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Yuki2Invyさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1631
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

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【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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381.  大地の子守歌 《ネタバレ》 
質感としては『はなれ瞽女おりん』なども想起される(原作小説も映画もほぼ同年代だが、いずれも本作が少しだけ先行だが)。やや後発ではあるが『おしん』などにも通じるそのテーマ面は、苦境にもめげず芯のある女性を描いてゆくという部分であろうか。ある種、この頃の日本人の心象風景の中でまだ尊ばれていた人物像が、今作のおりんにも反映されているということだろう。  かなり凄惨な場面もある中、おりんが逆境に屈しない様子に感情移入していく一方で、その外形上の強さ(強さと言うか、他人を拒絶する「壁」の高さ、と言うか)の中に垣間見える弱さ・脆さといった部分に、個人的にはより深く感じ入った。前述のとおり強い女性を描いているようで、他者と共生する術を持ち得なかったおりんには、私は人間と人間の運命の儚さ・残酷さの方をより強く感じ取るのである。  その「強さの中の弱さ」を見事に内包することも含め、原田美枝子の力強い演技は非常に素晴らしかったと思う。今作時点でまだ18歳、栴檀は双葉より芳し、とは斯くの如くか。
[DVD(邦画)] 7点(2020-09-20 01:02:13)
382.  ここは退屈迎えに来て 《ネタバレ》 
雑多な登場人物に加え、描かれる時間軸も多様に切り替わる、が総じて、この映画は10代後半から30歳直前の人生で最も輝かしい時期を様々に生きる若者たちを描き出した作品だと言えるだろうし、そして最も重要な点は、これも総じて彼らがその人生のゴールデンタイムをイマイチ輝かしく謳歌できていなかった様に見える、ということにも思える。  加えて、登場人物には割と受動的で人生に「無為」とも見えかねない熱量の低い人も多く、その意味でも全編通してあまりテンションは高くなってゆかない。群像劇というよりは青春風景のパッチワークというか、物語性も決して明確とは言い難い。繊細な見所を擁する文芸映画、と言う方が確かに実態に近いだろうし、作中の何かしらに引っ掛かることが無いと、そのまま退屈な作品に終わってしまう恐れも大いに在ると言えるだろう。  でも、振り返って人生で一番愛おしいのは、やはりその「やり残し」ではないか、とも感じる。ひたすらに「意味」を積み重ねる人生も、充実してはいるのだろうが少しばかり疲れるだろうと思うし、例えその意味が明白でなくても、人生には絶対に「無意味」な時間はないのだろうとも個人的には考えている。少なくとも私は本作からは、決して悪からぬノスタルジイを汲み取ることが出来た。  人生、人目も憚らずただ泣きながら大声で歌いたくなる時もありますよね。でも、それが許されるのはギリ20代までではなかろうか。30過ぎてもそんなことやってたら、それはもうちょっと変な人だ、とも。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-09-15 21:17:42)
383.  アンダー・ユア・ベッド 《ネタバレ》 
