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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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501.  学校 《ネタバレ》 
かなり昔の映画のように見えるが、劇中の事物(金のうんこなど)や登場人物の発言によると、劇中年代としても製作時期と同じ頃だったようである。 自分としての感想を正直に書くと、映画のかなりの部分は生徒の個人的事情を描写しているだけで、かつそれ自体に心を打つものは特にない。また後半では泣きを誘うためか、田舎~不運~貧乏~愚か~善人といった定型パターンを持ち出してきたようで鼻白むものがある。終盤に至ってまとめにかかるが、個別事情の一般化とか話題の飛躍で物語の流れを無理に導くのが気に障り、結果として出た教育論らしきものも素直に受け取れない。創作物でしか実現できない理想状態を描写しようとしたとすれば文句をいう筋合いではないが、そのまま乗れない人間も当然いるということである。 ラストでは、これだけ雪が降ると東京の人なら転倒して怪我をするのではないか、ということの方が心配だった(タイル張りなどの上を歩く場合は要注意)。  個別の場面としては、クライマックスで出た“しあわせって何?”の論議が聞きどころだった。ここではまず焼肉屋店主の発言に非常に説得力があり、これは民族性などと無関係に人生の真理を語っていた気がする。その後、萩原聖人がかなり高純度にまとめた台詞を言ったので、これで結論が出たも同然と思ったわけだが、なぜか言った本人がこれでわかったとは認めない。その上で中江有里が、この発言をどう処理すれば教員が満足するか知っている優等生のような発言で教育の意義ということに繋いだので、そこで話が逸らされたように感じたのは不満だった。ただこの場面での裕木奈江の語りは、この映画のような学校の根源的な効用の一つを語っていた気はしなくもない。 ちなみに個人的な思い出話として、この映画と同じ頃に勤め先で大規模なコンピュータシステムの導入があり、それまで手書き伝票しか扱ったことのない庶務担当の人々(主に年長の女性)への講習を担当したことがあるが、そのうちの何人かがその後に定年を迎えた際に、在職中に電子機器を使えるようになって感謝している、というようなことをわざわざ言われて恐縮したことがある。この映画でそれを思い出し、学ぶことの意味を少し意識したのは間違いない。
[DVD(邦画)] 5点(2016-11-15 20:52:45)
502.  人狼ゲーム プリズン・ブレイク 《ネタバレ》 
シリーズ4作目である。新作が出るたびに見る義理などないわけだが、今回は贔屓の若手女優が出ているからという理由が一応ついている。4作目にして初めて計画的な脱出を試みたのが特徴点だろうが、死角があるとか道具が備えられているとかは都合が良すぎる。 今回の主人公は最初から綺麗事(贖罪意識を含む)にとらわれがちで、自分としては第1作の桜庭ななみ嬢の再来かと思ったが、終盤に至ってもまだ情緒的な発言が多く、どこまでも現実を受け入れられない愚かな人物にも見えた。またラストでは、本物の愛で結ばれた2人だけが助かった、ということならかなりありきたりな展開で、かつ不自然である。 しかし好意的に見るなら主人公の行動も、状況に流されて悔恨を残すことは二度としたくない、という強い思いがあったからと取れる。またそのような純粋な思いに幼馴染が同調したからこそ、最後まで信頼関係を維持できたというならわからない話でもない。今回の主人公は単に生き延びただけでなく、最後まで屈することなく自らの意思を貫き、その上で本当に脱出してみせたというのが題名の意味と思われる。さらにそれが犯罪の摘発にまでつながるとすれば、単なる脱出ではなく文字通りのbreakということになるのかも知れない。そういう点でシリーズ全体の行方に関わる内容だったようでもあるが、次回もまたこれまでの繰り返しになる可能性はなくもない。  ところで余談として、エンドクレジットを見ているとゲームの参加者12人を役職別に並べていき、11人まで出したところで回想場面の子役2人が挟まって、最後を「ヒステリック女」役の山谷花純さんで締めていたが、ほとんど同年代の出演者の中でこの人だけを大御所のように扱うのが珍しい。実際この中では役者のキャリアが長い方かも知れないが、それよりこの人が最近の戦隊ヒロイン(手裏剣戦隊ニンニンジャー)、主役(小島梨里杏)はその前任者だったということで、この2人を並び立たせる扱いにしていたのかも知れない。 また眼鏡少女(岡本夏美)は、お笑いホラー「カルト」(2013)で悪霊に憑かれたかわいそうな少女役をやっていた人だが、今回も結局かわいそうな役で終わってしまった。劇中人物としては飛び抜けて理知的で、これからしっかり勉強してそれなりの人物(裁判官とか?)になりそうだったが残念なことである(悪いのは誘拐犯だ)。ほかの悲惨な死に方をした皆さんもご苦労様でした。
[DVD(邦画)] 5点(2016-11-10 20:34:31)
503.  手裏剣戦隊ニンニンジャー THE MOVIE 恐竜殿さまアッパレ忍法帖! 《ネタバレ》 
