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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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761.  SLAP HAPPY 《ネタバレ》 
こういう奴を応援したいというのが映画の趣旨のようだが、それにしては何とも救いがない。昔であれば、これも一生のうちのこの時期だけの苦悩であり、いずれは“あんな時代もあったね”と振り返る時が来るだろうと思えたかも知れない。しかし今になってみれば、もう30代後半になっているはずの主人公がまだこういう状態を引きずっている恐れもあるように思われて、まことに洒落にならない映画と感じられる。 当然ながら自分としても覚えがないわけではないが、今さらこの主人公に共感しようという気にはならず、見てよかったとも思えない。だからといって無用な映画と切り捨てることもできず、どう扱えばいいか困るというのが実感である。ラストの音楽が変に耳に残るのも困る。
[DVD(邦画)] 4点(2013-09-09 19:57:54)
762.  信さん 炭坑町のセレナーデ 《ネタバレ》 
劇中で信さんと主人公の母親の間に何が起こっていたのかは、見ればある程度はわかるが個人的に共感はしない。特に成人後の信さんが自分の母親に性愛感情を持っていたことに関して、主人公が何とも思わなかったのかどうかは疑問を感じる。また信さんの妹が不快感を示していたことについても、その背景事情や主人公への思いとの関係が不明瞭に感じられ、どうもこの辺の人間関係が納得できていない。  一方で個別の場面に関していえば、個人的に最大の見所だったのは(米とぎの場面ではなく)主人公と信さんの妹が岸壁にいる場面で、ここは何度見ても息を詰めて少女の表情に見入ってしまう。役者の年齢では4つも違うのに女の子の方がちゃんと大人びて見えるのが可笑しく、また最終的には少女の側から打ち切りをくらってしまったことで、見ている側としてもこのバカな少年に同化して一緒に悶える気分になる。そのほか親友との別れの場面では、まっすぐな気性だが素直になれない主人公に対し、親友の方がしたたか、かつ大らかなのが印象的だった。 こういうちょっといい場面はあるのだが、やはり自分としてはこれをストーリー全体の中でどのように位置づければいいのかがわからないのが残念だった。  なお原作を読むと、信さんの妹はちゃんと高校を卒業して就職したことになっているので安心するのだが、この映画では切ない感じにしようとしてわざと状況を苛酷にしているのが嫌いだ。そうしないと映画にならないということなのか。
[DVD(邦画)] 4点(2013-08-11 18:25:28)
763.  口裂け女0 ~ビギニング~ 《ネタバレ》 
この映画では①1968年の飛騨川バス転落事故を口裂け女の説話が発生した契機とし、②それから10年程度経過した1970年代後半に劇中人物が実験的に都市伝説として流布、③さらに30年程度経過した今回の映画で本物の口裂け女が世に出た、という設定になっている。いろいろ工夫するものだと感心はするが、都市伝説に関しての「噂とは悪意の子供である」とかいう認識が劇中で生かされたようには思われず、実際はマッドサイエンティストがバケモノを作った話になっており、ノートの殴り書きを含めて「輪廻」の殺人犯を思わせる。また心霊現象がメインになっているのは、意図してやったらしいが話が違うだろうと言いたい。 一方で単純なホラーとしては割と怖い方だとは思うが、しかし変な音響は正直やかましく、暗い場面ではまず電気をつけろと言いたくなる(特に冒頭では、お茶など出す前に部屋を明るくするのが礼儀)。また低予算ホラーにオリジナリティなど求めても仕方ないのだろうが、“眼”だけはやめてもらいたかった。  ただし、これは褒めていいのかわからないが、昼夜(明暗)の場面が頻繁に交代して時間(記憶)が飛んでいるように見えたのは、結果として妙な非現実感を醸し出していたように思える。また終盤の失われた可能性の場面では、妹が姉に甘えたところを見せるのが切ない感じで印象に残った。この場面をずっと見ていたいと思ったのは、自分としても少しは制作側の意図に乗せられていたということかも知れない。 なおメイキングを見ていると、妹役(折山みゆ)は素の状態ではけっこう可愛くて面白いキャラクターらしく、本当にこんな子が妹だったら溺愛するだろうと姉役(遠藤舞)が言っていたのは共感する。映画外のことが本体の評価に影響するのは許されないだろうが、どうせ映画に対する世間の態度などそんなもの、というのを口実に、これで点数を少し嵩上げしておく。結果的に「シリーズ最高傑作」とはいかなくとも2位の評価(当社比)となったのだった。それでも1位の半分以下だが。
[DVD(邦画)] 4点(2013-07-28 18:47:22)
764.  ひまわり(2000) 《ネタバレ》 
