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コメント数 1963
性別 男性

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281.  死に花 《ネタバレ》 
凄まじき老人達のパワーに見ていてようし、俺も頑張るぞ!人間、どんなに辛いことがあっても生きていなけりゃ楽しいことも嬉しいことも喜びも全て味わうことなんて出来ないんだ!青島幸男の「生きていて良かった。長生きすれば良いことがあるんだ」という台詞に全てが凝縮されているような気がする。皆で計画を立てた十七億三千万というとんでもない大金を奪うという目的の中で倒れ、死にそうになっても老人だらけの中で一人、若者として計画に参加することとなった少女、星野真理演じる和子とのキスシーンも生きているからこそ、こうして長く生きてきたからこそ味わえる楽しさであったりする訳で、長生きは良いことだというものがあの二人のキスシーンから感じられた。この映画は皆が泥だらけになって、例えビルが壊れ、崩れかけようが、死にそうになるほど苦労しようが、全員が同じ目的に向って突き進むことの素晴らしさを教えてくれている映画という意味でも映画としての存在価値は高い。存在という事に眼を向ければほんの少しの登場でありながらも最後まで存在感の大きさを見せてくれている森繁久彌の凄さ、存在そのものが正しく映画スターである。映画の中で演じていた99歳という年齢よりも実際は若くして亡くなってしまったことが何とも心が痛む。日本映画界を長く支えてきたこの偉大なる名優の遺作であるが、遺作という意味では青島幸男も藤岡琢也もこれが遺作となってしまった。その他の俳優陣の中では何と言っても長門勇が良い。舞台は東京なのに東京の川で桃を獲ろうなんて考えてる。岡山県出身の俳優らしくここでも桃に拘る姿が可笑しくて、また哀愁めいたものを感じさせる。岡山=桃で長門勇と言うと他にも「男はつらいよ口笛を吹く寅次郎」でも存在感ある演技が印象的だし、岡山と言えばそうそう、朝の連続テレビ小説「あぐり」を想像させる松原千恵子もいたり、そんな松原千恵子が皆で盗んだ大金をどうするか?の使い道を語る場面、その後の山崎努の一言「これからもう一花、咲かせるんだぜ」という台詞が正に「死に花」死ぬ前にもう一花、咲かせよう」というタイトルの如く映画て気がして、とにかくこの映画は人生においての色んなものが詰まっている。傑作とかそういう映画というよりも愛しくなるようなそんな映画です。
[DVD(邦画)] 8点(2010-08-02 21:05:42)(良:1票)
282.  必死剣 鳥刺し 《ネタバレ》 
久しぶりに重厚で格調高い本格時代劇を観た気がする。冒頭の歌舞伎を思わせるシーンからして、何やらテレビとは違う。映画的な雰囲気が十分に感じられ、主演の豊川悦司と敵対する吉川晃司も違和感こそあるものの、そこは平山秀幸監督による演出、演技指導によってか難なくこなしているようでその違和感も見終わる頃にはどうでもよく感じてしまった。藤沢周平原作の時代劇に出てくる女性はどれもこれも待つ女としての美しさ、可愛さに満ちている。ここでの待つ女は池脇千鶴が演じているが自分が愛している男が命を削っての壮絶な戦いに出向いて、最後は壮絶なる死を遂げる姿を知らないまま、赤ん坊を抱きながら必ず自分を迎えに来てくれるものだと信じて待っているその姿が何とも悲しい。タイトルにもある「必死剣 鳥刺し」についてもあの壮絶な戦いの中で死んで行く男としての人生の結末の儚さ、最後の最後で自分を陥れようとしていた男、その代表格である岸部一徳演じる津田を見事なまでに斬って見せる兼見三左エ門の執念は同じ男として見習うべきものがある。物事は最後まで諦めてはならぬということをこの映画の主人公の姿を見ているとそう思えてならない。それにしてもラストの戦いの場面の壮絶さ、何もあそこまで血を大げさに見せるほどやらんでもいいのに。平山秀幸監督、間違いなく黒澤明監督の「椿三十郎」の影響を受けているだろう!あれは白黒だから良いのに、カラーであこそまでやられると流石にちょっとやりすぎだと言いたくもなるし、そういう意味での不満などもあっての7点てことですが、本格派の大人の時代劇としては久しぶりに観ることが出来て良かったと思います。
[映画館(邦画)] 7点(2010-08-01 21:56:43)
283.  新・夫婦善哉
