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コメント数 1963
性別 男性

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721.  座頭市鉄火旅 《ネタバレ》 
相変わらず勝新の座頭市はトボケた味わいと殺気が漲っていて面白い。これなんかその中でもトボけているという意味では最高かもしれない。眼啖であるにも関わらず、その巧みなまでの剣の使い方、按摩としての市も面白く、悪人に対してのあの態度、眼が見えないことを良いことに態と力を入れて悪人の肩を力いっぱいに揉む姿なんぞ、本当に可笑しい。で、今回はそんな市が飲み屋で出逢った一人の老人との話、その娘との話がこれがこの映画のキーワードとなって、色々と話に関わるのだが、何と言っても東野英治郎が抜群の存在感を示しています。殺陣のシーンの凄みは勿論、今回はそれ以上にストーリー重視の作品になっている。あと、一度しか斬ることの出来ないと言われた刀について語る場面がこの映画の中で最も印象に残る。そして、そんな刀を使って雪の降る中、悪人を叩き切る市!絶対絶命の大ピンチに、さあ、ここから先は見てのお楽しみってことで、しかし、あの市の刀の使い方、悪人のやっつけ方のあっという間の速さといい、悪いが北野武には真似出来ない。それほどの早業です。
[DVD(邦画)] 8点(2007-12-12 22:18:57)
722.  江分利満氏の優雅な生活
普通のことを普通らしくただ生きている男、それがこの映画の主人公、江分利満!この映画を見て、またこの映画の主人公の生き様こそ本当に人間らしい生き方ではないかと思う。やたら偉そうな顔をしている政治家、大金を使って他の球団からFA宣言した選手ばかりをやたらと欲しがるどこかの球団の○○恒雄!お前らのように何でも金の力を利用して這い上がろうとする奴らよりもこの映画の主人公の方がずっとずっとかっこ良い。人間らしくて良い。また、この映画の主人公にはまるで偽善的なものを感じない。だからこそそんな人間味溢れる主人公に憧れる。そういう人間をきちんと描いて見せることの出来る岡本喜八監督に憧れる。これは一人の人間の眼を通して、一人の人間の生活から人間の生き様とは何んなのか?て問いに応えている。岡本喜八監督の描く人間はいつも少し変わってはいるけど、その変わっているものこそ人間の本来の姿なんじゃないでしょうか!いずれにせよ、岡本喜八監督らしいユニークさを散りばめた人情的コメディに相応しい映画です。
[DVD(邦画)] 8点(2007-12-09 17:18:45)(良:1票)
723.  石中先生行状記(1950) 《ネタバレ》 
石坂洋次郎原作、成瀬巳喜男監督による三つのお話からなるオムニバス映画!でもって、舞台は東北は青森の田舎町、もう、これだけでこの映画の興味が沸いてしまう。日本で一番好きな川島雄三監督の故郷である青森ってだけで、何だかそれだけで良いのだ!一つ一つの話がどれも面白く見られる。第1話の木匠久美子って女優さん、初めて見る気がするけど、とても元気はつらつ、リボビダンDて感じで良い。どんな感じや?第2話の池部良と杉葉子が互いの父親のことで喧嘩してしまい、仲直りするシーンも良い。石中先生に秀一(池部良)のことを君はどのくらい愛しているのかね?て聞かれてこのぐらいと両手いっぱいに広げて見せる杉葉子の演技も微笑ましくて良い。二人の父を演じている藤原釜足と中村是好も良い味を出してます。そして、最後のお話、これは何と言っても若山セツ子の初々しさに尽きる。本当に笑顔が素敵です。勿論、三船敏郎も黒澤映画では見れない。別の意味で良い雰囲気を醸し出している。それでもやはり一番は若山セツ子!最後の方で三船敏郎と並んで歩きながら二人一緒に「青い山脈」を歌うところなんて、こんな演出をする成瀬巳喜男監督、原作者であって、タイトルにある石中先生でもある石坂洋次郎へのオマージュと感じることの出来るシーンを描く辺りは人間としての優しさを感じる良い場面だ!いずれにせよ、これまたほのぼのとして、良い気持ちにさせられるそんな作品を見せてもらった思いでいっぱいになりました。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-12-09 10:13:07)