戦隊シリーズの第39作目とのことである。TVは当然見ていないが「忍ばない」というコンセプトは面白い。 映画といっても26分しかないのでTV放送の一回分と変わらないが、本物の城で撮影したという点が劇場版としての特別さかも知れない。公開時期にあわせた夏休みの宿題というのが今回の趣向で、ストーリーは極めて荒唐無稽だが嫌いでない。展開が早いので退屈せず、また毎度のことだろうがラストのダンスはノリがいいので嬉しくなる。とにかく観客を楽しませようという意図が前面に出ていたようだが、物語に込められた一応のメッセージとしては、“やりたいこと”と“やるべきこと”を一致させるのが大事ということだろう。多分。 ちなみにモモニンジャー/百地霞(ももちかすみ)役の山谷花純(やまやかすみ)という人は、他の出演作でも“かすみ”という役名で出ていることがあるが(「白魔女学園」白鳥かすみ、「劇場版 零~ゼロ~」野原カスミ)、これは事務所の意向か何かでこうなっているのか。
[DVD(邦画)] 5点(2016-11-10 20:34:26)
504.  燐寸少女 マッチショウジョ 《ネタバレ》 
マンガの映画化である。主人公の衣装やメイクを見るととてもまともな映画には思えないが、外見をマンガに似せただけで話の中身は真面目である。マンガ原作のため全体的には軽いお話で、途中までは普通にダークファンタジー調だが最後に泣かされてしまうのが意外な展開だった。 映画では原作の第1巻から複数エピソードを選んで構成しており、最初に全エピソードが始まって同時並行で進むのかと思っていたら途中で先に2つが終結してしまう。その後の展開に???と思って見ていると、最後に事情がわかって泣ける話になっている。???の部分はシチュエーション自体に変な印象もあるが、一点だけ明らかな疑問が生じる箇所があり、それがヒントになって最後の種明かしにつながっていた。ちなみに「5年」の辻褄は合っている。 小道具の「妄想燐寸」に関しては、病室の老人が説明書きの意味を自ら理解して使ったのはさすが年長者だが、大学生は目的がはっきりしているが視野が狭く、高校生は単なる馬鹿、といった形で年齢差がついていたのは少し面白い。「妄想」と「願望」の違いは解釈が難しいが、妄想は定義からして破綻が見えており、あまり大がかりなものにしないのが無難ということか。年長者だと寿命1年間は切実に思えるだろうから、その点でも病室の老人の使い方は有効だったと思われる。  キャスト面では、一応は佐藤すみれ(AKB48→SKE48)主演のアイドル映画になっている。ただ主演といっても狂言回し的な位置づけであり、実際は各エピソードに出る役者が頑張っている。 DVDの売り方を見ると、看板アイドルのほか各エピソードに出る男の出演者で女性の観客を引こうとした節もあるが、それぞれに対応するヒロイン役もいるわけで(上野優華、唯月ふうか+森迫永依、美山加恋)、これを目的にして見る男がいても変ではない(自分もそうだ)。 なお若手に比べると病院の老夫婦はさすがの重厚感がある。丘みつ子という人は久しぶりに見た気がする。
[DVD(邦画)] 5点(2016-11-04 20:32:20)
505.  復讐したい 《ネタバレ》 
殺人被害者の遺族に復讐を認める制度ができたという映画だが、とてもまともに機能しそうな制度にはなっていない。要は無法地帯を作って殺し合いさせるための設定であり、恐らく原作段階でもあまり突っ込んで考えてはいないだろうと想像する。 この映画から何らかの教訓を見出すとすれば、復讐は連鎖するのでよろしくない、という程度のことかと思われる。しかし現在の制度でも復讐は認められておらず、仮に死刑になっても公権力が行うことで連鎖は防げるのであるから、少なくともこれが現実の社会批判につながることはない。 また劇中のテロリストは実は原発災害の復讐をしていたとのことで、これは一定の問題提起だったように見えなくもないが、しかし原因者と被害者の因果関係を特定しなければ手段を似せても復讐とすらいえず、いかなる意味でも肯定できるものではない。劇中でも実在の国際テロリストを連想させる扱いだったことからすれば、この映画としても別にこういう活動を容認なり奨励していたわけではないと思われる。 そのようなことで、この映画が特に何らかの社会的なメッセージを導こうとする性質のものとは思われなかった。要は単純に死んでもらいたい人間が死ぬのを見ていればいいのであり、結果としてこの原作者にしてはそれなりに面白い映画になっていた。主人公もここまでやれればもう満足だったろう。  ところでキャストに関しては、若手の出演者(男)は基本的に中京圏のローカルアイドルグループの所属であり、要はこのグループのプロモーション映画のようなものらしい。 自分は男に関心がないのでその点はどうでもいいわけだが、女優に関していえば、ヒロイン役の女優はどうも顔つきに怪しさがある。特に序盤では真面目な人という設定と、信用できなさそうな顔のギャップに戸惑うものがあったが、しかし最終的に化けの皮が剥がれた時点でやっと本来ふさわしい役に落ち着いたようで安心した。また一方、復讐者役で出ていた上野優華さんはほんわかした和む顔で可愛い役が多い人だが、この映画では悪役のためヒロイン役とは逆のギャップがあるともいえる。 ほか序盤のニュースキャスター役は、東海テレビ放送のアナウンサーで本仮屋リイナという人である。女優の本仮屋ユイカという人の妹で、名前は知っていたが初めて見た。昔は演劇などもしていたようだが映画出演はこれだけらしい。
[DVD(邦画)] 5点(2016-11-04 20:32:17)(良:1票)
506.  みんな好いとうと♪ 《ネタバレ》 
