101. 清須会議
コメディ風に描きながら、誰にもわかる歴史教科書でもある。無骨な柴田勝家に対し、機転のきく策略家秀吉の対立が実におもしろい。見る前は秀吉がどうして大泉洋なのか疑問に思ったけど、大正解だったと思う。 [映画館(邦画)] 8点(2013-11-19 14:44:37) |
102. ペコロスの母に会いに行く
先行上映にて鑑賞。長崎出身の原作者、長崎出身の監督、長崎出身のキャストによる長崎を舞台にした映画。認知症の年老いた母とペコロス(小タマネギ)のニックネームを持つ息子が主人公の物語。岩松了のハゲっぷりと赤木春恵のポケっぷりがたまらなく良い。笑いと涙のなかに喜劇を得意とする森崎東監督らしいユーモア溢れる映画となっている。ふんだんに長崎弁が使われているために若干抵抗のある人も出てくるかもしれないが、それが長崎から全国へ向けたメッセージとなっている。「ぼけるって悪いことばかりじゃない」と。 ところで婆ちゃん役の赤木春恵さんを見るのは久々だったが、かつては武田鉄矢主演の金八先生の学校の女校長先生として活躍していたっけ。 [映画館(邦画)] 8点(2013-11-12 15:27:00) |
103. アフタースクール
初めから観客をだまそうとしている映画だし、私の方も見事だまされた口だが、それでもやっぱりおもしろい。「運命じゃない人」もおもしろかったし、内田けんじ監督の映画(脚本)作りはすばらしい。最初は頼まれたからといってほいほいついて行く教師がどこにいるのかと思ったのだけど、ちゃんと訳があったのだ。何度も繰り返して見るDVD向きの映画。 [DVD(邦画)] 8点(2013-11-04 08:50:58) |
104. 按摩と女
ちょっとしたストーリーに漂う情感、これが「ありがたうさん」の清水宏監督と知ってすごく納得。ある意味おもしろさではこっちが上かもしれない。目が見える者を追い越したり喧嘩にも負けない。特に8人半にはまいった。それでいて目の見えないハンディをユーモアたっぷりに表現する。漫才のような掛け合いで始まった映画が、実にしっとりした印象的シーンで終わる。 [DVD(邦画)] 8点(2013-10-18 09:44:28) |
105. 瀧の白糸(1933)
子どもの頃、講談や浪曲で聴いた「瀧の白糸」、悲恋ものの代表格として知られる。恋する男性に身も心も尽くす女心が何ともいじらしく、涙なくして見ることができない。サイレント映画だが、当時の弁士による語りが目に浮かぶようだ。最初らへんの馬車と人力車の競争は愉快。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-10-13 19:08:48) |
106. 疑惑(1982)
ふがいない男や法廷シーンなど現実にはありえない部分が多々あるが、そういうことにこだわるとおもしろくなくなる。映画だからおもしろいのだ。その映画の中の女優二人、桃井かおりと岩下志麻が凄すぎ、インパクトの強い映画だ。 [DVD(邦画)] 8点(2013-10-09 19:31:01) |
107. 荷車の歌
農村の嫁、そして母の生き様を描いた名作。私もそのような人を身近に見てきただけに、切実なものを感じてならない。三國連太郎と望月優子の名演は文句ないが、姉左幸子の子ども時代を演じた左時枝にたまらない愛着を覚える。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-10-03 06:15:05) |
108. 女系家族
遺産相続をめぐる三姉妹の欲深い争いと思っていたら、大番頭や踊りの師匠、叔母らも加わった駆け引きと画策のすさまじさがおもしろい。さらに愛人若尾文子を登場しさらにヒートアップ、けなげに見える彼女が一番したたかとは予想通りだったが、最後に笑ったのが当の死んだ本人だったとは良くできた物語だ。遺産相続に関する法律等、よく調べあげられたところが実に山崎豊子の小説らしい。死を惜しみ鑑賞。 [DVD(邦画)] 8点(2013-09-30 22:46:56) |
109. 飢餓海峡
ずいぶん昔に見た感動の映画。主役は三國連太郎だが、弓坂刑事の伴淳三郎、杉戸八重の左幸子の印象が強い。伴淳三郎はコメディアンとしか見ていなかったし、左幸子がこれほど情の深い役をするとは思っても見なかった。爪を大事にとって哀願するさまは目に焼きついて離れない。 [映画館(邦画)] 8点(2013-09-30 07:12:34)(良:1票) |
110. 快盗ルビイ
とってもお洒落でコミカル、私の好みにピッタリ。ピッタリと言えばこの頃の小泉今日子が、役柄にとてもあっていた。真田の方はどうかわからないけど・・・。さらに終盤の名古屋章さんの粋な計らいに点数アップ。ちなみに題名は怪盗ではなく快盗、ここちよいのだ。 [DVD(邦画)] 8点(2013-09-26 20:20:00) |
111. 少年H
空襲で焼け出されるシーンはあっても戦闘そのものはなく、それでいて戦時中の日本の様子が手に取るようにわかる良い映画だと思う。戦争一色に染まった時代には、今の平和な時代では考えられような非道なことが数多く行われていた。その一端を知る上でもお勧めの映画だと思う。ただ戦争開始前の肇君好子ちゃんは良いが、5年経った戦後まで同一キャストで引っ張ると幼すぎて年の経過が感じられないのが残念。 [映画館(邦画)] 8点(2013-09-17 16:51:23) |
112. 夕やけ雲
