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ESPERANZAさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2254
性別 男性
年齢 77歳
自己紹介 団塊の世代 映画鑑賞歴50年以上 見た映画はおよそ3000本?

1960年~1985年頃はよく映画を見に行きました。その後2000年頃までは忙しくほとんど映画を見なかったのですが、DVD登場とともにまた見るようになりました。最近はメモと記憶を頼りに昔見た映画のDVDを探して懐かしんでいます。

ESPERANZAとはスペイン語で、「希望」の意味です。夢や希望、感動を与えてくれる映画は好きですが、むごたらしい映画や命を粗末にする映画は嫌いです。

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741.  阿弥陀堂だより
いやーすばらしい、こういう映画が好きなんだなあ。日本の美しい自然、四季の風景、そこに描かれている人たちの自然な演技。前作「雨あがる」は黒澤明の呪縛にあっていたが、今度は小泉監督自身の脚本であり、自然体を推し進める彼の良さが十分に出ていたと思う。 90歳を超えて脚がままならぬ身体で北林谷栄さんが出演に踏み切ったのは、盟友重さん(宇野重吉)の息子寺尾聰が主役を務めるのを知ったからだという。彼女は人生最後の映画出演をこの聰ちゃんと一緒にやりたかったと言っていた。 北林さんといえば、ビルマの竪琴でおばあさんをやって以来、50年近くも日本のおばあちゃんであった。(私が見た映画の中で、最高回数を誇る女優)昨年亡くなられたそうだが、謹んで哀悼の意を表したい。 その他、寺尾聰の妻役の樋口可南子の復活、死を目前にした田村高廣と妻の香川京子、声が出ない小西真奈美など脇役もすべて小泉監督の意に沿った演技だったと思う。 人は大自然の中で生きている、いや生かされているという実感を得る。
[DVD(邦画)] 8点(2011-05-20 18:19:00)
742.  金田一少年の事件簿 雪夜叉伝説殺人事件<TVM>
息子が子どもの時、一緒に見た。原作は漫画だが、見てる側を引きつける力はなかなかである。十分楽しめた。 トリックについてはよく考えたなと感心できる。しかし動機はとなると・・・。
[地上波(邦画)] 5点(2011-05-20 04:57:46)
743.  五瓣の椿 《ネタバレ》 
学生の頃見た日本映画、時代劇の中で一番印象に残っている映画である。この映画の岩下志麻は非常に美しい、いや本当に飾る言葉を見つけるのが困難なくらい美しい。私はぞっこん参ってしまった。 彼女は当時23歳だったと思うが、清純派女優のイメージは一変してしまった、大人の演技力、怖いほどの迫力、松本清張「鬼畜」のあのすさまじさは、すでにここに始まっていた。 貞淑なお嬢さんから悪女まで、有りとあらゆる女性を演じられる演技派女優は、今現在彼女をおいてどれだけいることだろう。 次々と殺されていった男たちの側には、一輪のまっ赤な五瓣の椿。これが実に絵になっていた。 この映画は単なる復讐劇でも捕り物劇でもない。それは加藤剛扮する奉行所与力とのやりとりとなって現れる。そして一番肝心なのが、岩下志麻が捕らえられてから、逆に日に日にすがすがしくなっていくことである。 この映画は決して長くない。そのすがすがしい岩下志摩を見届けるためには、絶対に必要な長さだと思う。
[映画館(邦画)] 9点(2011-05-19 23:38:05)(良:1票)
744.  古都(1963) 《ネタバレ》 
