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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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41.  二十四時間の情事 《ネタバレ》 
「ヒロシマ・モナムール(広島、我が愛)」。  「君は何も見ていない」という言葉は、アラン・レネ自身の自問自答がこの映画に刻まれているのではないだろうか。 「夜と霧」がそうであったように、人が殺された“跡”とそれを記録したフィルムを通して見たにすぎない。直接あの惨状を見てはいないのだ、と。 レネが冒頭で原爆の惨状を伝えるフィルムとして関川秀雄の「ひろしま」を選らんだのも、あの日を経験した・あの日に家族や友人を失った者が大勢参加したフィルムだったからだろうか。岡田英次も「ひろしま」に出ていたのだから。  原爆資料館、被爆者を治療する映像、それを再現した映画が重なり、2人の男女が情事にふけながら広島の話をするのである。いや、話すのは広島にとって外部の人間であるエマニュエル・リヴァ。岡田英次はそれを黙って聞くように彼女の体を抱き続ける。人の死が刻まれた映像と共に二人は新しい生命が生まれる勢いで性交を続けるのである。 「夜と霧」が「死」だけの描かれたドキュメンタリーとして終わったならば、この映画は「死」の次にある「生」を交えながら描こうとしたのだろうか。 さすがにあれだけズッコンバッコンされると平手打ちどころじゃないけど。岡田英次もちょっと殴りたくなったわ。  2人の男女は心の中に戦争の傷跡、見えない傷が刻まれている。家族を失った男、最愛の恋人を失った女。2人は共通の痛みで接近するし、また完全な理解者にはなれないだろうという心の距離も置いている。自分の故郷にいる岡田英次は尚更だ。それは英次にとってもリヴァの過去を知らないという問題が出てくる。  リヴァもまた自分の愛した軍人と、軍人として生きていた英次の境遇を重ねているだけ。同情?興味本位?疑問が浮かぶ関係の二人は心の底から愛し合っていない。冒頭で二人の肌を覆う灰?のような粉が消えていくのは表面上の事に過ぎない。  広島のデモ行進で呼び起される彼女の記憶・「手」に刻まれた忘れることのできない記憶。冒頭シーンからして手、手、手が映される。 広島が変わりゆく街並みの中で「あの日の惨劇を絶対に忘れるものか」といたるところで叫ぶように(デモのプラカード、写真や絵まで混ざる遺影の生々しさ、被爆した人間のようなメイクを施して祭りを見物する人々、メイクで背中の火傷を再現する描写など)、女も英次に恋人の面影を狂ったように求め始める。  リヴァが悩んだ次は英次が悩む。英次はリヴァの記憶を直接見ることは出来ないのだから。リヴァが思い浮かべる故郷ヌヴェールの姿も英次は恐らく知らない。この瞬間に2人の男女の間に決定的な心の壁が生まれる。 英次がストーカーまがいの行為までして彼女を追うのも、それが悔しくてしょうがなかったのだろうか。自分も彼女も何も知る事が出来ないという点じゃ一緒だ、と。  その見えない壁は、ラストでそれぞれの故郷の名で異性を呼び合う瞬間まで存在していたのではないだろうか。何て事を思ってしまう。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-19 13:06:26)
42.  愛のむきだし 《ネタバレ》 
園子温による最高傑作だと言われる作品。または最も平和でエロもほとんどない「気球クラブ、その後」、あるいわヤりたい放題やった「冷たい熱帯魚」か。 性欲をむきだしにしたという意味では「冷たい熱帯魚」は風呂場で乳繰り合いとかぶっ飛ばしていた。 それに比べると、この映画がむきだす“愛”とは言葉を叫んで叫んで叫びまくるというもの。 屹立する男の勲章も、女の蕾も布で徹底的に隠されている。乳首すら映らない。パンツ見ただけで勃起する人間なんてこの時代、滅多にいないだろう。主人公だって中々ビルドアップしなかった事だし。  前半1時間46分は3人の男女が出会うまで、後半2時間11分は出会った3人が破滅していく様を描いていく。  まず「ユウ」の章。 ユウの青春は祈る毎日だった。マリア像の前で祈る母、食前の、死にゆく者への祈り。 マリア像に見る母の面影、父親を狂わせる女への嫌悪。10分を過ぎた辺りからこの映画は、ユウたちは狂いはじめる。父親は愛する女性を失う恐怖から逃れるために仕事に打ち込む。打ち込みすぎて少年は罪探しから罪作りな子供になっていく。父親に愛して欲しかったから。 同級生の消しゴムを引きちぎり、ボールをあらぬ方向に蹴飛ばし、蟻を踏み潰し、不良たちと自販機をブッ倒して破壊したり。いつしか父親の愛は遠のき、不良たちが本物の友達になっていた。 神父の洗礼、不良たちの洗礼。戦闘訓練、喧嘩。父を狂わせたあの女と同じような言葉を吐くようになってしまう。  ここまでの39分は大いに“真面目”だった。だがこれ以降はシリアスな笑いに嬲られるような展開が待ち受ける。  「すべて股間につまっている」という無駄に洗練された無駄のない無駄な動き。すげえ(馬鹿だ)!  これでハードな殺し屋家業を歩むとか、そういうのなら解るんだけどさ。運命の出会いとか、今まで犯してきた大罪を暴かれて絶望に暮れるシーンとかさ。 でも全部コレ盗撮だからっ!どうあがいてもっ!どんな音楽流そうと!どうしてこうなった。 「四十二番街」を思わせる脚のアーチ!この映画は最高に頭がおかしいぞ(褒め言葉)。  奇跡へのカウントダウン、集まる男たちと女たち、運命の“罰ゲーム”! 女番長(池玲子)とサソリ(梶芽衣子)が合体した黒衣の存在、それと対照的な白いカラーで固めた女たち。 戦いに生きるサソリという仮面、エロに生きるユウという真実。奴らが彼女に白い布を被せたのは意味図的か無意識か。観客のたまった鬱憤を爆発させるような殴り合い、ステゴロ、長い得物でブチのめす。段ボールの山はヤクザのダメージを吸収するため。  やっと「コイケ」の章が語られる。ここから親の愛に飢えた子どもたちの話になってくる。どいつもこいつもろくでもない親ばかり。 家庭内暴力、殺すことよりも恐ろしい“へし折り”。鳥公の仇だ!こんなん見て勃つどころかますます萎縮するわっ。こんな女のアレを見せられてもだから何だよと。そもそもあれだけ見せられたら誰だって飽きるわ。  続く「ヨーコ」の章。 彼女が見る飛び交う弾丸は、ユウのハートを撃ち抜いてしまったようだ。トラックには中指で返事、ノートには男たちへの呪詛、路上の男たちには八つ当たり。 恋は盲目・難聴のようでサソリの“声”も聞き分けられないほどらしい。 ヨーコが慕う女性の正体にもビックリ。愛の暴走が車を海の中にブチ落とす。