21. パーマネント野ばら
どうしようもない男たちと男運のない男たち、タイトルに似合わないどうしようもない映画だと思いつつ見ていた。下ネタがバンバン飛び出し、まともな人物はなおことカシマさんだけかと・・・。ところがところが思いがけない展開、あとでなるほどと思うシーンが続く。やっぱり良い映画なんだなと思う。 [DVD(邦画)] 7点(2013-06-20 21:25:50) |
22. 馬鹿まるだし
「無法松の一生」も好きだけどこっちの映画も好き。桑野みゆきのご新造さんが安五郎の身を案じて「本当は強くないのよ。運が良かっただけ」と言ってを止めようとするときほろっと来てしまった。無法松の松五郎よりも馬鹿さ加減が目につくけど、人間くさくて良い。 [映画館(邦画)] 7点(2013-02-15 21:41:55) |
23. 八甲田山
物語の設定と同じように、実際の冬の八甲田で撮影するという極めて過酷な状況の中でできあがった映画だ。映画は原作と同様に大変な人気を呼び、私の勤務する高校でも学校をあげて鑑賞することとなった。 事細かに雪中行軍に至った経緯が語られ、青森の第5連隊と弘前の第31連隊がともに真冬の八甲田を踏破する計画が進められる。しかし案内人を用い少数精鋭の小隊で編成された31連隊と、大隊長らも加わって統制のとれなくなった第5連隊とでは、計画内容は大きく違っていた。この辺の描き方が実に丁寧で、前半からすでに見応えのある堂々とした映画になっている。 ところが大規模なスケールで始まった映画も、悪天候の雪の中では誰が誰だかわからず、豪華キャストも形無しになっているように思われる。そしてまた、雪の中で彷徨する過酷な重苦しいシーンが続くが、それはまた観客にも同様の体験を味わってもらいたいとさえ言っているように思える。 その中にあって回想シーンがアクセントとなって映画を引き立てている。また全編繰り返し流れる音楽もまた良い。 ただ心配なのは、時代背景や走行ルートなどある程度の知識を持っていないと、ただ単に雪の中を歩く映画に思われてしまいそうだ。 [映画館(邦画)] 7点(2012-07-19 06:50:46) |
24. 白蛇抄
何と言っても小柳ルミ子がすばらしい。歌手である彼女が女優としての道を確立したと言って差し支えないだろう。彼女はこの映画で日本アカデミー賞の主演女優賞を獲得したが当然とも思える。歌手なり女優なりが大胆なヌードになるだけで評価される向きがあるが、彼女の場合はその次元を遙かに超えていたと思う。 その彼女のぬぎっぷりや全編に漂うエロティシズムのせいか、映画は安っぽく評価されすぎていると思う。映画館で見たときは多少こっちが恥ずかしくなるシーンもあったが、波瀾に満ちた内容が結構おもしろかった。だがやはり水上文学、悲しい運命を負うことには変わりはない。 [映画館(邦画)] 7点(2012-06-22 08:38:45) |
25. はだしのゲン(1976)
大手映画会社ではなく、独立プロの作品。低予算で作られ、子役らも学芸会的な感じもするが、それはそれでよく、味がある。戦争とは何か、原爆とは何かを問い、学校教育映画向けでもある。 原作にほぼ忠実に描かれているが、むごたらしさは押さえられていると思う。 [DVD(邦画)] 7点(2012-05-05 05:13:26) |
26. 花よりもなほ
格好いい剣の達人がいて、バタバタ人を切る時代劇よりも、こういうのが私は好き。敵討ちと赤穂浪士の討ち入りを対比させて物語が進むのもグッド。吉右衛門のエピソードも加わって忠臣蔵を知らない世代にも興味を引くかも・・・。 最初は長屋が恐ろしく汚くて嫌だったが、見ているうちに慣れた。仇討ちもそのときは憎く思っても、年月が経てばそれ以外のものの大切が見えてくるのだろう。 [DVD(邦画)] 7点(2011-12-15 19:18:04) |
27. 初春狸御殿