森繁久彌が亡くなってから早いものでもう八ヶ月が過ぎ、何だかんだとしているうちにもう1年が直ぐそこまで来ようとしている。前作から八年という月日の長さをさほど感じないほどここでも主演の二人、森繁久彌と淡島千景の名コンビが絶妙のコンビ(演技力)で見せる。見せる=魅せると言っても良いほど息がぴったしなのは流石である。話そのものは前作よりも喜劇的な要素が多く、映画としての完成度、出来栄えも前作よりは落ちる。それでも日本映画界の歴史において、少なくとも名優五人の中に必ず入れたい。入るであろう森繁久彌の駄目な男でありながらもその駄目ぷりが憎めない。そんな男を演じさせたら渥美清と並ぶこれぞ名優の名優たる名演技の前にはただただ頭が下がる。前作にはなかった。居なかった喜劇俳優である「社長シリーズ」や「駅前シリーズ」などの森繁久彌を語る上で絶対に避けて通れないシリーズでも共演、更に川島雄三監督の傑作「喜劇・とんかつ一代」でも見事な名喜劇ぶりを見せてくれている三木のり平が見られるというだけでも私には何だかとても嬉しく思えてならない。映画そのものは前作の方が上であることは見た人なら必ず解る。だから私も前作に8点付けてる者としては今作は7点である。しつこいようだけど、森繁久彌と三木のり平が一緒の作品に出ている。これだけで観て良かった。はっきり言えば前作にあった喜劇の中にも感じられるような作品、例えれば川島雄三監督の作品を見ているような何とも言えないしみじみした味わいが影を潜めているし、他にも不満もあるものの、とにかく何度も何度も言うように森繁久彌と三木のり平が同じ映画の中にいることが私には大きいのである。改めて森繁久彌と三木のり平、もう二人共この世には居ない。それでも昔の邦画が大好きな私には今はもう居なくても私の心の中では行き続けているし、それはこれからも一生変わらない。贅沢な悩みとして言わせて貰えれば、ここにもう一人、フランキー堺がいればと思ってしまう。「社長シリーズ」「駅前シリーズ」以外でももっともっとフランキー堺も入れての三人共演の映画が沢山、観たいし、日本映画は撮って欲しかった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-07-29 22:20:18)(良:1票)
284.  木曜組曲 《ネタバレ》 
同じ屋敷で生活する五人の女流作家のうちの一人が謎の死を遂げる。その謎解きという意味では誰が何を企んでいるのか?その真相についての解き方、これが楽しめるか楽しめないかでこの映画の評価は大きく変わってくると思います。私には派手なサスペンスには無い品の良さ、そして、女優陣が繰り出す疑惑の行動などを見て楽しむことが出来た。全体的に説明臭い台詞で通すというのはマイナスであるが、それでもこの映画には雰囲気作りの上手さがある。浅丘ルリ子演じる重松時子の謎の死の真相をどのようにして、解いていくのか?という興味、他の四人の中ではやはり原田三枝子がダンドツに良い。全ては自分が犯人である。とばかり言い切る彼女の心意、女の怖さ、執念深さ、時子への恨み、同じ女流作家としてのプライドの高さなど色んなものが感じられる。ミステリーとしての弱さや緊張感という意味でもあと一押し足りない気もしなくもないが、私はこの映画は人間の怖さ、特に女って怖いということを改めて教えられた作品として楽しむことが出来た。それにしても四人が一緒にテーブルを囲んで食事しながら人殺しの話をしているのを観ると折角の美味そうな料理がと思ってしまい、そういう意味でも怖い映画でした。
[DVD(邦画)] 7点(2010-07-24 13:28:49)
285.  転々 《ネタバレ》 
良いなあ!何が?散歩に付き合うだけで百万円貰えるとか納豆味の靴下とか塩味の靴下とかその他所々で真面目なようでふざけているような何とも不思議な笑いが醸し出す雰囲気が良い。そして、見ていて最近、歩いてないなあ!私のような田舎暮らしの人間にとっては歩くという行為が年々、薄れていく中でこの映画を見ているとたまには車の生活から離れて遠くまで歩きたい。目的地なんて決めずにとことこ散歩してみたい。そう思わせるだけの魅力がこの映画にはある。出演者の顔ぶれに眼を向けると、何とも個性的な面子きりでそれもまたこの映画の魅力かもしれない。面白いことは面白いけど、映画的なスリリングに満ちた面白さではなく、個性的な人物によるそういう面白さであって、ストーリー的な面白さはほとんど無い。後ろ向きに歩くと若返れるという発想、悪くは無いけど、でもそれって、ある程度の年齢を重ねた人間に向けての発想て気がして、若者に向けての未来への励ましとは大きく違って見える。