この暴走はユウにも伝染してしまったらしい。  残る「サソリ」の章はでっちあげられた偶像をめぐって男女たちの争いが繰り広げられる。 偽りの家族、偽りのヒーロー、本音をむきだせない葛藤。そこに割り込む悪魔、NTR、倒される十字架、崩壊する人生。悲しい音楽でごまかそうとしてもダメだ。俺の腹筋は逝っちまった。  すべてを失った者を包み込む不良たちの優しさ、洗脳を解くための根競べ、拉致、精神的な“去勢”。監視が緩くなるまで耐えて耐えて耐えまくり本音をビルの中でぶちまけるクライマックス!すべてはもう一度家族に愛されたかったから。 像が砕かれる瞬間に膨張する狂気、叫び叫び叫ぶ。直接斬ったのは数人だけだが、精神的にブッた斬られた人間はかなりいるだろう・・・という解釈が出来た方には最高のエンターテインメントなんだと思う。でもこれだけ時間かけてあれだけしか殺らないなんて物足りないにもほどがあるわ。別の映画みたいに無双できないというのがユウという人間の限界だったのだろう。何百人も盗撮するのとワケが違うからね。  ところでコイツは何で死刑にならねえんだ?精神障害で精神病院送り程度になるわけ?おお恐ろしい世の中だ。 胸元にしまわれるナイフ、叫び、鏡に映る屹立する男の勲章、走り去る愛のごりおし野郎、手・・・。  何 だ コ レ
[DVD(邦画)] 8点(2015-06-18 12:11:14)
43.  シムソンズ 《ネタバレ》 
俺が「キサラギ」を見直し再評価するキッカケになった映画。  70年代風のスポーツ映画・・・いやTVドラマの感触。 人間の善良さを信じぬく物語に、我々は何処か懐かしさを覚えるのだ。どの世代にも関係なく。 毎回凝ったOPの佐藤裕市、簡単な自己紹介。  撮影は「キサラギ」でも組んだ川村明弘。  未来への不安、悲惨な人生想像、それを中断するように飛んでくるカーリングのブラシ。  劇中で幾度も画面を横切る自転車、軽トラ。少女たちは車をコントロールするようにカーリングの石を滑らせ、走らせていく。 「キサラギ」同様にアイドル(偶像)・憧れに誘われる主人公。「キサラギ」と違い最初からハッキリと映されるアイドル。 「キサラギ」に振り回される男たち、「シムソンズ」のために団結する女たち。  他に何も無い、何もないからみんなカーリングに熱狂し、何もないから勉強して現状から“抜け出そう”とする。  主人公も先輩への“憧れ”しかなかったから見栄を張ってしまう。  そんな何もないからこそ一つの事を徹底的に極める人々、それを追うメディア。  ブラシで擦るのは牛舎を綺麗にするため、石を走らせるため、己の未来を拓くため。  いつの間にか揃っていく面々、分かりやすいカーリング講座、「simsons」のゼッケンで自分を飾る。 シンプソンズ(The Simpsons)。とシムソンズ(simsons)。彼女たちはオリジナルの「シムソンズ」になれるのかなれないのか。  鏡に映るコーチ、憧れが遠のいていく現実、石に振り回される面々。  手に書いて覚える“勉強”。でも机と向き合い自分を偽る勉強とはワケが違う。  ワンマン少女、農家の少女、ずうずうしい少女、挨拶は「最低」の勉学少女。 それぞれが石で打ち砕きたい現実を抱え、嘘をつき続ける。  対照的に現金なコーチは自分に嘘をつけない。ホタテ漁に打ち込むのは幼い子供のため、誇れる“恥”をかいたのも仲間の名誉のために。 正直者と嘘つき少女たちの邂逅。  幾度も響くゼロ(0点)の言葉、丸い形。  ブラシを奪うのは人質にするため、たまねぎを切るのは女を泣かすため、声を出すのは自分を鼓舞するため、資金を集めるため、警察の手から逃げるため。 少女たちが走れば石も氷の上を走る走る走る。  ド素人もプロもイチからミッチリ訓練、木に刻まれる“目標”。  氷職人の超カッコイイ丸投げ、トイレのドアで練習、授業中も脚を動かさずにはいられない。 一応挨拶と握手はするようになる司令塔さん。彼女が“一線を越えた”のは自分のためか「1点」を目指す他人のためか。 やっと不平不満が爆発する。 「ずうずうしい!」という言葉のブーメランの投げ合い。  悪役に徹するホワイトエンジェルズ。名前と正反対の漆黒のユニフォーム。 表情が活き活きしたシムソンズに対し、エンジェルズの面々の表情の暗さは何なのだろう。 監督は何故、藤井美菜のような女性をエンジェルズ側にもキャスティングしなかったのだろう。エンジェルズがミキに嫉妬しているような側面も感じる。 ミキの過去がコーチの出した写真と記事だけで語られるだけ。ミキもあまり自分の過去は語らなかった。  ミキは言葉ではあまり語らない。 放り投げられたコインに思わず走り出すような、行動で示す女性だった。海の中に躊躇無く脚を入れるのだから。やはり他人のために頑張ってしまうタイプの女の子だった。  勝つ前の1点・勝つための1点。笑顔でエールを送る。  身を引き締める衣装と刺繍、大事なものを譲り合う女たち。初雪、ミキの選択、緊張をほぐす笑顔。
[DVD(邦画)] 9点(2015-06-11 23:44:52)
44.  南極料理人 《ネタバレ》 
猛吹雪の雪原、建物らしき黒い影。その中を駆け抜ける3人の男たち、倒れて揉み合う。逃げ場のない氷原、生きるために仲間を励ます。 「遊星からの物体X」みたいなサバイバルアクションでも始まるのかな?と思ったらぬくぬくとした部屋で麻雀始めちゃうんだもんなー。 撮影は「トウキョウソナタ」といった黒沢清作品でも腕を振るう芦澤明子。冒頭シーンの凍りつく画面、その後の居心地が良い画面が素晴らしい。  麻雀、漫画、ビデオ、音楽、ボウリングでストライク、カクテルとバー、卓球。極寒の密室、その極限状態に耐えるための娯楽、美味い飯!  命懸けで仕事に挑む人間たちが、飯を美味そうに食っているシーンの多さ。なんて腹の減る映画なんだ。心は満腹になるけどね。 飯を食いながら登場人物の紹介、好き嫌い、トマトに悪戦苦闘、丹精込めた料理に調味料をかけられすぎるのは料理人のプライドが見過ごせない。  空が晴れると白い建物。太陽が遮られた時はあれほど黒く見えたのに。  朝、ドアをめぐるやり取り、ラジオ体操と“目の保養”、落花生の箸置き、仕事内容の確認。  1年だけの付き合い、1年も務めなければならない厳しさ。  意気揚々と仕事にかかるプロフェッショナルたち、掲げられる旗、旗、旗。風の強さをストレートに教えてくれるし、時には誕生日といっためでたい日を祝う。   ボーリング調査といった仕事。 天然の冷蔵庫から材料を運び入れ、一品一品真剣な眼差しで作っていく。  サングラスをして何かを待つ男たち。「ワルキューレ騎行」と共に自転車に乗ってやってくる飯時。 飯めがけて全力で駆け、転ぶ。  読書中の主任に弁当の配達、積み重ねられ始める不平不満。基地のアチコチに張られた異性のポスター、受話器の向うの甘い声、家族の写真や宝物。