主人公の孤独で静かな変態性の表現は、そこそこイイ線を突いているというか、部分的には共感すらできなくもないと思う。しかし、結局この彼は自分が何をどうしたいのか自分でもよく分かっていない(これは、そもそもそういう人物を描きたかったのだから、別にそれ自体が悪いという訳ではないのだけど)、ということからの行動のチグハグさというか、端的には目の前で千尋が凌辱されているのに(そのための武器も持っているのに)助けもしない、という部分には、正直言って「な~にやってんねん!」となってあまり感情移入できないし、だからこのキャラには(ある程度共感はできるものの)根本的に魅力や納得というものを感じない。  ヴァイオレンス面の描写の見応えも中々素晴らしいのだが、いかんせん少しやり過ぎたというか、このレベルで殴られてたらもっと早く逃げ出すだろ、という意味で話のリアリティは毀損してしまっている。総じて、お話としては観ていて歯痒い、やるせない、腑に落ちない、心が痛い、ムシャクシャする(→千尋の旦那に)、というネガティブ方面の感想しか出て来ない、という感じ。  しかし、そういう映画も偶には好いのではないか、という意味では、それでいてまずまず優れた見応えも得られる作品とは言えると思う。高良健吾は見映えも良いし(この話を中途半端なブサイクがやったらそれこそ観るに堪えんし)、無感情なモノローグの質も存外に高かったと感じる。一般向けでないのは確かだが、個人的にはそこそこオススメ。
[インターネット(邦画)] 7点(2020-09-12 22:17:27)(良:1票)
384.  稲妻(1952) 《ネタバレ》 
ドロドロと金&色の欲に塗れる人々が描かれてゆくが、そういった自分の欲望に素直な人間の方が概して世渡りは上手く、その面で潔い人間の方が却って社会的には弱くて頼りない、というのは然もあることであろう。どちらの人々にせよ、特に現代の感覚から言えば本当の意味で「幸福」からは程遠く見える。そこには、率直に「隔世の感」を覚えるのである。  一方で、亡くした夫の面影を見出せば妾の子にも情をかける次姉にせよ、自分の娘が捨てた婿に延々貢いでしまう母親にせよ、これも現代的な感覚からすれば実に人情味・人間味に溢れるというか、そこにはまた古めかしくも愛おしい魅力を感じ取れるのである。もちろん、なんとも一本気で清らかな高峰秀子もとても清々しかった。個人的には呆気無いラストも実はかなり好み。素直に観て良かったと思える古典の良作。
[インターネット(邦画)] 7点(2020-09-04 23:59:51)
385.  台湾、独り言 《ネタバレ》 
台湾が舞台ながら、登場人物はバラエティに富んだアジア系人種のごった混ぜであり、彼ら「異邦人」が織りなすエキゾチック日常絵巻とでも言う様な作品、だとも思う(まあそんなに大層なもんでもないが)。しかし、本作を実際に構成しているいくつかの会話は、率直にどれもかなり居心地の悪いもので、一部は完全に口喧嘩である。そしてそんなことになっていることの原因は、ひとえに登場人物たちの底意地の悪さ、更には人間誰しもが奥底に秘めているであろう排他的な差別意識に由来する様に思える。その意味では、人間の負の側面の方をより強く描き出す作品であるし、前述のとおり観ていて相当に不快な作品でもある。  それ以上に私が本作に好感を抱けないことの最大の理由は、そういう登場人物のややアレな人間性の描き方の「雑さ」にある。こういう間違い無く国際的な作品で、実際に多種多様な人種の役者を使って「差別」を描くのであるから、誰が何故どのように行動するのかというその描き方にはごく細心の注意を払って然るべきだと思う。が、本作では、登場人物たちは本当にただ大した理由も無く陰湿で差別的である様に見える。そしてその「人の悪さ」というものは、否応無く登場人物の人種に付帯する属性であるかの様に見えてしまうのだ。その意味では、作品としてのテーマ性だとか出来映えだとかいう以前に、一種のルール違反に近い作品だとも感じられる。  と言うかそもそも、何が描きたいのかもイマイチ分かんないし(ラストのシークエンスとかも意味不明だし)、製作サイドが単純に圧倒的にレベル不足なだけにも思える(それは、明確に悪意を持って差別を差別的に描いた、というワケではないかも知れないという意味で、私個人にとってはやや救いに近いことでもあるのだが)。
[インターネット(邦画)] 3点(2020-09-01 22:40:15)