歌と踊りの和製ミュージカルでストーリーも極めてシンプル。雷蔵、若尾文子、勝新太郎を初め出演者もなかなか良く、プロの歌手も混じっている。音楽が吉田正なので歌謡曲調なのが気になるが、民謡はいい。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-05-28 19:32:40) |
28. バンクーバーの朝日
実在した野球チームの物語だから野球が中心になるのはわかるけど、バントや盗塁、スクイズなどせこいシーンが多すぎるように思う。(バントばかりでは作戦が読まれてとても頭脳プレーには見えない) チームのメンバーはカナダ生まれの日本人2世なのだから、2つの国に挟まれてもっと葛藤する部分があっても良かったのでは・・・。実在した野球チームには感動を覚えるが映画の方は今一歩。カナダロケでなく足利市に作られたセットが見事、当時の時代風景は良く出ていると思う。 [映画館(邦画)] 6点(2014-12-25 14:57:56) |
29. ハナ肇の一発大冒険
肉屋の親爺と美女の旅、横浜から箱根、静岡と京都をめざしていた頃までは大変おもしろかったけど、中部地方を横断して日本海へとなると大脱線。アルプス越えになると冒険ではなく無謀無茶、現実離れで興ざめ。死者が出てたのでは喜劇から外れてくると思う。 [DVD(邦画)] 6点(2014-09-08 21:48:36) |
30. 爆心 長崎の空
いかにも原爆映画というようなタイトルだが物語の舞台は現在の長崎、戦争シーンは一切ないし、原爆自体も焼け跡の写真のみ。中心になっているのは被爆2世3世で、母を亡くした女性と娘を亡くした母親、命の重さや親子の絆など、原爆を背景に静かに語られるのも良い。 [映画館(邦画)] 6点(2013-07-25 05:45:42) |
31. ハウルの動く城
多少ストーリーがわからないところもあるが、まずまず楽しめる作品だと思う。荒地の魔女が悪役だと思っていたら、後半やさしいお婆ちゃんになったことにまずびっくり。そして声優は倍賞さんが若い娘と老婆の両方をやっていることにびっくり。途中までは別の人だと思っていた。絵が大変美しいし、音楽も格調高い。 [DVD(邦画)] 6点(2013-01-04 18:09:19) |
32. はだしのゲン PART3 ヒロシマのたたかい
原爆が落ちた後の広島で生き抜くことはとても大変だった。焼けてしまった家には食べるものすらない。親を亡くした孤児たちは他人のものを盗んだりもするが、生き抜いていくためには仕方がないことかもしれない。一方、生き残った人の中にも原爆症で亡くなる人が次々と出てくる。 映画としては必ずしも良いできとは言えないが、私たちが知っておかなければならないことがたきさん含まれているように思う。 [DVD(邦画)] 6点(2012-08-16 00:46:30) |
33. 裸の大将
山下清さんが生きているうちに作られた本作と、死後ドラマ化され映画にもなった芦屋雁之助版とではずいぶん違う。もちろん死んだ後は美化されるからであろうが、その点では本作の方が実際の山下清像に近いのかもしれない。 しかし両方比べるとこちらの方はあまりおもしろくない。全編がずっと知的障害者でそのエピソードで終わっているような気がする。天才画家山下清は終盤になって申し訳程度に出てくるだけで、しかも少年時代から才能があったようにはまるで見えない。また彼の才能を見いだした式場隆三郎も出てこない。 [ビデオ(邦画)] 6点(2011-11-26 22:28:03) |
34. 晩春
原節子主演の小津映画の最初の作品であるが、私が見るのは一番後になってしまった。 父親となかなか嫁ごうとしない娘の細やかな感情を描いた良い映画だったことはよく覚えているが、いまいち他の映画(東京物語など)と比べると印象が薄い。その少ない記憶の中で、笑顔を絶やさなかった原節子が急に真顔になったのを覚えている。そして嫁ぐことになったのだが、花婿さんがどんな人か、誰が演じるのだろうかと思っているうちに終わってしまったことも・・・。 今思えば、せめてカラーの「秋日和」より先に見るべき映画だったのだろうということ。 [DVD(邦画)] 6点(2011-10-01 09:42:52) |