すべてはホームシックの叫びを抑えるために。  雪を掘って水作り。他の面々も生きるために食飲み食いするものを作る。8人にとって無限に等しい原料。伊勢海老につられてくる面々、エビフライコール。  回想、揺れる船、帰りを待つ家族、胃がもたれる嫁の手料理は母の味。文句を言いながら食う食卓の団欒。 願った人間に訪れる事故、願わなかった人間に降りかかる仕事。 「家族と相談させて下さい」 「おめでとう」 「家族と相談・・・」 「行ってらっしゃいお元気で」 ああ殴りたいあの笑顔。  節分のお面、裸の鬼を締め出す・・・て殺す気かwww 劇中の面々は度々裸になって氷点下を満喫する。記念撮影もトライアスロンの特訓もパンツ一丁。 時間の限られた電話、砂時計、天然の氷で乾杯。  夜食を目の当たりにして「もう勝手にしろよ・・・」とドアを閉じる。人が何のために丹精込めて飯を作っているんだよと。 でも食う本人たちもそれはそれ、これはこれ。  凍傷への対応で怒る男たち。真剣な者と嫌々でやっている者たちの対立。  でっかい肉を外で火をつけて肉を振り回すシーンの面白いさこと。 「楽しいwww」  巻き込まれる主任、誕生日ケーキと肉のステーキでパーティー、料理人を支える娘の歯。  いちごの原液をかける天然のかき氷、原液はそのまま野球のベースラインに。  太陽を拝めない日々の鬱屈とした様子。 誰のための正装か解らない祭、凍傷が治った手と伸びた髪が物語る日数。  料理人もお母さん状態。 「あ~ぐ~ら」  ラーメン中毒者とバター中毒者が出てくる状況。重症です。  さあクソ主任との対決だ!後ろから迫る怒り、料理人も有無を言わさず蹴る、フラれたショックで自殺行為、医者「はい凍傷ね」  そして娘の分身に等しかった歯ああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!! 精神的にグロッキー。  胃にもたれる母の味が料理人に涙と活力を与える。仕事仲間たちが、家族たちが食べさせてくれていた愛情。お母さんと娘の計らい。  本土との通信。 「可愛い動物は~?」 こんなに可愛いおっちゃんたちがいっぱいいるじゃありませんか。おっさんは非売品。   “冠水”作り、ラーメン>>>>>>>>>>>>>>>>>越えられない壁>>>>>>>>>>>>>>>>>>オーロラ。  いつもの朝食風景が、食卓を囲む人々が消えていく瞬間の何ともいえない寂しさ。  再会、そして出会う人々。“声”だけで出会った恋人たち。  成長した子供たち、氷原と灼熱のアスファルトを駆け抜ける男の生き様。
[DVD(邦画)] 9点(2015-06-11 23:36:31)(良:1票)
45.  くもとちゅうりっぷ 《ネタバレ》 
昆虫たち、てんとう虫の少女、蜘蛛の紳士。蜘蛛の巣のハンモック、美しい花々。交互に歌い合う二人。 蜘蛛は優しい口調で“得物”を誘惑する。  蜘蛛のナンパ、てんとう虫の女の子は羽で飛ばずに草から草に飛んでいく。怖がって羽の下に隠れてしまう。 蜘蛛が糸でするする降りたり昇ったりするアニメーションの軽やかさ。  ちゅうりっぷの介入、花の中の顔、蜘蛛の糸を大量に出してがんじがらめに巻きつける。 蜘蛛は糸をマフラーのように、鈴のように、タオルのように巧に操る。  空の上、雲の上から風を飛ばす者たち、雨風の猛烈さ・空爆のような雨。  子供のようなミノムシ?冒頭のミツバチ?がてんとう虫の女の子たちを助けるキッカケに。  傘にくるまって飛ばされ、草木はそれを跳ね飛ばすように運ぶ。
[DVD(邦画)] 8点(2015-06-10 18:28:15)
46.  なまくら刀 《ネタバレ》 
フィルムセンターで鑑賞。  別名「塙凹内名刀之巻(はなわへこないめいとうのまき)」。 舞台は江戸時代、買ったばかりの刀で試し切りをしようと座頭に後ろから声をかける。それを馬が脚蹴を食らわすように侍を蹴り飛ばす。 飛び散る☆といった表現。表情の変化も豊かだ。  この後も侍は散々な目に遭い、肝心の刀も実は・・・という見事なオチ。  90年以上前の日本で、既にこれほど豊かな表現に満ちたアニメが生まれていた事に感動した。
[映画館(邦画)] 8点(2015-06-10 18:27:07)
47.  歩いても 歩いても 《ネタバレ》 
「誰も知らない」と比べると、その穏やかすぎる雰囲気に驚く。YOUも毒が抜けて浄化されてしまった感じ。毒のない人物ばかりでちょっと退屈だった。 「花よりもなほ」も最後の“笑顔”を見るまで我慢するような映画だったが、この映画もあの海辺のシーンを見るまで我慢するような感じ。 夏場に田舎の祖父のところまで行く過程、過ごす雰囲気とかは好きなんだけどさ。 小津安二郎の映画にも通じる雰囲気。その雰囲気に共感を覚える者は多いのだろうが、俺はあまり共感できなかった。 のぼったり、おりたり、とにかくゆっくりと歩く映画だ。電車、バス、階段。  荷物を持ってもらう事よりも、父親を名前で呼ぶことをお願いする母。 でも「どっちか持とうよー(怒)」  歯磨きの場面は「誰も知らない」といい、是枝裕和の作品で幾度も挿入されてきた。 野菜を切る音、てんぷら、風呂場の割れたタイル。  子供たちの会話、夏休み、食事。割ったスイカは見えない。じいさんを動かすのは“音”。 写真に作文。ぼやける絵、遠目の写真。当の本人とって、自分の思い出はそれほどぼやけてしまっているという事なのだろうか。  窓ガラスに映る顔、遺影、ドアから出て遊ぶ子供たち、孤独でいたい爺さん、祖母の声をさえぎる子供の声、手で孫を誘う祖父、祖父を睨む父親(息子)。 家族の甘さに対する苛立ち、本業なのに相手にしてもらえなかった苛立ち。取り残されていく苛立ちと哀しさ。 それに対し妻は「ブルーライトヨコハマ」を懐かしみ、蝶を追って呑気ささえ感じさせる。   成長した息子と卒塔婆の数。大体それだけで事情は察する。ナレーションはいらない。 寂しいエンディング、そして天国でも暗示するかのような階段。 バスが去り、静かに坂を上り始める夫婦。  初めてハッキリ映る“絵”、意識する幼い頃の記憶の断片。  蝶、船、影、終盤やっと出てくる海・・・。
[DVD(邦画)] 8点(2015-06-08 20:17:51)
48.  誰も知らない(2004) 《ネタバレ》 