386.  よこがお 《ネタバレ》 
これは(悪い意味で)文学的な映画だ、と思いましたね。雰囲気の面からそれを評価するなら、最近とみに「怪演」続きの筒井真理子さん、今作でも優れた演技を積み重ね、この薄いラストシーンにそーいう少し奥行きの在る「意味」を持たせることには、そこはかとなくは成功しているのに間違いはありません。その部分では、マリコ姐さんに対し賞賛を寄せることには何らの惜しみもないです。  がしかし、率直に言ってこのラストは「詐欺」です。何故なら、これを「復讐」とかいう攻撃的な文句で宣伝していたからです。更に言えば、マリコ姐さんが異常なまでに思わせぶりだったからで御座います(かなり序盤から相当に変わった人物像のつくり込みで、なんか絶対にスゴイこと仕出かしてくれそーな雰囲気全開だったのに…)。そーいえば、本作では姐さんに加えて市川実日子・池松壮亮もこれまた相当に変人で、かつその人物像には誰しもリアリティが吹き込まれており、総じて演技面ではかなり面白い・見どころの有る作品だなあ、と思ったのですけどね。  とにかく、映像だけではあまりに呆気無い(小説とかなら多少マシになりそーな)この結末だけが、つくづく残念至極、というワケであるのです。
[DVD(邦画)] 5点(2020-08-24 22:40:50)
387.  パンとバスと2度目のハツコイ 《ネタバレ》 
う~ん、ユルいというか、ハッキリしないというか。とりわけてフワフワとしているのが、主人公の女子。美大まで行ったのに絵を描くのも止めてしまった、彼氏からのプロポーズも断っちゃった、どちらも正直よく分からない理由で、という。それでも、なにか上手いこと社会の中には嵌っていて、つくねんと落着いちゃってて特に慌ててもいない(自分の人生をまるで突き詰められていない、というのに)。とは言え、もう一人の男の方も結婚経験があって子供が居るってだけで盛大に迷いまくってるし、伊藤沙莉だって、昔女の子を好きだった、という点を重く見れば、まだ「揺らぐ」余地を残しているのかも知れない。  でも、最近の25才って皆こんなもんじゃないでしょーかね。人の精神年齢は時代を経るに連れて「低下」していく一方だと聞きますし、私自身も25才の時に彼らより「チャンとしてた」などと言うつもりは毛頭無いです。そもそも、言い訳がましくもなりますが、こうなっていることの原因は、若者だけでなく社会の側にも確実に在る、と言いたいのです。ここん所の社会変革の流れとして、人は、自分自身の在り方や自分の幸せのかたちをそれぞれ独自に探し当てなさい、というのがメインストリームになって来ましたと。それは更なる多様性(=それがもたらすパラダイムシフト)を必要としていた資本主義社会の希求でもあった、と思っているのですが、果たしてそれが本当に「良い」ことであったのかと。自分でそれを見つけられる(=それだけの能力と時間とカネの有る)人にとっては、良いことでしょう。しかし、もしかしたら大多数の人々は、それを見つけることが出来ない(出来なかった)のかも知れない。そして、そんなものを探すよりも一般常識や宗教的価値観といった「長いもの」に巻かれてしまった方が、結局のところ幸せだったのではないか、と(殊に、今なお日増しに複雑化・高度化していく現代社会において、こそ)。  私自身は、彼らには非常に共感できるのですよね。それは、今作がこの「惑う」人々を、とても的確に描きつつも、同時にとても温かく描いている、からだと思われます。今作で一番好きなのは、主人公が「自分は孤独が好きなのではないか」と呟くシーン。正直私自身も、こんなふうに思う時期が確実にありました。でもだからこそ、そんな「答え」を出してしまうのはまだ早い、と彼女には言ってあげたい。それを結論付けられるような段階(そして結論付けなければいけない段階)に、色々な意味で君はまだ至ってないと思うよ、と。  深川麻衣の演技は、実に素晴らしかったと思います。彼女の中にあるのは本当にフワフワしたもので(孤独であり、不安であり、希望もあり)、それを表現するのは極めて難しい作業であったハズ。今後が楽しみですね。
