えるとMVPは石ではないかと思うわけで、そんな石のことを思って、マキノ監督が石を主役に石のために描いたのがこの作品です。石こと石松演じる森繁久彌の素晴らしい演技、眼の演技、身体全体から伝わってくる熱いもの、シリーズの中で第六作目と並ぶある種、特別な意味合いを持つべき作品だと観ていて感じたこの作品、私はこれがシリーズ最高傑作だと言われる意味が何となく解った気がします。夕顔という名の美しき女性に誘惑されて、おどおどしている石を見ているだけでもなんて楽しいことか!そして、最後のシーンでの決闘シーンで見せる石の全てがここにあり!といった終わり方、「おらあ、死ねねえんだよ~」と叫ぶあの石の表情、マキノ監督が石という人間が最も好きなんだろうなあ!(私も石が一番好きです。男達の中では)ということが解った。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-05-07 10:26:14)(良:1票)
7.  人生劇場 飛車角と吉良常 《ネタバレ》 
内田吐夢監督、鶴田浩二を主演にダイナミックにそして格調高く、美しく描いた任侠映画の傑作です。鶴田浩二の飛車角の男らしさ、男としてのかっこ良さに加えて、吉良常役の辰已柳太郎の味のある演技、若山富三郎の小金親分に宮川役の高倉健に松方弘樹の若き頃の今も変わらぬ雰囲気、藤純子と左幸子といった女優陣、物凄い豪華な顔ぶれの中で繰り広げられる義理と人情、男と女の哀しさに涙が出てきました。飛車角(鶴田浩二)が殺された宮川(高倉健)の仇を獲るために乗り込むシーンでそれまでカラーだった画面がモノクロの映像になる所とその後の藤純子が泣き崩れるシーンは強烈な印象を残します。内田吐夢監督の素晴らしい演出と役者達の重厚な演技に感動しました。任侠映画に少しでも興味のある方は必見の作品です。
[DVD(邦画)] 9点(2006-05-04 20:55:50)
8.  昭和残侠伝 死んで貰います
この作品、観るまでは任侠映画って、正直言って何だか怖くて観る気がしなかった。ところがこの映画の監督の作品、他の映画を何本か観ているうちに観たいと思えるように感じ、初めて任侠映画を観ることにした。私にとっての任侠映画初体験、この映画を観たことでそれまで自分の中にあった任侠映画に対するイメージが完全に変わった作品として忘れられない映画になった。忘れられないと言えば高倉健こと、我らが健さんは勿論のこと、もう一人そんな健さんの下、時には厳しく、そして、常に健さん演じる花田秀次郎のことを思い見方である風間重吉こと、池部良の事も忘れることなど出来ないぐらいとにかくかっこ良い。男が男に惚れるというのは正にこの映画の健さんと池部良のコンビのことを言うのであろう!映画の中で高倉健演じる花田秀次郎が歌う義理と人情を秤(はかり)にかけりゃ♪義理が重たい男の世界♪の曲、観終わった後に必ずといって良いほど、そして、何度も何度も歌いたくなります。この映画を劇場で観て、興奮した人、感動した人の気持ちがよく解ります。一言で言うなら、正しく「熱い映画」!熱くなりたい人、お薦めです。最後に本日またしても日本映画にとって忘れられない俳優が一人亡くなったというニュースを聞いて、とても残念です。最近、このような悲しいニュースばかり聞く度に本当に残念であるという気持ちにしかならない。池部良さん、あなたは風間重吉も「青い山脈」での好青年も忘れられません。ご冥福お祈り致します。そして、この映画をはじめとするこの人気シリーズで共演してきた高倉健さん、池部良さんの分も長生きして下さい。追記:2010年10月11日
[DVD(邦画)] 9点(2006-04-10 22:21:05)(良:1票)
9.  下妻物語
深田恭子も土屋アンナも特別ファンでもなければ、ロリータもヤンキーにも興味はないけど、これは良かったです。良かったていうよりも凄く良かった。近年の日本映画の中でも数少ない傑作!いや、傑作というよりも快作という言葉がピッタリの青春映画です。とにかくこの監督の持っている映像感覚、遊び心いっぱいのセンス、どれもが現在の日本映画には欠けているエネルギッシュでパワー全開、本当に面白いし、男同士の友情ものは結構、ある中でのこの映画の持っている女同士の友情、とにかく素晴らしいです。日本映画、久しぶりの青春エンターテーメントムービーの傑作・快作です。