35. 晴れ、ときどき殺人
この頃は赤川次郎の小説をたくさん読んだものだ。ユーモア満載な点に惹かれたわけだが、この映画(小説)も大変すばらしい。殺人が起きたり、親が死んでも、まったくの脳天気はすばらしい。 主演の渡辺典子さんは「積木くずし」では大変な役を演じたが、ここでは大変魅力的な女学生を演じる。赤川次郎さんの小説の主人公にぴったりの人だ。 [映画館(邦画)] 6点(2011-09-26 20:23:22) |
36. 破戒(1962)
「橋のない川」に登場してくる島崎藤村の「破戒」だが、原作の小説はいざ知らず、この映画で描く部落差別問題はピンとこない。ことば(台詞)の上では苦悩が語られてはいるが、映画としては実感がわかないのだ。したがって、丑松が告白する場面も唐突ささえ感じる。このあたりが「橋のない川」の部落差別と異なるところだろうか。文芸作品としての価値は認められるものの、同和問題提起の映画には向かないということだろうか。 この映画でデビューした藤村志保は、演じた志保と作者藤村の両方を取って芸名をつけたのだそうだ。新人らしい初々しさが感じられる。 [DVD(邦画)] 6点(2011-09-04 09:50:20) |
37. はだしのゲン(1983)
原爆を記録に残すという点では良い映画だろう。原爆落下のシーンが非常にリアルで、眼の玉が落ち、肌が焼けただれ、皮膚が垂れ下がるなどの残酷なシーンはアニメであるからこそ表現できるのだろう。しかし実際に起こったことはもっと凄まじいことだったに違いない。改めて原爆の恐ろしさを感じる。 [DVD(邦画)] 6点(2011-08-11 15:05:52) |
38. 橋のない川 第二部
《ネタバレ》 第一部と較べるとさらに差別が深刻化している。夏と清一の心中自殺、その夏の替わりにおやまになるしげみ、あさ子と誠太郎のかなえられぬ恋、孝二とまちえ・・・。 ところがその孝二とまちえの再会シーンでは、こういうのが差別だと長々と説明的に語られる、私はそれは好きではないし、フェアーではないと思う。映画はあくまでも視聴者が感じ取るものなのに。 また後半の米騒動、実際あったことを描いたものだろうが、竹槍を持って押しかけるの人たちの姿を見ると、最近の暴徒化したデモ隊や、鉄パイプと火炎瓶を持って機動隊と衝突した過激派学生と重なってしまう。それを肯定しているように感じられ抵抗がある。 この映画を作った今井正監督自身も、部落解放同盟の圧力で思うように撮れなかったのかもしれない。監督自身不出来だったとも述べている。 案の定と言っては何だが、この第二部の上映に関しては差別助長の映画として差し止めの運動すら起こった。しかしその運動に加わった人の多くは、第二部の映画をまったく見ていなかったという。 [DVD(邦画)] 6点(2011-05-05 19:16:19) |
39. ハイハイ3人娘
私と同年代の三人娘と言えば、中尾ミエ、伊東ゆかり、園まりの「スパーク3人娘」テレビでは大活躍していても映画では初めてだった。(中尾だけはすでに「夢で逢いましょ」に出ていた)他に長沢純らのスリーファンキーズや植木等らのクレージーキャッツの面々も登場し華やかな青春歌謡ドラマ(ミュージカルとは言い難い)となる。私たち年代には懐かしいが・・・。おっとその頃はラーメン1杯50円だったのだ。 [映画館(邦画)] 5点(2014-11-07 11:36:31) |
40. 春を背負って
雄大な大自然を圧倒的なスケールと過酷さの中で描いた「劒岳 点の記」を見た後では、いかんせんかすんでしまいそう。前作より人間ドラマ的になったものの、ストーリーには深みがない。やはりこの監督は撮影監督であって、脚本監督でないのかもしれない。山小屋の存在意義は理解できるものの、大自然のきびしさはいまいちだった。それにしても、60kgの重い荷物を背負って急勾配の山を登るなんて人間業とは思えないが・・・、驚嘆の一言。 [映画館(邦画)] 5点(2014-07-10 13:32:29) |