個人的好みの問題でヒロインの大人状態には全く魅力を感じないが、しかし小学校の記憶に出る少女はなるほど初恋の相手っぽい。現実には1980年代初めに伊豆半島で見えた金環食は存在しないようだし、また主人公はどうも妄想癖があるようなので全てが幻だったのではと疑われなくもないが、そうだとしてもファンタジーとしては割と素直に受け取れる。また終盤で同窓会のような雰囲気になってから、現実への回帰に至る過程も好意的に見ることができたので、これだけなら激賞するほどではないが佳作だとは思える。  ただしここのレビューにあるように、実は登場人物のほとんどが冒頭時点で死亡していたことになっていたというのは全く感心できない。そもそも虚実が不分明な展開の上にそういうことをやってしまっては、何を軸にして見ればいいのかわからなくなるだろう。あるいは何度も見返して、全体の意味を転換させる裏ストーリーをじっくり考えろとでもいうことかも知れないが、そんな子どもじみたことにつき合っているヒマはさすがにない。それとも誰も気づかない前提で悪ふざけをしただけ(都市伝説にあるTVの死亡予告のような)というなら、それこそ小学生並みで大人のやることではない。何にせよこれでは真面目に見ること自体が馬鹿らしくなるのであり、そのため好意的に見ているうちは抑えていた苦情までが表面化して、遺族まで巻き込むコメディが不快だとか、靴はともかく傘を持ってないのは自分のせいだろうとか、深夜の草地を照らす光源はどこに設置されていたのかなどといったことを改めて指摘したくなる。  そのようなことで、結果としては独りよがりで付き合ってられない映画、というのが確定評価となった。評点は主に湊弓子役の女優(個人的好み)と、ヒロインの少女役の子に献上しておく。 なお大したことではないが、転覆した船と砂から掘り出した船は船尾の形状が異なっており、別の船と思われる。
[DVD(邦画)] 4点(2013-07-15 18:48:57)
765.  ヘルタースケルター(2012) 《ネタバレ》 
原作の内容をわりと素直に映画化しているように見える。「みんながりりこに夢中」といっても一過性の事象なのはもちろん、そもそも賞賛している一般大衆は女子だけだったようで、しょせん同性内でしか通用しない感覚なのだろうと思われる。男子としてはこんなのに付き合ってられない、と突き放すのが常識的なのだろうが、あるいは逆に男など関係ない、と突き放されているのかも知れない。 それが劇中の男の扱いに反映されているようにも見えて、この映画ではとにかくろくな男が出ない印象がある(キンちゃんは男から除外)。うち検事の扱いが簡略化され、ただの変人のようになっているのは原作とも大きく違っている点かと思うが、主演女優のための映画であるなら主人公と並ぶ存在感のあるカッコイイ男など不要なのかも知れず、これはわからないでもない。 ほか女性キャストでは、マネージャーは彼氏との年齢差があり過ぎて不可解に思えるほどだった。この人物は見ていて不快でしかないが、こういうのに共感する女性はいるのかと疑問に思う。…かといって主人公と同一化できるわけもないだろうし、結局は女性の観客にとっての視点の置き場所は検察の事務官あたりということになるのかも知れない。この人が一番フツーの人で安心する。  ところで映像美(+音響)の面ではさすがの出来と感じられる。特に主人公の錯乱の場面では極彩色で狂気と戦慄の映像が展開される一方、なぜかバックに ”An die Freude” が流れたのはエヴァンゲリオンなみのインパクトで、わけがわからないながら妙に大喜びして一緒に歌ってしまったのは自分でも変だと思う。やはりこういうところが?この映画の真価なのだろう? ビジュアル面だけでも個人的にはまあ満足だった。 なお主演女優は主人公にシンクロしていたとのことだが、本来はこの人こそ「生まれながら」の特権保持者だろうし、モデルの寿命はどうか知らないが役者は一生モノだろうから立場は違うはずだ。また主人公の妹に関しては、映画を見るとこれはスゴイと思うが、この女優は現時点でもうかなり痩せている(元に戻った)とのことである。この人もけっこう自然体で逞しい感じなので、今後とも頑張って役者人生を歩んでほしい。
[DVD(邦画)] 4点(2013-01-28 20:58:17)
766.  ガメラ対深海怪獣ジグラ 《ネタバレ》 
前作が明るい万博映画だったのに対し、今回は一転して高度成長期の陰の部分である公害をテーマにしている。ヘドロを扱った怪獣モノとしては、1971年1月にTV放送された「宇宙猿人ゴリ」のヘドロンのほか、同年7/24に公開された「ゴジラ対ヘドラ」がよく知られているが、同年7/17に公開されたこの映画はヘドラより1週間も早く公害について問題提起をしていたことになり、これはガメラファンとして誇るべきことである(そういう自分はヘドラは見たが、この映画は見てない)。  それはそうと、実際見ればそんな社会派映画という印象は全くなく(当然だが)、前半はもっぱらお気楽な幼稚園児向け映画である。宇宙船に色とりどりの粒がついていて、中に茶色が混じっているのはマーブルチョコレートのイメージに違いない。