724.  点と線
松本清張の原作は元々が面白いだけに期待して見ることにした。確かに話そのものはよく出来でいるし、面白いとは思う。ただ、画面に山形勲が出てきた瞬間にどう考えたところで、この映画の犯人はこいつしかいなと思ってしまう。それは山形勲だけでなく高峰三枝子にしても同じで、それにしてもこのキャスティングの何たる凄さ、誰が見たって善人は全く似合わない二人、山形勲と高峰三枝子が夫婦だなんて、普通じゃないよ。その他に眼を向けると三島雅夫も当然、悪者なんだけど、それを上回る山形勲の悪人ぶりもやはり時代劇の中での山形勲の印象が強すぎて、ここでは確かに悪人なんだけど、山形勲にしてはごく当たり前のような感じしか見えず、高峰三枝子にしても松子夫人に比べたらちっとも恐くない。そんな二人をどう逮捕するかというそれまでの話とあのラストにやや引っ掛るものが残ってしまい悪くはないが、あと、一押し物足りない。これはやはり元の原作があまりにも素晴らしいので、原作を超えることはやはり厳しいと痛感させられた。
[DVD(邦画)] 6点(2007-12-08 14:27:18)
725.  巨人と玩具 《ネタバレ》 
何なんだ?この異常なほどのテンションの高さは?主役の川口浩と野添ひとみは勿論のこと、脇を固める俳優陣、高松英郎に山茶花究に伊藤雄之助といいその他とにかく誰もが異常なほどのテンションの高さを保っている。何と言う凄まじいテンションの高さとテンポの良さ、飛び交う会話の凄まじさ、ストーリーそのものをどこかへ置き忘れていきそうなほどのハイテンションぶりに見ていてとにかくあきれ返るほどの凄さを感じる。そんな中でも高松英郎のテンションの高さは群を抜いている。部長に対して「あなたは、今はもう、必要としていない人間なんだ」「早く退いてください。あなたは現代においては生きる屍」て凄い。今の世の中、こんな言葉を上司に真っ向から言える人間はどれだけいる?いないだろう!思っていること、全てを吐き出すパワーこそこの映画の持っているものではないだろうか!ただ、個人的好みで言うならば、同じ増村保造監督作品では若尾文子主演による幾つかの作品、例えば「妻は告白する」や「赤い天使」だったり「清作の妻」のようなものの方がこの監督らしくて好きです。それでもこの映画の持っているテンポの良さとハイテンションぶりは昨今の日本映画にはなかなかない。見られないものを感じることが出来ます。
[DVD(邦画)] 7点(2007-12-07 22:12:11)
726.  宮本武蔵(1954)
「宮本武蔵」の映画というと幾つか撮られているはいるけど、内田吐夢監督、中村錦之助主演のものが出来が良くて面白い。そこで、ちょっと比べてみようと思って稲垣浩監督のものを借りてきた。これって確かこの年のアカデミー外国語映画賞受賞作品だけど、う~ん?この映画が公開された1954って言えば日本映画が最も凄かった年、これよりも良いもの、面白いものは幾つもある。それなのに、何故ゆえにこれがアカデミー外国語映画賞受賞?絶対に変です。「二十四の瞳」「女の園」「七人の侍」「近松物語」「山椒大夫」という物凄い作品が公開されているのに、何故?主演の三船敏郎にしても誰が見たってこの作品の武蔵よりも「七人の侍」の菊千代の方が圧倒的に素晴らしいし、作品の完成度、面白さでも完全に「七人の侍」の圧勝!まあ、確かに三船敏郎版、宮本武蔵はけして、悪くはない。でも、中村錦之助の演じた武蔵ほどの凄さ、愛嬌も感じない。それに泣きの演技も三船敏郎には合わない。そんな中で興味深いのは中村錦之助版「宮本武蔵」の中では沢庵和尚を演じていた三國連太郎がここでも違う役で出ている。ところが、沢庵和尚に比べるとやはり見劣る。今作で沢庵和尚演じている俳優(私も三島雅夫に似ていると思った)にしても迫力不足!まあ、色々と文句はあるものの、つまらなくはない。しかし、この程度では満足出来ない。本当は5点にしたいと思うけど、お通役の八千草薫の可愛さに1点プラスしての6点!稲垣浩監督の最高傑作は絶対に「無法松の一生」です。勿論、阪妻が演じた方のですよ。