どうせなら若者よ後ろを振り返り、後ろ向きに歩くより前を向いて歩こうという方が私には共感出来る。面白いことは面白い作品だけど、ちょっと吹っ切れない何かが残る。ところで気になって仕方ないことが二つほどあるのだが、まず一つにあの時計屋のご主人、オダギリジョーと三浦友和の二人を追いかけて来る際、きちんと店の鍵をかけてきたのだろうか?次に吉高由里子の変な歌、何て歌ってるのかよく解らなかった。それが気になって仕方ない。最後にもう少しだけ!岸部一徳を街で見かけると本当に良いことあるのかな?あるんだろうなあ!でもって岸部シローだったらロクなことが起きないと感じてしまうのは私だけか?きっと他にもいるはずである。
[DVD(邦画)] 7点(2010-07-22 21:35:09)(笑:2票)
286.  ハナ肇の一発大冒険 《ネタバレ》 
山田洋次監督と言えば「男はつらいよ」から入った。私自身が初めて観た山田洋次作品が「男はつらいよ」であるからして、ハナ肇のことを「社長さん」「社長さん」と呼びつづける倍賞千恵子を観たり、聞いてるとどうしったて「男はつらいよ」シリーズが観たくなってしまって仕方がない上にタコ社長(太宰久雄)とさくらで会話をしている錯覚を覚えてしまう。正直、ハナ肇を「社長さん」て呼ぶ倍賞千恵子に最初のうちはかなりの違和感を覚える。それでも観ているうちに段々とその違和感が無くなっていき、まるで「寅さん」でも観ているような不思議な面白さやら、またまた車での旅の途中で警察官が検問していたりするのを観るとこれまた同じ山田洋次監督作品である「幸福の黄色いハンカチ」を思わせるし、車の中でハナ肇と倍賞千恵子が「次郎長三国志」の歌を口ずさむのを見てるとこれまた「次郎長」ファンである者としては、そんな場面を見せてくれてたりと、色んな意味でまた別の楽しみ方が出来たりと、後半やや湿っぽくなってしまうのは勿体無いものの、作品全体のこの雰囲気は山田洋次作品だなあ!て気がして、とにかくこれもまた私には楽しむことが出来たので良しとしたい。最後に出てくる倍賞美津子を見て、私もイニシャルKさんと同じく倍賞美津子の寅さんでのマドンナ見たかった。
[DVD(邦画)] 7点(2010-07-19 11:19:29)(良:1票)
287.  風花(2000) 《ネタバレ》 
人は誰しも挫折を一度は経験し、それによって成長していく。この映画の主人公の二人、男も女もお互い挫折しながらも相手を思い、そして、人として必ずいつかは直面する「死」という大きな問題について考えながら生きている。娘を置き去りにしたまま出逢った自分と同じような落ち零れ状態の男と旅に出る小泉今日子演じるゆり子が雪の中で「死」に向おうとする時、川の向こうから走って助けにやって来る簾司(浅野忠信)の姿にはそれまで二人で旅してきた者としての男の優しさ、かっこ良さが見られる。そういう場面をきちんと描き、見せてくれている相米慎二監督の優しさが感じられて「ありがとう!相米慎二監督」と言いたくなった。遺作にしてもこの何とも張り詰めた重たい空気の中でこんな優しさを見せてくれる相米慎二監督、監督自身が既に「死」について自分の命が短いということを察していながらもこの映画における小泉今日子と浅野忠信の二人だけには自分の分までも長生きして欲しいという何かそんな願いが感じられる。娘との再会で娘の手から飛び出して去っていく蛙の姿が親子ともう一人、浅野忠信の未来を託している象徴であるようにも思えるし、それを離れた所から見ている浅野忠信を映すシーンなど良い場面が多いのもこれまた相米慎二監督の他の映画に共通して言えるし、そして、私が一番のお気に入りの場面は旅先での宴会の場面での柄本明の「座頭市」の物真似をする所!勝新「座頭市」ファンの私にはあの場面を見て、時代こそ違えども同じ日本人として、日本映画を支えてきた者同士、あの場面、勝新がもっと長生きしていれば見せてあげたかった。相米慎二監督もきっと同じである。相米映画における空気、季節感、美しい映像美、話としての面白さよりもこの映画を観て、相米映画とは何か?物語だけが映画ではないということを教えられた思いでいっぱいです。
[DVD(邦画)] 8点(2010-07-17 10:20:32)(良:1票)
288.  素晴らしき日曜日