人によっては「歩いても 歩いても」や「空気人形」の是枝裕和を選ぶ人も多いかと思う。だが、俺はこの映画の異様さにこそ惹かれる。  餓鬼が嫌いって奴は、テメエが小さい餓鬼だった頃も忘れちまう。この映画は、それをすっかり忘れた大人たちに振り回される子供たちの生き残りをかけた姿を追っていく。  冒頭からこの映画の異様さを目の当たりにする。 電車、夜、車内の椅子に座る虚ろな眼の少年。ボロボロの爪と服、夜の町。  そこからアパートを仲良く歩いてくる“影”に切り替わり、少年の過程を描き始める。 家族はバラバラのルートで来る。荷物を人のように撫で、カバンの鍵を外すと中から子供が笑顔で出てくるのである。 せまい鞄に押し込められ、まるでペットのように。 階段を走る姿の“元気”さ。この頃は荷物を一緒に運ぶほど仲も悪くなかった、髪をとかす親娘。そういやYOUってマジで歌手だったね。  ただ、子供とはいえ女の一人旅。再会するまでずっと一人で来た。娘の、家族の疲れた表情を少年は見る。  アップの食事場面、子供一人一人に語りかけるような、別れでも言うような視線。 ああ、この女を子供たちを見捨てる。そういう嫌な予感が、緊張が最後まで張り詰める。孕ませた張本人の父親はどっかに行っちまい、母親は一人で子供を育ててきた。この女のストレスも限界だ。 子供のために働いてきた仕事は、唯一子供の面倒を見なくてもいい捌け口・快楽にもなっていたのだろう。  母がいなくても逞しく子供たちは家事をこなしていく。公園での洗濯、風呂、家事手伝い。  それでも中々整理されない箱に入れっぱなしの荷物など、子供たちは限界を目の当たりにして徐々に押しつぶされていく。 バイトやパチンコをしようにも年齢という壁が行く手を阻む。 窓の外の家族へのあこがれ、寂しさ。雨、帰らぬ者の存在、子供が見てしまったタクシー。  寂しさをまぎらわすように一人でキャッチボール、少年も他の兄妹も学校へ行きたい他の人と遊びたい、親に自分を見て欲しい。  生活力を身に着けていく子供たちのサバイバル、周りの人間はその逞しさを“嘲笑う”。直面しないと誰も解ってくれない。誰も知らないのだから。 警察に話してバラバラになる事への恐れ、引っ越しの時からバラバラできてるのだから。バラバラになって生きる可能性よりも、一緒に暮らして死んだ方がマシと思っていたのかも知れない。  大人たちは、犯罪を犯した子供を初めて“見る”。今まで無関心だったのに、監視カメラと子供の顔を覚えていた大人だけは“見ていた”。  時折聞こえるアニメの音声(「地球防衛企業ダイ・ガード」?詳細求む)、ゲーム(「ドラゴンボール」?)、少年たちが立ち読みする雑誌は何なのだろうか(「週刊少年ジャンプ」?)  10円の例に札束を無言で渡す優しさ。  迷う手、子供にすら打ち明けられない孤独、目と目で解り合う孤独な人々、請求書は絵を書く紙になっていく。見て見ぬフリ。  普通の子供たちは変わっていくが、彼等は変われずにいる。赤い血のような口紅。  冷麦、大量のカップ麺、おじやと同じような食事の繰り返し。部屋を綺麗にする気力もない。   それでも食卓で夢を語り合う子供たちの眼にはわずかな光が残る。 階段を競争する元気、公園の遊具(グローブジャングル)を廻して遊ぶ元気、フラフラでも野球に参加してストレス発散。  冒頭で親と一緒に歩いた大きな影は、真実を知って独り寂しくトボトボ歩く小さな影になっていく。 飢え、とうとう電気も水道も来なくなる、TVの光は消えてラジオの音に、虚しい“お年玉”。  落ちる植木、カップ麺で菜園、流星のように連なるモノレールの光。  揺れる椅子の恐怖、初めて介入した第三者。興味本位か同情か。少年は彼女の姿に自分たちを捨てた母親の面影を思い出す。 軽蔑した筈の者と、優しくしてくれた者が重なる瞬間の戦慄。少年は彼女に母親と“同じ”になって欲しくなかった。  “ちゃん”と“へ”の違い、髪も伸び声も変わる、歩きながらゲームの真似。  少しずつ助けてくれる大人、とうとう大家も登場(でも登場するだけ)、“成長”した事に気付き震える泥まみれの手、泥だらけの服、涙。  ラストは彼等の眼に再び光が宿り、希望に向かって歩むような期待を抱かせる。だがモデルとなった実際の事件を知る者には、あの後姿に絶望を感じるのである。  どうでも良い話、ダイハツのCMで柳楽優弥とYOUが再共演したやつを思い出した。「誰も知らない」の事を思い出しちゃってかなり複雑だった(二人とも良い笑顔だこと)。
[DVD(邦画)] 9点(2015-06-08 19:32:56)(良:2票)
49.  転々 《ネタバレ》 
三木聡は「亀は意外と速く泳ぐ」も面白かったが、この犯罪の匂いがたちこめる、頭空っぽで楽しめる愉快なロードムービー&コメディも好きだ。  まずファースト・シーンからして面白い。 後ろから来た黒ずくめの男が、いきなり部屋の中の男の口に自分の靴下を突っ込む!その口に突っ込んだものを履くなwwwww  借金返済に与えられた3日という猶予、喋らない岸辺一徳、ジャギ→ジャイアン。 その辺をブラブラと歩いて談笑、ちょっとした事件に巻き込まれる、何時の間にか仲良くなる楽しさ、面白さ。  ところどころに笑いが転がっていて楽しい。  募金に対して「何で?」と思わず聞いてしまう。自分の身がヤバいというのにどうして他人に金をやらねばならんのか。 解っていても公の場で中々口にできない。でも思わず心の声が出てしまう。  靴ひも→鍵→鞄の中身は大金だと思った?残念俺だよっ!! 「人を尾行るのは面白いよ(ゲス顔)」 食虫植物に捕まったも同然。ワケあり借金取り、文字通り旅は道連れ(あの世行き)。  恋人たちとしょっ引かれるホームレスの対比、串をヘバりつける、落ちたオレンジをちゃっかり猫ババ、被写体を追うカメラ、ラベルで即興。 「歩道を自転車で通ってんじゃねえっ!!」  必殺ベル外し&車のオッサンも酷い二連コンボ。BBA涙目  崖の匂いって何だろうね。ダイナミックセクハラ。  福原「解せぬ」  性分(タチ)、サッカー、神社 理不尽キック、女房の自慢話、理不尽コイントス、バカ息子とラーメン屋、みんな家庭がうまくいっていない奴ばかり。  こんなとこでごゆっくりできるかっー!  OL軍団、思い出なんて大嫌い、畳屋との死闘、「コスプレに年齢なし」、つげ義春「訴訟も辞さない」、残念コスプレは吉高由理子とチェンジで(吉高由理子がコスプレで登場すると思ったのに残念)。  ワニがいたら食われたい、ヤバいと解って応戦、月光変態仮面、美術家気取りの女、絵上手いね・でもちょっと待て、黒人のオッチャン涙目、ゲリラライブを演り慣れたギタリスト、警官「チッ」、何故か真似るオダギリ。  占いとバッタリ、ポスト「何だおまえは」、とんかつ茶漬け喰ってみたい、武闘派時計屋との死闘、立てつけとの闘い、トラックに飛び乗る謎のスリル、ハンガーで首を回す、うがいを飲むな。  ガラスに映るシルエット、女もパンツ一丁でキャーキャー走る(吉高由理子の尻!)、すき焼きとマヨネーズ、飯を食いたくなる家族団欒の空間。  ジェットコースターと記憶の中の真実、並木道を2人で歩いていく。  「私は若返りたくないんですよー」のやり取り。  優しい目で語りかける「じゃあな」! この男は本当に“やった”のかは最後まで明かされない。一体何がしたかったのだろう。そこが面白いし好きだ。
[DVD(邦画)] 9点(2015-06-08 19:27:56)(良:2票)