[DVD(邦画)] 6点(2007-12-02 21:31:56)
727.  愛のお荷物
川島雄三監督、この監督、本当に頭の中、どうなってるのかと思いたくなります。この作品にしても何とも不思議な魅力いっぱいで、観ていて楽しい。よくこんな内容の作品を思いつくものだと感心させられます。まずは冒頭の証人喚問でのやりとりからして笑える。本当は赤ちゃんなど欲しくなかった筈なのに赤ちゃんが出来てしまった。そのことに対しての証人喚問とその時の周りの人間の見つめる視線、そして、代議士とその息子、更にはその嫁さんにその両親と、その他色んな人達を交えての人間模様、いやあ、何と言うのかこれもまた可笑しくて、どこか哀愁も漂う。個性派の俳優勢揃いで楽しい作品になってます。個人的には東野英治郎のじいちゃんが最高です。
[ビデオ(字幕)] 8点(2007-11-29 22:05:34)
728.  にあんちゃん
「黒い雨」以降の今村昌平作品には興味も感じなければ惹かれるものがないのたが、この頃の今村昌平作品はどれも良い。これなんか、えっ?今村昌平作品なの?て疑いたくなるほど心温まる作品になっている。この監督独特のしつこさ、ねちっこさが苦手な人にもこれは安心して奨められる。ある炭鉱の話の中で見せる兄弟達の演技に、更には周りの人たちのなんと良い人たち、見終わってああ、明日も頑張ろう!なんかそういう励ましの感じられる作品です。それにしてもやっぱりこの頃の若い長門裕之は桑田圭佑にそっくりだ!
[ビデオ(邦画)] 8点(2007-11-28 21:40:38)
729.  放浪記(1962)
ほう、これってなるほど、実在の人物の伝記ものだったんですね。こういう題材でも成瀬巳喜男という監督さんは手堅くまとめて見せていて、関心させられる反面、何か自分としてはそれほど好きにはなれない。高峰秀子の芸の上手さはお見事だし、男優陣にしても加東大介、伊藤雄之助に小林桂樹ととても良い人柄で救われる作品にはなってるし、それでも何か違うんだなあ!けして、つまらなくはないのだが、これよりももっともっと良いのがこの監督の映画にはあるはずです。放浪紳士チャーリーさんの意見に同意!成瀬巳喜男監督と高峰秀子のコンビでは個人的には「稲妻」がベストだと思ってます。因みに「流れる」はまだ見てない。いや、一緒に借りてきたからまた明日見ようとは思うけど、今の所見た中では「稲妻」が成瀬巳喜男&高峰秀子のコンビではベストワンです。
[DVD(邦画)] 6点(2007-11-24 20:01:54)(良:1票)
730.  笑う蛙 《ネタバレ》 
いや~凄い!これは正しくヒッチクック映画のようなハラハラドキドキの傑作密室劇です。大塚寧々演じる若き人妻とそんな人妻を捨て別の女を作り、更には会社の金を横領した罪で警察から追われている夫を演じている長塚京三、二人共この映画の為に生まれてきたのでは、俳優になったのではないかと思うぐらいの見事なハマリ役!一旦は妻を捨てたものの、警察から逃れる為に再び妻の元へ戻って来た夫を家の中で隠し、そんな中、毎日、毎日色んな人間が彼女の所へやってくる。ここからがこの映画の凄いところです。誰にも見つからないように隠れている夫が妻の所へやってくる人間との会話、妻の愛人との情事、夫を追ってやってくる刑事とのやりとりを隠れた部屋の中から小さな穴を開けて見ている夫、まるでその視線はヒッチコック映画のようなカメラ視線です。