福岡のローカルアイドルグループ「LinQ」(リンク)のプロモーション映画のようなものらしい。 最初のところで皮肉な顔の運営スタッフが出てきて突然解散を宣言するが、しかし実在のグループをネタにして解散だとか真顔でやられても茶番にしか見えないわけで、解散を回避するためメンバーがさんざんいろいろやった後、結局は解散が撤回されて普通に前向きな形で終わるのは拍子抜けだが当然である。ただ一応のハッピーエンドになってからも運営スタッフの態度が変わるわけではなく、どうやら運営側には茶番のつもりはなかったらしいという印象が残るのは意外感があった。成果が出なければ本当に解散だ、と冗談めかして脅しをかけて、それを何とかするために、ファンもいい加減な気持ちではなく本気で応援してもらいたい、というのがこの映画のメッセージかという気もする。 アイドルである以上は走り続けるしかない、というのはご苦労様なことで、若いうちなら頑張ってくださいと部外者としては言うしかないが、本来はそれぞれ人生全体の構図を頭の中で意識しておくことも必要だろうと思われる。しかしそんなことはみんなわかって迷いながらやっているわけで、あえて言うのは野暮と思えば少しコメントが難しい映画である。また人数の多いアイドルグループでは自分の存在意義を見出しにくいメンバーもいるだろうが、劇中ではそういう存在を取り上げて、博多ラーメンにからめて気の持ち方を語っていたのが少し面白かった。  ところで登場人物としては、この時点でのメンバー25人の名前を読み上げる場面があったので全員出たという建前だろうが、映像上はみな揃ったようでも実際は微妙に人数が少なかったようである。主人公の新木さくらという人は万人が可愛いと思いそうなタイプで、博多ラーメンでいえば麺に喩えられていたのもわかるが、個人的には特におーばちゃんを応援したい気になった。 また主人公のママ役の いとうまい子という人は30年前のアイドルであって、今も変わらず可愛らしい、と言いたいと思ってこの映画を見たわけだが、残念ながらこの年にしては可愛らしい、という程度の表現にとどまるのが実態だった。それでも昔の面影を十分残した(思い切っていえば昔のままの)姿でこのように出るのは嬉しくなくもない。
[DVD(邦画)] 5点(2016-11-01 23:16:06)
507.  のぞきめ 《ネタバレ》 
原作付き映画は原作の劣化版でしかないことが多いので、映画から見てしまって損した気分になるのを防ぐため、今回も原作を先に読ませてもらった。もしかするとこの映画でも、原作でいう「ホラーとミステリの融合」を目指していたのかも知れないが、実際見ればまあ普通のホラーになっている。 映像化という面では、表題のモノに憑かれるとどうなるか劇中でも説明はあったわけだが、実際は主にその辺の隙間から覗く形になっており、これでは菊地あやか主演「隙間女 劇場版」(2014)とどこが違うかわからない。まだしも地面の目の方がホラー映画の映像表現として受け入れやすいが、何にせよもう少し、じっと見られている圧迫感を即物的でなく表現すると面白かったはずだ。 それでも中盤まではおおむね黙って見ていられる内容だったが、終盤に入るとかなり羽目を外してしまった感がある。自分としては原作を読んでいる最中も何となく「八つ墓村」をイメージしていたわけだが、この映画では見た目もあからさまに1977年の映画を意識していてかなり興醒めだった。またラスト近くで原作者のフルネームと原作本の実物を出していたのもやりすぎである。 結果としてはかなり微妙なところだが、原作のおかげもあって「クロユリ団地」(2013)などよりはましだったという点数にしておく。  ところで主演の人物には個人的に全く関心がないが、この人の叫びというより唸り声は独特で、こういうホラーは初めて見た気がした。それより自分としては最初の犠牲者の彼女役の女優(入来茉里さん)に注目していたが、この人がなりふり構わず走って逃げる様子は可哀想だが可愛らしく、見ている側としても何とか助けてあげたくなる。ほかデビュー直後は馬鹿にしか見えなかった白石隼也も格好良くなっており、まことに隔世の感がある。 そのほか完全に余談だが、最初の犠牲者が通っていた大学の場面で、実在の麗澤大学(千葉県柏市)が実名そのままで出ていたのは少し驚いた。最初の映像は「生涯教育プラザ」の建物から図書館を見たところのようである。またついでにいえば、「総名井ダム」(これは架空)を検索していた場面で「ダムカード」の記事が出ていたのは現代日本の世相を反映していて面白い。
[DVD(邦画)] 5点(2016-10-25 19:59:47)
508.  猫なんかよんでもこない。 《ネタバレ》 
日頃ネコ映画を好んで見ているわけでないので比較できないが、動くネコ映像が満載というだけでなく、ネコを飼うことに関してもよくできた映画ではないかと思われる。 映画では子ネコを飼い始めるところから死期が迫った状態、及び死後のペットロスまでを短期間ながら一貫して扱い、その間にネコが引き起こす各種の出来事を入れてある。ほか人間側の心構えや気の持ち方も語らせており、こういうのは死んで初めて考えるよりも、生きているうちから考えていた方がいいことと思われる。 個人的に重要だと思ったのは、劇中で死んだネコはヒトの立場からすれば自分のせいで死んだと思われたかも知れないが、当のネコは自分の本能に従って一生を全うしただけだということである。台詞とは別の表現をすれば、過剰な思い入れを排してヒトの都合・ネコの都合と割り切った上で、たとえ同床異夢でも同じ空間と時間を生きることが大切だということが語られていた気がする。  一方でこの映画が好きになれないのは、主人公が本物の馬鹿に見えるからである。