50.  ゆれる 《ネタバレ》 
ブラックコメディ「蛇イチゴ」のにおける素晴らしい馬鹿馬鹿しさと比べると、この映画は狙い済ましたかのように「ゆれる」映画である。 カメラそのものまで大袈裟に「ゆれる」。複数の人間の視点で観客の心も「ゆれる」。何が真実で何が嘘なのか。あるいわ・・・。 超極端に言えば、西川美和は観客を「騙まし討ち」にする事を予告している。その騙まし討ちを楽しめるか楽しめないか。 俺はその騙まし討ちを楽しんでしまった者として、この映画の感想を書いていきたいと思う。  細部のこだわり(照明や心理描写など)に思わず眼がいってしまう。 台所の流しに注がれる水、酒の一滴、ビールを注ぐ、ペットボトルの水、ホース、シャワーの、吊り橋の下の激流の“音”。 猛は女と接吻をして家を出て行くが、彼女もまた猛のフレームに映される“仕事仲間”の一人に過ぎない。  年代物の車を走らせて寄るガソリンスタンド。そこで出会った女と意味あり気に視線を交え、サイドミラーに写される女の表情を確認して男は去っていく。そこで観客は二人の関係を何となく察する。  葬式に普段どおりの格好で現れ、父親は詰り、猛もまた父親を詰る。それを止める兄の稔。稔はいつも耐えて耐えて耐えている。家族のために。  猛と女は再会してすぐに性交できるほどの“仲”。 ベッドで弟が情事を楽しむ間、兄は黙々とトラックにオイルを注ぐ。まるで弟あるいわ女に嫉妬するようにその場面を挿入してくる。トラックが微妙に上下している様子も気になる。  男が去った後、独りで男の煙草の匂いを嗅ぐ。残されたトマトが暗示する食事を食べたか食べなかったのか、そして二人の関係。  渓谷へのピクニック気分。 バックミラーに光る男女の顔。嫉妬、本音。 普段はヘコヘコ、その鬱憤を大自然で開放する稔。あるいわフリをしているのか。   渓谷にかかる吊り橋の上。その上にいるだけでサスペンスは起きる。閉鎖的空間の息詰まる雰囲気。ボロボロの橋、激流、幼い子供のように服を掴む挙動、怒声。  目撃者は独りだけ。しかもファインダーでなく肉眼だけ。その男の視点すら直後には明かされない。ただ橋の上に残った者に対する対応だけが描かれる。真実を語るのは手の傷だけ。 写真家は見ていたにも関わらずだんまりを決め込もうとする。 静かに励ます男、流れてくる靴、庇い過ぎる者への疑念、シャワーで亡き者を思い出し、汗と涙を洗い流す。封筒の報酬は前払い。  死に追いやった疑いのある人間を憎むどころか、むしろ殺されるような人だったの?という疑問つぶやいてしまうような母親。 弁護人同士の舌戦も、二人にはどうでもいい事なのだろう。 スーツの正装は初めて自分を出すために。  過去を物語るのは8mmフィルムだけ、それを見て今まで冷淡だった者が、過剰なまでに感情を揺さぶられて泣くのである。ここまできて観客の心を揺さぶるのか! 後悔し、全力で車を走らせる者の表情の出る“本音”、それに笑顔で応える者の表情は本音だったのか、それとも・・・。最後の最後まで謎を残す。そこに俺は惹かれる。
[DVD(邦画)] 9点(2015-06-08 19:26:19)
51.  かもめ食堂 《ネタバレ》 
この映画の大らかさが好きな人は、きっとカウリスマキの大らかさも好きになってくれると思う。 ただ、カウリスマキがフィンランドの町並みから社会の底辺や人々の闇も捉えるのに対し、この映画は太陽の光を注ぐように明るい、何処か陽気な雰囲気を終始貫く。  水のイメージとカモメたちのイメージから始まり、一人一人客が増えていくように、徐々にハマッていく作品だ。  地を歩くカモメ、かもめ、かもめ、かもめ。  ガラガラのレストラン、窓を隔て、女の耳に御夫人たちの噂は入ってこない。  客も来ないので居眠り、一人で泳ぐ、日課の合気道・・・よく一ヵ月も持ってたのが不思議なほど暇そうな顔で登場してくる。  「ガッチャマン」の歌を通じて出会う様々な人々、ニャロメを着た青年。頭から歌詞がスッと出てこず、止まる指。それが奇妙な巡り合わせで再びペンが入っていく歌詞。 歌が繋げる。   渋いオッサンのコーヒー講座、ちょっと怖いかもめの絵(「ムーミン」風?)、久々に食べる故郷の味に泣く、 アラスカ、タヒチ、ハモる女二人の談笑、森で花摘み、おにぎりを食べ、それを珍しそうにじっと見つめる人々。  ターヤ(Tarja Markus)のエピソードが一番面白かった。 無言でいつも店を睨み、入ったかと思うと無言で盃をグイッ、無言で見つめ合う。お?イメージ通り酒も強いのか?と思った瞬間にバッターンと倒れる。 胸にためこんでいた思いを打ち明け、帰らぬ夫の事を想いながら藁人形に釘を打ち込む。夫のTVも視界も砂嵐状態。  人魂のように揺れる電灯、サングラスで休日を満喫。ターヤもスッキリしたのか、大分女性らしい格好に。  泥棒を合気道で打ちのめす場面。この映画で唯一と言ってもいい対人へのアクション。しかしそれでもっと大きな事件が起きそうで起きない、この緩さ。  赤ん坊のようにコーヒーメイカーを大事抱きかかえる、黄金のように輝く花。  食堂もプールも孤独ではなくなった彼女の姿を映して物語りは締めくくられる。
[DVD(邦画)] 8点(2015-06-08 19:22:52)
52.  憂国 《ネタバレ》 
仲間の決起に呼ばれず、今度はその仲間たちを敵として討たねばならない。殺すくらいなら死んだ方がマシだ・・・。 そう思い死ぬ道を選んだ男たちの話。それを仲間想いの志士と見るか、死に逃げたと見るかは観客に委ねられる。 小林正樹の「切腹」が言葉と“見せない”事によって語る映画ならば、この映画はその瞬間を徹底的に見せる事を選ぶ。ただただありのままを描く、セミドキュメンタリーのような描写。  漆黒の画面、巻物を広げる軍服の腕、「憂國」と英語のクレジット。  サイレン映画の体裁で、この映画は一切セリフを吐かない。うめき声一つあげず、ただ男が切腹をするまでの過程を描いていく。  「至誠」の掛け軸、着物姿の女、折り紙、筆、亡霊のようにまとわりつく男の手、両手が女をなぞる。女の記憶の中に刻まれた夫の姿。 鶴岡淑子が演じる妻は、三島由紀夫が演じる男を心から愛している。神棚に祈るように。  廊下で帰った夫を出迎える妻。 二人の男女の会話は徹底的に省かれ、思いつめた男の様子と事情を飲み込んだ女の表情だけがすべてを語る。 肩を引き寄せ、女の耳元に何かを話し、腹を斬る真似をする右手、その手を女は掴み自分の喉元に寄せる。女が振り返るのは、男に笑顔で応える瞬間。男女二人は最期の接吻を、最期の交わりを始める。 抜かれかけた刃で女は時が迫る事を理解する。 見詰め合う二人、何度も交錯する視線、抱き合う二人、死ぬ前の生きる喜び、死への恐怖とそれを味わってみたいという欲求。 髪をたくしあげ、女の表情をなぞり、男の肉体をなぞる手、指、喉、仰向けになる頭、脈打つ肉体。 