大東京が壊滅状態なのにも頓着なくチビッコどもが暴れ回るのを笑って見ている一方、悪役のおねえさん(本当はいい人、日本版エリス中尉)はほっぺたがふっくらして脚がきれいだとか、この人が着替えをするたびに被害者は全裸で放置されるのかと想像するなど、お父さん向けの趣向も楽しんでいられる。ホテルの支配人と飼育係の口喧嘩も可笑しい。 ただ後半は一転して妙に深刻な状況になり、親子ともども絶体絶命の危機に陥るので笑っていられなくなる(おまけに一部の展開が不可解)が、どうせ最後はガメラが助けてくれるので問題ない。逆に今回は人間側がガメラを助ける場面がない(不発に終わった)のが残念だったかもしれない。 以上、おそらく最低映画だろうと思っていた予想を裏切り、実は結構面白いのだった…ただし自ら面白がろうとする努力は必要である。まず冒頭のアシカショーを真剣に見て、よくできましたと感心するくらいの心の余裕をもって鑑賞したいものである。また初めから笑うつもりで構えて見ることも大事な心がけだと思う。  なお敵怪獣の背中のヒレは6つあるので、あらかじめドからラまでの音をきちんと割り当てれば見た目も正確な演奏ができたはずだが、実際にガメラが叩いた音板はドレド-レミレであってガメラマーチにならない。それでもガメラが喜んで踊りだしていたので、まあいいか。
[DVD(邦画)] 4点(2013-01-19 10:07:12)
767.  ガメラ対宇宙怪獣バイラス 《ネタバレ》 
公開当時は見ていないが、トラ模様の宇宙船には幼少時から心惹かれるものがあり、また怪獣の頭部の三つ又がしなやかでいながらまとめると硬質になるという素材感(イラストで見る限り)も面白く思っていた。しかし、後にVHSのレンタルでガメラシリーズを順番に見たとき、この回からいきなり水準ががっくり落ちるので呆れてしまい、つい最近見たばかりの過去映像を長々と見せられるのも非常に苦痛だった。 またストーリーとしては、人類全体と子ども2人の生命を天秤にかけるなど、本来は世界的スケールかつシビアな内容のはずだが、実際は終始能天気な感じで話が進むので重みがない。登場人物に関しても、小賢しく無鉄砲な子どもにばかり焦点が当たり、せっかくの大映新人三人娘があまり活躍しないのには不満が残る(ここは残念)。  ただし、子どもの立場で宇宙船探検を楽しもうとするなら面白いと感じられるかも知れず、宇宙船の各室がみな同じに見えるのも大して気にはならない。また乗員はみな人相の悪い東洋人だったが、これが強面ながらわりと寛容で、子どもの狼藉に対しても穏やかに叱っていたのは大人の態度で感心した。こういう点には子ども向け映画としての優しさを感じる…というか、ちゃんとした大人が子ども向けに作った映画だと思える。 また今回は「ガメラは子どもの味方」というのが台詞にも出ており、実際に子どもが助けられる場面があったのは前作同様だが、加えて子どもがガメラと一緒に怪獣退治をしている雰囲気が強目に出ていたように思う。それがまた見ている大人にとって苛立たしい原因にもなっているが(いちいち指示出しするな!)、まあこれも子ども向け路線の一環ということだろう。  なおこの映画で可笑しかったのは、宇宙船の渡り廊下を跳躍するシステムを子どもが試しても使えず、外人の子どもが「Ben-riなものは、何でも大人用なんだからな」(んり、の発音が難しいらしい)と恨み言を言っていたことで、これは背伸びしたい子どもの心情を捉えていたように思う。
[DVD(邦画)] 4点(2013-01-15 22:03:31)
768.  妖怪大戦争(2005) 《ネタバレ》 
大映の旧作をベースにしながらも、企画に関わった作家諸氏の作品世界や稲生物怪録などを加えてごたまぜにした感じの映画で、何か仲間うちだけで盛り上がったような印象がある。「手の目」とか「震震」といった、旧作に出ない妖怪が実写化されただけで感動するようなカルト的妖怪ファンがいればともかく、一般人としてはそれだけで乗るわけにもいかない。個人的には「網顔」というのが出れば少し喜んだかも知れないが、今回は採用されなかったらしい。 またストーリーも支離滅裂で圧倒的に面白くない。何が起こっているのかわからない割に変に意味ありげな台詞が入っているが、わからせようという意志も感じられず、小説版をわざわざ読んでみる気にもならない。形の上では泣かせる場面もあったが、真面目に泣かそうとしているようにも見えなかった。ほかキャストは豪華なようだが、砂かけ婆を演じていたのが誰だったのか、エンドロールを見なければわからない映画などあったものかと思う。 ただ、川姫の太腿の魅力に関しては皆さんのいうとおりである。男児ばかり狙うのかは不明だが、一度出会ってしまうと生涯心に棲みつく胸キュンタイプの妖怪らしい。少し客観的にいえば、多くの男子の心の深層に潜む“近所に住んでいた憧れのおねえさん”のようなイメージを外部化した妖怪と解釈できるかも知れない。また父親サービスとして見れば、古きよき昭和特撮映画の伝統に倣っているといえなくもない(ただしエロすぎて不健全)。