原作が30年前のため現代の常識が普及していないという言い訳もあるようだが、主人公は早い段階で外飼いをするな、避妊・去勢をしろと忠告されたのを無視して何もしなかったのであって、それで問題が起こって慌てる/泣くぐらいなら初めから対処しておけと言いたくなる。避妊した後で後悔していたのも考えが足りない。 こういうのはストーリー上で必要な教訓を導くための都合かも知れないが、それにしても現代日本では普通のことを、主人公はやっと最後になってわかるという展開は非常に苛立たしい。そういうお勉強の面でいえば、現に飼っている人というよりも、これからネコを飼いたい人が見るのがふさわしいともいえる。30年間の人類の進歩?を疑似体験する映画ということかも知れない。 ただ主人公は結局最後まで外出を許しており、これは家に閉じ込めることについて制作側(原作者?)の割り切りができていないのかと思ったりもしたが、何にせよこのために、周辺住民の生活被害という非常に重要な問題が扱われない形になっていたのはさすがに困ったことである。現代であればこの点は絶対に外せない。 ちなみに個人的な考え方を書いておくと、ヒトとネコの間で無理に上下関係を想定しなくてもいいのではと思う。ネコが自分を見下していると考える必要はない。
[DVD(邦画)] 5点(2016-10-18 19:41:29)(良:1票)
509.  携帯彼氏 《ネタバレ》 
携帯サイト「魔法のiらんど」で公開されたケータイ小説を原作とした映画で、同サイト発のものとしては「恋空」(2007)、「赤い糸」(2008)に続く映画化ということらしい。それを聞くととても成人男子がまともに見るものではないということになるが(「赤い糸」は見ていないが「恋空」で想像はつく)、しかし別に非常識で不道徳な過激描写が連続するわけでもなく、おおむね一般常識の範囲に収まっているので特に問題はない。 ストーリーとしては若年者向けのため他愛ないところもあるが、謎を解明していく要素もあったりしてあまり退屈しない作りになっている。自分としては続編の「携帯彼女」(2011)を先に見てしまったが、それよりはまだしも面白く見ていられる感じだった。特に主人公が小柄で可愛らしいので和むものがあり、「言ったらチョー寒いって絶対引くよ」とかいう今風の台詞が微笑ましい。 公開時には女子高生限定試写会などというものも開催されたようだが、そもそもの携帯サイトが「ガールズエンタテインメントサイト」とのことで、初めから女子が主な対象層だったらしい。この映画でも次の「携帯彼女」でも若手の女性監督を起用したのはそのせいだったのかも知れないが、しかしこれだけの各種美少女満載映画を男子に見せないつもりだったとは考えられない。自分としては前田希美さんという人が出ていたので見たわけだが、この映画では軽薄で可愛気がなく台詞が上滑りするような人物で、いかにも真っ先に死にそうな感じだったのが残念である。まあもともと死体になる役が多い人とのことで、この映画はその最初の例ということらしい。 なお興味本位で原作も読んだが(上記サイトで無料で読める)、主人公の女子(高校生ではなく卒業後の社会人)の考えがその時々の感情で簡単に左右されて不合理な行動に走る様子が見えたりして、そういうところが共感を呼ぶのかと興味深かった。 [2018-6-30追記]主人公の友人役で朝倉あきという人が出ているので再見。当時17~18歳くらいで可愛らしい感じで、若干のお色気担当で熱演している。またお話全体としても「言ったらチョー寒い」言葉がちゃんと生かされていて悪くないと思ったので、この機会に+1点としておく。
[DVD(邦画)] 5点(2016-10-09 22:56:10)
510.  独裁者、古賀。 《ネタバレ》 
気弱な男子高校生が壁を壊して前に進もうとする話である。基本的には良作と思われるが、しかし自分としては登場人物が不快なために見るのが苦痛だったというのが正直なところである。 まず主人公は単なる馬鹿に見える。本当に臆病ならもう少し用心深いのではと思うが、攻撃される危険のある場所にわざわざ大事なものを持って来て、案の定奪われるのは普通一般の知能を備えた人間とは思われない。こういう度を越して愚かな人間は共感どころか憐憫の対象にもならないのであって、こんな奴の人生は初めから終わっているから今さら何しても仕方ないだろうという感覚が最後まで尾を引いた。これはもしかするとイジメを“する”側の立場に観客を置こうとする試みなのか。 また担任教員が優柔不断なのか大勢順応的なのかわからないが良心というものが見えない男で、そのため女子生徒の自己判断とされていたものも、実は担任教員が裏で圧力をかけたのではないかと疑われた。終わってみればそうでなかったことはわかるが、この男の人格自体を認めたくない心境になってしまってからではもう挽回できない。主人公(馬鹿)を含めて、過度の反感を持つことのない人物造形にしてもらいたかったものだと思う。 ちなみに主要人物以外では、小柄な女子生徒がどういう役回りなのかわからなかった。眼鏡っ子が差別されていたのも意味不明である。  ところで進学校という設定は何の役に立っていたのかわからない。もしかすると迫害側の女子生徒が妙な観念論を述べたり文語調の表現をしたりするところに生きていたのかも知れないが、自分としてはそういう小理屈のようなものは聞きたくない。この進学校という設定のため、それにふさわしくない様相を呈する登場人物や校内の状況がストーリーの都合で不自然に作られたものに見え、個人的にはこの映画への共感を一層妨げる結果になっていた。 ただ実は進学校というのは口先だけで、体面ばかり気にして内実が伴わない自称進学校だったのかとも思われる。そう考えれば、迫害側の女子生徒が本来自分のいるべき場所でないところに置かれていることで苛立ちを募らせ、それが馬鹿の虐待につながったとも取れるので、これは案外そういう理解でいいのかも知れない。 なお「独裁者」という言葉の最終的な意味付けはよかったと思われる(自分の理解が正しければ)。またヒロイン役の村上穂乃佳という人は、「人狼ゲーム クレイジーフォックス」(2015)で見たときは悪役風で好きになれなかったが、この映画では内向的な普通の少女役が好印象だった。