古くは小林千登勢、そして沢口靖子、新しいところでは上戸彩主演のTVドラマ「古都」を見ながら、肝心の原作を読まず、オリジナル映画すらも見ていなかった。 女性は化粧で化ける、女優は演技で化けると言うが、岩下志麻は呉服問屋の娘千重子と杉の山で働く苗子の二役を見事に演じていたと思う。もともと双子なのだから、TVドラマも映画もすべて一人二役である。しかし育った環境が違うのだから似すぎても困るし、周りの人たちが見間違えるのだから違いすぎても困る、実に微妙なところである。 その違いを化粧や服装で表していたと思うが、映画の岩下志麻はそれらの上にオーラとも言うべき、独特な雰囲気で違いを表していたように思う。 映画はさらに二人の違いだけでなく、呉服問屋と織り職人という身分の違いも容赦なく表現している。問屋の主人が尼寺にこもって、娘のために斬新な帯の図案を考え職人に示す。そのときそこで職人の息子秀男を殴るシーンにはびっくりさせらた。(たしか百恵主演の市川映画では、秀男の父がなぐったと思う) その身分の違いが、秀男がお嬢さんをあきらめ、双子の妹苗子に結婚を申し込むのかと・・・。 京都の街や岩下志麻の美しさが称えられるだけではなく、身分の違いを痛いほど感じさせられる映画であった。
[DVD(邦画)] 7点(2011-05-19 09:06:17)
745.  八日目の蝉 《ネタバレ》 
数年ぶりに映画館で映画を見た。前回はポニョ(何という落差) 最近映画館を避けるようになったのは、前評判が良くてもはずれが多いことと、映画館でのめり込んで泣いてしまうのが恥ずかしいから、それで無難なものだけを選んでいたのだったが・・・。 この映画は正解だった。永作博美と井上真央という大好きな女優が出演していたこともあるが、まさに心を揺さぶられる映画であった。 原作、TVドラマ、映画にはそれぞれの良さがあり、較べることは無意味だとも思う。インタビューで原作者の角田さんが、「小説は私の手を離れた時点でひとり歩きをしていくと私は思っています」と言っていたのが印象的だった。 映画はいきなり裁判のシーンから始まり、親の永作博美と子の井上真央の物語が平行しながら進められていく。最後の最後までこの二人がスクリーンに同時に登場することはなかった。いかにも映画らしい効果的な演出だったと思う。 印象的なシーンも多かった。泣いていた赤ん坊が永作博美に抱きかかえられ、笑うシーン(私にはそう見えた)出るはずのないおっぱいを飲ませようとするシーン、4歳の女の子が駆け下りてくるシーン(家出?)など、もちろん大詰めのフェリー発着所のシーンは私だけでなく周り中が号泣だった。 さて「八日目の蝉」という題だが、理解力に乏しい私には、八日目の世界がまだ見えてこない。これからもたくさんの人が書くであろうレビューをぜひ参考にしたいと思う。
[映画館(邦画)] 9点(2011-05-18 23:26:15)(良:1票)
746.  配達されない三通の手紙 《ネタバレ》 
さすがエラリー・クイーン、さすが野村芳太郎と言わざるを得ない。この映画は米国屈指の推理小説家と日本の社会派を代表する監督の二人の出会いから生まれた。 サスペンス要素とともに、愛する男性を巡っての二人の女性の心理描写が見事である。結婚を目前に男に逃げられたにも関わらず、3年経ってもなお愛し続ける女性栗原小巻、男を追いかけ妹になりすました女性松坂慶子、どちらも大変好演である。しかし、私は栗原小巻を褒めたい、彼女が演じた女性の妻紀子は、大詰めで解き明かされるように命をかけた大芝居をうったわけだが、それを彼女は見事なまでにやってのけたと思っている。 この映画では小川真由美や松坂慶子が日本アカデミー賞の候補にあがったらしいが、私は栗原小巻の名前がなぜ候補にもあがらなかったのか、不思議でならない。 不思議といえばもうひとつ、私はアガサ・クリスティの推理小説にはまる前に、エラリー・クイーンにはまったのだが、アガサのの小説がいくつも映画化されているのに、エラリー・クイーンの小説が映画化されないのも不思議でたまらない。 この映画はエラリー・クイーンの小説で、日本で映画化された唯一のもの、それだけに貴重である。 この映画は、映画館、ビデオ、DVDと3回目の鑑賞だったが、何度見てもすばらしい。初めて映画を見たときは、唐突に神崎愛がフルートを演奏したことにびっくりしたが、あとで聞いてみたら本職のフルート演奏家だったとのこと、今だから言える初心者の恥。ついでにもう一つ、この邦題もすばらしい。この邦題ゆえにこの映画がある。
[映画館(邦画)] 8点(2011-05-17 23:06:05)
747.  ぼくたちと駐在さんの700日戦争 《ネタバレ》 