[DVD(邦画)] 4点(2012-10-15 19:11:43)(良:1票)
769.  宇宙大戦争 《ネタバレ》 
この映画を見ると毎回思うのだが、「スピップ」というのがどうも間抜けに聞こえて仕方がない。名前の由来は劇中でも説明されないので落ち着かず、仕方なく自分で調べるかと思ってネット上を探してもどこにも書いてないが、そのうち何となくわかってきたのは、SPACE SHIPを大胆に略して一語にしたのがSPIPなのではないかということである(今ごろわかったのはおれだけか?)。  このSPIPの打ち上げ直後は、乗員が手で顔の皮を横に伸ばしてまで加速を表現していたが、宇宙空間に出た後は噴射をやめて慣性飛行に移り、以後は側面への噴射でコースの移動や機体の反転を行うといったあたりは現実的で、当時としては志が高い映画だと思う。 しかしその割には、終盤に出るロケット戦闘機が宇宙空間で格闘戦ができるほどの旋回性能を発揮していたのは方式が不明であり、また特に無重力というものを映画のスタッフがどのように理解していたのかがわからない。ほかストーリーとしても、真っ正直に宇宙戦争を描こうとした映画だというのはわかるが、あまりにストレート過ぎて味気なく思えるのが残念である。 ただ宇宙ステーションの破片とともに乗員が宇宙を漂っている光景は、当時の観客にとっては慄然とするものがあったのではないかと想像され、この場面については率直に評価できる。また終盤で、ロケット戦闘機が実戦投入される際の博士の言葉を聞いていると、日本人としては何となく太平洋戦争中のロケット機「桜花」が思い出され、これは戦争なんだと思わされるものがあった。  なお、ヒロイン役の安西響子さんは外人女優よりもスマートで美しいと思うが、本編ドラマの方ではあまりいいところがない。月夜に二人きりの場面でこの人が「いつまでも変わらないものがあるでしょう?」とか言い出すので、もうわかったから答えは言うな、と思っていたのだが、結局言わせてしまうのだった。本当にしょうもないドラマである。
[DVD(邦画)] 4点(2012-06-23 21:26:53)
770.  奇談 キダン 《ネタバレ》 
原作は「新世紀エヴァンゲリオン」に元ネタの一つを提供したマンガだが、映画もそのストーリーを基本的に尊重しているのは評価する。期待していた「三じゅわんさま」もちゃんと出てきたので嬉しかった。ただこの場面の神父の発言には、原作にあった微妙な可笑しさが感じられなかったのが残念である。 また原作の短編を長編映画にするためか、もとの話と直接関係のない要素がかなり加えられており(同じ作者の「天神さま」から取ったか)、「7歳」で無理につなごうとしたようだが、どうも本筋との統一感がないので困る。 それでもヒロインが年齢のわりには(昔の女性らしく?)清純そうで可愛いのは高評価で、これは原作よりずっといいかも知れない。稗田センセイも、あくまで堅物というか紳士なので安心して見ていられた。マンガのとおり尊敬できるお方である。 なお、自分としては特に原作者のファンとは思っていないのだが、DVD特典で初めてご尊顔を拝することができたのは感激だった。
[DVD(邦画)] 4点(2012-05-14 22:36:17)
771.  タイム・リープ 《ネタバレ》 
「時をかける少女」の類似品として見たが、原作を先に読んでしまったため差分ばかりが気になった。 まず感じるのは原作の清々しさが著しく損なわれているということである。少年少女向けライトノベルをそのままで映画化できないのはわかるとしても、よくもこれだけ不快な要素を加えたものだと感心する。犯人の邪悪さを強調するためだけに人が2人も死んでいるではないか。また冒頭のヒロインをはじめ、登場人物に奇矯な行動が目立つのも気になる。小説ではみな良識的な人々(犯人を除く)だったのだが、映画というのはまともな人でも変にして見せないと済まないものなのか。それから本編の最後に「カット」が入るのは反則だろう。時かけ1983版でも、原田知世PVが始まるのは本編が完全に終止してからである。  そのほか、これは映画のせいではないが、ここでいうタイム・リープとは人体を含めた物的な要素はそのままで、意識だけが時間を移動するということらしい。しかし、意識というものが身体とは別に物理的な実体を持ったものだということを科学的に説明できない限り、SFではなくオカルトになってしまう気がするわけだが、それでいいのかというのが率直な疑問である。  そういうわけで、ほめることを探そうとしてもなかなか見つからないが、原作と比較せずにただの映画として見れば、まあ普通の娯楽映画だと思う。 なお全くどうでもいいことだが、劇中で登場人物が「誰かが犠牲になってまで、成し遂げられるべきことなど、ないと思います」と言っていたのはその場の雰囲気で口にしただけだろうが、もしこれを本気で言っていたのなら、おまえは宇宙戦艦ヤマトを見たことはあるか、と聞きたくなる。
[DVD(邦画)] 4点(2012-03-04 22:18:13)
772.  忌怪島/きかいじま 《ネタバレ》 