[DVD(邦画)] 5点(2016-10-01 13:44:27)
511.  恋の罪 《ネタバレ》 
とりあえずデリヘル事務所の顛末は単純に面白かった。派遣先での「ボケー!」の台詞も心に残る(笑った)。 ほか全体的なことに関しては、まずはいかにも頭の悪そうな人物が予定通り堕落していく話になっている。部外者としては目を逸らして見なかったことにするだけの相手であり(こっち見るな!)、おれは関係ない、で終わりである。 また途中で頭のいい人物が出て来て深淵な哲学を語りそうな雰囲気だったので、これは自分などの理解を絶した世界かと思っていたが、実際は普通の言葉でわりと簡単に説明できそうなことを難しくしただけで、結局最後は誰でも想像できる範囲に収まった感じだった。普通に生きることが難しい境遇だったとしても、そこを何とかカバーする知性をこの人物は備えていたはずで、その点で父親の行動はまだしも理性的な範囲にとどまっていたと思われるが、こういうのは性別によっても違うと言いたいのか。 以上の2人に関しては、こうなったことにもそれなりの事情があったらしく、全てが生来の体質によるものともいえないところがあるが、少なくとも次に生まれ変わった時には別の人生が期待できるわけで、その際は例えば修行して悟りを開いて仏になることを志したりするのもいいかも知れない。 そのほか警視庁の刑事には単純に失望した。劇中には全般的に変な連中が多いが、この人物は特に職業と人格の関係、また家庭環境に関する設定が支離滅裂である。またこの映画では三者三様のヘアヌードが出て、見た目でいえば胸の大きさの違いが明らかな特徴になっているが、この人物は中庸であって個性の表現にはつながっていない。別にそんな点は評価項目にならないのでどうでもいいわけだが、頭の良し悪しと胸の大きさに負の相関関係があると主張していたのであれば問題がある。多分そんなことも言ってないだろうが。 なお個人的には、この映画を見ながら大岡越前守の逸話と伝えられる「灰になるまで」の話を思い出したりしたが、それは関係ないか。何にせよあまり深入りしたくない映画だった。
[DVD(邦画)] 5点(2016-10-01 13:44:24)
512.  怒り 《ネタバレ》 
真面目に見たが釈然としない映画だった。見た後で原作を読むと、全体としては原作にかなり忠実に、うまく要約して作られているのはわかったが、それでもなお釈然としない理由は次の3つである。  ①題名と内容が一致しない 題名の意味について、どうにもならないことへの憤懣を「怒り」という言葉で表現していると考えれば、劇中の至るところに大小の「怒り」があることは理解できるが、しかし物語としては3つとも“人を信じること”を主題にしているように見える。これは原作段階でも同様の指摘があったらしく、それに対して映画では、ラストに追加した少女の場面(ギャーと叫んでいた)で「怒り」をより強く印象づけようとしたのではないかと想像する。 ②登場人物の心情に共感しにくい 千葉編と東京編に関しては、それぞれ相手を疑う理由が第三者的にも理解できるものであり、かえって当事者の悔悟と自責の念の方に共感できなかった。しかし原作を読むと、さすが小説では登場人物への共感レベルがまるで違っており、小説の情感が映画では失われてしまって無味乾燥になった感じがする。長さの関係もあるだろうから仕方ないが。 ③全体的に結論を出さず観客に投げる形になっている まず「怒り」の根源について、派遣労働や外国の駐留軍(現時点ではアメリカ軍)、あるいは母親が自堕落だとかいうことなど、大小各種どうにもならないことへのやるせなさがあったとしても、それを観客に訴えてどうしようというのかという疑問が生じる。また“人を信じること”は一応の共通テーマのようではあるが、これも闇雲に“人を信じることが大事”などと訴えていたのではないらしく、映画でも沖縄編は少し複雑だが、原作では映画で省略した4つ目の物語がこの問題の難しさを示している。 答えが出ないようで不全感は残るが、元からそういう作りなのは仕方ない。観客の内なる「怒り」を期するということかも知れないが、あまり期待されても困る。  そのほか原作段階では真犯人の犯行動機がわからないのが不満との声もあったようで、それに対して映画では、犯人の行動と心境に関する台詞での説明を入れてある。またそのことに伴い、真犯人が必ずしも真の悪人ではないということも示唆されていたようで、つまり「怒り」は専ら米軍に向けよということだったのかも知れない(ちなみに原作では白人だったのを映画では黒人にしていた)。 なお出演者に関しては当然ながら広瀬すず嬢が圧倒的な印象を残す。二度は見たくない映画である。
[映画館(邦画)] 5点(2016-09-23 19:58:15)(良:1票)
513.  ドロメ【男子篇】 《ネタバレ》 