昔、学校は悪戯の宝庫だった。それは決して学校の先生が憎かったからではない。生徒たちは悪戯の中で、自然として良いこととしてはいけないことを学んでいったのだ。 現在の子供たちは利口になった。表面はとても良い子、しかし裏では陰湿ないじめが・・・ということがめずらしくなくなった。 この物語は昭和54年、まさに私が駐在さんと同じ年頃、ばりばりの先生だった頃を時代設定していて、私と駐在さんが重なってくる。友情と悪戯、そして若者たちの成長を描く、非常に楽しく良い映画だったと思う。 最初は「ありえねえ、ゆるせねえ」それが「やられたら、やり返す」に変わり、「今度はどんな手を使おう」に変わっていく。また駐在さんの奥さんやみかちゃんの登場により、人と人とのつながりが生まれ、悪戯集団の絆もどんどん深まっていく。 ある意味この映画はくだらないかもしれない、つまらないかもしれない、そう思う人はそれでよい。悪戯集団の若者たちも、30年後の今では心に残る懐かしい想い出になっているだろう。 この映画の駐在さん、佐々木蔵之介は私の好きな俳優さんである。「椿三十郎」「サマータイムマシンブルース」など、とぼけた演技が光っていた。
[地上波(邦画)] 6点(2011-05-17 07:35:58)
748.  猫は知っていた 《ネタバレ》 
寝たきりの生活で学校教育をまともに受けられなかった女性が、江戸川乱歩賞を受賞したということで、当時大変な話題になった。日本のアガサ・クリスティーとまで称賛されたほどである。この映画を私は子どもの頃家族で見た。 映画館の暗がりの中で見た防空壕のシーンは大変怖かった。不気味に出没する黒猫、その猫を眠らせ、猫が目覚めると共に飛び出すナイフ、子ども時代に見た映画とはいえ、鮮烈そのものだった。 しかしそういうシチュエーションとは裏腹に、仁木悦子(原作者と主人公が同じ名)と兄雄太郎のミステリー好きの凸凹コンビは、とてもユーモラスである。数年後、仁木兄妹の事件簿として出版された小説を読み、実によくできたミステリーであることを知った。
[映画館(邦画)] 7点(2011-05-17 00:13:56)
749.  愛のお荷物
いまでこそ国会で問題になるのは「少子高齢化」しかし私たち団塊の世代が生まれた頃は、第1次ベビーブームとも呼ばれ、こどもの数が多い時代であった。また一方医療分野は科学の進歩によってめまぐるしく進歩し、人生50年から世界有数の長寿国へと変わっていった。 こうした時代を背景に、監督川島雄三は「愛のお荷物」という、軽妙で洒落のきいた映画を作ったのである。国会での芦田伸介、菅井きんの質問とそれに答える山村聡の大臣答弁からしてほほえましい。それに続く新木家の妊娠騒動も、箱根の祖父東野英治郎を巻き込んで実におもしろい。人口増の問題に取り組んでいた厚生大臣の家族の人数が倍になるという何ともはやの映画。 映画監督の川島も急逝したが、大臣夫人役の轟夕起子も50前に亡くなった。また長男の恋人で大臣秘書役の北原三枝も早々と結婚引退してしまった、惜しまれる人たちである。
[DVD(邦画)] 7点(2011-05-15 17:05:42)
750.  用心棒 《ネタバレ》 
こういうヤクザ同士の争い、人殺しの映画は私が最も嫌いにするところだ。第一、映画開始早々、犬が加えてきたものを見た途端、嫌な気分になってしまう。人相の悪い親分子分たち、好きになれそうな人物がまったくいない。その中で場違いなキャラの加東大介、社長シリーズのコメディじゃあるまいし・・・。 居酒屋の親父東野英治郎は、不満のはけ口だろうが聞かれもしないことをべらべらしゃべるし、八州周りの役人の目も節穴同然。 三船俊郎はというと、文字通りの高みの見物をしたり、子分たちを簡単に斬り殺して相手側の仕業にしてしまうあくどい用心棒。どっちのヤクザにつくかで両天秤をはかり、双方の殺し合いさせようとする策略家でもある。そのことに気づいたのは仲代達矢の卯之助ただ一人、他の者の馬鹿さ加減にもあきれるが、三船、仲代だけを格好良く目立たせようとする映画陣の目論見もありありと見える。 それで仲代に見破られ瀕死の重傷となって逃げのびた三船俊郎だが、鉄砲を持った相手を簡単にやっつけてしまうのは、あまりにも安っぽい設定だと思う。唯一美しき女房ぬいの司葉子も登場するが、活躍の場すらなく消えてしまったのは残念。 総じて、洋画の「荒野の用心棒」よりはオリジナルだけあってましだが、とても名作に入る映画ではないだろう。