女の乳房や肢体はほとんど映されない。生きている筈の肉体は性交で真の快楽を得ないのだろうか。一体何が楽しくて死の間際の快楽を求めなければならないのだろう。それは本当に死ぬ人間にしか解らない痛みだからだろうか。そうじゃない人間がそれを解るワケがない。  帽子によって影が落ちた男の顔。ハラは決まった。 死に装束をまとう女、ふんどし一丁に帽子を被り、軍服という“装束”をまとっていく男。 互いに遺書をしたため、神棚に祈り、視線を交え、別れの、最期の挨拶。  小太刀を抜き、紙を巻き、上着のボタンを外し、腹を出し、太ももの根元に先を刺して痛みを確認、腹にあてがった指の間から刃を腹に入れていく。 口元だけが激しく表す苦悶の表情。うめき声が聞こえんばかりの、震えながら刃を左から右に引いていく。 女の口元も振るえ、汗を、涙を流す。血潮が白い着物に跳ね、女は見届ける事しかできない、苦痛を変わってられない苦しみ。 肉体はうめき、腸が飛び出て、口から泡をふき、喉元に太刀を突き刺す。女は介錯でもするように男を引っ張り見届ける。  女は外の部屋に消えていく。 女を見届けるように自動で閉会する襖、照明、鏡を見て白粉をつけ、紅をさす。男が死ぬ間際も軍服で飾ったように、女も死ぬ間際に自分を飾って果てていく。  夫の血の上を歩き、帽子を先に逝った者にのせ、顔を袖で拭って綺麗にして弔う。 懐刀を抜き、切っ先を舐め、喉に突きさし果てる。文様が刻まれた砂の上。
[DVD(邦画)] 9点(2015-06-07 21:23:01)(良:1票)
53.  花とアリス〈web〉 《ネタバレ》 
DVD特典版の感想。  最初にwebで公開されたver.とDVDに収録されているver.は細部が異なるらしい。 残念ながら最初のver.は見ていないので何とも言えない。   冒頭に「break town cinema」の文字が入る。キットカットの30周年記念の際に作ったそうだが、本編にキットカットと思わせるチョコは発見できなかった。web公開当時のver.には出ていたのだろうか。謎だ。   第一章「花の恋」が17分、 第二章「花の嵐 I 秘密」が13分、「花の嵐 II 乱舞」が11分、 第三章「花とアリス」が14分の三章四部構成。先に見た長編と比べると細部が結構違う。  最大の違いは長編がアリスの描写が多かった事に対し、短編は花がメインだ。 例えば、花の中学時代の電車の中。カバンを椅子に投げ込む不良風の金髪オールバック男とその女友達が出てくる。それを見て花がビクビクする様子が描かれるが、同時に隣に座った宮本先輩の存在にもドキドキしている状態だろうか。岩井俊二の手にかかれば不良も可愛らしい存在になってしまう。 その後に電車に差し込んでくる光を手に当てて戯れるような描写(さっきまでいた客がいなくなっているので、かなり時間が経ってからだと思われる)。花の横でメイクをする女も登場。  このように、本編と比較しながら見るのが楽しい。 ただ・・・長編で一気にダッーと見たせいか、同じような内容の短編を区切り区切り見るのはちょっと変な感じ。
[DVD(邦画)] 8点(2015-06-03 07:18:55)
54.  パッチギ! 《ネタバレ》 
毛沢東の豚野郎も金正日のファッ金ジジイもソ連もアメリカにも「パッチギ!」をブチかましてやりたい!それがこの映画である(違います)。  全方面に喧嘩上等な素晴らしい馬鹿映画。高らかに歌って歌って歌いあげる、「どちらも等しく馬鹿野郎だ!」な映画です。 カメラマンは「容疑者Xの献身」や「県庁の星」でも素晴らしかった山本英夫!  冒頭からバンドが歌いまくるかと思えば失神する女たち、そうかと思えば群衆スペクタクルで叫びまくってバスをブッ転がす! 川という“境界線”のせいで根強く残る差別意識が、負の連鎖が生んだ憎しみ合いが繰り広げられる小さな“戦争”。それを娯楽映画のアクションとして切り取った場面だ。  子供たちは暴力によって加害者とか被害者とかいう下らねえ“意識”を互いにリセットし、罵り合う。 時には同じ民族どうしで殴り合い、仲間の死因は“人間”じゃないものが決定打となるやりきれなさ。 それでも彼らは同胞のために戦う覚悟を拳に込めて押し寄せ、一方も拳で応じるのである。話をつける(物理)。 あのクライマックスを飾る河を挟んでの殴り合い!ナースが飛び蹴りを決めるのは新しい命の誕生を告げるため。  文句がある奴はみんなブン殴るわ蹴るわ飛び蹴るわセメントぶっかけるわゴールデンボール(キン●マ)をICPMでストライクするわギターもブッ壊すわ。 やられたらやり返すのエンドレス。誰も女に手をあげない謎の紳士振り(乳首は見せないがおっぱいはがっつり揉む姿勢は素晴らしいですね)。 もちろん両国人にとって、どちらかがボコボコにされる光景を何度も見るのは嫌なものだ。その合間で民族を超えて交流する人々の美しさ、「リムジン河」の音色の美しさよ。   危険がひしめく校舎に、甘い花の匂いに蝶が吸い込まれるように、美しい音色に誘われてくる主人公。 彼らはロシア人も朝鮮人も日本人もない、ただの“人間”として語らいあう。その親も流す人は流してしまう。何故なら同じ人間だから。   この映画よりも真摯に人種差別問題に踏み込んだ作品はいくらでもあるし、本気でこの映画の暴力が嫌だ、考えとかが嫌で低評価なら解る。言われても仕方がないさ。  井筒は朝鮮も日本もない、“人間”として最低のゴミ野郎だが、この映画は面白い。超ムカツクことにな。
[DVD(邦画)] 9点(2015-06-02 20:10:41)(良:2票)
55.  それでもボクはやってない 《ネタバレ》 
「シコふんじゃった。」や「Shall we ダンス?」みたいな痛快な映画と比べると、この映画はそういった楽しさが徹底的に削がれてしまった印象を受ける。  ビルを走る一本の電車。その密室では、突然尻をなでてくる者の手が“恐怖”へと変わるし、手を掴んだり密告される瞬間も恐怖と化す。  その恐怖を知る者は、その領域に入った瞬間に両手をあげて命乞いをする。まるで拳銃や刃でも突きつけられている様に。それを知らない者は、出会ったばかりの赤の他人に殺されてしまうのだ。社会的に。  この物語は、そんな社会的に殺されかけた男の孤独な闘いを描いていく。途中挿入されるわずらわしい音楽(最初から無音なんだから最後まで音楽の挿入はして欲しくなかった)も、監督がこの男に同情するが故だろうか。 絶望を語る筈の独房も妙に白いし、照明まで彼を暖かく照らすように明るすぎるのではないだろうか? 「どうしてこうなった」と無言で泣く男の姿だけで充分です。  動く密室の次は、取調室という密室で数人の男に尋問されるという恐怖。常に同じような事件に振り回される男たちの苛立ちは、捕まってしまった人間にブチまけられる。 捕まった人間にとっては「知ったことか」である。