[インターネット(邦画)] 8点(2020-08-05 21:58:44)
388.  けっこう仮面 《ネタバレ》 
結構しょっちゅう映像化されている題材だが、今作は長嶺高文氏が監督した4部作の第1弾である。舞台となる学園がアナウンサーの養成学校に変更されているが、これは主に、教育にかこつけて女子になんかエロい地名(レマン湖とかバリ島キンタマーニとか)言わせて辱めよう、というのが目的である様に思われる。  けっこう仮面は設定どおり全裸で最初からオッパイも全開だが、首のスカーフを前後に垂らしてそれぞれ股間に固定する、という手法であまり下半身は映らない様に工夫している。といっても鉄壁という訳でもなく、チラチラ捲れて見える場面も無くはないが、その場合は白い光のエフェクトで雑に隠している。こだわりの感じられない、適当な仕事だと思う。  話の内容も原作どおりで、罰を装って地下の仕置き部屋に連れ込んだ女子をあの手この手で辱めるという展開が続くが、この責め方が全体的にかなり珍妙であった。特に2人めのシーン、台に縛り付けた女子の周りをトマトで埋め尽くし、それをチェーンソーで切り刻んでいく、というのは全くもって意味不明である(女子はいったい何が辛いのか)。  もう一点、本シリーズには何故か石丸謙二郎が皆勤賞なのだが、女子を電動歯ブラシ責めにしたり(といっても、これも普通に歯を磨くだけという意味不明な折檻だが)、女子のオッパイを吸い取って男子につくり替えてスパイに仕立てるなど、極めて変な役柄をこれまた何故かノリノリの全力全開で演じ切っており、総じて凡庸な演技面でのアクセントとなっているのみならず、色々とかなり好印象だった。
[DVD(邦画)] 3点(2020-08-02 22:18:45)
389.  降霊<TVM>(1999) 《ネタバレ》 
比較的シンプルな話にも思えますが、こういう分かり易い因果応報で怨念な話って、如何にも日本のホラーという感じがして個人的にはかなり好みですね。その意味では、ありえへんホドに愚かしくて超絶に胸糞悪い主人公夫婦のキャラ設定も、やややり過ぎ感はありますが確実にその面では効果的だったと思います。  全体の薄暗くて陰湿な雰囲気の中に、それを壊さない様にそっと置いていかれるかの様な奥ゆかしい恐怖描写も、どれも中々に巧みで率直に結構怖かったです。役者の演技もどれもこの映画全体の雰囲気に対して適切なテンションで、監督はやはり腕があるなあ、と思いました(ラストの交霊の場面の草彅クン&きたろう親父なんかも、どっちも実に良い演技でしたよね)。
[DVD(邦画)] 7点(2020-07-31 00:14:27)
390.  サイレン FORBIDDEN SIREN 《ネタバレ》 
元ネタのゲームとゆーのは『バイオハザード』『サイレントヒル』と並ぶ日本産ホラーゲームの世界的スーパーメジャーで、かつ、その「怖さ」とゆーのが最も「日本的」である作品だと思われる。他2作品は映画化もある程度成功しており(まあ『バイオ』の映画化はホラーじゃねーけど)、その意味でも今作に掛かる期待というのは、決して小さく無かった筈だと思われる(しかも今作は邦画な訳だし)。  元ネタというのは、禍々しく呪われた土地を舞台に、そこに住まう怪しげな人々が織りなす陰謀を解き明かしていくというミステリー要素を多分に含むものだったと思われる。翻ってこの映画では、その前半1時間近くを使って、とりあえずその不気味な舞台設定の方をある程度しっかり説明してくれる。そこで説明される設定自体(人魚伝説と不老不死の住民とやら)は、そこそこ元ネタの雰囲気も醸しているし、率直に別にそんなに悪くはない様にも感じられる。  しかし、そこから先はと言うと、これがひたすら怪物と化した住民が襲ってくるだけ、という単純極まりないホラーになってしまう。「何故」彼らが、しかも「このタイミングで」襲ってくるのか、という部分が全く謎であり、加えてどうもそれを説明する気もまるで無いよーな感じなのだ。なので正直、ホラー展開開始から最終盤までは、これは「お話が成立していない」と思って観ていた。  