ホラー映画として怖いところはない。話の前提として、科学技術と心霊は「真逆にある世界」ではないということらしいがだから何だという感じである。いろいろ理解困難なところが多いが、要は島一つをまるごとデータ化して作ったVR世界が「あの世とこの世」の出入口になってしまったということか。鳥居はどっち側のものかとか、この人物はこの時点でどっちにいるのかといった謎解きの仕掛けがあるかも知れないが、どうせわからないので考えるのは放棄した。 ただ少なくとも島の名前が「境島」なのは2つの世界の境界という意味と思われる。最後に2人(+1人)がフェリーで出て行ったのは、国内他地域の言い方だと補陀落渡海のようなものだろうが、撮影地の言葉でいえばネリヤカナヤに向かっていたのであって、それは死後の世界または理想郷(死んだ父親のいる場所/主人公の望むべき世界)なのかとは思った。 その上でさらにホラー要素として撮影地で実際に伝わる呪いの伝承をからめた形だが、複数要素の接合によってまとまりのない印象になっているのは前作などと同様だった。当然ながら物語として共感できるものもない。  その他個人的な感覚として、何とはいわないが非常に嫌な感じの成分が全編にわたって含まれている気がしたが、あくまで個人的な感覚なので他の人々が何とも思わなければどうせ意味はない。 登場人物に関しては、最初に伊藤歩さんが重要人物っぽく出たので期待したがすぐ顔が見えなくなってしまった。村シリーズのレギュラーだった「秋奈」は突撃YouTuberを卒業してしまったらしい。個人的には見どころが多くなかった。
[インターネット(邦画)] 3点(2024-01-06 10:14:49)
773.  野生のなまはげ 《ネタバレ》 
低予算映画ということを前提としての評判は悪くないらしい。以下は個人の感想ということで。 ナマハゲを含む日本の「来訪神」は2018年にユネスコ無形文化遺産に登録され、ナマハゲの地元秋田県でも人口減少と少子化・高齢化の中で行事の存続に努めているが、その「来訪神」をこの映画のように、家畜や愛玩動物の扱いで「飼う」などという発想は非常な違和感を覚える。同じくユネスコ登録のアマメハギが「ゲゲゲの鬼太郎」に出たりしていることもあり、妖怪の扱いであればかろうじて許容できなくはないが、しかし最低限、人智を超えた存在でなければならないのであって、悪ガキや悪徳業者に翻弄されるなどという展開は著しくイメージを毀損する。秋田での協力は得られなかったと監督が言っていたようだが(宣伝協力として秋田県東京事務所の名前が一応出ていたが)、現に「来訪神」の存続に努めている立場からは協力できかねるということなら当然ありうる。 監督はもともとオオカミなど野生動物と少年の交流を描きたかったという話もあるようだが、その交流の相手をナマハゲに変えたのは、奇を衒ったようだが適切とは思えないというのが個人的見解である。  その他物語については要は夏休みの出会いと別れのドラマだが、笑うところや泣くところは特にない。ただ人が落ちる場面に力が入っていたのがよかったのと、「秋田美人」の登場には感動した。秋田美人役の六串しずかという人(171cm、長身)は盛岡市の出身で、岩手を拠点にモデルなどの活動をしているとのことで本物の秋田美人ではないが、しかし秋田ではないというだけのことで特に問題はない。佐々木希にわざわざ登場してもらう必要はなかった。
[DVD(邦画)] 3点(2023-09-30 10:51:04)
774.  心霊写真部 リブート〈web〉 《ネタバレ》 
2010年代にニコニコ動画で人気の出ていたホラーシリーズの最終作に当たる。前回の「劇場版」で「続編があれば見てもいい」と書いておきながら見ていなかったので気になっていた。今回は主人公役と屋上の少女役がまた交代したが他の人物役は共通で、ほかに新キャラクターとして映画研究部の2人を入れたのはPOVの雰囲気を出すためか。二話構成のためオムニバスとしては貧弱だが「劇場版」と同じではある。  【第一話 廃墟】 「心霊写真部 壱限目」の第1話「廃墟できもだめし」のリメイクらしいが、上っ面をなぞっただけのようで一見客には意味不明ではないか。前回より時間は長いようだが中身は薄まって気の抜けた感じにできている。 【第二話 消えない顔】 新作だが話として面白くない。高校生の素人映画を見せられている部長の表情をちゃんと笑えるように見せてもらいたかった。 なお撮影場所が茨城県水戸市の中心街というのは珍しい。心霊写真部のある高校は本来「都立緑が丘高校」だったはずだが、今回は映画研究部の撮影場所も水戸市内の千波湖だったりして、実は最初から水戸の高校がモデルにされていたかのような意外感を出している。3階の窓から水戸駅北口周辺の街が見えている建物で、すぐ外に車や人が通行しているだろうと思われるのに、閉じ込められた人々が危機に陥るというシチュエーションは単純に面白かった。この前見た「シークレット・マツシタ」(2014)と似たようなものかも知れないが開放感が違っている。  全体的には前回の「劇場版」よりさらにレベルダウンした印象がある。今回もまた主人公の入部段階から繰り返しているが、その他シリーズ共通の各種設定がまともな説明もなく形だけ出ているようで実質的にファン限定映画になっている。これで「リブート」とは意味不明だが、とりあえず題名で何となく今後の期待を残しながら、実はそれとなくフェイドアウトしていくようなつもりだったと思うしかない。 ほか出演者として、今回主演の松永有紗という人は他のところでも見たことがあったようだが、レギュラー?の上野優華さんも安定的に可愛いので和まされた(もう7年も前の顔だが)。屋上の少女役の小宮有紗さんは文句なしの美少女で感動した。