そして、愛人とのSEXを隠されている部屋の中から見ている夫がそれを見てたまらなくなっている場面のあのゾクゾク感は男ならきっと理解出来る筈の凄さ、愛人が帰った後、夫を隠れていた部屋から出す妻、そして、妻は今までの行為を夫に見られていたことを知る場面における妻の表情とそんな妻がその後、夫を意識しながらまたしてもやって来る人達とのやり取りを楽しんでいる凄さ、覗く側と覗かれる側の心理状態を見事に生かした上手さに、そして、何と言っても一人だけ予測の出来ない行動を取る妻、事故で死んだことにされた夫を家族や愛人達にかくまっていたことをばらすという凄まじき行動、みんなの前で夫が今までの事を全て悔い改め、やり直したいと訴えるシーンを見てる時の大塚寧々の表情に女の恐さを感じ、愛人との間に子供が出来たというとんだ大嘘まで言う始末!夫だけでなく愛人、身内と全てを騙し続けたしたたかな女の凄さに唖然とさせられた。これは本当に毒のある恐ろしくも哀しい、人間の惨酷さと矛盾さを描いている傑作です。
[ビデオ(邦画)] 9点(2007-11-18 13:04:21)(良:1票)
731.  続・忍びの者
信長、秀吉、家康と歴史ファン、それも戦国時代の話が好きな者にはたまらない人物を描くと共にそこに忍者を入れることで更に興味深い話が前作以上のスケールで描かれていて面白いことは面白いものの、不満もなくはない。ラストが自分にはえっ?て感じの終わり方なのがマイナス!話の面白さは前作以上、俳優陣は皆、好演!でも、あの終り方はちょっと納得出来ない。それにしても相変わらず市川雷蔵は雷蔵らしく他の忍者映画に出てくる忍者よりも泥棒ぽい雰囲気で、そんな市川雷蔵に惚れる。そして、惚れられる女を演じている藤村志保も何とも不思議な影を残すよく解らない女が本当に似合う女優さんだと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2007-11-12 21:08:25)
732.  鰯雲
おっと、にじばぶさん、お一人だけですか!どうも!どうも!こんばんは!二人部屋へ失礼して、ええ、これは成瀬作品としてはちょっと物足りない。また成瀬巳喜男監督作品にしてはあまり見られない。珍しく東京近郊の農村が舞台のしかも、カラー映画!カラーそのものは珍しくもないと思うけど、それが東京近郊のお話てのは成瀬映画ではあんまりないような気がするけど、いかんせん、まだわたくし、成瀬映画に関してはド素人でして、さほど大きく語ることは出来ないのたが、それでも相変わらず、映像はとても美しい。戦争で夫を失った淡島千景演じる未亡人と新聞記者の木村功の二人が並んで歩く海沿いのあのシーンの美しさ、そして、タイトルにもなっている雲!あんな美しい雲はそうは見れない。そのぐらい美しい雲!話そのものはいまいち、面白味に欠けるものの、映像の美しさは一度、見たら忘れられなくなりそうなほどです。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2007-11-09 21:18:40)(良:1票)
733.  楢山節考(1958) 《ネタバレ》 
凄い!このリアリズム、恐るべし映画です。全編歌舞伎の世界を思わせる映像美と相成って日本の伝統を感じる音楽に乗せて描かれる何とも恐るべし映画です。この映画の舞台となっている長野県姨捨山、地元なもので勿論、知ってるし、あの山にも登ったこともあるけど、あの山の雰囲気そのものをここまで見事に作り出した素晴らしいセットと映像美に木下恵介監督らしいヒューマニズムとが見事に融合した傑作になっている。まず何よりも田中絹代の演技が本当に恐ろしいほどの凄み、殺気を感じる。この映画の為に本当に歯を抜いてまで望んだというその役者魂にはこれぞ本物の映画俳優としての凄さを見せ付けられた思いでいっぱいです。そんな田中絹代の母を姨捨の山に捨て、雪の降る中、「おっか~」と叫ぶ息子の姿とそれを雪に打たれながら息子との別れをけして、悲しもうとはせずにいる田中絹代、ラスト、今でも実際にある「姨捨の駅」と走る列車を映し出すあの場面には涙が止まらない。これもまた間違いなく木下恵介監督の代表作品であり、そして、日本を代表する傑作間違いなしのとにかく凄い映画です。