そこで、あの妄想オチだ。確かに「お話が成立していない」ことについてはこれで説明がつく。罪深いのは、ここで何から何まで全部妄想でしたあ(=舞台設定も全部ウソでしたあ)、としてしまったことだ。正直、これでは『SIREN』でも何でもないではないか。これは、元ネタの外皮を纏った極めてレベルの低いサバイバル・ホラーだ。何故「極めてレベルが低い」かと言えば、サバイバル・ホラーとしてすらもお話に整合性を付けることを放棄して妄想オチにしてしまっているからだ(加えて、何故そんな妄想を抱くに至ったかという理由の部分も極めていい加減だからだ)。これはリメイク以前の問題だし、リメイクとしても前述どおりリメイクと呼ぶのが憚られる様な有様だ。雑で手抜きで魂の入っていない、酷い映画だ。  ※実は、どうもラストに少し仕掛けがあるようなのだが、とにかく主人公の妄想設定がご都合主義すぎて、そういう仕掛けを施せる様な整合性が物語に存在しないので取って付け感が甚だしい。ラストでそんなこと言われても、残りほぼ全部のつくりの悪さは挽回できねーよ、という感じ。  例えそんな今作でも、多少なりとも「怖い」なら、ホラーとしては存在価値が無いとは言えない。しかし、これが全く怖くない。目から血ィ出した人間がワラワラ襲ってくるだけで、今どき何が怖いというのか。そのうち一人は何故かココリコ田中だし(お笑い芸人がやったらそれはコントでしょ、と)。そもそも、何で原作準拠の禍々しいクリーチャーを出そうという努力すらしないのか。原作の「日本的な」怖さを実現する、とかいう以前のレベルで、つくづく魂が込められてないのだよね。。
[インターネット(邦画)] 2点(2020-07-26 22:44:33)
391.  爆裂魔神少女 バーストマシンガール 《ネタバレ》 
『片腕マシンガール』のリブート。低予算で血飛沫スプラッシュなスプラッタ路線はそのままだが、世界観は前作にも増してかなり異様で異形。しかし、残虐と淫猥を基調としつつも、どこか昭和テイストで破滅的な滑稽さを纏っていたりする雰囲気は、音楽への妙な拘りも相まってこれまたかなり独特な味わいを出せている。  妙ちきりんな演技・演出だらけだが、キャストはいずれもまずまず振り切れており、個人的にはこれも悪くない様に思える(まあ、全てを素直に直視できる、とは言い切らないケド)。中でも主演の女の子2人(搗宮姫奈と花影香音)は、アクションにせよパンチラにせよイカレたハイテンション芝居にせよ、正に体当たりなチャレンジが健気に本気でこれも好印象。アクション面でも、チープながらも色々工夫し(カメラワーク・早回し&長回し・特殊効果)、粗さをそこそこ上手く消してB級としてはまあまあ観れる出来にも仕上げている。この手の(おふざけ)アイドルアクションとしては間違い無く及第点以上かと。  一点だけ、北原里英が着物の下に白ホットパンツ着込んでるのだけは納得いかん。これがフンドシだったら、もう1点加点してましたですね。
[映画館(邦画)] 6点(2020-07-25 18:55:39)
392.  仮面病棟 《ネタバレ》 
速水と瞳が妙にテキパキと「捜査」を進めていくのとか、犯人が碌にエレベータを見張ってないのに誰も逃げようとしないのとか、中盤までは率直に、やや腑に落ちない点が幾つかある。そして、肝心の病院の「秘密」とゆーのが、正直言って「ですよね~」な陳腐な代物だったりで、ここまではハッキリちょっと白けた感じで観ていた。  しかし、そこには実は理由があって、一つの仕掛けでそこら辺をいったん全部綺麗に浚ってくれる最初の種明かしは中々に鮮やかな伏線回収ぶりで、おお見事だ、と思った。ところが、それ以降の終盤にかかる展開がまたイマイチよく分からん妙ちきりんで、よーく考えると分かってくるような気もするが、例えば…  ①相棒は何故殺されたのか  ②最初ファイルに拘っていたのに、それをアッサリ速水に渡してしまうのは何故なのか あたりはやっぱ正直よく分からんかった。前述どおり、1つ目のトリックの質は中々だと思うのだが、全体的には、微に入り細を穿って考え抜かれた、というよりは、場当たり的でややザルな、というシナリオで、最終的な納得度というものは(サスペンスとしては)率直に不十分だと感じる。  役者の演技も特筆するほどに良いと感じられるものは無かった(江口のりこですら無駄遣いなのも率直に勿体無い)。残念作。