黒澤明監督と言うとどこまでも男臭い映画、そういうイメージが常に付きまとう。この映画では後の黒澤映画とは違うそういう男臭さとエネルギー、ギラギラしたものは無い。しかし、そんな黒澤映画においてもやはり黒澤明監督は他の黒澤映画の中でも常に言いつづけてきた「生きる」ことの意味、人生は辛いことも多い。いや、辛いことの方が楽しいことよりも多いけど、それでも何かに希望を託して生きて行こうではないか!この映画の主人公、二人のカップルの姿を通して生きることの素晴らしさを問う。この映画では確かに黒澤映画=男の力強さ、漲るパワーやら派手なアクションなど無縁であるが故にそこに流れる全体を包んで離さない空気、例えば戦後の東京の焼け跡の風景におけるリアル感などは戦争を経験している人間だからこそ出せるものが感じられると当時に戦争経験の無い私のような世代の者にも、なるほどね。と納得させられるものを映像の力で見せる所などはやはり黒澤明監督は単なるアクションだけの監督なんかではないという事の証明であり、そういうものをきちんと描ける監督であることが解る。主演の二人のカップル、この映画のヒロインの中北千枝子に関しても成瀬映画での彼女とは違う別の魅力が観られる。どんなに時代は変われども後ろを振り返ってばかりいるよりも前を見て生きて行こうとする彼女の姿は時代を超えて共感出来るし、色んな意味でこれまた黒澤明監督からのメッセージを感じさせれる映画として評価したい。
[DVD(邦画)] 8点(2010-07-11 21:59:45)(良:1票)
289.  金田一耕助の冒険 《ネタバレ》 
映画的に判断すると、こんなのは映画じゃないよ。単なるおふざけだ!とお怒りになる人もいるだろうし、それでも敢えて言いたい。やたらお堅いだけでクソ真面目で面白くも何ともない映画よりもどんなに出来は悪くても、滅茶苦茶でも、遊び心に満ちている映画の方が私は好きだし、そういう意味で言うとこの映画には大林宣彦監督が映画が本当に大好きで、大好きでたまらないんだなあ!という映画への愛情が感じられて、だから私はこの映画が例え、駄作であれ、嫌いにはなれない。金田一耕助というこの人間味のある人物、犯人に対しても優しいのである。そこがこの金田一耕助という人物の魅力である。それがあの最後の方のシーンでの金田一耕助の叫び「世界中、捜したって私一人ですよ。犯人の気持ちを思いやる探偵なんてね。」こんなことを言える金田一耕助が私は好きである。ここに金田一耕助という人の愛情、優しさ、それを見せる大林宣彦監督の優しさ、この映画は確かに滅茶苦茶と言えば滅茶苦茶である。ローラースケートで走る金田一耕助やら他の大勢の若者やら、訳の解らないほどのスーパーマンの登場だの、推理物としての滅茶苦茶さ、何から何までぶっ飛んでいる。キャストにしてもまさかまさかの三船敏郎と三橋達也のツーショット、東千代之介もこんなんでありなのか?岡田茉莉子にしてもえっ?だの、田中邦衛のアホらしさ、金田一耕助のデートを邪魔しようとして、馬鹿みたいに回転させられたりと、とにかく全てがもう滅茶苦茶である。その滅茶苦茶さも全て許してしまいたくなる映画への愛でいっぱいである。はっきり言って駄作である。しかし、しつこいようだが、この映画は大林監督らしい遊び心と愛がつまっている。だからどうしても嫌いにはなれない。それにしても川島雄三映画が大好きな私には三橋達也がこんな面白い使われ方を見せてくれているとは、大林宣彦監督に感謝です。それと、田中邦衛と松田(熊谷)美由紀が共演してるのを観るとこの映画の後にテレビドラマ「北の国から」でも共演しているのを思い出してしまい「北の国から」をまた最初から観たくなってしまった。
[DVD(邦画)] 7点(2010-06-27 21:36:35)(良:1票)
290.  わが青春に悔なし
この映画は何と言っても原節子が出ているということに注目である。単に出ているだけなら何の注目も感じないし、どうってこともないが、黒澤映画に原節子が出ているというのは小津映画に三船敏郎が出るぐらい凄いことである。男の力強さを描くことに力を注ぐ黒澤明監督が原節子を主演に選ぶというのは小津や成瀬、木下、今井といった同じ時代を生きてきた名監督への挑戦とも考えられなくはない。俺だって、女を描こうと思えば描けると黒澤明監督の叫びが聞えてきそうです。作品全体の空気、原節子にしてもそうです。小津や成瀬映画の常連となる原節子に対してもやはり黒澤明監督はまるで男のように描く。後半の農婦姿での原節子の描き方、力強さは男社会の中でも女はやっていける。十分に暮らして行けるものだ!というような叫びのようなものが聞えてきそうなほどの他の監督作品ではまずは見られない原節子がここにいる。映画的にはそんなにも特別に面白いとも思えないし、黒澤映画の中でも普通の作品というのが評価として最も相応しい映画である。それでも原節子!しつこいようだが、黒澤映画で原節子というのを見れる映画として「白痴」同様貴重な作品という意味で昔の邦画好きなら見て損のない映画でもある。