一つのストーリーを男子、女子それぞれの視点から二本の映画にした「青春ダブルアングル・ホラー」のうちの【男子篇】である。男女篇が互いに不明部分を補完し合っているところがあるが、主に女子篇での謎を男子篇で解く形になっているため、順番としては女子篇を先に見るのが明らかに正しい(男子篇を先に見たのは失敗)。 男女篇とも冒頭からいわゆるポップな雰囲気を前面に出しており、特に男子篇はほとんどコメディでホラーらしくない(ママの顔だけ怖い)。コメディとしての可笑しさは、バカな男子連中のやらかすことを単純に面白がれるかどうかにかかっているが、しかし個人的感覚としては単にバカだと思うだけで全く笑えず、ボーイズラブ寸前のじゃれ合いも鬱陶しい。また過呼吸とか胡麻餡を垂らす場面がくどいため間延びしたように感じるのは男女篇共通だが、特に男子篇では無駄にしか思えない場面があったりもする。かろうじて前後篇でほとんど唯一の泣かせどころがあるのは男子篇の特徴だったかも知れない。 この映画が売りにしているのはクライマックスのドロメ退治だが、ここは爆笑とはいかないまでも可笑しさはわかり、また「終」を出すタイミングも失笑を誘う。そこからエンディングにつながって、花火ダンスの再現で盛り上がるのも映画の終着点として納得いくものになっていた。終盤の展開は東映戦隊シリーズの流れを汲むものに見えたが、ただしそのように見るとエンドロール後の追加部分が不可解ということになってしまう。実際ここは女子篇の方が本来のあり方であって男子篇は捻りを加えた形のため、この点でも女子篇を先に見るのが正解だという気がした。  ちなみに男女篇に共通だが、劇中の比嘉梨乃さんと岡山天音の関係性が非常に可笑しい(小道具製作とスパゲティの場面に注意)。これに関する舞台挨拶での話を聞くと役者の素顔も見える気がして面白かった。
[DVD(邦画)] 5点(2016-08-25 22:08:28)(良:1票)
514.  海難1890 《ネタバレ》 
まず前半では、海難と遊興の対比が意味不明だとか、悪人が突然転向して本当はいい人だったことになるといったマイナス要素が何かと多いが、そういうのも感動物語に紛れて見過ごしにしてしまう面がなくはない。一ついいと思ったのは、日本人は相手に頭を下げられると頭を下げ返さずにはいられない人々だというのを映像化していた場面だった。 しかし素朴な疑問として、両国の民に共通のメロディがスコットランド民謡(誰かさんと誰かさんが麦畑)だったというのは実話なのか。2013年の別の映画でも似たような場面があったが、それは当の相手国の歌であり(蛍の光/Auld Lang Syne)、かつ原歌詞がその場面に合っていたからこそ感動的だったのであって、トルコ人相手に同じことをしても違和感しかない。表層的な文化は違っても、人の心は間違いなく通じたというだけでいいのではないのか。 また劇中の海難救助が「村人たちにとって当たり前のことなんだ」というのは紀伊大島に限らずその通りと思うが、それなら助けられた当人を相手にして、これでもかこれでもかと恩を着せるようなことを言うものではない。トルコ人は船が難破すると生存者を殺して財物を奪う民だとでも言いたいのか。自分の善行を強調しすぎて相手を貶めている。  後半に関していえば、日本人も陸路で逃げればいいのでは、という素朴な疑問を解消しようともしないまま、トルコ人の一部を排除してまで日本人が割り込んだ形になっていたのは非常に抵抗感がある。助けられたのは事実であるから感謝しなければならないが、そもそも日本国政府とナショナルフラッグキャリアの尻拭いを他国にやらせておいて、それは恩返しだから当然だ、というような映画を作ったのは日本側として恥ずかしくないか。そんな根性でよくも前半では偉そうに説教などしたものだ。 加えて、緊急時に怒鳴るばかりで妻子を危険にさらすような男を、よりによって真っ先に助けるなどという展開は全く受容できない。男児が泣いていたのは父親が激高していたのが原因だろうが。自分だけ残って死ね馬鹿が。  以上、ネット動画で見ていればいいものをまともに映画化などするような話か、というのが正直な感想だった。点数は日本人とトルコ人の友情のために入れておく。ちなみに個人的には自室の壁にトルコの青い目玉の魔除けを3個も飾ったりして親トルコ派のつもりだが、最近は何かと物騒な国になってしまったのが悲しい。
[DVD(邦画)] 5点(2016-07-30 21:40:59)
515.  神様の言うとおり ~短篇.jpルーキーズ第1弾~ 《ネタバレ》 
一応説明しておくと、「短篇.jp」という動画コンテンツの配信サイト(現在は停止中)が運営されていた時期に、新人監督育成の目的で製作されたのが「短篇.jpルーキーズ」である。この第1弾に続いて第2弾、第3弾が製作され、それぞれDVD化もされている。 内容としてはシナリオコンペで選ばれた6編のオムニバスになっており、それぞれに新人監督が脚本・監督・編集を担当している(第5話のみ美術も担当)。この第1弾では小阪由佳、国分佐智子の女優2人が全編共通の登場人物という設定で、第1話~第5話の各エピソードに各1人が端役で出演した上、最後の第6話で2人が揃って全体のつながりをつける趣向になっている。恐らくコンペの脚本に手を入れて、全体が一つにまとまるよう編集したものと思われる。 素人目に見ても新人監督らしい感じはしなくもないが、基本的にコミカルな展開で普通に楽しい。みな微妙に不幸で微妙に救いのある話だが、それを含めて人生それほど捨てたものでもなく、愚かしいようでも健気に生きる人々を祝福してやりたいという結末になるので少ししんみりさせられる。絶賛するというほどでもないが、地味にいいものができている気のする短編集だった。