[インターネット(邦画)] 3点(2023-07-29 08:18:10)
775.  怪猫トルコ風呂 《ネタバレ》 
DVDの最初に「現在では不適当と思われる表現」があるとの警告が入るが、そもそも題名からして不適当である。映画の冒頭から、売春防止法の施行により昭和33年3月31日限りで吉原の遊郭が廃止され、その後は風俗店に転換していったという歴史的経過が描写されるが、後年さらに来日トルコ人からの抗議がもとで一斉に名前が変わったことまでは当然出ていない。  内容としては風俗営業をからめた独自色のある怪奇映画かと思っていたが、終盤で猫耳を立てた人型の化け猫が出現したのを見ると、伝統的な化け猫映画のバリエーションということかも知れない。 序盤からの出来事を劇中ネコがずっと見ていたが、悪人に対抗しようにもネコだけでは非力だったようで終盤で惨殺されてしまう(なんとネコの首が飛ぶ)。その直後に出た化け猫は、黒ネコだったはずが白装束なのは変だったが猫耳だけは黒かったので、これは死んだネコが殺された者の死体に乗り移って化け猫になったという意味か。あるいは人とネコの魂が一体になって悪人を成敗したのかも知れないが、それならラストの昇天時に人がネコを抱いている形にしてもらいたかった。 終盤の破滅に至る展開には緊迫感が一貫しておらず、劇中人物が次々に殺害されて2人だけになり、いつまた化け猫が襲って来るかわからない状況なのに「泡踊り」を始めたりするのは気が抜ける。結果的に何ともいえない映画だったが当時はこの程度でよかったのか。ちなみにエロい場面は特に目を引かなかった。  なお人の悪事をネコが見ている場面で、ネコの目から見た光景を映像化してみせていたのは悪くない。人の目で見るより明るさがあり、またモノクロームだったのは当時ネコには色が見えないと考えられていたからかも知れない。ほか人が倒れていた場所が白と黄の菊のある植え込みだったのは、すでに死んでいるのを一瞬でわからせる効果があった。この菊のほかに古井戸もそうだったが、これから何か起こる場所を予告的に一瞬映す場面があったのは当時の映画制作の一手法ということか。
[DVD(邦画)] 3点(2023-01-14 14:42:21)(笑:1票)
776.  未成仏百物語 AKB48 異界への灯火寺 《ネタバレ》 
AKB48メンバー8人が寺の本堂で怪談を語り、最後は住職の読経と皆の焼香で終わる。わざわざ映画館で見るものでもないが、実話の再現ドラマや怪談語り、心霊スポット探訪や有識者?との対談といった多彩な内容でTVの心霊特番のような趣がある。 個人的に関心があったのはAKBよりも実話怪談の映像化という点である。これの原作として売られている怪談集の全21話のうちドラマと語りで5話が採用されており、それぞれ名の知れた怪談作家の作なので実話怪談としての質は確保されている。 以下、メンバー8人がそれぞれ1話を担当する。  〇ドラマ「見逃し」 原作 黒木あるじ 原作本を読んでからだと表面的なレベルで止まって見えるが、これはこれで正解。深入りしなくていい。 〇対談 part1 実在の事故物件を訪ね、その筋の権威である大島てる氏の解説を聞く。ちなみに東京都某区東××にある物件の写真が出るが、ストリートビュー(2020.1月)で見ると現在は改装して外観を一新している。 〇ドラマ「宇宙人」 原作 松村進吉 そもそも宇宙人だと思い込んだ理由が不明。原作では当人が不思議ちゃん的人物だからということで大らかに納得したが、ドラマでは人物像が微妙に違うので単に意味不明になっている。なおヒロミ役の濱崎優姫という人はいい感じ。 〇心霊スポットツアー 毎年恒例の「心霊スポット巡礼ツアー」で知られる三和交通タクシーで八王子市内の2か所を訪ねる。この会社は応援したい。 〇ドラマ「お泊まり」 原作 松村進吉 話を作り過ぎ、教訓は不要。本来は実話とされていたはずのものがこのようにしてウソっぽくなる。 〇対談 part2 part1に引き続き、別の事故物件で大島てる氏が語る。 〇語り「見初められる」 原作 小田イ輔 何の感慨も残さずに終わってしまうが、原作では最後の一言が締めの納得感をもたらしており、逆に怪談作家はそういう点に気を使っていることがわかる。 〇ドラマ「あそぼう」 原作 黒木あるじ 単純化が過ぎる。原作ではもう一段の展開がある(座敷童ではない)。  原作とは別に映画としての独自性を出すのは普通かも知れないが、一つひとつにAKBメンバーのトークで安易な解釈をつけるとか、いい悪いの区別を簡単にしたがるのは、怪異をあるがままに受け入れようとする気構えに欠ける気がする。この企画ならこのやり方で妥当だとしても、原作もこういうものだと思ってもらいたくはない。 ただし、こういう企画自体は実はそれほど嫌いでない。