[DVD(邦画)] 6点(2010-06-21 21:36:45)(良:1票)
291.  ナビィの恋 《ネタバレ》 
「愛してるランド」なんてストレートで解り易い国!ナビイにとっての愛してるランドへの旅立ちはそれが年老いても若者と気持ちは一緒!年齢など関係ない同じ一人の女性としての気持ちを表していると言えるし、そんなナビイの事を温かく見守るおじいの優しさ、かっこ良さ、奈々子のことを好きで好きでどうしようもないけんじも同じぐらいアホだけど、同じ男としてはそのどうしようもなさがたまらなく好きだ。この映画に出てくる人達は男も女も年齢も一切関係なく、自分の気持ちに正直である。だから見ていても人間って正直言える人ほど素晴らしい。そう感じさせるだけの力がこの映画にはある。舞台となっている沖縄の美しい風景と音楽、人が恋をするというごく当たり前のことを描くことで見ていて共感できる映画になっているし、色んな意味で人生って良いなあ!そういう映画が同じ日本で撮られていることが嬉しい。
[DVD(邦画)] 8点(2010-06-16 21:07:07)
292.  幸福な食卓 《ネタバレ》 
頭の良い人ほど何かに怯え、自分というものが解らなくなり、他人には理解出来ない行動をするものであるというのがこの映画の父親、兄貴を見ていると思わずにはいられなくなる。何だか一件、普通そうな家庭だけど、全く普通でない家族構成という所がこの映画の面白い所であるがタイトルからは想像できないとても幸せとは無縁の環境の元、普通の女子高校生らしくふるまう少女、中原佐和子の姿には学校で偶々、隣の席となったことから仲良くなり、やがては恋心を抱く相手の男、勉学とのやりとり、勉学の口調を真似して見せる姿やらその他にも何だかちょっしたことなのに、それが心地良く思えたり、時には切なく感じたり、色んな意味で青春映画的な楽しさとほろ苦さが感じられる作品にもなっているし、佐和子が勉学の死後に言う「なんで死にたいと思っている人が生きて、死にたいと思ってもいない人が死ぬの」みたいな台詞を聞いて、本当にそう思う。何とも心に突き刺さる言葉である。佐和子が勉学へあげるつもりでいたマフラーを弟へと手渡す勉学の母、ここで勉学の弟が勘太郎?貫太郎かな?(どっちにしてもかんたろうであることは確かである。)だということが明らかにされた瞬間、えっ?大浦勘太郎?勘太郎は星野だろうよ!て思ったのは私だけだろうか?最後の佐和子が歩く。歩く。そして、振り向く。また前を見て歩く。前を見て生きよう!というメッセージの象徴のような終わり方である。出来ればあのラストは音楽一切無しの方が私は良い。どうも近年の邦画の悪い癖、音楽で盛り上げようという狙いが見て取れて残念です。それでも見て良かったと思うし、話題性だけで内容の無い大ヒット作品では味わえない良さを感じられる点を評価しての8点に近い7点でことで、こういう作品こそもっとヒットして欲しい。
[DVD(邦画)] 7点(2010-06-15 22:07:49)
293.  夏時間の大人たち HAPPY-GO-LUCKY 《ネタバレ》 
「僕はおっぱいの大きな女の人が好きだ」という少年タカシの姿は何だか自分自身のことを言われているようで何とも恥ずかしく、でも、それを正々堂々と包み隠さないで言えるタカシは、男の中の男だ!男なら思っていること、言いたいことがあるのなら全て正直に言えと私もタカシと同じ少年の頃から親父に散々、言われてきただげに余計に胸に突き刺さる。大人からしてみたら何てことのない世界や考えもしないことが子供であるタカシにとっては不思議?どうして?となるのである。子供だから思いつく不思議と大人であるタカシの父親のこれまた大人だけど、大人になりきれないまま大きくなってしまったような駄目な親父、親父にとってもタカシと気持ちは同じであろう!逆上がりが出来なくたって、カラオケ屋に閉じこもり、馬鹿みたいに歌い、殴られ、惨めな親父にしても、子供であれ、大人であれ、同じ人間である。馬鹿な生き物、それが人間本来の姿なんだというようなものがきちんと描かれている。利口過ぎてつまらない人間よりも馬鹿だけど、面白い人間の方が見ていても楽しめるし、私は大好きである。中島哲也監督もおそらくそんな感じがしてならない。