[DVD(邦画)] 9点(2007-11-06 22:06:12)(良:1票)
734.  東京暮色 《ネタバレ》 
小津監督の映画の中でも好き嫌いで最も評価が分かれる映画ではないでしょうか!小津映画の特徴であるユーモアラスな会話がここではあまり見られない。しかし、相変わらず画面を通して、見ているこちらにも何かを訴えているようなそんな語り口を感じることが出来る。小津映画史上、最も暗い。まるでホラー映画のような冷たさ、寒さを感じる。のどかな日常の中に見える家族への問い、結婚して家を出たものの、夫と上手く行ってない姉(原節子)にそして、男に騙されて妊娠してしまった妹(有馬稲子)とこの姉妹、二人の終始怒っている顔付き、不機嫌そうな態度、その一方で妻に逃げられた父(笠智衆)と父だけでなく二人の娘まで捨てて別の男と逃げた妻を演じている山田五十鈴の演技が素晴らしい。娘からはああだこうだと散々なことを言われつつ、母親としての辛さを見事に演じ、人生の辛さとは何かを訴える。又、一方では二人の娘達がいなくなった後、一人だけの生活をするこことなった父(笠智集)の背中が語る一人暮らしの生活の寂しさ、哀愁、ラストの笠智衆演じる父のあの姿は本当に人生とは何か?一人暮らしとはこれほど苦しいものなのか?という寂しさがにじみ出ていて泣けてくる。これほど暗く重苦しい小津作品は他にはないと私は思うが、これだけ暗い内容にも関わらず音楽はどこか喜劇っぽいのは、やはり小津監督という監督さんは喜劇の監督さんだとこの映画を見て感じることも出来る。好き嫌いはともかく小津監督らしい人生に対する問いかけ、家族とは何か?そういう内容にこれもまたやはりどこから見ても小津映画!私はやはりこんな暗くて重い作品でも支持致します。
[DVD(邦画)] 8点(2007-11-05 19:49:06)(良:1票)
735.  古都(1963)
まずは何と言っても一人二役、姉と妹を演じている主演の岩下志麻の美しさに眼を奪われます。そんな岩下志麻の互いに心の中に哀しみ、人生に対する重み、辛さ、やるせなさ、人として生まれてきた以上、誰もが持っている悩み、それを見事に表情だけで演じている所にこの映画の持っている素晴らしさを感じることが出来ます。そして、言葉使いの美しさ、京言葉の美しさ、京都という日本の伝統文化の中で生き抜く二人の互いの思いやり、ここにこそ人間本来の持つべき姿があるように感じました。美しい京都の街並みを生かしたセット、映像の美しさ、構図の美しさ、何かもが京都ならではの美しさを感じる仕上がりとなっています。また、言葉使いだけでなく、その振る舞い、立ち姿まで、何かもが本当に美しく、正しく京都の女性を思わせる何とも味わい深くて、色々と考えさられるそんな内容に、見ていてしみじみ、本当に自分が日本人で良かった。この映画を見てそう感じると共に見終わった後、私も京都に行きたくなりました。
[DVD(邦画)] 8点(2007-11-04 11:19:49)
736.  忍びの者 《ネタバレ》 
織田信長殺しの計画を企てる二人の男、いや、正確には三人かもしれない。市川雷蔵の忍者とそんな忍者に忍び寄る不気味な男、伊藤雄之助に、更にはその手下のような加藤嘉、どいつもこいつも何とかして、信長の命を取ることにと色んな作戦を試みるのだが、中でも皆さん、指摘の通りで、伊藤雄之助が凄い。恐い。本当に不気味です。死に顔までが本当に恐かった。男共に比べると女優陣はやや影が薄く、薄いてよりは魅力に欠けると言うべきか?それでも作品全体の雰囲気はそれほど悪くはない。後半のたたみ掛けるようなテンポの良さは最近の時代劇にはなかなかないものがある。これは続編も見たくなるし、絶対に見なくては!