[インターネット(邦画)] 3点(2022-11-05 10:11:47)
777.  ヒトコワ2 -ほんとに怖いのは人間- <OV> 《ネタバレ》 
全5話のオムニバスである。 【ペットモニター】 最後にニッと笑ったが、すぐ真顔に戻ったので許されたかどうかわからないのは困る。しかし、ペット愛が他の全てに優先する人格を表現しようとしたエピソードと考えれば、やはり許されたのだということにはなる。ただしペットを貶められただけで殺人というのも単純すぎるので、そもそも不倫の件で恨みがあったことにして補強したと解される。 【ヘビと初恋】 小公園は埼玉県越谷市。オチがないようなのは困惑する。目撃者が他にいないと知って自らダークサイドに落ちたと見える(悪人メイク)がそれだけか。 【二人の約束】 男に対する女の執着が異常なのかと思っていると、その後にもう一段の展開がある。題名の印象からは、男が約束を守らないのが問題だということになるが、実はそれよりも、束縛を嫌っていきなり凶行に出るのが異常だということか。妻が妊娠中なのをいいことに遊び回っていたところ、浮気はしない約束のはずだと妻に咎められ、逆に妻が浮気して妊娠したのだろうと言いがかりをつけて殺したが、その後に遊びと思って付き合った相手までが、一途な遊女よろしくしがみついて来たので排除したとも取れる。 【自転車をとめないでください】 埼玉県越谷市で撮影したことを執拗にアピールしている(映像中に文字情報が多い)。「こうかい」だけでなく、その前のも「とめると」がブレーキの意味だったか。つまんねー。 【共通の趣味】 盗撮が異常なのかと軽く思わせておいて、実はさらに異常な性癖だったという展開かも知れないが、両者のつながりが弱いため単に散漫な構成に見える。彼氏が合鍵を提供したので入れたのはいいとして、入るタイミングが変だ。  「ヒトコワ」シリーズの2つ目である。初回の時点で2と3は見ないと書いておきながら、結局全部見てしまったのは阿呆だ。暇なのか。 別に怖くもなく面白味もないが、それほど極端にバカみたいなのはないとはいえる。しかし展開の意外性を優先したためか物語の芯になるものを素直に受け取れず、独自の解釈(上記)を理屈で考えて辻褄を合わせるのが面倒臭い。 また今回最悪だったのは、好意的になれる登場人物(男でなく)が誰もいなかったことである。それがなければC級ホラーなど見る意味もなく、芸能事務所のプロモーション上の意義もないことになる。個人の好みで今回は当たりがなかっただけかも知れないが。
[インターネット(邦画)] 3点(2022-06-04 13:40:36)
778.  怪談新耳袋 劇場版 《ネタバレ》 
8話オムニバスである。[]内は点数。 【夜警の報告書】 冗長。要は気の持ちようだ、というのはこの手の現象の本質の一面ではあるかも知れないが、それだけでいいともいえないということだ。[3] 【残煙】 単に意味不明。不可解な出来事を表現したいのなら、不可解な出来事だったと納得できるよう作らなければならない。車中の3人はみな見たことのある人ばかりで豪華キャストに見える。最年少で長身の人は「なぞの転校生」(1998)で宇宙人役だった人だ。[2] 【手袋】 手袋だけというのは映像的に格好悪い。なお「夜毎」を「よまい」と読むのは正しいか。[3] 【重いッ!】 だから何だ、とは思うが母親の顔を見ていると気の毒にはなる。[2] 【姿見】 だから何だというのか。そもそも予告編でネタバレしているではないか。[2] 【視線】 脈絡のない話。主人公は10年後に女優になっていたいと言っていたが、堀北真希という人のその後の経過を思うとそれなりの感慨がある。この頃はまだしょうもないホラーなどに出ていたわけだが(可愛いが)、この13年後に引退した時点では最高に存在感のある女優(女性俳優)になっていた。[3] 【約束】 怪人物のビジュアルと、本来の住人がそれをどう思っていたかの説明が感覚的に整合せず納得感がない。ラストは不要だ。[3] 【ヒサオ】 和服と黒電話がわざとらしい。関西弁もわざとらしいが悪いともいえない(京都の話か、深泥池を思わせる)。締めのエピソードらしく、泣かす気満々で作っているのはかえって反発を感じるが、役者が作り出す人物像のせいで否応なしに引き込まれてしまうのは仕方ない。見ているのがつらい話なので褒める気はしない。[6]  特に怖いところはない。原作は一通り読んだはずだが元ネタを思い出すものがない。本来は実話系怪談だが、とても実話とは思えないほど脚色されているようで、特に2話目は実話ではありえない話に見えてしまっている。ちなみに実話怪談では「死ねばよかったのに」タイプのオチがあってはならないことは常識だが、だからといってエピソードとしての締めもなく、ぶった切って終わりでいいともいえないわけで、その意味で特に4、5話目はまともな出来とは思えない。 なおキャストに名の知れた役者が多いので、その後の新人タレントばかり出る安手オムニバスホラーよりは金がかかっていたように見える。