誘導尋問、脅し、レッテル貼り、疑心暗鬼、偽善、指紋。 そこに人権とか、偽善がどうとかといった感情は消えていく。あるのはブタ箱にブチこむという“作業”の繰り返し。 何度も何度も何度も「アナタハ痴漢ト疑ワレマシタ。ナノデ逮捕シマス」という具合に延々と同じ言葉を繰り返す。そのしんどさ。二度と見たいと思わない退屈さ。音楽まで似たようなBGMを繰り返しやがる。 あの気の遠くなるような説明は本当に早送りしたくなった。 主人公も感情が消えかけ嫌気が差しているのだから。この辺は社会派映画の悪いクセです。  独房の中で出会う常習犯たちの奇妙さ。それは事件の捜査に疲れて荒んだ警察も、態度をコロッと変える管理人にも、興味本位だけで犯罪を追っかけまわす男たちにも共通する。  痴漢被害に遭ってきた筈の少女の姿にも奇妙さが目立つ。彼女の親は何故裁判所に来ないのだろう。親は既に亡くなってしまったのだろうか。 だとしても、代わりに先生がくるとか、友達が来るとか。そういうのが描かれていないのが不思議だ。 壁に覆われて、主人公やその支持者たちも背中すら見る事が出来ない。主人公も、自分を警察に突き出した女性と一度キリしか会っていない。 そんな奴らに「貴様は犯罪者だ!悪魔だ!」と言われてみなさいよ。誰だって怒りますよ。憎みますよ。ガラスを叩いたり鉛筆を砕きたくもなりますよ。ピーポ君を傘でしばきたくもなりますよ(あのやり取りだけ唯一といってもいいギャグシーン)。 女子高生の視点を知るのは観客だけだ。観客だけがその映像に誘導され、揺さぶられるのである。  それとは対照的に、家族や友人たちはその奇妙さが消え去っていく。真実を知れば知るほど彼らは主人公を支え、一緒に闘うようになっていく。元カノも“信じている”からこそ体を張る。 最初は疑っていたからこそ、それに対する贖罪と共感・共に戦うからこそ得られる頼もしさ。 事件の再現から突破口を開こうとする瞬間、ここで初めて違う音楽が観客の心を洗い流す。様々な人間の視点や感情が真実を探り希望を見出し始めるのである。  それを嘲笑う社会の闇。 小日向文世を殴りたくなったのは初めてだ!素晴らしい演技!予告の躍りかかる主人公のように、あのにやついた顔面をブチのめしてえええっ  裁判のクライマックス。 そこには「それでもボクはやってない」と頑強に戦う覚悟を決めた男の表情だけがある。 主人公が一度挫折し、そこから立ち上がり成長していく姿は「シコふんじゃった。」や「Shall we ダンス?」にも共通している。  怒り裁判所を出て行った友人も、また彼のために戻ってくるのだろう。それでもカレはやっていないと信じているのだから。
[DVD(邦画)] 8点(2015-06-02 20:01:18)
56.  花とアリス〈劇場版〉 《ネタバレ》 
岩井俊二という人間を誤解していた。というか、見るまでは悪い噂しか聞いて来なかった。  もっとこう「瞳をとじて(殴るから)」という思いにかられる「世界の中心で、愛をさけぶ」みたいなクソ甘ったるい映画でも撮るのではないかとレッテル貼りをしていた(撮影が同じ篠田昇なので)。  ところがどうであろう。 ふとした事で見つけ“惚れてしまった”男をたばかり、勝手に妬み合って勝手に許しあうという笑って泣ける素晴らしい映画ではありませんか。篠田昇の仕事振りも良い。  とにかくこの映画、踊って踊って踊る映画だ。 道、夕日を背に歩く女子中学生が二人、白い息が物語る季節、電車。服を引っ張り「危ないから下がって」と無言で友達に伝える。 男たちを見て談笑し、何時の間にか男たちをストーキングする二人。 彼女たちが通う中学の様子とかはまったく映されない。彼女たちにとって、その男たちとの出会いが中学時代一番の青春だったのかも知れない。 物陰から見つめるあこがれ、でっかいカメラで撮っておきたいほど、どんな部活でも入部して一緒になりたいほど惚れてしまった乙女心。  流石に高校ともなると、学校や部活・習い事での思い出も増える。たまった鬱憤はバレエで発散。桜の下で再会するやいなや仲良く躍り始める二人。 それぞれに恋を知り、見た目も中身も成長していく。ガッツポーズで「頑張れ!」と無言で健闘を祈る姿も微笑ましい。  思わぬ“事故”でとっさに宮本に近づくための“嘘”をでっちあげてしまうハナの小悪魔振り。 勝手に思いを寄せ、相手が自分を知らない事に勝手に怒るムチャクチャさ。なんて酷い女なんだ(褒め言葉)。 宮本も本気で心配になる。それは自分のためじゃない。見ず知らずの、赤の他人の筈の女のためだ。彼も何時の間にか、何かに本気で挑む彼女たちに惚れてしまったのだろう。ワケも分からないまま。 「ごめん(何か知らないけど)」 彼がCTに入った瞬間、俺の腹筋は終盤まで散々痛めつけられる事が決定した。テリー伊藤がヤブ医者にしか見えない。絶対狙ってやってるだろ岩井www 夢で彼女をよく見る?それは悪夢の間違いとちゃいますか? 彼女の黒歴史や祭りでばったり会う度に奇声を発して恐怖に怯える宮本先輩。そりゃあ手がヌルヌルの女に捕まれたらビックリしますよ。  い い か  ら さ っ さ と 雨 で 洗 え  ハナの悪逆非道さはエスカレートし、テメエの黒歴史をアリスになすりつけるというクズ振り(褒め言葉)も発揮。お経と写真が交互に腹筋に襲い掛かる。 それに乗っかってしまうアリスもアリスである。役者を目指すために、友のため男をものにするために“演技”に体を張る。名前を書かせる事で情報を得るしたたかさ。 女の友情は時に美しく、ムッチャ怖い。二人ともなんつー着信音してんだ。宮本先輩は泣いていい。そしてマジでキレていいよ本当。 「君誰?(マジギレ)」 「嘘だよそんなの(呆)」  ハナも何故か逆ギレ。酷いのはテメエの脳味噌だっ! 友人もゲス顔で「ケンカしちゃダメだよ」と畳み掛ける。その一言が後に違う形で心に響いてくるのだから面白い。  それに対して、アリスはどんどん可愛くなっていきます。母親も新しい恋をして泣く。アリスは恋に敗れる事の恐れ、ハナに対する嫉妬も芽生える。 砂浜で走り、ブチギレて顔に掴みかかるキャットファイトに転じる凄まじさ。先輩も怒りを通り越して(というかワケが分からないけど取り敢えず)止めに入る。先輩泣いていいぞマジで。 おにぎりサンド食べたくなっちゃうじゃないか畜生。 そんな先輩の疑問を確信に変えるトランプ。アリスの父との思い出が思わぬ伏線に。 先輩が優しすぎて俺まで惚れちゃいそう。俺だったら帯引き抜いて首絞めてるわ(冗談です)。 いや、先輩は二人に仲直りして欲しくて怒るどころじゃなかっただろね。だって惚れちゃったのだから。  女たちを再び結びつける写真、互いに吹っ切れてそれぞれの道を突き進む。 母ちゃんも過去はさっさと水に流し、また新しい恋に向っていそいそと掃除機をかける。 クライマックスを飾る即席シューズによる美しいバレエの“演目”!