何故?何故?常に何かに対して疑問を問い掛けるタカシとそれに答える父親、父と息子の繋がりを包み隠さずに描いて見せてくれている中島哲也監督の人間観察の鋭さ、面白さなど色んな要素が散りばめられていて面白い。タカシが付けたテレビの画面の中で起こる殺人事件ぽい、ミステリー調のメロドラマやら自転車のシーンやら空の青い色やら白い雲やら、どうして?おっぱいは大きいのがあったり、小さいのがあったり、大人は突如、子供みたいになってしまうのだろう?それ以外のどうして?が大きいおっぱいが好きな筈なのにおっぱいの小さな女の子の事を好きになってしまったり、全てが上手く行かない。人生はある意味、辛いけれど、だからこそ頑張ろう!て何だか色んな意味で「嫌われ松子の一生」の松子的な映画である。最後にタカシが託す少女への希望、解る。同じ男の気持ちを完全に表すタカシの台詞にタカシ!お前は俺だ!て叫びたくなってしまった。
[DVD(邦画)] 8点(2010-06-11 22:11:02)(良:1票)
294.  告白(2010) 《ネタバレ》 
10点、9点ばかりの中で申し訳ないが平均点を下げさせて貰う。中島哲也監督らしい観る者を話の中へと引き込んで離さない演出力と映像美、あの汚れた感じの空の色、雲の色の不気味さこそが人間の怖さ、この映画の不気味さ、狂気というものをよく表しているし、自分勝手な奴らきり、人間が如何に自分本位な考えで生きている生き物なのかを皮肉たっぷりに描いている作品としての評価という意味では見事である。しかし、この映画を見て馬鹿な真似をする奴ら、刑に罰せられないからと犯罪を犯す少年、少女が今以上に増えてしまわないか?映画というメディアによる影響力の強さ、人が人を人とも思わずに殺人を犯す人間、それを警察でもない森口教師のように自分の手で復讐しようなんて思う人達がどれだけ周りの人達を不幸にするかということのやりきれなさ、娘を自分の教えているクラスの生徒に殺された教師、殺した二人の少年、少年Aと少年Bの幼児性、誰よりも目立つことしか考えない愚かな少年Aとそんな少年Aを羨ましく感じている少年Bという対照的な二人の少年、そんな二人に関わってしまった結果、悲劇的な死を迎えることとなる教師森口の娘と二人の少年の気持ちを誰よりも理解していたたった一人のクラスメイトの美月、何の罪も無いのに自分勝手な二人の犠牲となってしまった二人のことを思うと、どんなに凄い映画であれ、手放しに絶賛する気持ちにはなれない。この映画は人が人を信じ、疑い、互いが自らの命は自分の手で守らなければならない。娘を守ることすら出来なかった教師の視線から見た場合と加害者である二人の少年とその母親との視線とで大きな違いが沸いてくることは見た人なら絶対に解るはずである。少年法という制度がある以上、どんな罪でも刑に処せられない中学生、私はそれが中学生であれ、例え小学生であれ、年齢など関係なく罰するべきである。日々そのぐらい思ってます。この映画を誰が最も観るべきか?それは子供でもなく我々普通のいわゆる一般の大人でもない。では誰に最も見せるべきか?国の法律を変えることの出来る人達、そういう人達にこそ見て、一日も早くこの今のおかしな少年法という制度を無くして頂きたい。
[映画館(邦画)] 6点(2010-06-10 22:22:15)(良:4票)
295.  武士道シックスティーン 《ネタバレ》 
何と気持ちの良い映画だ!自分の気持ちに正直に生きようとする二人の女子高生、剣道というこれまた如何にも日本人的な日本人だからこそ解り合えるスポーツを通して友達って良いなあ!同じスポーツを志し、同じ楽しみを持つことの素晴らしさ、人間、ある程度の年齢にもなると、昔の友は昔の友であって、忘れかけてしまったりするものでもある。しかし、この映画の彼女達の年齢、16歳の頃って、ライバルがいたり、仲良くしている友人がいたりと正にこの時代に生きているからこそ得られるもの、そういうものがこの映画の中では描かれている。転校してくる前にたった一度だけ対戦していて、まさかの敗北をいつまでも引きずったままの磯山(成海璃子)にとっての西荻(北乃きい)は絶対に倒してやる。こいつに負けたままでは気が済まない。だから、いつまでも怒ったような顔付きでしか西荻に対しても周りの同じ剣道部の人達などにも見せない彼女が西荻との剣道着を着ずに制服姿のまま決闘する場面でのやりとりにおける二人の感情、そして、やはりあのラスト、親の都合で離れ離れとなってしまった二人の「決勝で会おう」私はこの台詞がこの映画の良さを表しているように思う。正直、タイトルを聞いて、全く期待もしてなかったし、何となくてな気持ちで見たのに、予想を上回る面白さ、感動、色んな点で不満もないと言えば嘘になる。作りとしても非常にベタだし、それでも下手なハリウッド大作では味わうことの出来ない良さ、感動がこの映画にはある。劇場までお金を払って観に行って良かった。思わぬ拾い物。こういう作品に時々だが出会うことが出来るから邦画を観ることを辞められないのである。