[DVD(字幕)] 9点(2005-08-29 22:41:01)(良:1票)
10.  新・男はつらいよ 《ネタバレ》 
この第4作、いまひとつ評判良くないみたいたけど、私はかなり好きです。好きな理由に森川信さんのおいちゃんが私は好きで好きでたまらないからである。そんな森川信さん演じるおいちゃんと寅さんとのやりとりが最も面白く、笑える作品はこれだと思う。とら屋でおいちゃんが寅さん相手に「婦系図」を語る場面なんて、笑えて、笑えてたまりません。これを観る度にやっぱり森川信さんのおいちゃんは最高であると感じずにはいられなくなる。
[DVD(邦画)] 9点(2005-07-01 22:43:56)(良:1票)
11.  シコふんじゃった。
この映画、単なるスポ根ものの映画でない魅力が画面いっぱいに伝わってきます。周防正行監督の映画の中で1番の作品がこれです。とにかく何度も観てるけど面白い!そして、何と言っても竹中直人、この人が画面に出てくるとそれだけで笑えます。そんな俳優、今の日本映画じゃ、竹中直人ぐらいしかいません。
[映画館(字幕)] 9点(2005-06-27 23:07:36)
12.  幸福の黄色いハンカチ
山田洋次監督が喜劇だけの監督ではない所を見せてくれる素晴らしい映画です。武田鉄矢と桃井かおり、そして、高倉健と倍賞千恵子と二つの愛を描いているこの作品、それもいずれも日本人的な愛の描き方をしており、良き日本の愛の形をとても解り易く、更に単なる恋愛ものと描かずに笑いと涙のバランスを上手く描き、観ていて楽しい上に最後はやっぱり良いなあ!てそう思い、本当に良かった。良かった。健さん!めでたし!めでたし!
[DVD(字幕)] 9点(2005-06-11 07:52:50)(良:1票)
13.  昭和おんな博徒 《ネタバレ》 
江波杏子が雨の中、自分の夫を殺した男の後ろからそっと近づいて前に現れた瞬間、いきなり敵討ちするシーンで加藤泰監督らしい緊張感漲る演出に流石だと思わずにはいられない。この映画、勿論主役の江波杏子が良い。かっこ良いのだが、脇を固める俳優陣の顔触れも素晴らしい。松方弘樹が中でもかっこ良く、列車に飛び込み自殺を図ろうとする主人公(江波杏子)を止めようとする松方弘樹、暴れまくるチンピラ達を1人で相手にし、追い払う松方弘樹と、どちらの松方弘樹がとにかくかっこ良い。終盤に出てくる天知茂との絡みも見応え有りで、加藤泰監督で主人公が女性の任侠映画と言えば藤純子主演の作品が有るが、同じ様に任侠映画としての面白さ、江波杏子のかっこ良さ、色んな意味でこの映画はかっこ良い人間が沢山、観ることが出来る。江波杏子にとっても、松方弘樹にとっても、代表作品であると言えるそんな作品です。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2020-11-07 12:20:32)
14.  仁義なき戦い 代理戦争 《ネタバレ》 
シリーズ最高傑作の名に相応しいヤクザ社会における厳しさ、掟が見事に描かれている。金子信雄の嘘泣き、そんな小池信雄に対して許しを得ようと、ゴマをする田中邦衛のセコさ、このシリーズ初登場となる二人、小林旭、加藤武の人間的魅力、他にも渡瀬恒彦、成田三樹夫格好良さ、そして、前作では脇役的形に回った菅原文太が再び主役級としての格好良さを見せてくれる。相変わらず出てくる面子の顔触れ、熱い演技、このシリーズを見てしまったら他のヤクザ映画などアホらしくて見ていられなくなるぐらいの画面から伝わってくるエネルギー、代理戦争の名の通り、ヤクザ同士の組と組の戦いが見られる凄い映画だ。
[DVD(邦画)] 8点(2019-01-09 19:18:43)
15.  シルクハットの大親分
若山富三郎の熊さんが馬鹿馬鹿しさ全開で笑わせてくれる。任侠映画なんだけど、喜劇的要素もたっぷりな上にちょっと下ネタも有りのとまあ監督がトラック野郎シリーズの鈴木則文監督だけに、とにかくやりたい放題です。そんなこの作品は若山富三郎の顔、演技だけ見れば「緋牡丹」シリーズのオマージュ的作品なのがよく解る。藤純子がゲスト的扱いとして登場!鈴木則文監督からの「緋牡丹」シリーズファンに向けての映画で「緋牡丹」シリーズファンの私には十分楽しむ事が出来ました。  
[DVD(邦画)] 8点(2014-11-16 19:00:55)
16.  シムソンズ 《ネタバレ》 