[DVD(邦画)] 9点(2015-06-02 19:58:16)(良:2票)
57.  デルス・ウザーラ 《ネタバレ》 
黒澤のカラー映画と言えば俺は「赤富士(オムニバス「夢」に収録)」が一番好きなのだが、この「デルス・ウザーラ」も黒澤明によるロシア映画の傑作だし、黒澤明が苦手だという人にも「虎の尾を踏む男達」と共にオススメしたい逸品だ。  どうも「赤富士」以外の黒澤のカラー映画はダメなんじゃないかと思っていたのだが、この映画はかなり面白い。  ロシアの雄大な大地を突き進む探検家と猟師の友情の物語。 未開の地をひたすら突き進む冒険家たち。そこで巡り合った猟師のデルス。 野生の森の中で育ってきた者と、都会から野生に放り出された冒険家たちの意識の差、そして心の交流。 カラーで収められたロシアの雄大な自然。時に優しく、時に厳しく冒険者たちを迎え入れる。急流に飲み込まれ溺れそうになるスリル、吹雪が襲い掛かりそれと“格闘”するスリル、猟銃による腕比べの楽しさ。  物語は常に静かに流れていくが、時に激しく動きドラマに引き込んでくれる。デルスにとって、眼の怪我は完全な死にはならない。森から引き剥がされること自体が、デルスにとっての“死”なのである。そして大地と一つになっていく穏やかさがそこにある。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-02 19:41:24)
58.  下妻物語 《ネタバレ》 
この映画、スタートダッシュの事故紹介(自己紹介)からしてぶっ飛んでいやがる。 「パワーパフガールズ」とかカートゥーン風のアニメーション、メーターをふりきらんばかりにバイクをブッ飛ばすゴスロリ?ウエディングドレス?白装束の女?が軽トラとドッカーンッ!! 彼女にそっぽをむき傍観すらしない仏像、無数の破片、野菜、パチンコ弾と共に宙を舞いながら女は回想を始める。 交通事故や自分が死ぬ瞬間というのは、何分にも何時間にも感じるらしい。女はそんな感じに自分の経緯を語り始めるのである。  回想の中ですらこの女はフワフワと飛びやがる。 夢の中のベルサイユ宮殿も、実際は田舎の糞尿と精液まみれの肥沃な土地と同じ“匂い”がする環境にすぎない。 ジャスコのファッションショー、 天空カメラもブチ割って~、 自分の故郷もボロクソに~、 ピーピー五月蠅え著作権~、 子供のような眼帯ばあちゃん、 ジャージの国からご機嫌遊ばせゲロ・マミーレ。  まったく何てアホな映画なんだ(褒め言葉)!  出産中に浮気かますとか何つー精神力だ! そんな勝手な女よりも、がむしゃらに家族のために命を削ってくれたダメ親父の方が良いに決まってらーな。 その娘も嘘を塗りたくる厚化粧。なるほど、人は見かけですわ(断言)。 その“化けの皮”が泥にまみれて洗い流され、吐き気がするくらい白かった服に“色”が付く瞬間! そこには精気に満ちた凛々しい女の表情しかない。初めて心を開いた友のため、金属バットを叩き付け啖呵を切る一世一代の大芝居よお!怒涛の「ゴーン」三連打!! 父ちゃん譲りに、いやそれ以上の“ドス”が現す器のデカさ。  ゴスロリ女はゴスロリという仮面を身にまとう。 スイーツ(笑)を気取っているようで、心は男顔負けのオスカル(男前)ハート。 今まで自分を育ててくれた父親のためにアレコレ金儲けの手段を考えたり、そんな男を捨てる女を“見限ったり”、いまどき借りは作らないとかカッコ付けてる漢娘(おんなのこ)の義理に応えてしまうような女だった。  絶滅危惧種のスケバン女もまた、スケバンという仮面を身にまとう。 一見すると何かある度に頭突きだの飛び蹴りだのをかます暴力女だが、本当はゴスロリ女以上に夢を見ていた少女だった。初恋に初心な感情を見せたり、特攻服の下に着る黒シャツの女らしさ(肩がエロい)、世話になった組織のために命がけで背いたり。  あの変テコリンなオーナーもただの漢(おとこ)だったぜ。ハイハイ、ツンデレ乙。  でも何をどうしたら全身ギャグ漫画の絶滅危惧種の男に惚れるんでしょうね。  ???「今おれのこの頭のことなんつった!」  一護「こんな名前で死神やってんだよっ!」   “本物”の記憶は実写、伝説はハッキリしない“幻”だからアニメ。  とにかく俺の脳味噌では語りきれない、笑いあい涙ありのメッチャ面白いアクション映画なのです。
[DVD(邦画)] 9点(2015-06-01 20:48:50)
59.  トラ・トラ・トラ! 《ネタバレ》 
リチャード・フライシャー、深作欣二、舛田利雄、製作のエルモ・ウィリアムズ、そして黒澤明をはじめとする脚本陣!アメリカと日本を代表する娯楽映画の名匠たちが組んだ傑作。 この面々が初っ端から娯楽スペクタクルをぶちかますのかと思いきや、日本軍が真珠湾(パール・ハーバー)への奇襲をするまでの過程を日米双方の視点から淡々と、かつ深刻に描き緊張を異様に高めていく流れが面白い。 暗号解読をめぐるアメリカの油断、そこに切り込む日本側の「もう後には引けない」という賭け、覚悟。渥美清のとぼけた笑顔は癒し。 後に待ち受ける地獄、運命を変えるために男たちは戦うしかなかった。アメリカ本土から遥か離れたハワイ。日本にとっては日系人という同胞が住む、敵の船団が集中する最短の“アメリカ”だった。 その緊張が真珠湾で一方的なまでに爆発していくスペクタクル!演習中の兵士たちのあっけにとられた顔。「そんな馬鹿な」という表情で爆炎の中に消えていく兵士たち。揺れる艦橋、爆沈する船、船、船!ワレ奇襲ニ成功セリ。ワレ奇襲ニ成功セリ。 必死になって機銃で迎撃を試みる表情、警報に何かの間違いではないのかと驚嘆を隠せない表情、この機を逃せないと必死で爆弾を投下する男たちの表情。 帰路に味方が1機撃墜されるだけでも、巨大なる“敗北”を感じずにはいられない。大物を逃した男たちの、虚しさに包まれた顔。 嵐が去った後に敵の侵入を易々と“見逃して”しまった苛立ち、悔しさの滲み出た顔、顔、顔・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2015-03-20 13:51:35)(良:1票)
60.  ゴジラ(1954) 《ネタバレ》 
「キングコング」に並ぶ怪獣映画の最高峰。それをデジタル・リマスターの美しさと音響で味わえる感動。 真っ黒い体躯、珊瑚礁のような背びれ、放射能を吐く怪獣「ゴジラ」。  日本に古くから伝わる伝承と、当時問題となっていた水爆実験を「怪獣」として具現化したのだ。  もしまた原爆が落ちれば、国会議事堂も、子供を抱きかかえた母親も何もかも全て吹き飛ぶ。 ゴジラの破壊は、正にそんな意味合いも持ち合わせている。  ストーリー全体はゆっくりゆっくり進む。 まるでゴジラが徐々に近づくように。  戦闘機の模型などはお粗末な物だが、実際に人が入り動くゴジラは本当に生きているかのような迫力を感じる。  水爆実験で揺り起こされたゴジラを食い止めようと苦悩する人間たち。 この人間ドラマも重要になって来る。 ゴジラに踏み潰されるだけが人ではない。 その圧倒的な恐怖にどう立ち向かい、どう打ち勝つか。  生物学者としてゴジラを調べたいという山根博士、 人類の驚異としてゴジラと戦おうとする尾形、 ゴジラを滅ぼせる兵器を作り出してしまった事に苦悩する芹沢。 原爆の惨状から生き残った事をほのめかす人々、 そして毎回ゴジラの熱線で散々な目に遭う事を義務付けられているような自衛隊! 懲りろ!!  人類が勝つか、ゴジラが勝つか、あるいわ一緒に戦うか・・・以後何十年に渡るゴジラとの戦いの歴史が始まる。  ゴジラもまた孤独・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2015-01-21 19:25:23)(良:1票)
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