[映画館(邦画)] 8点(2010-06-08 19:56:39)(良:1票)
296.  友情(1975)
渥美清という俳優、私は疲れている時に観るとホットする。ホット出来て、同じ日本人に生まれて良かったと思えるので、とにかく渥美清を見ているだけで幸せな気持ちになることが出来る。どこから見ても寅さんを思わせる背中での演技、放浪がよく似合い、この人ほど旅の姿が似合う男は私は知らない。そんな中でのこの映画、タイトルにある「友情」の意味においてもここでは非常に惨酷で厳しい世界が待っている。美しい友情もあれば、惨酷な友情も存在する。それもある意味、友情であるかもしれないというものが丁寧に描かれています。寅さんのようなフーテンとは違いここでの渥美清演じる男はきんとした仕事を持っている。その点が寅さんとは大きく違うものの、背中で演技する渥美清、男は顔で笑って、心で泣くんだとこの作品の中でも演技で見せてくれている。やはり渥美清は背中で全てを語り、表情と言葉で泣かせることの出来る数少ない名優であることが改めて解る。渥美清以外では寅さんで共演している松坂慶子の美しさと同じく寅さんに何度も出てきて笑いを提供してくれている米倉斉加年や午前様こと、笠智衆の姿なども見れたりと、寅さんファンとしてそれでけでも嬉しくてたまらない。寅さん映画程の笑って、泣けるという映画ではないけれど、寅さん映画に出てくる人達を別の映画の中でもまた見れて、そういう色んな意味での楽しみ、この映画は監督と出演者も寅さん映画と関わりのある人達ばかりである。寅さんファンの為の映画かもしれない。これまた私には渥美清、何度も言うように渥美清が色んな顔を見せてくれている。寅さんも渥美清ももうこの世にはいない。でも私の心の中では今もずっと生きている。これから先も一生、生き続けていくであろう!
[DVD(邦画)] 8点(2010-05-30 22:26:04)(良:1票)
297.  死の棘 《ネタバレ》 
怖い。とにかくこの映画をどんな映画か?と聞かれたら真っ先に「怖い映画」だとそれ以外の言葉が浮かばない。幼い二人の子供を持つ夫婦、夫には妻以外の別の女との不倫関係があり、妻はそれを知っている。そして、その妻の夫への恨み、怒り、その怒りの矛先は夫だけでなく、夫の愛人へも向けられていく。男と女の間には様々な問題が生じる。子供がいても感情を抑えることが出来ずに狂乱する妻、ミホの十年間の恨み、自分を苦しめてきた夫トシオの不倫、それによって人間が人間としての本能、人は愛されたいと願えば願うほど、愛してきた者に裏切られた時の感情を抑えようとすればする程、気が狂ってしまうものだと言わんばかりのこの狂気、妻の狂乱ぶり、それに絶える夫、そんな両親の姿を何も出来ずに見ている子供二人の視線からも描かれている映画である。どんなに喧嘩しても憎しみあっても子供がいる。だから二人は絶対に別れようとはしない。子供こそが家族の象徴、子供がいればこそ繋がっている。いつまでも一緒にいられるトシオとミホの二人、「子は鎹」とはこの映画の主人公の姿を見れば思わずにはいられなくなる程に子供の視線というものがこの映画の中の二人を支えているのである。それは子供の力も大きいがどんなに罵りあっても二人は愛し合っているのが解るラストシーン、それまで憎しみに満ちた表情しか見せてこなかったミホが「あなたが私を呼んだから戻ってきたの」という台詞に込められている。ミホのトシオに対する深い愛の結晶と言えるような終わり方に、何か色んな愛の形が感じられて、この映画は単なる狂気ではない愛の映画、家族の映画であるというのが私の観ての感想である。
[ビデオ(邦画)] 8点(2010-05-26 22:24:05)
298.  木村家の人びと