[映画館(邦画)] 4点(2020-07-20 20:27:43)
393.  マタギ 《ネタバレ》 
村落を襲う危険な巨熊との最後の戦いに挑む老マタギの話と、チビ犬を立派な猟犬(マタギ犬)に育て上げようとする老マタギの孫の話を軸に、東北の農村の生活風景を季節感豊かに織り交ぜて描いてゆく隠れた秀作。話の内容も普通にまずまず面白く観れるし、本物の熊を使ったクライマックスの対決シーンなどは緊迫感も中々素晴らしい。主演の西村晃は本物のマタギにしか見えない秀逸な役づくりでこの面の満足度も高い。一点だけ、特に前半は登場人物の訛りが非常に強烈で、何を言ってるのか分からないシーンも散見された(字幕が欲しい)。  あと、個人的に印象深かったのは、今は失われたであろう種々の農村の生活風景・風習の興味深い様子である。個々のシーンで特に面白かったのは、警察署長と飲んでるときに「ドブロク持って来い!」と言って署長が顔を顰める場面や、マタギ犬の大会の様子(ツキノワグマと犬を実際に対峙させるという)など。もう一つ、獲物は山神からの授かりものとして命懸けでこれと相対することを旨とし、旧式の猟銃と三発の弾のみを携えて山に赴くというマタギの精神性。これもまた、今は確実に失われてしまった日本人の在り方の一つであろう。
[DVD(邦画)] 8点(2020-07-19 23:47:40)(良:1票)
394.  火花(2017) 《ネタバレ》 
『劇場』を観たので、こっちも。両方とも原作未読だが、なんか似た様な話ですね。かつ、これも薄いなあと。  ごく終盤まで、人間としては多少ユーモラスだけどあんまり売れてないという芸人がグダグダグダグダしてるだけ、という風に感じられる。何故、彼らがどう苦悩し、いかに闘ったのかをもっと掘り下げて描かないのか。「これからの全ての漫才に俺たちは関わっている」いい言葉だ。原作者も唯これが言いたかったのだろう。しかし、ある程度芸人として成功した原作者が単なる落伍者たるあの2人にそれを言わせたら、意味が変わってくるでしょ、と思う。要は、この言葉だけが浮いている(少なくとも、この映画では)。  菅田将暉の演技は素晴らしかった。ラスト漫才、初めて神谷にキレるシーン、どっちもやはり薄っぺらくはあるが、込められた熱は十分に届いた。流石である。
[インターネット(邦画)] 4点(2020-07-18 16:35:21)
395.  劇場 《ネタバレ》 
芸術家というヤツは、なんでも「芸の肥やしにする」という言い訳が通用してしまうので、才能が中途半端でなおかつ自立・自律の出来ない人間には向かない職業だ。その上に、純粋なクリエイターとしては自分のやりたいように勝手気儘に創作するべきで、だからある程度意識的に「狭量」であるべきなのだし、その結果なおさらダメ人間に陥りがちだ。更にそこに加えて男でかつ面構えが美しかったりすると、これはもう常にヒモに為らない様に「努力」する必要があるホドだろう。本作では異なるが、これで「実家が金持ち」とかだったら正に数え役満、太宰治の出来上がりである(まあ太宰は、才能は中途半端というレベルではないケド)。  本作、基本的には、上記のダメ芸術家野郎の発端から破綻(ラストは取って付けの再生?)までを描く極めてシンプルな作品だと言って過言ではない。そのダメっぷり・クズ人間な有様はまずまず痛烈であり、率直に言えば途中からこいつの人生などはどーでもよく、母性的包容力に溢れた松岡茉優がどーなるのかだけを個人的には気にして観ていたと言える。その意味では、その松岡茉優が自らの秘めた心情を(悲しみを湛えつつも)朗らかに発露するラスト直前のシーンが、私にとっての本作のハイライトである。  このシーンの他にも、青春映画と言うより恋愛映画としては観てそこそこ面白いシーンも散見される。