人間関係や心情を切々と表現することの多い木下恵介監督らしい作品。77分と短い映画の中に、家族や友との別れや青春の思い出を描く秀作。妹の和枝が叔父さんに引き取られていく場面は思わず涙ぐんでしまった。なお主人公の洋一と遠メガネの少女は、あの「野菊の如き君なりき」のふたりである。 [DVD(邦画)] 8点(2013-08-28 06:04:42) |
113. 長屋紳士録
紳士録というから男ばっかりかと思いきや、何と何と主人公は男勝りのおば(あ)さん。「あ」の字を入れるか入れないか微妙な年齢。笠智衆さんが拾ってきた男の子を、口や態度ではやっかいものとしながらも、次第に愛着を覚えていく過程が実に良く、表情が何とも言えない。ラスト近くの「親子っていいもんだよ」と言うあたり実感がこもっている。戦後まもない頃の映画だけに、音声が大きくなったり小さくなったり不揃いで聞き取れないところが多少あるのが残念だが、復興期の心温まる作品であることに間違いない。小沢栄太郎、笠智衆らの若き姿にも驚く。 [DVD(邦画)] 8点(2013-08-24 21:05:26) |
114. にっぽんぱらだいす
たくさんの引っ越し車の行列の中に一台の霊柩車、実に印象的だ。赤線を描いた映画は数多くあれど、おもしろく、おかしく、そしてもの悲しく、表裏をさらりと表現した映画はめずらしい。若く美しい香山美子はもちろん好きだが、喜劇役者としてしか知らなかった益田喜頓の味のある演技も良い。 [DVD(邦画)] 8点(2013-07-09 07:04:26) |
115. 月曜日のユカ
《ネタバレ》 私が少年の頃見た映画の中で、強烈な印象が残っているものの一つ。日活100周年と共にHDリマスターとして蘇ってきた。映画の最大の魅力は加賀まりこ、他のレビュアーの皆さんが言われる通りである。日曜日は家族サービスデー、したがって月曜日のユカとなるわけだが、月曜は男にとって仕事の日、このすれ違いが最後になって悲劇を呼ぶ。身体は許してもなぜキッスはダメだったのか、改めて思い知り感慨にふける。だけど50年近く経った今、冷静に点数を付ければやはりこの点数か。(50年前だったら満点だったかも) [映画館(邦画)] 8点(2013-05-25 06:51:38) |
116. あ、春
《ネタバレ》 5歳の時に死んだと聞かされていた父の出現や、会社更生法申請を仰ぐ勤め会社など波瀾万丈を思わせる設定。だが、映画は節分から桃の節句、梅の花から桜、そして端午の節句へと季節感を盛り込んで静かに進行する。このように大上段に構えず、日常生活を淡々と描きながら、思いを胸に刻む映画は私の好みにとても合っている。ちょっとばかり批判したりもするが、皆いい人たちばかりである。そしてタイトルも良い。感嘆詞の「あ、」ちょっとしたというほどよい加減を産み、「春」と続けることによって何とも言えない暖かさとぬくもりを感じさせてくれる。それがイメージとして映像化されたのが卵から孵った雛かもしれない。 [DVD(邦画)] 8点(2013-05-07 06:34:15) |
117. 馬鹿が戦車(タンク)でやって来る
ハナ肇と山田監督による馬鹿シリーズはどれも好き。そしてこの映画にも大好きな岩下志麻も出ているし・・・。常田富士男の日本昔話のようなメルヘンチックな田舎村とどこかへんてこりんな村人たち、映画の前半は團伊玖磨の舞台劇を思わせる軽妙な音楽もすばらしくとても好きだ。釣り人と船頭によって語られる物語形式も良い。だが戦車が登場してからはどうも憂さ晴らしのように思えてややマイナス。 [映画館(邦画)] 8点(2013-05-06 08:34:19) |
118. 約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯
《ネタバレ》 戦後唯一、無罪からの逆転死刑判決となった実際の事件である。事件発生から51年、際限なく繰り返される再審請求と棄却。この冤罪と思われる事件に東海テレビは取材を続け、圧倒的な記録と証言を再検証し、本作を作り上げた。点数では付けることができない映画であり、多くの人に見てもらいたいものである。 [映画館(邦画)] 8点(2013-04-28 11:26:59) |
119. クライマーズ・ハイ (2005)<TVM>
《ネタバレ》 映画版では、日航機事故に伴う地元新聞の奮闘記ということはよくわかるのだが、なぜ登山なのかがよくわからず、むしろ余計なもののような気がしてならない。ところがこのNHKドラマ版は原作にほぼ忠実で登山のシーンが重要な意味を持つことがわかるのだ。そして最大の「クライマーズ・ハイ」の「ハイ」の意味、最初は単に高い山に登るからハイなのだろうなんて軽く思っていたのだが、「ハイテンション」のハイ、ヤクの常用者などが「ハイ」という高揚した気分になるあの「ハイ」であることに気づく。映画との比較は一長一短があるのかもしれないが、私はタイトルの意味を持つこのドラマ版の方が好きだ。 [地上波(邦画)] 8点(2013-04-21 08:40:17) |
120. ペンギン夫婦の作りかた
《ネタバレ》 グルメもの映画だが、料理に関心がさほどなくても、沖縄石垣島の海を見ているだけでも心が癒されてくる。島の人たちの温かい大きな心と帰国申請調査官の疑ってかかる心の対比がまた良い。そしてまたまたペンギン夫婦の名前の由来も・・・。心が和む夫婦愛の物語で素直に感動した。よけいなことだが、食事の前に見るのと後ではもしかしたら点数が変わるかも・・・。 [映画館(邦画)] 8点(2013-04-19 13:09:12) |