このタイトルから「犬神家の一族」的なものをついつい思い浮かべてしまう。ところがまるで違う内容のこちらはドロドロなんて全く無縁のほのぼのとした話で、それはそれで良いのたげれど、映画的なドラマとしての面白さはあまり感じられない点が少し物足りないけれど、こういう雰囲気の作品も私は結構、毛だらけ、おっと、それは別の映画である。結構、好きなので点数は甘めの7点を付けたくなる。家族全員がこつこつとお金を貯める。ただそういう内容なので、退屈だと感じる人がいてもけして、不思議でないし、むしろそういう人の方が多いかもしれない。私にはこの何の盛り上がりも無ければ、映画的興奮も感じられないそんな作品なのだが、それでも楽しむことが出来たのはこの手の作品が好きだからである。要するに好きか?嫌いか?面白いか?つまらないか?なんてものは人それぞれなのだということをこの映画を見て改めて映画の好みは人によって大きく違う。色んな好みがあって、当たり前!その当たり前なことを見て楽しむ。それが映画本来の正しい見方ではないかと思う次第でありまして、で、何が言いたいんだよ?お前は?て思われるかもしれないけれど、この何てことのない家族の物語を見て、家族って改めて大切だということを教えられた気がする。
[ビデオ(邦画)] 7点(2010-05-16 21:35:25)
299.  タイム・リープ 《ネタバレ》 
大林宣彦監督が監修となって「時をかける少女」の後にまたしてもタイムリープものを撮られていたというあまり知られていないであろう、この映画も大林映画らしい少女趣味、そして、SF、スリルと狂気があちらこちらで見られる。映画的スリルと狂気、これこそが大林映画の特徴である。この凄まじいほどのスリル、波状しまくりな雰囲気の中に見える人間的な狂気、例えば日常の中に存在する危険性、殺人たったり、レイプ未遂であったり、過去と未来を行ったり来たりで変えてはならない現実を変えてしまうとどうなるか?というものを映像によってきちんと見せてくれている。月曜日の記憶だけが無いという少女、記憶というものの持つべき存在の大きさ、記憶が失われてしまうということは怖いことである。この何ともスリルなストーリー展開、映画的完成度という意味での素晴らしさというよりは人を信じることと疑ってかかることの両方を一本の映画の中で見せてしまうという点でこの映画は考えさせられる。正直言ってこの映画、レンタル屋さんで見つけてビデオのパッケージを見た限りではつまらそうだ。どうせまた「時をかける少女」のリメイクものだろ?てなぐらいにしか思ってなかったけど、大林監督が監修しているというのを読んでもしかしたら?面白いかも?という思いで借りてきたけれど、それと、原作を一切読んでない為に余計なことを考えずに楽しむことも出来た。やはり映画を観る場合は先に原作を読まずに観る方が楽しめるということを改めて思い知らされた。
[ビデオ(邦画)] 8点(2010-05-16 08:47:15)
300.  マヌケ先生 《ネタバレ》 
大林宣彦監督の子供の頃の映画が好きだった少年の頃の作品です。そんな大林宣彦監督、やはり大人になっても変わらずに少年の心を持ち、今でも変わらず映画が好きなのが解る。作品全体のノスタルジックな雰囲気、映像美、どこをどう切り取っても大林映画としか言いようのないぐらい大林宣彦監督のどの作品にも共通する懐かしさでいっぱいにさせられる。大人になった監督自身を投影し、そして、演じている三浦友和が故郷、尾道へ向う列車の中で出会った谷啓とのやりり、三浦友和が頼んだ最後の一つしかないお弁当を分けてもらう谷啓が笑えるし、これは喜劇なのか?それともファンタジーなのか?という部分で少し引っ掛るし、色んな部分で引っ掛るものが感じられるのはマイナスだけど、大林宣彦監督自身がジョン・フォード監督の映画が好きなのと木下恵介監督の「青い山脈」が好きだというのが解るシーンを観ると、監督の映画に対する思いが伝わってきて、そういう意味でもこれは完全に大林映画ファンへ向けての作品であることが解る。尾道の風景を見ているだけでも見て良かったと思えるし、尾道映画が好きな人は一度はどうぞ!と言いたくなるぐらいの作品でもある。最後に観ていたらやたらとチョコレートが欲しくなってしまった。そういう意味でもどこか甘い。甘さの残る映画でもある。けれど、その甘さこそがこの映画の魅力であって、大林映画の魅力でもある。大林映画の助監督を務め、何本かの作品で脚本を書いている内藤忠司による監督作品で、大林宣彦監督作品に関係のある俳優も大勢出ていて、そういう意味でも大林映画的な作品と言えるでしょう。
[ビデオ(邦画)] 7点(2010-05-09 11:22:05)
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