[DVD(邦画)] 5点(2016-07-16 13:02:21)
516.  -×- (マイナス・カケル・マイナス) 《ネタバレ》 
とりあえず密度の高いものをじっくり見せられた気はするが、娯楽気分で見るのは厳しい。 人の神経を逆撫でする要素を各所に多数入れてあり、また人物の会話も素直につながらず、何かと棘が刺さるようで苛立ちが募る。終盤に至ってもまだ緊張を強いられる気がする一方、登場人物が社会通念を無視した感情表現をするのが気に障って安心して見ていられない(公共交通機関内で大声で歌うなど)。個人的感覚としては劇中に和む場面が全くなかったが、そのように延々と精神的負荷をかけられた後で、最後に中学生がにっこり笑った(+金魚を入れた、襟を洗った、チョコレートが落ちた、アパート前にタクシーを止めた)くらいでは心の収支がプラスに転じない。登場人物に心底共感できる観客なら別かも知れないが、自分としては見るのがつらい感じの映画だった。 またこの映画で、相互に関係しない物語をあえて一緒にしてみせたことにはあまり積極的な意義が感じられない。自分としては最後にどうつながるのかを期待していたわけだが、その期待が満足させられなかったのも全体としてマイナス方向に作用している。自分の感覚でいえば、人はそれぞれ事情を抱えているので世界情勢とか他人の動向など視野に入らなくても仕方ないだろうと思うわけだが、まあできれば世界の広がりに関する想像力くらいはみな持っていた方がいいという気はしなくもない。  ところで女子中学生役の寿美菜子という人は、現時点では声優として有名のようだが(自分の知る範囲では「けいおん!」の琴吹紬役)、この映画を撮影したのは2007年とのことで、その時点ではまだ15~16歳だったようである。劇中ずっと不穏な表情だったこの人が終盤では普通に可愛らしく見えたのは悪くなかった。またその友人役の大島正華という人も、年齢(14歳くらい?)の割に面構えに迫力がある。そのほか、近年は怖い役ばかりやっている感じの長宗我部陽子さんが、この映画では普通に(というか非常に)色気と可愛気のある女性役なのは結構なことだった。それでも少し怖い感じだが。
[DVD(邦画)] 5点(2016-07-09 09:30:25)
517.  賃走談 2号車<OV> 《ネタバレ》 
「賃走談 1号車」の続きであり、全8話のオムニバスを4話ずつ「1」「2」に分けたうちの「2」である。「1」と同じく古賀奏一郎と吉川久岳という人物が脚本・監督・編集をそれぞれ2話ずつ担当している。[ ]は点数。  【帰ってきた女】 視聴環境によるかも知れないが画面が暗すぎる(女優の顔がよく見えないではないか)。また男の口調が気に入らない(3人とも)。話の基本構造としては単純だが、しかし登場人物の立場によって出来事の性質が変わるのは面白い。[4] 【チイちゃん】 雨の日の不吉感がある。人物を暗く見せたり明るく見せたりして混乱させるのが面白い。印象が二転三転する。[4] 【くりかえす最後の記憶】 題名だけでどういう話かわかってしまい、また男の行動で何が起こったのか容易に想像できる。そもそも男の動機が不明なのは困ったことだが、最大の問題点はタクシーがほとんど関係ないことである。なお管理人のジョークはオヤジじみているが、年長者が若年者に気配りしている感じが出ており、彼我の年齢差を超えてかろうじて同調してもらえそうなあたりを狙っているのがいい。[4] 【怪談タクシー】 悪くない題名である。冷静な運転手と感情豊かな客の対比は面白い。愛すべき女性像に好感が持たれるが、最後は可哀想で切なくなる。2006年でさえなく2014年だったことの衝撃が印象的だった。ただ最後の駄目押しは聞かなくてもよかった。別の締め方がなかったものか。[7]  前作と同じくスターダストプロモーションの所属タレントが多く出演しているが、今回は女優の方に少し重心が移った感じで、タクシー運転手が主人公とも限らなくなっている。基本的に若手女優はスターダストの所属だが、「チイちゃん」だけは女優といっても子役(2005年生まれ)である。 前作と同じ企画の一部であるから水準としては変わりなく、怖いものではないが映像作品としての印象は悪くない。最底辺の安物ホラー群の中にも、結構見られるものがあるのだなとこれで少し見直した。特に「怪談タクシー」は個人的に好きな女優が出ていることもあって印象深いエピソードである。
[DVD(邦画)] 5点(2016-07-03 18:52:49)
518.  不良少女 魔子 《ネタバレ》 
世代限定の映画のような気もするが、とりあえず思ったことを書かせていただく。 まず題名の「少女」が意味不明である。主人公をはじめとしてみな外見的にはオトナに見えるわけだが、あえて「少女」なのは精神的に未成熟だということか。主人公に関していえば、自由に生きたいのに邪魔ばかり多い、と当人は思っていたかも知れないが、現実にはどこまでも優しい兄の庇護があってこそのやりたい放題だったわけである。誰かに守られていながら反抗するという甘えの構造は、劇中では兄だが親に置き換えても同じだろう。これではただの駄々っ子である。 またこの映画では、主人公が盾突く相手が国家権力などではなく市井の暴力組織であり、国家が諸悪の根源だといった責任転嫁ができない設定になっている。劇中では社会の表も裏も関係なく、どんな世界にもその場その場の仁義がある、という極めて当たり前のことを若年者に突きつけていたように見えたが、それを主人公は全く認識できていなかったようで、そういう点でも人になり切れない少女ということだろう。 