ベタ、思い切りベタである。何のひねりもない。至ってシンプル。この映画の主人公、四人の女の子達の姿は世の中の落ちこぼれと言われている人達、勉強も出来ない。だからと言ってスポーツもけして出来るわけでもなく、ドラえもんの「のび太」みたいな存在、コンプレックスの固まりである彼女達への応援であり、どんな理由であれ、何かに対して目標を持って頑張る姿は観ていて応援したくなるし、応援せずにはいられなくなる。和子と美希との衝突や同じように和子と史江との衝突、そんな間に入って何かしたくても不器用で上手く持っていくことの出来ない菜摘、コーチの過去の出来事、嘘付いてまで勝ちたくなかった為に正直に申し出て負けたという過去を知った彼女達がその後、絶対に嘘は言わないと約束し、衝突しあっていた四人が仲直りするシーンでの最後の嘘(史江の投げた五円玉が表なら続ける。裏ならカーリングを辞める。)はこれで嘘は最後にしようという現れであると感じることが出来るし、エンジェルスとの優勝決定戦で美希が和子に対して「このチームでオリンピックに行きたい。」と言う場面で本当の仲間になれた喜びを四人は感じることも出来た。最後の一投を和子の思うように託した他の三人の仲間意識、試合には負けたけど彼女達は試合で勝つこと以上に幸せな何かを掴んだに違いない。四人揃って観客、最後まで戦った相手チームに対しても精一杯戦った喜びを噛み締めて歓声、拍手に応える姿はこれこそスポーツマンに相応しい。0から始まる物語、たった1点だけどその1点取ることがどんなに嬉しいかよく解る。そういう喜びを味あわせてくれる映画です。
[DVD(邦画)] 8点(2011-12-15 21:40:35)(良:1票)
17.  死に花 《ネタバレ》 
凄まじき老人達のパワーに見ていてようし、俺も頑張るぞ!人間、どんなに辛いことがあっても生きていなけりゃ楽しいことも嬉しいことも喜びも全て味わうことなんて出来ないんだ!青島幸男の「生きていて良かった。長生きすれば良いことがあるんだ」という台詞に全てが凝縮されているような気がする。皆で計画を立てた十七億三千万というとんでもない大金を奪うという目的の中で倒れ、死にそうになっても老人だらけの中で一人、若者として計画に参加することとなった少女、星野真理演じる和子とのキスシーンも生きているからこそ、こうして長く生きてきたからこそ味わえる楽しさであったりする訳で、長生きは良いことだというものがあの二人のキスシーンから感じられた。この映画は皆が泥だらけになって、例えビルが壊れ、崩れかけようが、死にそうになるほど苦労しようが、全員が同じ目的に向って突き進むことの素晴らしさを教えてくれている映画という意味でも映画としての存在価値は高い。存在という事に眼を向ければほんの少しの登場でありながらも最後まで存在感の大きさを見せてくれている森繁久彌の凄さ、存在そのものが正しく映画スターである。映画の中で演じていた99歳という年齢よりも実際は若くして亡くなってしまったことが何とも心が痛む。日本映画界を長く支えてきたこの偉大なる名優の遺作であるが、遺作という意味では青島幸男も藤岡琢也もこれが遺作となってしまった。その他の俳優陣の中では何と言っても長門勇が良い。舞台は東京なのに東京の川で桃を獲ろうなんて考えてる。岡山県出身の俳優らしくここでも桃に拘る姿が可笑しくて、また哀愁めいたものを感じさせる。岡山=桃で長門勇と言うと他にも「男はつらいよ口笛を吹く寅次郎」でも存在感ある演技が印象的だし、岡山と言えばそうそう、朝の連続テレビ小説「あぐり」を想像させる松原千恵子もいたり、そんな松原千恵子が皆で盗んだ大金をどうするか?の使い道を語る場面、その後の山崎努の一言「これからもう一花、咲かせるんだぜ」という台詞が正に「死に花」死ぬ前にもう一花、咲かせよう」というタイトルの如く映画て気がして、とにかくこの映画は人生においての色んなものが詰まっている。傑作とかそういう映画というよりも愛しくなるようなそんな映画です。
[DVD(邦画)] 8点(2010-08-02 21:05:42)(良:1票)
18.  死の棘 《ネタバレ》 