しかし総じて、特に青春ものとしては(あとそーは言っても恋愛ものとしても)前述どおり非常に単純で在り来りな内容だと率直に感じる。その最大の理由が、主人公が心血を注ぐ演劇という要素のコアな部分への掘り下げが全く存在しないことである。決して観れなくはないが、好く言ってそこそこ程度の出来かと。ただ、主演2人の演技はそこまで悪くない(前述の茉優ちゃんのシーンに免じて1点アップしておく)。  下北沢、渋谷。若者の街だよね。人生うまくいってないと、住んでるだけで年々居心地が悪くなる。その焦燥感も、ハッキリ感じられるなあ、と。
[インターネット(邦画)] 6点(2020-07-18 13:52:48)
396.  鉄男 TETSUO 《ネタバレ》 
低予算ながら、随所に工夫された非常に独特な表現が見て取れるのも確かなのだが、とにかくこの作品、撮り方から何から色々とメチャクチャで全編非常に「見にくい」のだよね。加えて、音響も終始かなり耳障りで、観てる聴いてるだけで凄く体力を削られるのですよ。更には、話の方も正直サッパリ訳が分からない上に、基本的に妙なハイ?テンションがずーっと続いていくのでメリハリを欠いていて、その意味でも気が休まる隙が無いつーか(数少ない台詞主体のシーンが来るとややホッとする、というくらいで)。  正直、最初観たときも率直に「合わないなあ」と思ったのですが、再見してもそれは変わりませんでした。ごめんなさい。
[DVD(邦画)] 4点(2020-07-12 20:51:41)
397.  ひとよ 《ネタバレ》 
全く見たことの無い話だ、という訳では決して無いし、結末も予想の範囲から大きく外れるというものでもない。多少の物珍しさが在るとしたら、罪を犯した母親というのが(良くある優しい賢母とゆーよりは)いくぶんおバカでだいぶファンキーな性格だという点くらいか。内容は決して悪くないと思うが、終盤の立ち回りの派手さと、その後、佐々木蔵之介が結局どうなったのかを描かない点には、正直に言うと少しだけ不満がある。  ただ、まず本作、大勢集めた豪華俳優陣が揃いも揃って実に素晴らしい出来だったというのが非常に印象に残る。最初「このドモリは無いだろ」と思った鈴木亮平も肝心のブチ切れるシーンは凄く良かったし(そこで効かせるためのドモリだ)、一番迷ってる佐藤健も、どこか腹黒さを含ませる筒井真理子も、唐突に元極道な佐々木蔵之介も、この人たちの中では割とマトモでホッとできる韓英恵も、母親役の田中裕子もモチロン、MEGUMIもかなり本格的な演技が率直に見事だし、チョイ役の千鳥大吾と斉藤洋介でさえ、いずれも奥行きの有る非常に味わい深い演技だった。  中でも私が一番印象に残ったのは松岡茉優。本作、決してシリアスなだけではなく、確かに随所に笑えるシーンも挿し込んであまり暗くなり過ぎずに(とは言え本質的にはごくマジメに)仕上がっているが、この質感の醸成に、松岡茉優の優しさ・明るさ・コミカルさの部分が非常に効いていた様に思われる(無論、シリアス面も決して悪くなかったし)。  笑えるシーン、と言う意味では、万引きされるためだけにワザワザ「復刻」したデラべっぴんがかなりツボだった(私、ギリギリ「世代」と言えなくもない年回りなのですよね)。
[インターネット(邦画)] 8点(2020-07-03 22:12:13)(良:1票)
398.  もののけ姫 《ネタバレ》 
確かな記憶、という意味では、私が映画館で観たことを覚えている最古の作品である(実は)。コロナ禍のジブリ・リバイバル上映を機会として、1作品だけコレ!と選んでこのたび映画館での再鑑賞に至った(最近、少しテーマの似てる『羅小黒戦記』を観て、ちょっとまた観たくなったというのもあるのだけど)。  改めて観てまず感じるのは、話の複雑さ、特に「自然の神々」に対する人間側勢力(エボシ)を取り巻く状況のそれである。ずっと「自然」対「人間」の二項対立の話だと思っていたのだが、実はこれは、人間が既に自然を凌駕してしまったあとの物語であった。