もしかすると当時の感覚としては、単純に若者の反抗や女性の暴力を小気味いいものとして捉えるとか、あるいは劇中人物の閉塞感と苛立ちを自分のこととして共感するような見方が普通だったのかも知れないが、世代も年代も違う自分としてはそれをそのまま肯定することはできない。普通に見る限り、どこまでも好き勝手に生きようとして周囲を巻き込んで破滅してしまい、結果的に“魔”の字にふさわしい役回りになった少女の悲しい愚かさを描いた映画に思われる。 主人公にしても、一途に妹を思う兄の苦しい立場がわからなかったはずはないのであって、劇中で自分が唯一共感できるのはこの兄だった。  なお主演の夏純子さんは当時日活の専属で、これ以前からスケ番映画の主役をこなしてきていたが、この映画の後に日活がロマンポルノ路線に転換したため松竹に移籍したとのことである。その後もしばらく各種映画に出演していたが(脇役か端役)、個人的にはこの映画の直後の特撮TV番組「シルバー仮面」(1971)でのレギュラー出演が印象深い。日活でスケ番をやっていた頃は野性的と見られていたようだが、自分としては唇を引き締めてきりっとした顔に見える方が好きだ(惚れている)。
[DVD(邦画)] 5点(2016-06-28 22:13:59)
519.  TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ 《ネタバレ》 
公開初日の夜に見たが、特に待ちかねていたというわけでもなく、どうせそのうち見るなら余裕がある時に見ておくという程度のことである。 見た結果としては、やっていること自体は否定しないが全面的には乗れないという微妙な状態だった。展開が早いため咀嚼している暇がなく、直前に何があったかも忘れてしまう。ギャグ連発のため笑える観客は笑えるだろうが、自分として笑ったのは3箇所だけだった(チョーキング、フレームアウト、寒いので○○○と叫ぶ)。他の観客が声を出して笑ったのは犬の発情場面だったようで、ほかにも下劣なネタが多かったが、最近見た映画との比較では「みんな!エスパーだよ!」よりは穏健である。 ウラシマ効果のようなものが短時間で拡大していくのは本来切ない展開のはずだが、主人公がバカのため話が全く重くならない。ストーリー全体として何かを語るというよりも、個々の場面でちょっとした人生訓を軽く織り交ぜながら進める形になっている。正直少し長いと思ったが、終盤のキス(鳥と老婆)のしみじみ感からエンディングのライブに続く盛り上げなどはそれなりの感じだった。  登場人物としては、主人公はバカだがヒロインの人物像は好印象である。森川葵段階ではまだ人間性を量りかねる状態だったが、宮沢りえ段階に至ってこういう人だったのかと落ち着くところがある。赤鬼娘も強面ながらかわいいところがあって結構だった。 また出演者が豪華にもかかわらず誰がどこに出ているかわからないのは、神木隆之介も出ていた「妖怪大戦争」のようでもある。個人的にはほとんど誰にも気づかないで終わったが、「大木家のたのしい旅行」で地獄の執事だった荒川良々が天国にいたのは微妙なジョークにも見えた。 なおこの映画で改めて気づかされたのは、畜生道に落ちると次の生存期間が極めて短く終わる恐れがあるということだった(劇中ではほとんど瞬殺)。とりあえず人生を大事にしましょうということになるはずだが、地獄の方が居心地がいいというのでは教訓にも何もなっていない。
[映画館(邦画)] 5点(2016-06-26 13:40:38)(良:1票)
520.  カルト 《ネタバレ》 
この監督のフェイクドキュメンタリー路線の一作かも知れないが、今回は本人役の芸能人を主要人物として出したことで、初めから作り物と割り切って見られるものになっている。途中からフィクションの印象がさらに強くなり、後半になって登場する霊能者は明らかに役者が演じていた感じだが、今度は逆に最初からいた芸能人が現実との接点を残す形になってフェイクドキュメンタリー風味が持続する。序盤では見知った芸能人のユーモラスな会話が面白いが、後半はあからさまにマンガっぽい人格を役者が白々しく演じるのが可笑しいなど、笑いの種類でも前後半に違いがあったように見える。 またストーリーとしては、最初から最後まで一応筋が通っているようでいて、途中で微妙な齟齬が生じていた気がしなくもない。最後が唐突に打ち切りになるだけでなく、途中段階で基本設定を変えながら延長していく(話も次第に大きくなっていく)といった点でも他ジャンルのパロディになっていたかも知れない。 他の同種映画と比較すると、例えば「オカルト」が純正フェイクドキュメンタリーホラー、「シロメ」がフェイクドキュメンタリーホラー風アイドル映画だったとすれば、これはフェイクドキュメンタリー風のホラーコメディ(マンガの実写化風)というところか。複合的でなかなか整理が難しいが、さまざまなエンタメ趣向を盛り込んだサービス満載の映画と思えばいいかも知れない。 ただし最後はちょっと何とかしてくれという感じで、ここまでに一応ホラー映画の体裁ができているのだから、これはさすがに少しおふざけが過ぎる印象があった。そういうものにどこまで乗れるかという問題もあって、個人的充足感としては「シロメ」に負けているという結果だった。
[DVD(邦画)] 5点(2016-06-23 19:44:59)
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