[DVD(邦画)] 7点(2007-11-02 21:31:41)
737.  くちづけ(1957) 《ネタバレ》 
増村保造監督のデビュー作品はどことなくヨーロッパ映画の香りがする。画面全体から漂う雰囲気も男と女の恋愛的映画作りも何もかもヨーロッパ映画のようです。共に犯罪者である父を持つ二人の主人公、川口浩と野添ひとみが互いに意地を張りつつも惹かれるという話そのものは古く感じるものの、とにかく作品のテンポが良いから見ていても退屈するなんてことはない。それとこの映画、後に夫婦となる二人のまるで結婚を予感させるような何とも不思議な作品です。それにしても水着姿にローラースケートっていうのも何だかちょっと変だが、ああいう描写、それこそ増村保造っていう監督さんの持っている感覚なのかな?その感覚に何故か知らないが、ハマりそうな、ヨーロッパの映画人、映画好きにこの監督の多くのファンがいると何かで聞いた。読んだことがあるけど、これを見ると何となく解るような気がします。
[DVD(邦画)] 7点(2007-10-24 21:04:54)
738.  雪之丞変化(1963)
何たる豪華な顔ぶれだこと!大映映画のスター勢揃いです。それだけでも見る価値ありだと思うし、一人一人の俳優の個性溢れる演技と見所も多い。しかし、そうはいうものの不満も多く、特にあんなにも可愛い。そして、美しい若尾文子を何だかただの悲劇の女の様な感じにしか思えない描かれ方に私は不満です。それとやはりこれは既に何人かの方が指摘されているように流石にこの年齢での長谷川一夫の雪之丞にはちょっと無理がある気がしてならない。話そのものはつまらなくないし、面白いとは思うものの、それ以外の所で不満が目立つ。個人的には山本富士子のあの強きな女ぷりは素晴らしいと思いました。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2007-10-14 19:14:42)
739.  約束(1972) 《ネタバレ》 
これはまた一つ、良いものを見つけた気がする。この映画は始まってから十分間、台詞がありません。その間に映し出される日本海の美しい風景、そんな日本海で海沿いに北上する列車、更には車内の映像、海の景色、空を飛び交う鳥達、そういう映像だけではっきり言って今のテレビドラマばかり観ている人にはかなり退屈と感じるかもしれません。しかし、今のテレビドラマみたいに何もかも台詞に便り、その時の置かれている状況や心理を説明してしまうものとは対照的で台詞に頼らなくてもちょっとした映像と俳優の演技、表情だけで解らせる素晴らしさ、それこそ映画本来の持っている形をここでは少ない台詞と映像だけで見せてくれます。それも偏に女優岸恵子の女としての哀しみ、情念みたいなものを演じることの出来る演技力があればこそ成り立つわけです。強盗犯の罪で刑務所に入ることとなった萩原健一演じる男との二年後の再会の約束をするシーンにおいての男と女の刹那さ、二人のすれ違い、それを映し出す映像も何となく余韻が残る。この監督さん、余韻の残し方が大変、お見事です。それにしてもこの頃と今でもさほど変わらない美しさを維持している岸恵子というこの女優さん、どうしたらあんなにも美しさを保っていられるのか?とこれを見たら男の私でさえそう感じるのだから女の人が見たら間違いなくそう感じるはずです。
[ビデオ(邦画)] 8点(2007-10-06 08:16:50)(良:2票)
740.  華岡青洲の妻 《ネタバレ》 
もう直ぐ10月2日、世界で最初に全身麻酔の薬を作り、乳がんの手術を成功させた一人の男、華岡青洲の命日てことらしいけど、そんな訳で借りてきた。これは本当に物凄い女と女の戦いだのし!我が息子を愛するためにと息子の実験台になろうとする母、そんな母に対して自分こそ実験台にと訴える嫁、この二人の戦いが壮絶!の一言ではとても済まされないのし!とにかく主演の二人の女優、高峰秀子と若尾文子の演技が凄いでのし!大石先生とはまるで別人の如く、どこまでも嫁に対して厳しく接する姿には人間として、母親としてのプライド、嫁の加恵(若尾文子)への嫉妬、これは間違いなく女同士のバトル!しかし、そこにあるのは単なる嫉妬を超えた愛情の裏返しとでも言うべきか?二人の演技の凄さも当然のことながら市川雷蔵もこれまた素晴らしでのし!すいません!のしって言葉が頭から離れなくなりそうです。ひたすら医者としての使命を全うし、目的のためなら容赦なしに二人に薬を飲ませて実験を行なうというその凄まじさ、冷酷さ、こういう冷酷な人間こそまるで男の身勝手さを表しているようで、女の愛情だけでなく男の身勝手な部分まで同時に描ききるという恐るべき演出、それにしてもあの薬の実験によって、酔っ払ってしまった猫、あんな映像を容赦なしに描く。それこそ増村保造っていうこの監督の凄まじさを感じる。好き嫌いはともかく人間の持っている悲しさ、身勝手さというものを何だか見せつけられてしまったみたいで、とにかく色々と考えさせらる凄い映画だ!一度は見て損のないそんな作品だと思います。
[DVD(邦画)] 8点(2007-09-28 21:55:53)(良:3票)
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