[DVD(邦画)] 3点(2022-02-19 09:19:39)(良:1票)
779.  もうひとりいる 《ネタバレ》 
「監修 清水崇」が前面に出ており、いわゆるジャパニーズホラーの波に乗って作られたものの一つに見えるが、「呪怨」の劇場版公開には少し先立つ形になっている。脚本・監督の柴田一成という人物は、昔からしょうもないホラー映画のプロデューサーなどをしていたので名前は知っているが、商業映画の監督としてはこの映画が最初だったとのことで、後の「がっこうぐらし!」(2019)に至る第一歩ということになる。 しかしホラー映画としてそれほど語りたくなるものはなく、劇中の出来事も映画紹介に書かれた範囲からほとんど出ていない。監督が以前に撮ったという短編「フライト・フロア」など見ても、真昼間にホラーを作れること自体はわかるとして、この映画の廃校はどうも閉塞感が足りない。ビル街の中にあるため(西新宿とのこと、旧淀橋第三小学校か)、その辺に見えるオフィスで普通に勤務している人々がいるだろうことをどうしても意識してしまう。また安手の邦画ホラーによくあることだが、そんなところで引っかかっていないでさっさと逃げればいいだろうがと思わせる場面も多い。 わずかに、ラスト近くで多数が迫って来た場面は悪くなかった。似た印象の場面は「呪怨2」<OV>(2000)にもあったが、これの方が意味ありげに見える。個人的には人物の姿が「クリスティーナの世界」を思わせた(というと不謹慎か)。また最後のオチも少しよかった。  登場人物としてはローティーン(演者は14~15歳)のアイドル3人が、学校でグラビア撮影をする設定にして制服姿や体操着姿を見せており(水着はない)、ロリコンじみた趣向で人目を引こうとしたらしい。しかし怪異の原因自体が児童ポルノ的なものだったようで、最終的にも少女を食いものにする業界への皮肉が込められていたように見えなくもないが、それも単なる言い訳のようでもある。 ドラマ的には、主人公の少女が最初は大人に反発していたが、友人を助けるためにあえて協力して、ともに脱出を目指すことにした、といった感じのようだが別に感動的でもない。少し読み込んでやろうとしても話が薄いので困る。 映画としてはまだ習作的に見えるが若手の演者はそれぞれ頑張っている。終盤の「なんでなんでなんで」は、個人的に好きではないが印象的な台詞だった。
[DVD(邦画)] 3点(2021-06-26 08:25:29)
780.  沖縄怪談 逆吊り幽霊・支那怪談 死棺破り 《ネタバレ》 
冒頭で「日華合作」との表示が出る。日本に昔あった大蔵映画株式会社というものと、当時国交のあった中華民国の会社が共同で作ったようだが、中華民国側の出演者は主人公夫妻の2人だけで、ほかは全部日本人だったことになる。題名は二本立てに見えるが実際は沖縄怪談がメインになっており、支那怪談は沖縄の悪役が妻の貞操を疑う動機として語る昔話である。瀕死の病人が口述するには長い話なので途中で息絶えてしまわないかと思った。 映画としては一応カラーだが、保存状態のせいか画質は悪い。場面のつなぎが悪く話の展開にも説得力がなく、怖い場面も一瞬のドッキリが連続するだけで恐怖感が高まらない。また美女への病的な執着が災いを呼ぶというのが基本路線のようだが、他の男に奪われる妄想を生じるほどというには微妙な美女ばかりである。特に中華民国側はかなり微妙な美女で、これはいわば脱lookismの表現かと思った。なお日本側は「ピンク映画」や「成人映画」で知られた役者が出ていたようだが、全体的にエロい場面はほぼ皆無だった。  怪談話として見た場合、まず沖縄怪談は那覇市真嘉比(〒902-0068)の怪談とされる「真嘉比道(まかんみち)の逆立ち幽霊」に結構近いようで、時代が現代なのと純愛物語風に脚色してあるのが主な違いである。原話は地名付きということから場所に憑く妖怪の印象もあるが、この映画では人に憑いてところ構わず出現するのが伝統的な和風幽霊の感じを出している(顔は四谷怪談)。 支那怪談の出所はわからないが、何となく「胡蝶の夢」を思わせるものがあると思ったら、登場人物の荘周とは荘子のことだったようで、つまり西暦紀元前の物語ということになる。さすが支那怪談だけあって奥が深いと思わせるが、物語としては不倫の可能性が内在するというだけで妻を罰する理不尽な展開だった。実際の荘子の教えにはそぐわないだろうが古典を茶化しているということか。ちなみに未執行の死刑囚を殺して脳を取るというのは大陸的な発想かも知れない(従者が逃げるのは笑った)。 全体的にはゲテモノ映画という印象しかなかったが、怪談話のネタが少し興味深かったのと、ラストが意外にもハッピーエンドだったのは悪くなかった。
[DVD(邦画)] 3点(2021-06-12 08:43:59)
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