1. そして父になる
《ネタバレ》 自然な子供を描かせたら右に出る者のいない是枝監督の作品。しかもテーマは子供たちのアイデンティティです。面白くないはずがありません。子供たちの存在に危機を与えるのは身勝手な親。特に福山雅治演じる野々宮家の父親です。インテリである彼は他人を思い通りに動かすのが当然と考えているような人物。自分の家族も斎木家の人々も配慮のない発言で傷つけます(一方で斎木家の父親 リリー・フランキーは怪しげに見えて大変真っ当に子供を愛していてびっくりします)。でも、あのラストに落とし込むためにはこの性格でないといけなかったと思います。予定調和的ですが、タイトル通り子どもが不幸になって終わらないので安心です。 [DVD(邦画)] 8点(2025-01-25 23:11:08) |
2. 怪物(2023)
なぜ可愛らしいこの子供が執拗にいじめの標的にされるのか、教師や父親の奇妙な態度は何か、いろんな違和感が終盤一気に解消され、そういうことだったか!と納得させられます。納得させられるんですが、現実にこの問題で理解されず苦しんでいる人がいるのが事実。共感が今後さらに広まることを望みます。 [DVD(邦画)] 8点(2024-12-30 09:54:46) |
3. はたらく細胞
多くの人に見てほしい作品です。いろんな細胞の機能を勉強できるし、何より自分を守るためにこれだけ多くの者たちが頑張っていると思えば、みんな自分の命を大切にするんじゃないでしょうか。最終版の演出に不覚にも泣けました。 [映画館(邦画)] 9点(2024-12-29 22:11:32) |
4. 太陽を盗んだ男
《ネタバレ》 高校教師が独力で核爆弾を製造してしまうのもすごいですが、それを使って国をどうこうしようとするわけでもない展開が奇抜すぎです。デパートでの緊迫感あふれるやり取りがクライマックスなら良かったのに。その後まだ続くの?まだ続くの?と言いたくなるタイミングが何回もあって最後にはうんざりしました(しかも主人公逃げ切ってるし!)。 [DVD(邦画)] 6点(2024-12-06 23:21:53) |
5. 八犬伝
日本初の勧善懲悪アクション小説と考える八犬伝が未完になる可能性があったとは。そうなれば後の創作史にも結構影響が出ていたんじゃないでしょうか。実パートの馬琴、北斎のやり取りがとにかく楽しいです(もちろん南北も)。 [映画館(邦画)] 8点(2024-11-30 15:31:17) |
6. 脳男
《ネタバレ》 全体的に悪い意味でマンガチックで共感できない。家族の仇を裁くのに脳男を鍛える?普通に捜して私刑にすればいいじゃないか。 [DVD(邦画)] 5点(2024-11-24 16:42:22) |
7. ラストマイル
《ネタバレ》 ・めまぐるしい。ベルトコンベアみたいに話がサクサク進むので観ていて飽きませんでした。犯人は物流システムの犠牲になった人物の恋人。ありきたりながら納得はいく(爆発の被害者がひたすら気の毒ですが)。・岡田将生もディーン・フジオカもこういう役が多いですね。・「アンナチュラル」「MIU」は未見ですが、多分ここがコラボなんだろうな~と分かりました。全然雰囲気が違うんですから。 [映画館(邦画)] 7点(2024-09-26 16:28:50) |
8. サユリ
《ネタバレ》 原作未読。松重豊似のおばあちゃんが家族を取り殺した悪霊に孫を叱咤しながら復讐を挑む、という他では見られない展開です。後半は特に原作者・押切蓮介氏の絵が思い浮かぶ濃さです。サユリの家族を拉致してきて制裁させるとか、よくこんなこと考えるなあと(まあ、復讐ではなくなってますけど)。良い話になり過ぎない程度で終わってるのがさじ加減の見事さと思います。 [映画館(邦画)] 7点(2024-09-08 23:07:00) |
9. 銀河鉄道999
個人的に、小学生時代何度もテレビで観たのにどんな終わり方をしたのか分からない作品がいくつかあり、トップ2がこの銀河鉄道999と宇宙戦艦ヤマトです。今回、999のラストを知る機会をようやく得たわけです。なんせ長いテレビシリーズを2時間に押し込んでいるのでダイジェスト感が強い(特に人間関係)ですが、先述のようにああこんな結末だったんだと分かったので良しとします。終盤はちゃんとクライマックス感がありましたし、ゴダイゴのテーマ曲もカッコよかったですし。 [映画館(邦画)] 7点(2024-07-14 21:20:30) |
10. 九十歳。何がめでたい
映画鑑賞後、原作を読みました。描かれるエピソードの多くが佐藤愛子先生の体験なんですね。90歳で気力も衰えリタイヤしてみたけれど、書きたいことが見つかると活力を取り戻していく過程がつぶさに分かりました。作品内、佐藤先生の活動と並ぶもう一つの軸が編集者・吉川の家庭問題の行く末です。こちらの結論次第で作品自体の評価が変わってしまうなと個人的に感じていましたが、あの結論で良かったと思います。吉川の奥さんが序盤に登場したあの人だったというのは、ちょっとした驚きでした。 [映画館(邦画)] 8点(2024-07-13 16:06:04) |