[ビデオ(邦画)] 4点(2011-05-14 16:30:28)
751.  海猿 ウミザル 《ネタバレ》 
原作が漫画とは思えないほどリアルだし、素直におもしろい。救難訓練をしっかりと描き、海上保安官の役割の大切さを示している。特に印象に残ったのは、「二人の潜水夫に対しボンベは1人分、さあどうする」など瞬時の判断と処置を問うているところである。これはまさに救助隊の核心をついているものと思う。 映画では主人公の海猿たちより、藤竜也扮する指導官の熱意と指導力に打たれた。自分自身が二度と潜れない身体となった今、優秀な海保を育てることに懸ける男の中の男だ。 またおそらくこの映画には、海上保安庁の多大な協力、バックアップがあったと思われる。視聴者として感謝すると共に、優秀な海上保安官が育つことを祈る。
[DVD(邦画)] 7点(2011-05-12 19:22:23)
752.  張込み(1958) 《ネタバレ》 
この映画は途中までは本当に退屈である。張り込みを始めてから5日6日と日にちだけが過ぎていき、殺人の容疑者はいっこうに現れない。毎日が判で押したような後妻高峰秀子の生活、ここで私のように退屈だと感じる人は刑事にはまったく向かない人であろう。 刑事というのはとても地味な仕事で、テレビドラマのような格好いいことはまったくないのが普通である。こつこつと聞き込み足で稼ぐ、あるいは映画のようにじっと張り込んで待つ、これが刑事の仕事である。その張り込みですら、旅館で他の職業人に化けてというのは異常だろう。実際は建物の陰や空き地その他の吹きさらし、暑さ寒さや雨露を凌ぎながらということになる。そういう現実ではなく、非常に都合の良い映画である。 また昔は他人の家の中をのぞき込んでも、まったく問題にならなかった。警察権力すなわち国家権力イコール正義だったのである。だが今ではどうだろう、本当に問題にならないのだろうか。警察は正義という名の前に、何でもできるというのが未だに残ってはいないだろうか、またそれが捜査の行き過ぎや冤罪を生み出してはいないだろうか。 この映画は清張特有の人間の心理より、警察権力そのものが問われているように私には思えた。 話がそれたが、旅館で男(刑事)が二人何もせず昼の日中からごろころとしている。知らぬ者がみれば怪しむのは当然であり、地元の警察を呼ぶが、うまいこと言って切り抜ける。この辺にも警察どうしの馴れ合いを感じさせる。  容疑者役が田村高廣というのもまったく凶悪犯には見えないし、高峰秀子と二人きりの姿を見ると、心中の心配はまったくないし、大石先生と磯吉君を思い出す。 またラストの「若いんだ、やりなおせるさ」という言葉すら「刑事に何がわかるのか」という空々しささえも感じる。後に「砂の器」や「鬼畜」の名作を描いた野村芳太郎監督だが、ここではまだ松本清張映画の第1作目で力は十分出し切れなかったのだろう。 
[ビデオ(邦画)] 5点(2011-05-11 18:25:51)
753.  影の車 《ネタバレ》 
松本清張原作小説の映画は、「霧の旗」に続いて2作目の鑑賞であり、すでに小説の清張ファンであった私が、映画の清張ファンとなる衝撃的な映画であった。 普通の不倫ドラマは、夫と妻と愛人の三角関係である。その普遍的関係を男と女と子どもという、三角関係に置き換えている。したがってこの映画の妻役の小川真由美は何もしないし、夫を疑うことのないまま事件後知らされるだけ、そしてそれは映画の描写すらない。極端に言えば、小川真由美の妻は誰が演じてもよかったのである。 しかるに、愛人岩下志麻の子どもはまさに主役級、演技力がどうこうではなく、役作りした松本清張、野村芳太郎に頭が下がる。つまりこの映画は子どもの目から見ているわけで、それがラストの加藤剛の子ども時代6歳のときの魚釣りシーンと繫がって、この映画の主題となっている。子どもは本当に斧で殺そうとしたのか、それとも斧は持っていただけで、殺そうとしたのは妄想だったのか。 この映画の素晴らしいのは、加藤剛、岩下志麻の演技力もさることながら、事件後どうなったかを一切表現していないことである。小川真由美が団地にいられなくなって実家に帰ったこと以外、すなわち加藤剛の罪がどうなったのか、岩下志麻やその子どもがどうなったのか、すべてを視聴者の想像に任せていることにあると思う。 また蛇足ながら、今日DVDで再鑑賞するにあたり、映画の中の会話に出てくる「シャロン・テート事件」「三億円事件」「宇宙船アポロの月着陸」など、当時話題になったニュースに懐かしさを感じる。