怖い。とにかくこの映画をどんな映画か?と聞かれたら真っ先に「怖い映画」だとそれ以外の言葉が浮かばない。幼い二人の子供を持つ夫婦、夫には妻以外の別の女との不倫関係があり、妻はそれを知っている。そして、その妻の夫への恨み、怒り、その怒りの矛先は夫だけでなく、夫の愛人へも向けられていく。男と女の間には様々な問題が生じる。子供がいても感情を抑えることが出来ずに狂乱する妻、ミホの十年間の恨み、自分を苦しめてきた夫トシオの不倫、それによって人間が人間としての本能、人は愛されたいと願えば願うほど、愛してきた者に裏切られた時の感情を抑えようとすればする程、気が狂ってしまうものだと言わんばかりのこの狂気、妻の狂乱ぶり、それに絶える夫、そんな両親の姿を何も出来ずに見ている子供二人の視線からも描かれている映画である。どんなに喧嘩しても憎しみあっても子供がいる。だから二人は絶対に別れようとはしない。子供こそが家族の象徴、子供がいればこそ繋がっている。いつまでも一緒にいられるトシオとミホの二人、「子は鎹」とはこの映画の主人公の姿を見れば思わずにはいられなくなる程に子供の視線というものがこの映画の中の二人を支えているのである。それは子供の力も大きいがどんなに罵りあっても二人は愛し合っているのが解るラストシーン、それまで憎しみに満ちた表情しか見せてこなかったミホが「あなたが私を呼んだから戻ってきたの」という台詞に込められている。ミホのトシオに対する深い愛の結晶と言えるような終わり方に、何か色んな愛の形が感じられて、この映画は単なる狂気ではない愛の映画、家族の映画であるというのが私の観ての感想である。
[ビデオ(邦画)] 8点(2010-05-26 22:24:05)
19.  少年時代(1990) 《ネタバレ》 
父親の都合により東京から富山へと疎開してきた少年進二とガキ大将武との交流、友情がテーマである。また、何だか観ていて今の政治の世界や戦国時代の戦いを見ているような感じもする。ガキ大将と恐れられ、一人じゃ何も出来ない連中がもう一人の少年須藤というこの人物の方へと寝返りをする。つまりクーデターを起こしてそれまでは見方だった仲間に裏切られボコボコにされる武の姿は正に戦国時代の戦いのようでもあり、現在の政治の世界のようでもある。まるで独裁者の如く、それまでの地位を追われても進二との友情を捨てなかった武こそ、男の中の男であり、他の誰よりもかっこ良いし、男らしい。進二が最初に仲良くなった武だが、自分に付いてくる他の仲間、弱気者達の前では進二に対しても冷たい態度を見せたりするものの、進二と二人きりの時には他では見せない表情を見せる。進二と二人きりでボートに乗り、海へと出かけるシーンや進二の話を食い入るように聞く姿など他にも進二と二人の時の武こそが本来の武の姿である。それは進二にもよく解っているからこそ二人の友情は最後まで途切れることなく続くのである。ラストの駅のシーン、列車内から見える武の進二の乗せた列車と横に並ぶようにして追う武の姿、本当の親友との別れ、井上陽水の名曲「少年時代」が流れ、映し出される二人が撮った思い出の写真に映っている進二と武の表情こそがこの映画を物語っている。そしてこの映画を観てやはり感じたことは篠田正浩監督という人は「瀬戸内少年野球団」が少年というものを上手く描いてるのと同じで下手に時代劇やらアクションものなどは撮らずに少年を描いた作品を撮る方が上手いし、持ち味が発揮されるように感じる。今の所、私にとっては篠田正浩監督の映画の中ではこの映画が一番です。
[ビデオ(邦画)] 8点(2009-10-05 20:52:34)(良:2票)
20.  不知火檢校
これは「座頭市」の元のような勝新演じる盲目の按摩の凄まじいほどの悪人ぶり、金の為ならどんな悪事でも平気でやるその凄さ、同じ盲目でもこの悪人ぶりの凄さ、勝新という俳優にしか出せないような不思議なオーラが作品全体に漂っていて、他の人が演じていたらここまで見ることは出来ない。そのぐらい勝新の悪人ぶりが素晴らしい。ところで中村玉緒はやはりこの頃はどれを観ても本当に可愛い。それともう一人、今回、気になる女優がいる。近藤美恵子という女優の色気にはめまいがしそうなぐらいクラクラしてしまうものがある。勝新と中村玉緒がこの映画での共演がきっかけで結婚した作品として有名らしいけど、なるほどね。これを観れば解るような気がする。演技しながらも演技を超えた愛のようなものをも感じられる。とにかく勝新「座頭市」ファンは観ておいて損のない。いや、一度は観るべき映画だと思います。
[DVD(邦画)] 8点(2009-08-28 21:53:40)
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