11. ルックバック
《ネタバレ》 人物描写を藤野と京本だけに絞ったためでしょうか、上映時間は60分弱と短かったにもかかわらず、友情の尊さや片割れがいなくなったことへの喪失感がキチンと伝わりました。扉を介しての別時間線の二人のやり取りは泣けました。もう一回観たくなる傑作と思います。また、音楽の良さも印象に残りました。 [映画館(邦画)] 10点(2024-07-13 15:49:13) |
12. 変な家
《ネタバレ》 ホラーと思っていたら違いました。幽霊より怖いのは人間、というやつです。家の間取りの謎を推理するというのが最大のオリジナル要素ですので、途中から地方の旧家の因習というあちこちで見た話になってしまったのが残念。先に鑑賞した人から低評価を聞いていましたが、それほどひどくない、ちゃんと作られていると感じました。 [映画館(邦画)] 5点(2024-04-03 15:30:36) |
13. ゴールデンカムイ
キャラクターがコスプレの域にとどまらず原作での個性もしっかり表現していたと思います。物語の第1章として申し分のない出来でしょう。このクオリティで作るなら省略なしでやってほしいですね。それくらい原作は面白いですから。 [映画館(邦画)] 9点(2024-02-06 21:39:24) |
14. ゴジラ-1.0
山崎貴監督の得意なねちっこい人情ものは好きではないのですが、今作については迫力あるCGと人情劇(家族愛だの戦争への思いだの)がかみ合った気がします。そして、何よりもゴジラの容赦ない怪物性が最高。シリーズ第1作を超えた歩く核兵器ぶりを見せてくれます。やはり印象的なドラマを作るなら、どうやってこんなモンスターをやっつけるんだ?と思わせないといけませんよね。 [映画館(邦画)] 10点(2024-01-07 01:17:27) |
15. 鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
鬼太郎あんまり関係ないとか、昨今流行のアニメに影響受けすぎとかネガティブな感想もありますが、それでも面白い面白くないで言えば明らかに面白かった。主人公二人に思い入れ出来た時点で個人的に傑作です。(追記)「総員玉砕せよ」の一場面が描かれた時はちょっと得した気分になりました。 [映画館(邦画)] 9点(2023-12-20 22:54:31) |
16. 竜馬暗殺
坂本竜馬がどれだけ当時特異な人物なのか、なぜいろんな人から命を狙われるのか、これだけ観てもさっぱり分かりません。作り手は鑑賞者が知っていて当然との姿勢なのかもしれませんが、それにしても、死なせるには惜しい男と感じさせるものも何もない。2時間もかけて一体何をやってるのかなという感じです。 [DVD(邦画)] 2点(2023-12-06 14:12:41) |
17. 翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜
《ネタバレ》 ヒットしたたコメディ作品の続編は二番煎じの評価を受けやすいですね。今作もおおよそのプロットが前作と似ています。しかし、府県のあるあるネタ、ディスりネタはあいかわらず好調で笑えるし、クライマックスもハチャメチャで盛り上がります。成功と言っていいでしょう。ところで、千葉のあの人はどうなったんでしょう?すごい思わせぶりでしたが。 [映画館(邦画)] 9点(2023-12-05 15:31:26) |
18. 湯を沸かすほどの熱い愛
《ネタバレ》 難病映画は好きじゃないのですが、この作品は違いました。宮沢りえの元気に周りを引っ張る姿から、徐々に弱って臨終間際の姿までしっかり描いてくれたものだから思い入れ出来るし応援したくなりました。人間ピラミッドとか普通は失笑ものなんですが。 [DVD(邦画)] 8点(2023-12-04 23:44:37) |
19. 首(2023)
《ネタバレ》 アウトレイジの作風で本能寺の変前後を描くというのですから、退屈するはずがない。今回特に目を引く要素が武将同士の男色ですが、歴史を動かしたのは男性間の愛情や嫉妬という解釈もありと思わせるもので納得できました。ただ、三角関係の一角である荒木が崖から捨てられて終わりなのは残念。もっと決定的役割を与えられなかったものか。そして一番の問題は信長の書状。あれだけで本能寺の変起こってしまいますよね、男色関係なくなってない?とプロットに疑問を感じました。 [映画館(邦画)] 7点(2023-11-26 09:58:42) |
20. 紙の月
《ネタバレ》 一見ありふれた横領事件にも特別な背景がありましたという話。なるほど、あの手癖は犯人のパーソナリティーに根差したものと分かりましたが、感情を揺さぶるものではない。梅澤さんは終始自分の都合だけで動き、お金を盗んだ相手に罪の意識を抱く風もない。これはサイコパスの物語ですよね。 [DVD(邦画)] 6点(2023-10-08 14:14:04) |