[映画館(邦画)] 7点(2011-05-11 13:28:29)(良:1票)
754.  黒の奔流 《ネタバレ》 
松本清張の小説はある意味映画化が難しいように思う。それは描き方がまずければ、昼メロや単なるサスペンスドラマになってしまうからだ。その意味でこの映画は十分とは言えないが、かろうじて松本清張作品らしい社会派ドラマになっている。。 若い弁護士がむずかしい事件を無罪に導き、功名を得ようとすることは何も不思議なことではない。また無罪を得た被疑者が、弁護士に感謝し好意を持つことだって十分あり得ると思う。しかし、美しき若き令嬢を得んとする不純な動機から、少しずつ破綻をきたし、最後は悲劇的な結果になってしまった。 サスペンスとしての展開は、先が予想できるストーリーであり、やや物足りなさを感じる。しかし主役の山崎努も岡田茉莉子も実に好演しているし、岡橋由基子(弁護士事務所の助手)を演じた谷口香の存在も大きかったと思う。また映画初出演?の松坂慶子が初々しい。 松本清張の映画は「霧の旗」に続いての2本目であったが、原作は読んでいなかった。それで映画鑑賞後、「黒の奔流」という小説を探したが、見つけることができなかった。それもそのはず、「黒の奔流」という小説は存在せず、「種族同盟」という小説だったのだ。このことを知ったのはずっと後のことであった。 つまり、「種族同盟」という小説よりも、「黒の奔流」という映画の方が有名だったことを意味するのではと思う。
[映画館(邦画)] 6点(2011-05-10 20:53:09)
755.  五番町夕霧楼(1980)
佐久間良子の「五番町夕霧楼」よりも先に、しかも映画館で見た。そのせいか、この松坂慶子の夕子の方が印象が強い。艶っぽいというか情熱的というか、その方面では佐久間良子の貞淑な奥様タイプとは差がつくのではなかろうか。 私の手元にこの映画のパンフがあり、原作者水上勉の映画に対する思いも書いてある。それによると、シナリオは映画だからと言葉を濁しているが、松坂慶子が主演ならばと後押ししているように書いている。
[映画館(邦画)] 7点(2011-05-09 22:48:37)
756.  五番町夕霧楼(1963) 《ネタバレ》 
映画館で見たのは松坂慶子主演であったが、その後でオリジナルの佐久間良子のビデオを探し鑑賞した。時代が違うこの二つの映画を比較するのは難しいことかもしれないが、松坂版に較べて佐久間良子の夕霧楼はやや平坦。木暮実千代を初めとする脇役らが皆善人過ぎて、悲壮感が伝わって来にくい。だから極端に言えば、「どうして放火したの?」「なぜ死ぬの?」と疑問が残ってくる。 しかし、故郷の百日紅の花の美しさ、悲しさをかき立てる音楽は素晴らしいと思う。
[ビデオ(邦画)] 6点(2011-05-09 22:19:28)
757.  華岡青洲の妻 《ネタバレ》 
華岡青洲という人は知れば知るほどすごい医学者だ。なぜこれほどまでの人の存在を、学校で教えられなかったのだろうかと不思議に思う。 いくら医学を学び、手術をするのに麻酔が必要だとしても、「麻酔」という言葉すらなかった時代である。麻酔薬を調合して作ってみたところで、人体で実際に使ってみなければ効果はわからない。それを嫁が、母が、「是非私に」にと申し出て競い合う。一つ間違えば命すら保証できないというのに・・・。 このあたりの感動というか、感想というか、私は言葉でうまく表現できない。それほど強烈である。何事も初めて物事を成し遂げるということは、とても勇気が必要とされよう。手術を行った青洲も、実験台になった嫁も母も・・・。 じつに見応えのある映画だと思う。 