エボシにとっての真の敵は人間であり、エボシが神を殺そうとするのは、そうしなければ真に勝ち抜くべき人間同士の争いに勝てない、と考えていたからである様に思える(帝に「シシ神の首」を献上することの政治的意味を含めて)。このことが、この話を単純な自然と人間、善と悪の二項対立から一段上に掬い上げていると同時に、人間もまた、強者が弱者(蹂躙される「自然」を含めた)を資源として利用しなければ誰しもが生きてゆけない「弱肉強食の理」から逃れることは、歴史上一度も実現出来ていないという意味の含蓄を作品に与えている様にも感じられる。  難解と言われる本作のラストだが、あくまで私には、この理に従って各々が争い生きることが生む絶望と、そこから脱却して生きていこうとする先に芽生える仄かな希望(のようなもの)を描いたものである様に思えた(それはまた、本作で唯一、真に自然を体現する「物言わぬ神」として描かれるシシ神の神性としての、途切れ無く流れる悠久の自然が備える「ホメオスタシス」の様なものであるか、とも感じたのだが)。
[映画館(邦画)] 9点(2020-06-27 21:19:52)
399.  ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う! 《ネタバレ》 
12軒のパブをハシゴするという部分と、途中から展開されるSFスリラー的な話と、主な筋が2本あるのだが、正直どちらもややよく分からないオチを迎えるというか、ラストまで観ての達成感があまり無い。じゃあ途中笑いに笑えたかというと、これもそーでもない(個人的にこの監督とはあまりコメディセンスのフィーリングが合わないってのも大いにあるケド)。面白かったのは率直にブランクとの格闘シーン(喧嘩において「質量は正義」と言わんばかりにデブのアンディが無双してるサマはある意味爽快だった)。  私も酒飲みとしては、酒絡みの無茶を昔取った杵柄でもう一度、という部分には大いにノスタルジィを感じるので、その部分に何か痛快なラストが観れたらそれだけでも良かったのになあ、という思いが強い(SFとかどーでもいいから)。UKパイントは568mlなので、12杯で約7リットル、生中14杯分である。昔なら一晩くれれば余裕だが、今では絶対に無理だ。
[DVD(字幕)] 4点(2020-06-21 23:24:27)
400.  キサラギ 《ネタバレ》 
これも、日本でしか撮れない映画だと思う。『十二人の怒れる男』に代表される密室推理劇が、日本のアイドル文化との奇想天外な融合によって、ごくシリアスなサスペンス要素をそのままに、若干のコミカルさとそして独特な世界観を加味した非常にユニークな方向に飛躍的進化を遂げたものである。サスペンス部分の展開運び、特にドンデン返しが目まぐるしく連続する部分の出来は率直に極めてよく出来ており、まず本作は推理劇として十二分に観る価値のある仕上りなのは言うを待たない。  その上に、中盤以降、異常なまでのテンションの高さで激高し、泣き喚き、取っ組み合いを繰り広げる様には、『十二人の怒れる男』には無かった独特のコミカルさ+また別の次元のシリアスさが生まれているが、これは、推しの為なら命を捨てることも厭わない日本のドルオタが集まった為ればこそリアリティを以て成立する演出なのであり、ここにまずオリジナリティを多分に感じ取れるのである(と言って、実はほぼ全員アイドル本人の身内なんだけれども)。  そして彼らが辿り着いた誰をも傷つける事の無い結論、特に小栗旬との「繋がり」の部分には、至誠為ればファンの想いはきっとアイドルに届く、という全日本人男子の「夢」が描き込まれている(本当に、ファンを命よりも大切にするアイドル、というのも、やはり我等の見果てぬ夢なのであろう)。正直私、ここにはちょっとホロリとしてしまった。  確かに、ラスト12、3分は丸ごとオミットしても構わない位だが、それを差し引いてもよく出来ている。必見。
[DVD(邦画)] 9点(2020-06-13 00:17:23)
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