[映画館(邦画)] 8点(2011-05-08 12:53:51)
758.  華麗なる一族 《ネタバレ》 
虚々実々の策略と陰謀、弱肉強食の資本主義社会の裏側を、赤裸々に鋭く描いた映画である。そこには銀行や企業の合併問題に政略結婚なども絡み、すさまじい愛憎劇にもなっている。これは元々の原作山崎豊子の小説と屈指の社会派監督山本薩夫の両方がそろってなせる技であろう。 政略結婚によって作られた一族は、見かけは非常に華麗である。しかしそこには心通うものはなく、一挙に崩れ去ってしまう。 映画では佐分利信、仲代達也の存在感が大きいし、京マチ子の演技力も光る。近年テレビドラマ化されたそうだが、現在の役者でこのような重厚感を出すのは甚だ難しいように思われる。 私は映画館で見たときは、この万俵家のこどもたち(正確には次男役の目黒祐樹と同じ)の年齢であったが、30数年経ってDVDで再鑑賞する今では、佐分利信や小沢栄太郎が演じた役の年齢になってしまった。
[映画館(邦画)] 8点(2011-05-08 00:07:15)
759.  橋のない川 第二部 《ネタバレ》 
第一部と較べるとさらに差別が深刻化している。夏と清一の心中自殺、その夏の替わりにおやまになるしげみ、あさ子と誠太郎のかなえられぬ恋、孝二とまちえ・・・。 ところがその孝二とまちえの再会シーンでは、こういうのが差別だと長々と説明的に語られる、私はそれは好きではないし、フェアーではないと思う。映画はあくまでも視聴者が感じ取るものなのに。 また後半の米騒動、実際あったことを描いたものだろうが、竹槍を持って押しかけるの人たちの姿を見ると、最近の暴徒化したデモ隊や、鉄パイプと火炎瓶を持って機動隊と衝突した過激派学生と重なってしまう。それを肯定しているように感じられ抵抗がある。 この映画を作った今井正監督自身も、部落解放同盟の圧力で思うように撮れなかったのかもしれない。監督自身不出来だったとも述べている。 案の定と言っては何だが、この第二部の上映に関しては差別助長の映画として差し止めの運動すら起こった。しかしその運動に加わった人の多くは、第二部の映画をまったく見ていなかったという。
[DVD(邦画)] 6点(2011-05-05 19:16:19)
760.  橋のない川 第一部 《ネタバレ》 
この映画は学生の頃、部落問題研究会の自主映画上映会で見た。彼らは部落差別を知るには、原作の小説を読むべきだとさかんに言っていたのだが、私はこの映画だけでも十分にその価値があると思う。 江戸時代の身分制度士農工商の下に「えた、非人」というものがあったことは早くから知っていたが、それがどのようなものか、なぜ被差別部落が生まれたのかまでは知るよしもなかった。それがこの映画を見ていくらかわかったような気もする。 映画では、部落の人たちが理不尽に差別されているのが痛いほどよくわかるし、そのようなシーンの連続である。北林谷栄さんの校長先生に詰め寄るシーン、伊藤雄之助さんの飲んだくれの演技がすばらしい。そういえば伊藤さんは前年脳溢血で倒れ、半身不随から立ち直った再起の俳優活動だったというではないか。ぜひ一度は見るべき映画だと思う。 私が校長先生に代わって おばあさんに言おう。「ホンマにおばあさんのおっしゃるとおりや。わてたちがあんさん方のことを『へった』と言うたらあかんと思うでぇ。とくにお子たちが「へった」とゆう差別語を、差別語と知らんといて使うことは、ほんまおとろしいことや。学校の中で差別があったらあかん。学校で起こることは先生方の責任や。ほんでいっちゃんの責任は、校長であるわての責任、ホンマに悪かったと思うでぇ。これやからはこないな事が起こらんよう気をつけまっしゃろから、どうかかんにんしておくんなはれ」 そして柏木先生にも「柏木先生、『小森の子らに同情せにゃあかん』なぞと言ったらあかん。同情ちゅうことは、相手を低くみておるこつ、そいが差別しとっことになるとと違うとおますか」と
[試写会(邦画)] 8点(2011-05-05 17:56:56)
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